インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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海上の激戦 Eleventh Episode

「ちっ!当たらねぇ!」

 

弾はGNソード||を振りながら、苛立たしげに言った。

 

『そんなに我武者羅に振っても無駄だ。相手は最早ISという次元に居ない。半分は生物だ』

 

そんな弾を見かねて、エクシアが弾に語りかける。

 

「は?生物?どういう事だ!」

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の急激な進化の理由だ。恐らくあの機体には生物の細胞、又はデータが組み込まれている。そして、その生物は少なくともこの星の生物では無い』

 

「所謂、あれはエイリアン的な何かと融合してるって事か?」

 

弾はトランザムの予測制限時間を確認しながらも福音(ゴスペル)へと切りかかる。

 

『簡単に言えばそうだ。しかしそれは強制的な物だ。福音(ゴスペル)も搭乗者も望んでいない』

 

「デストロ・デマイドか」

 

『その可能性は大きいだろうな』

 

弾はエクシアと話している内に落ち着いたのか、声のトーンが元に戻った。

 

『奴を倒す為の最低条件は、ウッドベルネクストと白式、フィリップ、そして俺だ』

 

「さっき連絡が入った一夏達は何とかなるが、ステラが厳しいな」

 

『安心しろ、死んではいない』

 

「んな事分かってんだよ。問題は復帰までのスピードだ」

 

弾はGNソードの刀身を折りたたみ、ライフルモードにして福音(ゴスペル)を狙い撃つ。

 

「クソッ!こういう状況にはデュナメスが欲しいぜ!」

 

『武装だけなら再現可能だ』

 

「武装だけあってもなぁ!って、いるじゃん!使える奴!」

 

弾はエクシアの言葉を聞いて仲間の元へと戻った。

 

「おい!セシリア!」

 

その中からセシリアを選んで近付いた弾は、スナイパーライフルの様な武装を展開した。

 

「な、なんですの?」

 

「これを使え!エネルギーはそん中にあるから、気にしなくてもいい!」

 

「は、はい!」

 

セシリアはGNスナイパーライフルを受け取ると、自身のスナイパーライフルを仕舞った。

 

「あ、そう言えば。セシリア、撃つ前に言って欲しい事があるんだ」

 

「……………はい?」

 

弾の言葉に、一瞬訳の分からなそうな表情になったセシリアだったが、既に飛びたっていた弾に抗議のしようもなく、セシリアに残された選択肢は一つだった。

 

「ブ、ブルーティアーズ、セシリア・オルコット!目標を狙い打ちますわ!」

 

「うおぉ!テンション上がるなぁ!クソが!おい!銀野郎!」

 

弾は高ぶった様な表情を引き締め、福音(ゴスペル)を睨んだ。

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!」

 

「なーに遊んでんだ馬鹿」

 

弾がGNソード||を構えて叫んだ時、背後から呆れた様な声が聞こえた。

 

「はぁ?!誰が馬鹿だ!」

 

「お前だよ」

 

弾が振り返ると、そこにはラファール・リヴァイヴの掌の上に立つ数馬と、紅椿の掌の上に立つ一夏が居た。

 

「弾!無事だったか!」

 

「あぁ、俺はな。でもステラが見つからねぇ。死んでねぇとは思うがな」

 

弾の言葉に、二人の顔に緊張が走る。

 

「とにかく、今は奴だ」

 

数馬はそう言いながらフィリップを展開した。

 

「時間経過で少しは動けるが、やはりエネルギーが心許ないな」

 

「任せろ」

 

箒はそう言って数馬の肩を持った。すると紅椿は黄金に輝きだし、数馬も光に包まれた。

 

「…………これで行ける」

 

数馬がエネルギー残量を見ると、そこには「Full Change」と表示されていた。

 

「さーて、そんじゃあ俺も!」

 

一夏は白式を展開する。するとその姿は以前の物とは違っていた。

 

「あ、遠距離武器ある」

 

「どうせ燃費悪いんだろ」

 

「エネルギー馬鹿みたいに使うんだろ」

 

一夏の言葉に、数馬と弾がすかさず煽る。

 

「いや、そうとも限らねぇだろ!ていうかもしそうなっても箒がいるし!」

 

「え?!」

 

その瞬間、箒の頬が真っ赤に染まった。

 

「お前って奴は……」

 

「ハーレム野郎」

 

「はぁ?!なんだよ!」

 

一夏は訳が分からずに怒鳴り声をあげた。

 

「…………………っ!」

 

その時、何も無い所から突然福音(ゴスペル)が現れた。

 

「え、今何処から」

 

「気を付けろ!アイツトランザム並に早いぞ!」

 

「なるほど、それなら問題無い」

 

数馬は前に出ると、鋭い眼光で福音(ゴスペル)を睨んだ。

 

「相手が強いなら、それ以上に強くなればいい。それにさっきお前が言ったんだろ。負ける気がしねぇってな」

 

数馬はニヤリと笑いながら振り返った。

 

「あぁ、そうだな!」

 

弾は笑いながら前に出る。そして数馬の隣に並ぶ。

 

「俺も、負けていられねぇ!」

 

そう言って一夏も弾と反対側の数馬の隣に並んだ。

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)。さぁ、お前の罪を数えろ!」

 

「今の俺らは、負ける気がしねぇ!」

 

「え?あ、えーっと…………織斑 一夏!タイマンはらせてもらうぜ!」

 

「「三対一だけどな」」

 

「仕方ねぇだろ!思い浮かばなかったんだから!」

 

まるで、今からゲームでも始めそうな雰囲気の一夏達だが、それもこれも目の前の敵への潜在的恐怖を拭う為だった。

 

「さーてと。奴さん、もう待ってられねぇみたいだぜ」

 

「分かっている。ステラを助ける為に、早く終わらせるぞ!」

 

「おう!」

 

数馬の掛け声と共に、三人は福音(ゴスペル)へと攻撃を仕掛け、その他は自分に出来る事を始めた。その時、弾の脳裏にはエクシアの言葉が蘇っていた。

 

『奴を倒す為の最低条件は、ウッドベルネクストと白式、フィリップ、そして俺だ』

 

(あ、順序逆じゃん)

 

そんな事を思いながらも、弾はGNソード||を振るった。




今回は少し短めに切りました。

そして、今回ステラターナーの設定画を何とか書き終えました。と言っても数日前からなんですけど笑

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=193345&uid=195590

このリンクから設定画を二つ纏めた活動報告のページに飛べます。

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