月に至る2番目の歌   作:きりしら同盟
<< 前の話 次の話 >>

2 / 5
閲覧及びお気に入り登録ありがとうございます。
拙く短い文章ではありますが何卒よろしくお願いします。


第2話 革命への一歩

燃えろ、燃えてしまえ

燃え続けろ、全て、全て

彼女のいない世界は全部

たとえこの身の全てを燃やしても私は…

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「アーニャ、起きるデスよ」
「起きてアーニャ、そろそろ作戦開始」

肩を揺さぶられて、目が覚めた。

目の前には調(お姉ちゃん)切歌(お姉ちゃん)の顔がある。
いつの間に寝てしまったのか思い出せない、今日は大事な日だというのに。


「んん…分かった、お姉ちゃん」


少し寝てスッキリした身体を反らして大きく伸びをする。
小さく漏れた欠伸で少し、涙がこぼれた。


「はい、アーニャの分のリンカーデス。
 うなされてたみたいデスけど、大丈夫デスか?」


切歌が私を気遣いながら、リンカーの入った注射器を渡してくれた。

緑色の薬液が入ったそれを受け取ると、指を引っかけてくるくる回し弄ぶ。

あなたに優しいをテーマにしたこのリンカー、ウェルが言うには日本の装者の実験データを使用したから精度が向上、昔よりも当社比負担が軽くなっているらしい。
当社比って何だろう。


「んー、よく分かんない夢だった…と思う。多分大丈夫、ありがとう切歌。」


「無理はしないようにするデスよ?
 アーニャは病み上がりなんデスから」


「うん、切歌のためにも私頑張るよ」


「デデデ…伝わってないデス…」
「アーニャが空回りしないように見ておかないと…」


心配してくれた切歌に感謝の気持ちを込めてガッツポーズ。

二人とも何故そんなに微妙な表情をするのか。

そんな目で見られると恥ずかしくなってしまう。


「んん、それで調、私は何をすればいいんだっけ」


「私と切ちゃんが前に出てマリアの援護、アーニャはエスクラピウスで私たちの支援の手筈。
 歌は一番負担の大きいマリアに合わせて。
 それとこれはマムからの預かりもの、外しちゃだめだよ?」


ちょっと照れくさくなって向き直ると、調は少し考えてからそう言った。
そして調からブレスレットを受け取って腕に付ける。

どうやら私は切り札のようで、敵の眼前に出てはいけないらしい。


「うん、分かった。私頑張るね」

気合は大事、日本にはコトダマとかいうものがあるらしい。
言葉にすれば一層やる気が出るものですよと、ナスターシャが教えてくれた。

調と話が終わると、時間を確認していた切歌が急かす様に声を上げる。


「二人とも準備はいいデスか?
 それじゃあ…出撃デス!」


切歌の号令で、私たちは革命の一歩を踏みしめる。

マリアの言っていた最後のステージ、終わりの名(フィーネ)を背負った宣戦布告。

私はアン。アン・セルゲイヴナ・トルスタヤ。

たとえこの道が過ちだとしても、私の往く道に奇跡があると願って。


Zeios igalima raizen tron(夜を引き裂く曙光のごとく)


Various shul shagana tron(純真は突き立つ牙となり)


Lie feel asclepius zizzl(繰り返す痛みで空を掴む)

さぁ、ステージの幕を開けよう。