天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


番外編 粕人、尸魂界に帰還する

「あ~、一滴でマッコクジラ100頭を殺す猛毒が死神にはどれくらいが適量か人体実験したい!」

十二番隊隊長にして技術開発局のトップに立つ男、(くろつち)マユリは身体を小刻みに震わせていた。目は大きく見開かれ、ハァハァという口からは涎が流れている。

その症状は人体に詳しくない者でもわかるものだった。

 

禁断症状。

 

殺しても生き返りかつ殺された前後の記憶が飛ぶため後腐れない男、葛原(くずはら)粕人(かすと)。この男がいないばかりマユリは死ぬことを前提にした人体実験が出来ずにいた。むろん無断で人体実験をしてもいいのだが、マユリはかつて事情を知らない隊士を爆弾にした件で四十六室に呼び出されたことがある。尸魂界の最高司法機関である四十六室に呼び出されることに関しては何とも思っていないマユリだったが、すぐに結論を出さず無意味な時間ばかり食いつぶすのだけは我慢できなかった。故に危険度が低い人体実験で我慢していたのだがそれも我慢の限界だった。

「あ~、解剖がしたい!こうなったら空気中に無味無臭の毒ガスをまこうか~、それとも川に毒薬を落とそうか~」

そんな危険なことを局内で呟くようになっていた。

阿近を始めとする技術開発局員はそんなことをするとは思っていなかったが、過去に蚊を全滅させるために瀞霊廷を破壊する爆弾を使用しようしたこともあったため油断が出来なかった。

そうなった場合真っ先に被害を受ける可能性が高いのは自分達技術開発局員なのだ。仮に自分達に被害が起きなかったとしても上司の凶行を止めなかったとして処罰される。

また技術者としての実力はなくとも技術開発局雑用総責任者兼眠八號(ネムリはちごう)護衛役総責任者という雑用に特化した男の穴はあまりにも大きかった。

実験機器の運搬や掃除、清掃、提出書類の作成、調査任務、結果報告書の作成。

その大半をやらされていた粕人がいなくなったことで技術開発局全体の仕事が円滑に進まなくなっていた。

そして技術開発局で一番の被害者を受けていたのは粕人の仕事の大半を引き継いだ粕人を敵視する男、兵間(ひょうま)義昭(よしあき)だった。雑用で実験の時間が大きく削られた上、数多くの雑用をこなしていた粕人と比べられる。眠八號に読み聞かせをすれば泣かれる。

兵間のストレスは限界まで来ていた。

技術開発局の心は一つだった。

 

葛原粕人、早く帰ってきて!

 

その願いが届いたのか朗報が飛び込んだ。本来東空座町に赴任する予定だった七番隊隊士、山崎(やまさき)信吾朗(しんごろう)が現場復帰したのだ。

葛原粕人が急ごしらえの担当者ということもあり、粕人には尸魂界に戻るように指令が下された。

 

 

 

今すぐにでも死ぬことを前提にした人体実験をしたい涅マユリ、凶行に走りかねない上司を落ち着かせたい阿近を筆頭とする局員達の心は合致し、粕人に矢継ぎ早に尸魂界に戻るように連絡をしたのは言うまでもない。

 


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