サイヤ人伝説   作:spirits77

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2人目の超戦士

「息子を殺されて悔しいか?」

 

クウラが嘲笑う。

悟空は少しずつクウラに近づいていく。

 

「はぁっ!」

 

クウラが試しにと気弾を一発放つも悟空はそれを避ける。

そのスピードを見てクウラは少したじろぐ。

 

「おめぇをぶっ倒す…!!!」

 

徐々に悟空の周りに気が集中していく、

 

「む…」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

あまりの眩しさに腕で目を隠し光を防ぐクウラ。

その隙を見逃さなかった悟空はその新たな黄金の力を存分に振るった。

 

「ごはっ!?」

 

いくら目を瞑っていたとは言え、悟空の接近に気付かないなどあり得ない。

何故だと思考を巡らせる暇もなく、無理矢理に目を開く。

 

「はぁっ!」

 

眼前に悟空の脚が迫っていた。

慌てて体を逸らして回避するもほぼ同時に背中に強烈な膝蹴り。

海老反りのまま宙に開く形になったクウラは今度は悟空の両手を組み振り下ろす攻撃によって地面へと叩き落される。

 

やっと攻撃が止んだ。

クウラは猛攻の後初めて口を開く。

 

「貴様…何が起きた…!」

 

「さぁな、俺にも分かんねぇ。けど、今の俺には情はねぇぞ」

 

 

少し離れた場所でネイルとピッコロが悟飯を保護した。

気を分け与える事で悟飯も少しずつ回復していた。

 

 

「くっ…」

 

明らかに劣勢になることを悟るクウラ。

上空へ飛ぶと、両手を空に掲げ大きなエネルギー玉を作り出した。

 

「これならどうだ!!」

 

「なら……っ!」

 

更に黄金の気を高める。

 

「か…め…」

 

「吹っ飛べ!!!」

 

クウラが悟空目掛けて大きなエネルギー玉を投げつける。

 

「は…め………波ぁぁぁぁぁぁ!」

 

悟空の放ったかめはめ波はクウラのエネルギー玉とぶつかり合う。

2つはせめぎ合うかと思ったが、勝負はすぐに着いた。

 

徐々にクウラのエネルギー玉が押されていく。

 

「ば…馬鹿な!」

 

「これで終わりだぁぁぁぁぁ!」

 

かめはめ波の威力を更にあげる。

するとクウラの寸前まで迫っていたエネルギー玉を突き抜けクウラを飲み込む。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

生身で押さえ込もうとするも不可能。

ぐんぐん押されて大気圏を超え、そのまま威力の落ちないかめはめ波に押され太陽にぶつかる。

 

「くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

太陽の熱とかめはめ波により骨の一片に残るまで燃やされ灰さえも消え去った。

 

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

息を整える悟空。

黄金の輝きも静かに消え去った。

 

そしてピッコロ達の元へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

後日。

 

地球へと帰還したベジータとターレス。

悟空がベジータと同じく伝説の超サイヤ人になった事を知る。

ベジータは悟空の潜在能力を見込んで2人で修行をする事に。

ブルマに重力室というものを作ってもらい、故郷の星の10倍以上の環境で修行を始めた。

ターレスはヒトや動物の居ない朽ちた星に神精樹の実を植え付けに行くため再びポッドで旅立った。

そして悟飯達はドラゴンボールを集めラディッツとナッパを復活。

2人は界王星での修行により相当なパワーアップを遂げていた。

2人ともブルマの所でお世話になり、仕事の手伝いをしている。

悟空やベジータが使っていない時に重力室も度々利用しているようだ。

悟飯は悟空やピッコロ、ネイルに修行を付けてもらいながら少しずつ強くなって行った。

 

 

 

そんなある日。

 

悟空が妙な気を感じ取る。

同じく修行中であった悟飯、ピッコロ、ネイルと共にその地へ向かうと、そこには一機の謎の装置が置いてあった。

 

「な、なんだこりゃ」

 

「さぁな俺にも分からん」

 

知恵のあるピッコロですらこれが何かは分からないようだ。

車にしては車輪がないし、移動手段として利用しているのだろうか。

 

すると背後から殺気を感じ振り返る悟空。

同時に謎の男が剣を振りかざしてきた。

 

「ふっ!」

 

 

 

「………突然失礼しました」

 

黄金の気をまとう悟空に対して頭を下げる男は、青い髪で青年と言った年であった。

 

「おめぇ何者だ?」

 

「僕はトランクス、貴方達とは違う世界から来た者です」

 

「違う世界?」

 

悟飯達も不審がっている。

 

「貴方達が気になっているこの装置はタイムマシン。僕はこれに乗って未来からやって来たんです」

 

「み、未来から…」

 

「信じられんな」

 

「それもそうですね…ではこれを。きっとあなた方が見知った方でしょうから」

 

トランクスは1枚の写真を見せてきた。

そこにはこちらの世界とは少し髪型は違えどどこからどうみてもブルマとトランクスが写っていた。

 

「ブルマ!?」

 

悟空が素っ頓狂な声を上げる。

 

「はい、僕はブルマ…いえ、母さんの息子です」

 

「ブ、ブルマの息子!?」

 

「うーん…似てなくはない気もするけんど…」

 

「ブルマが母親というなら父親は誰だ」

 

ピッコロが質問する。

 

「父さんは…内緒にして欲しいのですが…ベジータです」

 

「いぃ!!??」

 

これには全員が驚いていた。

確かにベジータはカプセルコーポレーションで暮らしているが、まさかブルマと結婚するとはと。

 

「母さんが父さんが寂しそうだから、と」

 

「そ、そうなんか…」

 

「はい、それでこれから話す事は更に信じられないかもしれません。ですがとても大事な事なのです」

 

驚きを処理できていない悟空達を置いて話を進めようとするトランクス。矢継ぎ早に言葉をつなげた。

 

「僕は未来から来た人間です、本来は居ては行けない人間。なのであまり長くこの世界には居れ無いのです。それだけで歴史がズレてしまいますから…なので、正確なことは分かりませんが教えます。今から約3年後人造人間という恐ろしい怪物が現れます。僕の未来は2人の人造人間に壊されてしまいました…」

 

「ふむ…取り敢えずお前が未来から来たことを信じて話を進めるが、お前の未来に悟空達は居なかったのか?」

 

「居ました。居ましたけど全員やられてしまいました。悟空さんは心臓病で…」

 

「お、オラ死ぬんか?」

 

「大丈夫です!これを飲んで下さい。心臓病の特効薬です、痛みがなくても必ず飲んで下さい」

 

悟空にカプセルを渡す。

 

「わ、分かった…そうか…オラもベジータもラディッツ達も死んじまったんか…」

 

「え?ラディッツですか?」

 

「あ、ああ。もしかして生きてるんか!?」

 

「い、いえ!僕の生まれた時にはもう彼は死んでいました。父さんから聞いた話では、悟空さんとピッコロさんが協力して倒したと」

 

「オラ達の世界じゃ生きてるぞ!確かに戦ったけんど、今は仲間だ!」

 

「そ、そうなんですか!?僕達の歴史とはかなり違うみたいですね…」

 

そう言いながらトランクスはタイムマシンの方へと向かう。

 

「それでは僕はこれで。また人造人間が現れる時にこちらに来ます」

 

「あ、ああ。サンキューな!」

 

「いえ!」

 

そうしてタイムマシンは空へと消えていった。

 

 

「本当に未来から来たようだな…」

 

「あ、ああ。びっくりだ」

 

「取り敢えず、トランクスについては伏せておいて、人造人間とやらの話は全員にしておこう」

 

「そうだな」

 

 

 

そして3年が経った。


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