本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。
某月某日
露天風呂。
満天の星空の下で、眠八號と苺花が湯に浸かっていた。
「それじゃあ苺花ちゃん!眠は先に上がっているね!」
「うん。私はもう少し浸かっているね」
トトトッと歩いていく親友を見ながら苺花は考える。
(葛原粕人。あの男は本当に理解できない。弱そうに見えて強く、強いと思ったら弱い。威厳もないし死神見習いの私にも丁寧な対応する。今までは他の隊員が死んだり引退したりしたから席官になったものだと思っていたけど、そんな男ならあんなことは出来ない……)
苺花の脳裏に忘れることも出来ない出来事、ベルデ・アルアッワームに襲われたことが思い出される(『新章第九話 粕人、眠八號と阿散井苺花の護衛をする後編』参照)。
(あの男は散々無礼を働いた私を見捨てるどころか自らの身体を盾にした上に知ってか知らずか私の青龍丸に血を与えてあの
葛原粕人と言う男が凄いのか凄くないのか。結局答えが見つからないまま苺花は脱衣場に戻る。
「とりあえず葛原粕人がどんな男なのかのはひとまず置いておいて。せっかく別荘に来たんだから眠ちゃんと遊ぼう!まずはトランプでしょう?それからオセロに将棋、あと……ッ!?」
そんなことを考えながら自分の衣服を入れた籠を覗いた時、苺花は我が目を疑った。入るまではあったものがなかったからだ。その後も何度も籠の中や周囲を探したが
「!まさか!!」
苺花は鬼のような顔で脱衣場の扉を開けるや否や、矢のように走り出した。
粕人がいる桔梗の間。
「う~む、こうも広いと落ち着かないなぁ」
四畳半ほどの部屋で、粕人はソワソワしながら書類を書いていた。二十席になったことで平隊士時代の一畳から一畳半に部屋は広くなったものの今いる部屋は粕人の部屋の三倍の広さ。狭いことに慣れてしまった粕人にとって四畳半は一人で使うには広すぎるといえた。
「とりあえず散歩でもしようかな」
そう考え扉に手をかけた時だった。
キキィィィィィィッ!!
顔を真っ赤にさせ息を切らしながら浴衣姿の苺花が粕人をにらみつけた。
「く、く、く、葛原粕人……貴様という男は!」
「ど、どうされたのですか苺花さん?」
「わ、わたしの……」
「私の?」
真っ赤な顔を更に真っ赤にさせ、苺花は叫んだ。
「私のお気に入りの下着、返しなさいよおっ!!」
「……苺花さんの下着?……はっ!?」
粕人は赤面し、慌てて視線を外した。急いで走ったため浴衣がずれて胸元や股間部分が少し見えていたからだ。
「見るなバカ!」
「――――ッ!?」
男の急所を殴られ、声にもならない声で股間を押さえながらうずくまる粕人。
「ちょ、ちょっと……ちょっと待って下さい……」
股間を押さえながら青ざめた顔で粕人は口を開く。
「苺花さん。ぼ、僕はずっとこの部屋に……いたんですよ。下着なんて盗めるわけが……」
「今日この別荘は女性の使用人が数人いるだけなんだ!だったら貴様以外に私の下着を盗む奴なんているわけない!!」
「い、苺花さん……」
股間の痛みが和らいだ粕人は股間から手を外し、苺花の目を見る。
「苺花さん。僕の目を見てください」
そういわれて苺花は自分を見る男の目を見る。その目は澄み渡っていた。
「この葛原粕人、苺花さんの下着は盗んでいません。もしお疑いなら」
粕人は懐から苦無を取り出すと苺花の手にそっと握らせる。
「これで僕の腹を割いてください」
「ば、バカ!出来るわけがないだろうが!!」
苺花は慌てて渡された苦無を天井に投げ捨てた。
「悪かった……じゃなくて疑って申し訳ございませんでした、葛原二十席」
とりあえず下着は替えのがありますので。
そう言って自分の部屋に帰ろうとした時だった。先ほどの天井の穴から
ツッー
一匹のクモが下りてきて苺花の鼻にくっついた。
「ギャアアアアアアアァァァァァァッッッ!!」
「い、苺花さん!?」
パニックになった苺花を落ち着かせようとする粕人。その粕人の手が偶然にも肩から胸元まではだけさせる結果となった。
粕人の目の前には白い肌とまだ膨らんでいない胸元がばっちりと目に焼きついてしまった。
「このスケベ!!!!」
苺花は天井から落ちてきた苦無を掴むと粕人の胸に突き刺した。
次の日の朝。
「あのね苺花ちゃん!昨日お風呂から上がった後カフェオレを飲んでたんだけど誤って苺花ちゃんの下着にこぼしちゃったの!だから急いで洗ってトイレに干しておいたの!そしたらすっかり乾いたよ!ってクズさんは?」
「知らないわよ、あんな変態!!」