インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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海上の激戦 Third Episode

「ふっ、あっ、んん!バカっ、痛いよ一夏……」

 

「ごめんごめん。けど、気持ちいいんだろ?」

 

「そう、だけど、んあっ!」

 

ラウラは、耳を扉に付けて中から聞こえる声に肩を震わせていた。

 

「あら?ラウラさん、どうしたのですか?」

 

「そこ、織斑先生の部屋だよね?」

 

「あんたパッと見変態よ?」

 

「む、セシリア達も来たのか。丁度いい。扉に耳を当てろ」

 

後ろから声をかけられてラウラが振り返ると、そこには箒と本音を含んだ専用機持ちが集まっていた。

 

「ん?」

 

「なんですの?」

 

「別にしょうもない様な事でしょ」

 

「は、あっ!痛い………一夏、そこはダメェッ!」

 

「我慢しろよ。溜まってたんだろ?」

 

「でも、んにゃあ!」

 

「「「「「「……………」」」」」」

 

「おおぉ、一番星ちゃんもおさかんだねぇ」

 

扉の向こうから聞こえる声に、本音を除いた全員が絶句した。

 

「えっと、この声って、一夏とステラ?」

 

再び訪れた沈黙をシャルロットが辛うじて破る。

 

「一夏、後で私にもしてくれ。私も最近溜まっているんだ」

 

「「「「「「「っ?!」」」」」」」

 

次に聞こえた千冬の声に流石の本音でも驚いたのか、元々殆ど閉じていた目を半開きにした。

 

「今はステラの番だろ?後でな」

 

「全く、相変わらずだな」

 

「そうだな〜。あー、寝みぃ」

 

「ちょっと!数馬と弾もいるじゃない!」ヒソヒソ

 

「どういう状況なんですの?!」ヒソヒソ

 

ドアの前で小さな声で話すセシリア達は気付いていなかった。

 

スタッスタッスタッ

 

ドアの向こうから聞こえる足音に。

 

バタンッ!

 

「盗み聞きとは、いい趣味をしているな」

 

「わぁ?!数馬!」

 

扉を開いたのは、数馬だった。その後ろには、半眼で怠そうにしてる弾も居た。

 

「お前ら何してんの?」

 

「ンハッ!ソコッ、いい!」

 

「…………あぁ、そういう事か」

 

数馬は察した様に少し避けて、奥の光景を晒した。

 

「ちょっ!一夏痛いって!」

 

「だから、仕方ないだろ。そんなに言うなら疲れとか溜めるなよ」

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

「ん?皆どうしたの?」

 

畳に寝転がるステラは、入口で固まる七人を見て首を傾げた。

 

 

…………………………

 

 

「ハハッ!私と一夏がそんな訳ないじゃん!もー!皆早とちりなんだから」

 

ステラは笑いながら言った。

 

「そ、そもそもステラさんがあんな勘違いされる様な声を出すのがいけないんですわ!」

 

「え、私のせい?」

 

『しかし、マスターには思いを向けている相手がいらっしゃいますから、一夏さんへのその心配はありませんよ』

 

「「「「「「「「「「「っ?!」」」」」」」」」」」

 

ギンギラの一言に、部屋にいた全員が驚愕に染まった。

 

「ちょっ、ギンギラ?!あっ、い、今のは「誰だ!相手は誰だ!」うわっ!千冬さん離して!」

 

「言うんだ嫁よ!何処の輩だ!お前を誑かしたのは!」

 

次の瞬間にはステラに千冬とラウラが詰め寄った。

 

「私まだラウラの嫁じゃなーいー!」

 

「そんな事今は………………まだ?」

 

「あっ」

 

「ス、ステラ?今のは、どういう」

 

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!知らなぁぁぁぁい!」

 

千冬の問いに、ステラは大声を出しながら部屋を飛び出した。

 

「…………………えっと、ラウラ。これって」

 

「……………シャルロットよ。私は今、死んでもいい」

 

「うわぁ?!ラウラ?!」

 

ラウラは鼻血を大量に流して倒れた。

 

 

…………………………

 

 

ザッザッザッザッ

 

「はぁ、はぁ、はあぁぁ………私、言っちゃった…」

 

ステラは浜辺に座り込み、呟いた。

 

「何してんだろ…」

 

ステラは、いつもラウラの好意を受け流していたが、その心には確実に積もっていた。それに気が付いたのは、千冬の姿を見たからだ。

 

「千冬さん、楽しそうだったなぁ……」

 

千冬の思いのブレーキを無くしたかの様な翔一へのアピールを見て、必然的にラウラを思い浮かべた。

 

「君も思いをぶつければいいじゃないか」

 

「っ?!」

 

突然聞こえた声に、ステラは跳ね起きた。

 

「誰!」

 

「僕だよ。忘れたのかい?」

 

「……デストロ・デマイド」

 

そこに立っていたのは、デストロだった。

 

「ギンギラ!」

 

『はい!』

 

ステラは即時にギンギラを展開して、デストロに殴りかかろうとした。だが。

 

「残念。それでは僕を倒せないよ」

 

「っ?!ギンギラ!どうしたの!」

 

『分かりません!ただ、何かに押さえつけられる様に、展開が不可能です!』

 

ステラとギンギラの会話を、デストロはにやけながら見ていた。

 

「それは、僕のGNフィールドの効果さ」

 

「GNフィールド?!なんであなたがそれを!」

 

「簡単な事さ。束が作ったGNドライヴを解析して、それを再現しただけの事さ」

 

「GNドライヴを、再現?!」

 

「戦うなら、君自身の力を使いなよ」

 

「くっ!」

 

ステラは唯一生きていた拡張領域からジェットとアサルトライフル、ショットガンを取り出した。

 

「はぁっ!」

 

ガガガガガガガガガガガッ!

 

ステラはジェットでデストロを撹乱させる様に動きながら、アサルトライフルの弾丸をデストロに撃ち込んだ。

 

「甘い!」

 

ドカアァン!

 

「きゃあ!」

 

『マスター!』

 

デストロの放った光弾で、ステラは吹き飛ばされた。

 

「もういい。君にはがっかりだ。ISでもなんでも好きに使うがいい」

 

『っ!マスター!展開可能です!』

 

「分かった!」

 

その瞬間ステラの体を光が包み、光が止むとステラはギンギラを身にまとっていた。

 

「はあぁ!」

 

ステラはギンギラ最大の武器である拳をデストロに振るった。

 

「だから、甘いって、言ってるだろ!」

 

「うわぁ?!」

 

「その程度で僕を倒せるのかい?!」

 

「クッ!ハア!」

 

「そんな戦い方では、僕を倒すなんて出来ないぞ!ゼニス!」

 

デストロはゼニスを展開して反撃する。

 

ギュンッ!

 

「グッ!グアァ!」

 

ステラはデストロの放つ光弾をもろに食らい、吹き飛ばされた。

 

「これで、終わりにする!」

 

デストロはステラの腕を掴み、上へと投げた。

 

「っ?!シフト、ディフェンス!」

 

「オメガシュート!」

 

「キャアァァァ!」

 

『マスター!』

 

ギンギラは体を反転させ、ステラへのダメージを最小限に押え、全速力でエネルギーの激流から逃れた。

 

「次に君達が戦うのは僕の集大成の一部だ。今の君に、倒せるかな?」

 

デストロの声を聞いたのは、ギンギラだけだった。

 

「ちっ、気絶したか。失敗作が」

 

『待て!お前は、マスターの何を知っている』

 

「全てさ」

 

ゼニスを展開して、デストロは飛び去った。その後物音に駆けつけた千冬達に、ステラは保護された。


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