インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~ 作:鉄血のブリュンヒルデ
それと短いです。
あの島での戦闘が終わり三時間が経った頃、束達は束のラボで食事をとっていた。
「それで?あの生物はなんだったの?」
スコールが口に含んだ物を飲み込んでから突然話を切り出した。ステラは慌ててその質問に答えようとしたが。
「んぐっ?!んんーー!ゴホッ!ゴホッ!」
「あーあー、何やってんだよ」
当然こうなる。
「あ、あの生物は
この星には本来存在しない生物なんです」
「ちょっ!スーちゃん?!」
「その言い方じゃ、貴方はこの星の人間じゃないみたいね」
突然ステラが自分の身の上を語り出し、束とスコールはそれぞれで驚きの反応を示した。しかし、ステラはそれでも話を続けた。
「はい。私は、この星の人間じゃありません。私はこの星から離れたEDN-3rdという星から来ました」
「へぇ、面白いじゃない。聞こうかしら?」
「私は、いや……私達はEDN-3rdで起きた反乱に巻き込まれてここに逃げてきました。私達の星は昔、その星の運命を決める程の戦いが起こりました。それから15年経った程の時にそれは起こりました……」
『マスター、ここからは私が』
「うん、ごめん…」
話が進むに連れて顔が辛そうになっていくステラを見かねて、無人モードで展開されたギンギラが静止した。
『反乱の原因は、
それには、マスターの属するアカデミーという入植者育成を目標とする学校の訓練生も参加を命じられました』
「何だよそれ…ふざけてんのか!ソイツらの勝手な都合で、こんな子供に戦わせたってのか?とことん腐ってやがる…!」
「そうね。例えどんな理由があろうとも、子供に戦いを強制させる理由にはならないわ」
オータムは怒りを露にし、スコールは表には出さずとも心の底ではふつふつと煮えたぎる感情を抑えていた。
『戦線は数の力もあり、徐々にNEVECが優勢となっていました。しかし、突如起こった先住民族の一部の裏切りと、反乱軍の謎の戦力増強により戦闘は膠着状態になりました。そして、突如EDN-3rdに出現した謎の巨大
「待って!スーちゃんのお父さんは?元々の乗り手はスーちゃんのお父さんなんでしょ?」
『はい。私は元々マスターの父、ブレン・ターナーの専用機体でした。ですがその時ブレンは別の任務、謎の
「そっか、それでその
「消えたんです」
「え?」
今まで黙っていたステラが急に口を開き驚いた束だったが、今の言葉を聞き違う驚きを示した。そして、ステラの言葉を聞くために自分の疑問を押し込んだ。
「私達が宇宙空間でVSと戦っている時に通信が入って、その時突然敵の力が跳ね上がって、私達は大きなダメージを負って」
「ここに着いた、という訳ね」
「はい」
「……でも、変なんだよね」
「え?」
ステラの話が終わった時に、束は今まで気になっていた一つの謎を打ち明けた。
「少なくとも太陽系に生物の住める星は地球だけだし、太陽系の外から来たとなると数年かけなきゃここには来れない。スーちゃんが年を重ねていないのを見るにせいぜい数日の間で地球に来たって事がわかる。ねぇ、ギンギラちゃん。これもEDN-3rdの技術なの?」
『……15年前の戦いの時には惑星間航行を可能にする『メビウスシステム』が存在しました。ですが、15年前の戦いの際に余剰エネルギーで崩壊しました』
「余剰エネルギーで崩壊って……どんな戦いしたんだよ」
「その後、数年経ってから再建が始まりましたが、私達の戦闘の時にはまだでした。それにメビウスシステムの反対側に位置する場所でしたし」
それぞれが考察を始めて数秒、突然オータムが「あー!」と言いながら頭をかいた。
「とりあえずこの話は終わりだ!とにかくステラの戸籍を作って織斑千冬の家に預ける段取り考えようぜ!」
オータムの言葉に、わからない事をいつまで考えても仕方ないと思い全員が賛同した。
「それもそうね。やり方はクロエの時と同じで良いとして、問題は織斑千冬の方ね」
「そっちは私でやるよ。私が行くってちーちゃんに言っちゃったし」
「全く…少しは全世界で指名手配中っていう自覚はないの?」
「全く無い!」
笑顔で否定され肩を落としたスコールは「仕方ない」と、次の話題を持ちかけた。
「私とオータムの使った武器、あれは何だったのかしら?」
「あれはEDN-3rdで開発された、対
例えばオータムさんが使ったホライゾンミサイルは炎の属性で、スコールさんが使ったプラズマガンは雷の属性を持っています。
生息する地域によって属性が変わるので、特に特徴の無い所だとあの島にいたセパイアみたいに属性を持たない個体もいます」
「そう。
首からかけていたナプキンを無造作に置いて立ち上がりクロエに「美味しかったわ」と告げて出口に歩いて行き、オータムは料理を名残惜しそうに見つめて同じ様に言葉を残してスコールに駆け寄った。
「さてと、二人が帰った事だし準備しよっか」
スコールとオータムが出口から出て外に止めていたステルス機能付きの小型船でラボを離れて行くのを見届けて、束は近くにあった棚から衣類や小物等を取り出してバックに詰めた。そしてそれらは全てステラの物だった。
「そうですね。明日から、離れるんですからね…」
「スーちゃん……」「ステラ様……」
「大丈夫ですよ、束さんクロエさん。迷いが無い訳じゃ無いですけど、もう迷いが追い付けない位の所で決断しましたから!」
ステラが笑顔でそう言うと、束もクロエも表情を明るくして明日の準備を始めた。
―――――― 一方、その頃。とある研究所の屋根の上に、黒く赤い光のラインが入ったIS…否、VSがいた。
「面白い。ヤツの息子の娘か…。フッ……
殺し甲斐がある…………フフフッ、ハーーッハッハ!」
周囲には男の声が響き黒い霧がVSを包み込み、霧が晴れるとそこには既にVSも男の声も無かった。
そして、その下の研究所には…
多くの人の死体と、多種多様で無数の