天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

あと今回の話はとある方のアドバイスを元に作成しました(言うとご迷惑をかけるかもしれませんのでお名前は差し支えます)。
この場を借りてお礼申し上げます。


第七話 妖刀殲滅丸&死守天装

技術開発局で一人の男が十二番隊隊長・(くろつち)マユリの部屋を訪れていた。

「涅隊長。お呼びとのことで参りました」

「おお。クズ、良いタイミングで来るじゃないか」

「あ、いや。俺はクズじゃ……いえ、何もありません」

男は言いかけた言葉を飲み込む。ここで「クズじゃない」と言えば怒りを買うと思ったからだ。そしてまずいタイミングで来てしまった自分の不幸を男は呪った。

「じゃあ、これを装着しろ」

そう言ってマユリは男に変哲もない刀と滅却師(クインシー)が着ていそうな白い鎧を投げ渡す。

「おとととっ!あ、あの・・・・・・涅隊長。これは?」

「言葉を発する時間があるならさっさと着ないか!このクズが!!」

「は、はい!!」

男は慌てて投げ渡された物を身につける。装着したのを確認したマユリは口を開く。

「装着しても理解できないだろうクズに、この私がわかりやすく説明してやろう。まず刀の方が妖刀殲滅丸(ようとうせんめつまる)。刀の中に特殊な装置が備えつけられていて、たとえ目を閉じていたり視線を相手から外していたり寝ていたりしても、相手の位置や動き・作戦を察知、その刀が自動的に使用者の腕や身体を動かし、握っているだけで相手との戦うことができる」

「はあ・・・・・・」

「次にその鎧が死守天装(ししゅてんそう)。無数の糸状に縒り合せた霊子によく似た物質の束を動かない箇所に接続し、その物質の力で自分の身体を操り人形のように強制的に動かす超高等技術で作られた鎧だ。この鎧を着続けている限り手足が麻痺しても骨が砕けても鎧の力が続く限り動き続けることができる代物だよ」

「ああ、つまりドラ○もんの名刀電光○と滅却師の乱装天傀(らんそうてんがい)――」

男は慌てて口を押さえるが、遅かった。何故ならば目が笑っていない笑みを浮かべながらマユリが刀を抜こうとしていたからだ。

()(むし)れ『疋殺(あしそぎ)――」

「い、いいい、いいえ!何でもありません涅隊長!!僕のような戦闘能力がカス同様の死神でも身につけるだけで戦えるという僕ら凡人には永久に思いつかない発想を思いつきかつそれを実現してしまうその発想力と実現能力!!流石は涅隊長です。これぞまさしく日本一高い富士山を越える頭脳と日本一深い日本海溝のような慈悲の心を持つ男、涅マユリ!!!」

必死に賞賛の言葉を搾り出す男に、マユリは「もう少し言葉の勉強をするんだな」と言葉に反してまんざら不満ではない顔で刀を元に戻す。

「そうだ、クズ。この書類をあの馬鹿の所に持って行ってくれ」

そう言ってマユリは妖刀殲滅丸と死守天装を装備した男に書類が入った封筒を手渡す。

「あ、あの……涅隊長。あの馬鹿って……?」

「何だって!?」

その一言にマユリは目を大きく見開く。

「あの馬鹿と言ったら十一番隊の更木(ざらき)剣八(けんぱち)に決まっているだろう!私の口からあの(ケダモノ)の名前を言わせるんじゃない!!」

「し、失礼しました!」

男は妖刀殲滅丸と死守天装を装備したまま、書類を持って逃げるようにその場を後にした。

 

 

十一番隊宿舎

(え、何でこの人たち……殺気だってんの?言葉にするなら『本当ならこの場でこいつを八つ裂きにしてやりたいが、ここで俺たちがでしゃばるわけにはいかねえ』という感じが)

そうこう考えているうちに男は十一番隊隊長更木剣八に出会い、マユリから託された書類が入った封筒を手渡す。

剣八は封筒を開けて書類に目を通す。

「あぁ、この件に関しては考えておく。じゃあ、早速殺しあおうか!」

狂喜の笑みを浮かべる十一番隊長に男は慌てふためく。

「え?あ、あの……更木隊長、なんで僕が、戦わないと?」

「とぼけんじゃねぇよ。背中に書いてあるじゃねぇか!カス同然の霊圧の癖に俺にそう言うなんて大した奴だぜ!例え無謀であってもな!!」

「せ、背中?」

男は背中に手を回す。そこには何かが貼りつけられていた。男は貼り付けられていた物を取る。そして、固まる。

 

 

『更木剣八。お前が十二番隊のカスにも劣るということをこの僕が証明してやる。一対一でな!』

 

 

背中に貼り付けられていた紙にはそう書かれてあった。

男は誰がそれをつけたか一瞬で理解した。

(あのバカ隊長!何をしてくれとんじゃあああぁぁぁっ!!)

「あ、あの。更木隊長。これには――ッ!?」

男の弁解の言葉は途切れる。自分自身の身体によって。

男が目にも留まらぬ速さで剣八に斬りつけていたからだ。剣八の頬から一筋の血の液が顎を伝って服に落ちる。

(ぎゃあああぁぁぁっ!?身体がぁ、身体が引きちぎれる!!冗談じゃなくて筋肉の繊維という繊維が今さっきブチッ!って。それも一箇所じゃなくて身体全体で!!)

「何しやがる、平隊士の分際で!」

ち、違うんです。これは何かの間違いです!

全身の激痛に耐えて男はそう言おうとする。しかし口は全く違うことを口走る。

『はぁ?戦いはもうすでに始まってるんだぜ?戦闘専門部隊の異名を持つ十一番隊は敵が不意に後ろから斬りつけても『不意をついて後ろから斬りつけるなんて卑怯だぞ!?』と言うつもりですか?』

「なんだと!?」、「てめぇ、雑魚のくせに言いたいこと言いやがって!!」、「隊長が出るまでもねぇ、俺が殺してやる!!」

「待ちな!!」

男に今にも襲い掛からんとする隊員を斬りつけられた当人が止めた。

「こいつの言うとおりだ。俺達はいつ死ぬかわからない。だったらどんな状態であっても危険に備えておかなければならねぇ」

そう言って剣八は傷口の血を指ですくってペロリと舐め取る。

「それにしても油断していたとはいえ、俺に血を流させるなんてなぁ。それも隊長格でも副隊長でも席官でもない。ただの平隊士によ」

剣八は心で怯え顔では自分を小馬鹿にしている男を楽しそうにジッと見る。

「今さっきの動き、なかなかのものだったぜ。お前なら全力を出してもよさそうだぁ!!」

そう言って戦闘狂の十一番隊長は右目の眼帯を取ると刀を抜いて男と対峙した。

『ふん、流石は十一番隊隊長。だが手加減はしねぇぜ!』

(何を言っているの僕!?手加減してほしいのはこっちだって!というより手加減とかそういうんじゃなくて見逃して!!)

男の必死の祈りは虚しく、男の身体は妖刀殲滅丸を剣八に向けて先ほどよりも速い目にも映らぬ速さで戦闘狂の獣に斬りかかった。もうすでに死へのカウントダウンを始めた身体の悲鳴を無視して。

 

 

 

一時間後。

「おぉ。そういえばクズに伝え忘れていた。妖刀殲滅丸と死守天装は戦闘が始まったら最後、相手を殺すか自分が死ぬまで戦いをやめないということを。例え四肢が吹っ飛び、頭だけになろうとも」

「おい、涅」

「ん、なんだね獣!?」

目の前に現れた剣八に嫌悪感を隠すことなく、マユリは対応する。

「届け物だ」

そう言って十一番隊隊長は何かを地面に放り投げる。

ドサッと重い音と共に投げられた物。それは真っ白に燃え尽きた男だった。頭を除く身体中の骨という骨は砕け散り、まるで軟体生物のようにグニャグニャになっている。

「もう死んでしまったから言いようがねぇけどよ、こいつにはそこそこ楽しめたからなぁ」

そう言うと剣八はマユリの前から姿を消した。

 

「う~む」

マユリは死んだ男をジッと見る。

「妖刀殲滅丸と死守天装。ここまで負荷が強すぎるとはな。まだまだ改良の余地があるみたいだネ」

 


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