天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


新章第十六話 葛原粕人はマユリに生死をかけた勝負をさせられるようです。

 技術開発局某所

「クズ、一つゲームをしよう。ここに二つの錠剤と水が入ったコップが二つある」

 そう言って葛原(くずはら)粕人(かすと)の上司、(くろつち)マユリは机の上に錠剤とコップを粕人に確認させる。

「これらの中には毒が入っている。これを私とお前が同時に飲む。どうだ、ロシアンルーレットのようで面白いだろう?」

「ええ。おもしろいですね」

(面白くないですよ!あと仕事終わりに背後から突然襲い掛かって眠らせた人が言えるセリフじゃないでしょう!)

 診察台にくくりつけられた粕人はそんなことを思っていることは露にも出さず満面の笑みで答える。

 その後拘束を解かれた粕人は目の前の錠剤とコップを観察する。そしてあることを思い出す。

(そういえば聞いたことがあるぞ。なぞなぞでとある殺人鬼が無実の人々を拉致し『ここに二つの錠剤がある。片方は毒薬で片方は無害の薬だ。もし無害の錠剤だったら解放してやろう』って言って錠剤を呑ませるけど全員が死亡した。それはなぜか。錠剤はじつはどちらも無害の物でその錠剤を呑む際の水に毒が仕込まれていた。故に誰一人生きて帰る者はいなかった……)

 自身がクズと呼んでいるとそんなことを考えているとは知らないマユリは「さあ、どちらの錠剤を呑むか選べ」と促す。

「じゃあこちらを」

 粕人は近くにあった錠剤を取る。

「それじゃあ私はこっちの錠剤と水を取るとしよう」

 そう言って錠剤を掴みコップを掴もうとする。その瞬間だった。

「な、何をする!?」

 マユリが慌てふためく。なぜならばマユリが飲もうとした水を粕人が奪い取ったからだ。

 水を奪い取った粕人は錠剤を口の中へと流し込み、ドヤ顔でマユリの顔を見る。

「ふふ、隊長。知ってますよ。実は錠剤には毒が入っていなくて水に毒が仕込まれているってことは。だからこうして隊長が飲もうとした無害の水を飲めば……ウゥッ!?」

 突然粕人は喉や胸を抑えて青ざめる。呼吸は乱れ、身体は小刻みに震え、焦点が次第に合わなくなる。

「た、たいちょ……グハアアアァァァッッッ…………――――」

 口から大量の血を吐き出しながら倒れると、粕人はビクビクと身体を痙攣(けいれん)させた後、死亡した。

「だからお前はクズなのだよ、クズ」

 そんな部下を見ながらマユリはニヤリと笑う。

「私は机の上に置いてある『これらの中には毒が入っている』とは言ったが毒が(・・)入っていない(・・・・・・)ものはない(・・・・・)とは一言も言っていないぞ。まあこれらの毒は私には効果はないから飲んでも支障はなかったのだがネ」

 


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