サイヤ人伝説   作:spirits77

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鼓舞

「データにない力だ」

 

「当たり前だ、俺はカカロット達とは違って地球で修行はしていない。全てのことは他の星で済ませたからな」

 

圧倒的な勝負をしいていた。

 

「さぁ、どうする。人形さんよ」

 

と、黙って見ていた20号が横から飛び出す。

 

「やむを得ん…私も戦う」

 

「2vs1にさせたって事は、やっと分かったか」

 

ターレスは更に気を引き上げる。余裕の表情から見るにまだまだ上限は先であろう。

 

「はぁっ!」

 

ターレスは20号に向けて気弾を放った。

20号はチャンスと言わんばかりに笑みを浮かべながら腕を前に出した。

 

「選べ人形、その程度の気力を取るか自分の右腕を取るか」

 

ターレスの声が真上からした。

気の検知が間に合っていない。

そしてデータによる処理が終わった時には既に20号の右腕は二の腕から下が切断され、今まさにターレスによって破壊された。

 

「無様なもんだ」

 

「ば、馬鹿な…超サイヤ人でもないのに…」

 

「超サイヤ人になれば戦闘力は通常時の何十倍にもなるんだろう。だが、超サイヤ人にならずとも何十倍の強さまでなる事は可能だろう?」

 

と、戦闘服の中から神精樹の実の欠片を取り出すターレス。

 

「これが神精樹の実だ。この程度でも相当のパワーアップが出来る。これを俺は大量に食べてきた」

 

と、ターレスはそれを投げて口に入れようとしたが、顎に当たりちょうど19号とターレスの中間地点に落ちる。

拾いに行こうとするターレス、一方今の話を聞きデータに書き入れた19号は前方のターレスに向かってかなりの量の気を集中させたエネルギー波を撃ち込みながら、その落ちた神精樹の実の欠片を拾って食べる。

 

「!!何をしている19号!それは罠だ!」

 

20号が声を荒げる。

目の前で巻き起こっている爆煙の中からターレスが笑みを浮かべて歩いてきた。

そして欠片を食べたのに全く体に変化がない事にも気づく。

 

「ふん、お前達の体はガラクタでできているんだろう?この実は無機物には効果がないのさ」

 

「!!」

 

目の前にいたターレスが自分の懐に入っていた。

刹那。腹をターレスの腕が貫く。

 

「んんー!?」

 

「そうか、ガラクタでも痛みは感じるのか」

 

そう言って後ずさる19号をねじ伏せ、頭を足で踏みつける。

そして徐に視線を20号に向ける。

同時に20号の頭には"敵わない"の文字が浮かぶ。

 

「くっ…撤退する…」

 

そう言って地面に気弾を放ち砂けむりに紛れて走り去る20号。

ターレスはニヤリと笑うと必死に自分からエネルギーを吸い取ろうと腕を伸ばす19号の姿が見えた。

 

「神精樹の実の欠片とは言え、お前にやったんだ。今度はお前から何かくれよ」

 

「!?」

 

その冷たい声を聞いた瞬間19号は吸収するのをやめ、逃げ出すことに専念しようとした。

しかし踏みつけられている頭が全く動かない。

そして高圧のエネルギーを感じ取った直後、19号のデータは身に纏っていた体ごと吹き飛んだ。

 

「しっかりと頂いたぜ、勝利をなぁ」

 

そう言って悟空とラディッツをそのままに、上空へ浮かび上がる。

そして"わざと"逃した20号を追う。

気を感じ取る事は出来ないが、そんな事も関係がない。

既に20号にはターレスが極々微量な気が付着している。

20号は逃げる事に必死で気づいていない。

 

 

 

南の都。

 

「くっ…俺の戦った時よりかなり強い…!」

 

トランクスは未来の人造人間よりも強い同じ相手に困惑していた。

自分はあの惨劇の後、目立たないのでちゃんとした修行する事もできず、ブルマの作ったタイムマシンに乗って助けを求めた。

勿論、未来の人造人間にも勝ててはいないが、もし1vs1が叶うなら。もしかしたら勝てるかもしれない。

しかしこちらの人造人間は1vs1でも勝ち目が見えない。

 

「くそっ!!」

 

闇雲に払った剣を18号は受け止めて少し力を込める。

するとバキバキと剣が割れて行く。

慌てて剣を引こうとするが力に抗えず、逆に引きつけられて腹に蹴りを食らう。

 

「がはっ!」

 

ズザザザザザと地面を削りながら後退する。

腹に手をやり、前を見ると18号が剣を投げつけてきた。

避けようとするも右腕が切れる感覚がする。

右腕を見ると少しだけ切れて血が出てきていた。

 

「もう終わり?」

 

向こうでは18号が挑戦的な笑みを浮かべている。

トランクスは改めて自分の無力さに怒りを感じる。

 

ふと目を横にやれば同じような状況のベジータとナッパ。

 

また同じ未来を繰り返すのか…

防ぐために助けるために来たのに…役立たずになるのか…

 

「終わりみたいね」

 

18号がこちらを向かってくる。

 

トランクスは膝をつき地面を殴る。

 

横から父さんの声が聞こえた。

 

「貴様もサイヤ人なのだろう!!ならば膝をつくな!」

 

「父さん…!!」

 

「何?」

 

しまった。

本当に未来の父と重なった為に無意識に声に出てしまった。

ベジータを混乱させたと思ったがベジータは冷静な表情だった。

 

「ならば尚更だ、俺の息子なら立て。負ける事は許さん」

 

そう言ってベジータは気を振り絞って超サイヤ人になる。

ナッパも起き上がって同じく気を振り絞った。

 

「父さん……はい!!」

 

目の前に18号が迫る。

 

「ばぁい」

 

腹を貫こうとする拳を受け止めるトランクス。

 

「!?」

 

「俺は…もう二度と…お前達には負けない!!俺には父さんの…誇り高きサイヤ人の血が流れているんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

トランクスの筋肉が膨張する。

それだけでパワーアップしたのが分かる。

トランクスは今度は自分が18号の手を引くと、顔面めがけて超パワーをぶつけた。

 

「ぐっ!」

 

初めて18号が後ろへと吹き飛ばされた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

トランクスは構えを取る。

ベジータはその構えを見て確信する。

そして自分も同じ構えを取る。

 

 

「「ギャリック砲!!!!」」

 

 

 




トランクスは超サイヤ人第二段階へ。
悟空とラディッツは気絶中。
ターレスはゲロの行き着いた先を見つけたようであった。

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