インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~ 作:鉄血のブリュンヒルデ
「え?中学校?」
ステラが織斑家の一員となって初めての晩御飯。その最中にステラが疑問の声をあげた。
「そうだ。生年月日的には一夏と同い年だから中学一年の途中からの転入という形になるな」
ステラから「いずれはIS学園に入りたい」という話を聞いて、千冬は少しでも義務教育を通過させてからの方がいいと思い今の話に至った。
「そうだね。試験を受けるのも中学生の方がスムーズに手続き出来るしね」
「でも、私学費払える程のお金持ってない…」
「何を言う。私が払うに決まってるだろ」
千冬の言葉に一瞬ぽかんとした後に、急に驚き慌てながら話し始めた。
「えぇ?!いや、いいですよ!そこまでお世話になるわけには」
「保護者が子供の面倒を見るのは当然だろ?それにお前は既に私の家族だ。遠慮も敬語もいらない」
「いや、でも」
「お前を中学に入れる、学費は私が払う。これは既に決定事項だ。いいな?」
「は、はい!」
少し怖い感じの声で言われステラがびくびくしながら返事をすると、千冬はそれが可笑しかったのか不意に「フフッ」と笑った。
「それにしても、一夏の料理は美味しいね。一体どこで覚えたの?」
「いや、千冬姉が家事出来ないから自然と俺がやるようになったんだよ」
「一夏」
「ん?」
「後ろ」
「後ろ?…………あっ」
ゴゴゴゴゴゴッ
「一夏、覚悟は出来たな?」
「ごめん千冬姉がいるの忘れてつい本音を「ほう?」あ、今のは違う!あーそのー。仕方ない……命、燃やすぜ!」
ギャァァァァァァ!
その日、一夏の断末魔が住宅街に響いたが周辺の住民は「あぁ、またやってるよ」と思い全く気にしなかったと言う。
「ま、まぁ他にも家に母さんのレシピ本があったからなんだけどな」
「一夏の両親って今どこにいるの?千冬さんが保護者って言ってたけど」
「さぁ?千冬姉知ってる?」
「知るか。今頃どこかの研究所でこき使われているんじゃないか?」
「研究所って事は、科学者とかなの?」
「父親は天才生物学者、母親は基本無所属のIS開発のエキスパート、そして姉は
「あははっ……」
一夏の言葉に千冬はため息混じりに答えた。
「好きでこうなった訳ではない。それに私に無いものはお前が持ってるだろ」
「え?家事の事か?」
ゴゴゴゴゴゴッ
「あーもうごめんってば!」
「はぁ…とにかく、死んではいない事は確かだ。死んだら何かしら連絡があるだろ」
ピンポーンッ
会話が一段落すると、インターホンのチャイムが突然鳴った。
「あ、俺出てきます」
そう言うと一夏は手に持っていた食器と箸を丁寧に置き、リビングを出て玄関へと向かった。
「どちら様で…ホントに誰?」
一夏が扉を開けると、そこにはクロエが荷物を持って立っていた。
「初めまして、クロエ・クロニクルと申します。ステラ様の忘れ物を届けに来ました」
「という事は、束さんの所の人ですか?」
「はい。束様も此方にいますか?」
「居ますよ。あ、今ご飯食べてるので一緒にどうですか?」
「よろしいのですか?なら頂きます。束様に伝える事がありますので」
「はい、どうぞ」
一夏がクロエを連れてリビングに入ると、千冬が不信そうな目をして、束達は驚いた顔をした。
「一夏、誰だソイツは」
「あぁ、束さんのラボの人だって。ステラの忘れ物を届けに来たらしい」
「スーちゃん、忘れ物した?」
「え?いやー、そんなはず無いんだけどなぁ」
そう言いながらステラは荷物の中を探りだした。そしてバッグの中にあるはずの物が無かった。
「あ、ISスーツ無い」
「ステラ様、せっかく作ったんですから忘れないでください」
「待て。ISスーツを持っているという事は、ステラは既にISを所持しているのか?」
「うん、そうだよ?」
「馬鹿者」
「いだっ?!」
束が当たり前の様に答えると、千冬の拳が真上から束の頭に落とされた。そして千冬の顔には多少怒りが見えた。
「子供にISを持たせる馬鹿があるか!代表候補生ならまだしも、ステラはまだ12歳だぞ!『あの日』と同じ過ちを繰り返すつもりか!」
「ちょっ、千冬姉落ち着けって!」
「千冬さん!私は大丈夫ですから落ち着いて!」
「………わかった。だが、後できっちり話を聞かせて貰うぞ」
「は、はいぃ!」
「あっ、そう言えばクロエさん束さんに伝える事があるって言ってましたよね?」
場の雰囲気を変える為に一先ず話題を変えようと先程玄関での会話を思い出した。
「はい。束様、『
「え?!本当ですかクロエさん!」
「流石クーちゃん!手際が良いね!」
『白兎』それは束の持つISコアを自身の身の安全を考えて、戦闘も行える様に改造したものだ。ちなみにギンギラの調整中と同時進行で制作されていたので、初期の計画より遥かなオーバースペックになっている。
「それで、ステラのISってどんなのなんですか?」
「これだよ」
そう言うとステラは、首から下げていたゴーグルを手で持ち上げた。
「待機状態だけどね」
「あ、そうだ!ねぇちーちゃん!ちょっとスーちゃんと戦ってみない?」
「は?」
「え!?」
「いや、束さん?」
「はぁ…束様、流石にそれは」
束の突然の提案に四人それぞれの反応を示したが、そんなのお構い無しと、束は話を続けた。
「大丈夫だよ、スーちゃんそんなに弱くないから」
「いや!いくらギンギラのサポートっていうハンデがあっても相手は
「大丈夫だって!なんなら私がサポートに入るから!」
「そういう問題では無い、馬鹿者」
ゴンッ
「フギャッ!い"だぁぁぁ!あ"だま"がぁぁぁぁ!」
今日ここに来てから何度目か分からないこのノリに、一同がため息混じりに苦笑していると、束は頭を押さえて目に涙を浮かべながら話を再開した。
「もう!ギンギラちゃんからもなんとか言ってよ!」
『束さん、今のは致し方ないかと』
「え?今どこから声が?」
「ここだよ」
ステラはもう一度首から下げていたゴーグルを手で持ち上げた。それに、千冬も一夏も目を丸くした。
「ステラ、それはISの待機状態と言っていたな。そして会話する機能がある。まさか束が作ったのか?」
「いやいやちーちゃん、いくら天才束さんでもISのコアと人工知能の併用はまだ出来ないよ」
「そうか……っ?!まさか『アイツ』か?」
「千冬姉、アイツって?」
「あ、ねぇ!ちーちゃん!結局どうするのかな?!」
一夏が千冬の言葉に疑問を抱き質問をすると、束が明らかに不自然な誤魔化し方をして話題を逸らした。千冬はあからさまに怪訝そうな顔をしたが、一先ずは束の話に付き合う事にした。
「そもそも、私のISはここには無い。それに使える状態でもない」
「それなら問題ないよ。私が作った擬似ISコアで一時的に本物の体を拡張領域に保存して、エネルギーの体を形成するシステムを使えばほぼ生身と変わらない動きやすさでISと同じ位のスペックが出せる、ちーちゃん専用のこれを作ったから!まぁ、完全じゃないからISには劣るけどね」
そう言って束はポケットからグリップの様な物を取り出した。
「なんだ、そのワールド◯リガーみたいな設定と見た目は」
「フフッ、それもその通り。それが元だからねぇ!ちなみに名前は弧月だよ!」
「はぁ…それは良いが、場所はどうするんだ」
「それなら問題ないよ!近くに私の作った人工島があってステルスもバッチリだから!」
「はぁ…気軽に人工島を作るな」
千冬の呆れた様な顔をすると、何故か束は照れながら「エヘヘッ」と笑った。そして千冬は心で、褒めてない。そう呟いた。
「仕方ない、付き合ってやる」
「ほ、本当ですか?!ありがとうございます!」
「じゃあ行こうか!」
「えっと…俺は?」
「ご覧になりたいのならどうぞ。人工島にはどんな攻撃も阻むバリアの張ってある場所がありますので、安全は保証しますよ?」
「あ、はい」
かくして五人は、人工島へと束の移動用ミニロケットで向かった。
「あ、あの!束さん!一つ聞いて良いですか?!」
「ん?いいよ?」
「何でこんな小さいロケットに全員積めるんですか!」
二人乗りのロケットに乗って
今回オリジナルの機体と完全な別作品の物を出しましたが、説明はキャラ設定の公開と同時に行います!
章の名前で転入なのにまだ転入出来てない。非常にまずい!
それと更新速度の遅さに悩んでいます。
誰か解決法教えて下さい…