ダンジョンに筋肉を求めるのは間違っているだろうか?   作:牛肉?豚肉?筋肉こそ至高!
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筋肉の可能性を信じたベル・クラネルの話。
素早い敵?筋肉をつけてそいつより速く殴る。
力強い敵?筋肉をつけてそいつより強く殴る。
筋肉の前には、あらゆる策は無力。


第1話

「ベルよ。男ならハーレムを目指せ。ハーレムは、男のロマンだ。儂は今までそう言ってきたな?」

僕が、まだ幼かったころ。祖父がいきなり改まって言ってきたのを今でも覚えている。
「う、うん。毎日ずっと言ってたよ。いきなりどうしたのおじいちゃん?」
「ああ、確かにハーレムは男のロマンじゃ。じゃが漢のロマンを儂は思い出した。」
「漢のロマン?ってなに?」
僕は、わからなかったので、そう返した。
「うむ。男なら誰もが一回は憧れる。じゃが、このロマンを追い求めると、大体の確率でハーレムは諦めなくてはいけない。これを聞いた上で、ベルにはどちらかのロマンを掴みとってもらいたい。きっとその道は、ハーレムを追い求めるとことよりも遥かに困難な道のりとなるだろう。それでも聞きたいか?」
「うん!何なの漢のロマンって?」
「わかった。漢のロマンとはな…」
















「筋肉だ。」






それから僕は、何かにとり憑かれたかのように修行をした。村でのありとあらゆる力仕事を手伝い、筋肉を鍛えるためにたくさん食べた。村の同年代の女の子からは、むさ苦しいと言われ、少し距離をとられるようになっていたが気にならなかった。
筋肉があれば、どんなに馬鹿にされたって構わない。信じれるのは自分の筋肉のみ。
そう考えて10年…


僕は今日、オラリオへと旅立つ。




「ベルよ。儂は10年前、筋肉について話したことを少し後悔しておった。あれから、女の子の視線も気にせずに一心不乱にただ自分を鍛えあげるお前の姿を見て、儂の言葉がお前の人生を狂わせてしまったと、そう思ったよ。」

「じゃが、今のお前の姿を見て当時の自分を殴ってやりたい。そうとすら思えるよ。今のお前はどこに出しても恥ずかしくない自慢の筋肉を身につけた。じゃが、筋肉の道は果てしなく長い。終わりなんてものはないのだろう。今、ベルは、筋肉の道の入り口にたったのじゃ。その事を忘れずに、オラリオで自分の筋肉を鍛えあげるのじゃ。」


「わかったよ。おじいちゃん。僕の筋肉なんてオラリオではまだまだだと思う。だけどそれでも諦めないで、鍛え続けて、世界の頂点。いいや、筋肉の頂点に立ってみせるよ!」


「頑張れぇぇぇ!ベルゥゥゥ!絶対に諦めんなよー!」「お前の筋肉なら絶対にたどり着ける!俺たちの夢を叶えてくれぇぇぇ!」
僕を見送るために集まってくれたみんなの姿が見える。僕の為にこんなに集まってくれるなんて…
「ありがとーーみんなーーー!絶対にたどり着いてみせるよーーー!」
そう言って、僕はオラリオへと旅立った。
何故か村の中の体格のいい男性しか集まってなかったことに、ベルは気づいていなかった。





オラリオにたどり着いてファミリアを探す前に、まずは腹ごしらえだ。
そう思って、たまたま見かけたじゃが丸くんの店によったところ、店員さんが神様らしく、団員を募集しているらしかったので、そのままヘスティアファミリアへと入った。
さっそく恩恵を授かって、ダンジョンの入り口であるギルドへと向かった。





「おい、見たことないぞ。あの冒険者。新人か?しかし新人のくせしてすげえ筋肉してやがる。」
「何言ってんだ。いくらすげえ筋肉しててもレベル1に成り立てなら雑魚だぜ。」

そう言った冒険者は、ちょっかいを出すべく受付へと向かってるベルの足を引っ掻けようとする。引っ掻けるというよりもほぼ蹴るような速度で。タイミングは完璧だった。その場にいた誰もが転んだと思った。
しかし、ベルは転ばなかった。鍛え上げられたその体幹の前には、全く効果がなかった。
「すいません。足が当たってしまいました。」
そう言ってベルは、何事もなかったかのように受付へと歩いていった。





ベルは、受付にて、冒険者登録をすませ、初心者向けのダンジョン説明を受けてからダンジョンへと潜っていた。成り立て冒険者は、ギルドから武器を借りられるのだが、借りなかった。


(両手剣とか両手斧、それかハンマーだったら借りたかったんだけど、無かったから仕方ないよね?軽い武器だと、素手より弱くなっちゃうし…)


そう思考していると、ゴブリンが現れた。ダンジョン一階層に出てくる初心者が最初に戦うと言われてるモンスターだ。
「キシャァァァ!」
そう言って襲いかかってきたゴブリンをベルは殴り付ける。
魔石まで砕いて、跡形も無くなったゴブリンに目もくれず、ベルは下の階層へと降りていった。
(筋肉が足りない。)




六階層
初心者が1日では潜ってこれない階層にベルはいた。
本来ならこの階層には現れない、ミノタウロスと睨みあっていた。

(いい筋肉だ。あの強靭な筋肉。ダンジョンで出会った中で一番凄い。)
先手をとったのはミノタウロス。ベルの元へと走り寄り、その強靭な腕で殴りかかった。その一撃をベルは避けない。
「ブモォ?」
殴り付けても一歩も動かないベルに何故倒れないんだというような声を出すミノタウロス。
そのままベルは、少し自分の頭よりも上にあるミノタウロスの角に手を伸ばしへし折った。

「ブモォォォォォ!!!」
自分の誇りでもある角をへし折られたことによって、ミノタウロスは怒りの声を出す。ベルをなぶり殺す弱者だという認識から、全力で打ち倒すべき敵だと判断する。

ミノタウロスは、ベルから距離をとり、四肢を地面につけて力を溜める姿勢をとる。ミノタウロスの最強の攻撃。助走をつけてその全体重をもっての体当たりだ。この攻撃を食らえば、ミノタウロスをレベル3の冒険者でも大ケガをおってしまう一撃だ。

その体勢を見て、
「力くらべというわけか。面白い。」
ベルもミノタウロスとほとんど同じ体制をとる。全力の体当たりによる、一撃での勝負だ。

辺りは静まり返っている。いや、二人の耳には、お互いの息づかいしか聞こえていない。

そうしているうちに、ザッという足跡が聞こえた。
二人はそれを合図に一気に駆け抜けた。お互いの距離が一瞬の内に縮まり…


ゴキッッッッッ!!!
という鈍い音が響き渡った。






音の発生源は、ミノタウロスの首からであった。
激しい力のぶつかり合いを制したのはベルであった。
命を失ったミノタウロスの肉体は、灰へと形を変えていった。その跡に自信の角だけを残して…

「いい筋肉だった。」
そう呟き、ミノタウロスの角を拾って、ベルはダンジョンを後にした。

その二人の戦いを目撃していたレベル5冒険者アイズ・ヴァレンシュタインは、観戦に夢中になってベルに話しかけるのを忘れていた。












ベル・クラネル
身長205㎝
体重153㎏
年齢15歳
趣味筋トレ、持久走、短距離走
特徴 白い髪に赤い瞳、普段は原作のようなしゃべり方をするが、筋肉について考え出すと、口調が変わる。正直、二メートル越えの大男が原作ベルのしゃべり方だとキモい。たぶんそれが原因で村の女の子に嫌われた。ずっと筋肉について考えてればいいのに…