天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

131 / 192
この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。

旬が過ぎてますが楽しんでいただけば幸いです。


新章第二十三話 8月31日の悪夢

 8月31日

 (ねむり)八號(はちごう)の部屋

「え?」

 目の前でシュンとなる少女、眠八號を前に葛原(くずはら)粕人(かすと)は言葉を失っていた。

「なんで、なんで少しずつやらなかったんですか……」

 真っ白なノートを見て、粕人は膝から崩れ落ちる。

 多くの方が経験しただろう『夏休みの宿題がまだ終わっていない事件!!』。8月31日の深夜に粕人が『眠さん。明日から始業式が始まりますが、夏休みの宿題は終わりましたか?』という何気ない質問で発覚したのだ。

「ごめんなさい、クズさん!」

 涙目で謝る少女を見ながら考える。

(ほとんどの宿題が白紙。本来なら眠さん一人にやらせるべきなのだが……)

 粕人の脳裏に奇怪なメイクをした男の顔が思い浮かぶ。

(涅隊長のことだ『眠八號に徹夜をさせるつもりなのかネ!そもそもこうなったのも眠八號が宿題をちゃんとやっているか確認していなかったお前が悪い!!』と技術開発局雑用総責任者兼眠八號護衛役総責任者という保護者的な仕事も兼ねている僕に厳罰を下すだろう)

 粕人の中に眠八號に宿題をやらせるという選択肢は消えていた。

「眠さん、この宿題は僕が責任を持ってやっておきます。なので明日に備えてもう寝て下さい」

 

=====================================================

 

「さてと」

 眠八號の宿題を自室に置いた粕人は十二番隊の倉庫に来ていた。

「あの宿題を全部やるには僕一人では足りない。だからと言って親友の佛宇野(ふつうの)や他の技術開発局の人間に手伝ってもらうのは気が引ける」

 と、目の前にかけられた布に手をかける。

「だったら、自分自身に手伝ってもらえばいい!」

 そう言って布を取り払う。そこには何の変哲のない机があった。その机の最上段の引き出しを粕人は開ける。そこには何もない空間に絨毯のような青い板、その青い板の上に様々な機械が取り付けられた謎の物体があった。

「まさか再びこの時空移動装置を使うことになるとはな(第八話 時空移動装置参照)」

 机の引き出しに飛び込むと粕人は時空移動装置を操作する。

「よし、まずは二時間後の僕を連れてこよう!」

 そう言うと粕人は時空移動装置で二時間後へとワープ。寝ようとしていた二時間後の自分を無理やり起こすとその後四時間後、六時間後、八時間後の自分をたたき起こして現在の自分の時間へと連行した。

(ん?)

 この時粕人は不思議に思った。どの時間の自分も痛々しい姿をしていることに。しかし宿題を終わらせないという焦りから、粕人はその疑問を払しょくする。

「じゃあ始めよう!」

 自室に戻った粕人の号令と共に粕人達は手分けして宿題を片づける。そして一時間半後

「出来たぁ!」

 全ての宿題が終わり、粕人は喜びを表すかのように満面の笑みで両手を広げた。

「あ、それじゃあ未来の僕。もう帰っていいよ」

 

 ギロッ!

 

 その一言に未来の粕人達は一斉に粕人を睨みつける。

「「「「過去の僕よ。君は未来の僕(ぼくたち)を呼び出して、悪いと思っていないの?」」」」

「え、いや……ごめん。悪いと思っているよ。反省している」

 ペコリと頭を下げる粕人。しかし未来の粕人達は睨み付けたまま。

「「「「本当に反省しているの?」」」」

「本当に反省しているよ」

「「「「だったらそれを証明してもらおうか!!」」」」

「ちょ、ちょっと待てぇぇぇっっっ!!」

 粕人の前に現れた物、それはアツアツに熱せられた巨大な鉄板だった。

「「「「本当に『反省している』という気持ちで胸がいっぱいなら……どんな場所であれ土下座が出来るはず!……例えそれが肉焦がし……骨を焼く……鉄板の上でも……!!」」」」

(あんな赤くなるまで熱せられた鉄板の上で土下座したら死ぬわぁ!!)

「……ッ!!」

 堪らず逃走を開始する粕人。

「「「「過去の行動を知っている僕から、逃げられるわけがないだろうが!!」」」」

 しかし粕人の行動を知っている未来の粕人達はすぐさま確保。

「熱ッ!熱い熱い熱いッ!!死ぬ死ぬ死ぬウウウウウウゥゥゥゥゥゥッッッッッッ!!!!」

 抵抗する粕人だったが同程度の力を持つ自分四人から逃れるはずがなく、無理やり熱気を放つ鉄板の上に座らされ、額がつくほどの土下座を強要されるのだった。

 

 =================================================================

 

「う、うぅ……ひどい目にあった……でも、これでやっと寝れる…………」

 未来の自分に帰ってもらった粕人は自力で火傷の治療をすると床に就こうとする。その時だった。

「やあ、未来の僕。今から眠さんの宿題を手伝ってほしいんだ」

 現れたのは二時間前の葛原粕人(自分)だった。

「い、いやだ!僕はこれから寝るんだ!」

 至る所に大やけどを負った粕人は全力で拒否する。しかし負傷した今の粕人(自分)では負傷前の粕人(自分)に敵うはずがなく、粕人は過去の自分に連行されていった。

 その後二時間ごとに過去の自分に起こされた粕人は呼び出した過去の自分に大やけどを負わせ元の時間に帰る。それを四回繰り返した頃にはもうすでに朝になっていた。

 その後粕人はマユリに『すみません、眠さんの宿題を手伝っていたら大やけどを負いまして……あと徹夜で……今日は休ませてくれませんか?』と連絡したが

『眠八號の宿題を手伝って大やけどを負う訳がないだろう。バカなことを言っていないでとっと仕事をしろ!』

 と怒鳴られ仕事場に出る事になった。

 

 

 

 火傷が治るまでの間、技術開発局には小柄のミイラ男が出没することになったのは言うまでもない。

 




今回の話はドラえもんにあった話を元に作りました。わかっていたかたもいたと思いますが汗。

夏休みの宿題は前もって計画を立ててやりましょう。(人のこと言えなかったですが)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。