天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


新章第二十一話 葛原粕人は部屋を掃除するようです

 十二番隊応接室。

「……(くろつち)隊長。何ですかこれは」

 上司である阿近(あこん)に呼び出された葛原(くずはら)粕人(かすと)は壁や床、天井が穴だらけ、瓦礫と化した調度品を見ながら尋ねた。

「……どうしたらこんなに散らかせるんですか?」

「それはだな……」

 角が生えたような強面の男は申し訳なさそうに説明を始めた。

 

 

 

 昨日。

『涅隊長。いるかい?』

 マユリの部屋に意外な人物が来訪した。

『おや、これはこれは京楽(きょうらく)総隊長殿。このような詰まらない所にいかなる御用時で?』

 マユリは隊長の羽織の上に女物の派手な着物を羽織り、無精髭を生やした眼帯をつけた男を(いぶか)しめながら尋ねる。

『いや、何もないよ。たまには女の子とじゃなくて男と飲みたくなっただけさ。腹を割ってね』

 訝しむマユリに気分を害することなく春水(しゅんすい)は酒が入った大きな徳利(とっくり)を取り出す。

『それともアレかな?涅隊長は飲める口じゃなかったかな?』

 試すようにニヤッと笑う眼帯の男の言葉に、奇怪なメイクをした男は不気味な満面の笑みを浮かべる。

『ほう。私がお酒が飲めないとでも?面白いことを!』

 マユリは「ここでは」と言って春水を応接室に案内する。

 こうして涅マユリと京楽春水の酒盛りが始まった。

 

 

 

「その後(ねむり)さんと伊勢(いせ)七緒(ななお)副隊長のどちらが綺麗かで口論となり……やりあった、と」

「……ああぁ」

 呆れる粕人に阿近は頭を押さえながら答える。

「というわけで葛原。色々仕事が溜まっているのに悪いんだが、ここの後片付けをしてくれないか?隊長は二日酔いで寝込んでいるし他の連中も手が放せない状態だ。もちろん隙を見ては手伝うから」

「……わかりました」

 技術開発局雑用総責任者兼眠八號(ねむりはちごう)護衛役総責任者という雑用と責任押し付けられのスペシャリストは諦めの笑みを浮かべるとすぐさま仕事に取り掛かった。

「よし、まずは穴を塞ぐ。そして壊れた机などの調度品を作り、最後に部屋を綺麗に磨くぞ!」

 

 

 

 翌日の朝。

「はぁ……はぁ……元通りになったぞ……」

 目を充血させ、粕人はほぼ自分一人で掃除した部屋を改めて見る。

 穴だらけだった壁や床、天井は完全に塞がり、調度品は元の物と寸部違わない。元々綺麗に掃除されていた部屋はキランッ!と輝いていた。

「よし。今日は休みだしこれから帰って寝るぞ!」

 粕人は掃除道具を元の場所に戻すと自分の部屋がある隊舎へと歩いていった。

 

 

 

 粕人が応接室を去る数分前。

『よお、涅。いるか?』

『何の用だネ?』

 自身が(ケダモノ)(さげず)む眼帯の男、更木(ざらき)剣八(けんぱち)の来訪にマユリは冷たい視線を送る。

『なあに。いい酒が入ったからからよ。たまには変わった奴と飲みたいと思っただけだ』

『ふん、私はお前と違って忙しいんだ。とっとと出て行ってくれないかネ』

『ほおぉ、涅。お前、酒が飲めないのか?』

『……何だって?』

 挑発するように言う十一番隊隊長に、十二番隊長が反応する。

『いやいや。それなら悪かったな。飲めない奴に酒をすすめるなんてどうかしてたぜ。許してくれ』

 ニヤニヤと馬鹿にした笑みを浮かべる男に、マユリは満面の笑み(・・・・・)を浮かべる。

『気が変わった。せっかく十一番隊隊長がいい酒を持ってきてくれたのに誘いを断るなど……じゃあここでは何だから……』

 そう言ってマユリは掃除を終えたばかりの応接室に剣八を案内した。

 

 

 

「さて、布団も敷いたことだし……思い切り寝るぞ!」

 自室に戻った粕人が布団に倒れこもうとした時だった。

 

 ドゴーーーンッ!!

 ホギャアァッ!!ホギャアァッ!!

 ギャハハハハハハッッッ!!

 

 粕人の耳に巨大な赤ん坊のようなものが建物を破壊しその赤ん坊に嬉々とした笑みを浮かべながら刀を振るう男の笑い声が聞こえた。

「……………………」

 この日、粕人は再び呼び出され更に悪化した応接室の片付けをするはめになった。




書いておいてあれですが、粕人って滅茶苦茶不幸な男ですね汗

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