インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~ 作:鉄血のブリュンヒルデ
「いっただっきまーーす!」
「はい。いくらでもお召し上がりください」
現在は昼過ぎ。IS学園の屋上の庭園には少年少女達の姿があった。
「美味しい!凄いよ!いつの間にこんなにレベルアップしたの?」
「ふふっ、津上先生に特訓して貰ったのですわ。皆さんを驚かせようと思いまして」
微笑みながら会話に花を咲かせるステラとセシリア。それを見ながらも箸を進めるいつものメンバー+シャルル。
「そういえばターナーさん」
「ステラでいいよ。えっと」
「シャルルでいいよ」
「ありがとうシャルル。それで、何?」
手に持った料理を食べるのを我慢しながら、シャルルの質問を聞くステラ。
「ステラは代表候補生じゃないよね?なのにISを持っているのはどうして?」
「え?それは…………誰にも言わない?」
「うん」
「ここに居る皆とちふ…織斑先生だけしか知らないんだけどね。私のISは一夏達と同じで束さんが作ったの。半分だけね」
「そ、そうなんだ………ん?半分って?」
ステラの言葉に驚きながらも、最後の言葉に抱いた疑問を素直に口にした。
「もともとあった物を束さんが改造したんだよ。ね?ギンギラ」
『はい。そうです』
「え?今どこから声が」
ギンギラの声に驚くシャルルに、ステラは苦笑しながら答えた。
「これこれ。このゴーグルが私のISの待機状態なの」
「あー、ISの………え?ISが喋るの?!」
「なんとなく束さんの気持ち分かる」
「ステラさん。あまり人をからかってはいけませんわ」
「ごめんなさい………」
意地悪そうな顔をするステラにセシリアが子供を躾ける様に言うと、ステラはしょぼんとした。
「ごめんね?シャルル。私のISのギンギラにはAIが搭載されてて、自立して思考が出来るんだよ。私戦闘のセンスあまり無いから、ギンギラのサポート無かったらそこそこ弱くなるんだよね」
「まぁ、初乗りの俺と互角だったもんな」
「むぅ、違うもん!あれはエクシアが強かったんだもん!」
にやりと笑いながら言う弾にステラはいじけたように返した。
「そういえばステラ。ボーデヴィッヒは誘わなかったのか?」
箒はステラのいじけ様に苦笑しながらそう聞いた。
「え?あぁ、なんか用事があるって言ってたよ?」
「そうか。やはり代表候補生は忙しいんだな」
「そうでもないわよ?極端な話、データ取り以外に大した仕事無いし」
「え?そうなの?」
「大した仕事が無いだけで、細々とした物が沢山ある。例えば写真撮影とか」
「写真撮影?」
鈴の言葉にステラは驚き、それを補足するように簪は言ったが、その言葉は更にステラを困惑させた。
「モデルの様な物ですわ。鈴さんは無いのですか?」
「あるけど、そんなに大きい物とは感じてないしね。ただ水着とか服着て写真撮るだけじゃん」
「えぇ?!なにそれ!見たい見たい!」
「いいわよ。明日見せる」
「今日じゃダメなの?」
鈴の言葉に、ステラはキョトンとした。
「まぁ、今日はね…」
(あっぶなー。ステラが見るってことは一夏見るわよね………。ならとびっきり良い奴を用意しなきゃ!)
(とか鈴は考えてるんだろうなぁ…)
一夏を落とそうと企てる鈴と、だいたい察しの付いてるステラだった。
キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴だ」
「それじゃあ、解散しようか」
「それじゃあ鈴と簪はまた後でね」
「うん」
「それじゃね~」
ステラの言葉に鈴と簪が答えると、全員はそれぞれの教室に向かった。
…………………………
「え?放課後にアリーナ?」
「うん。打鉄弐式のデータを取りたいから」
ステラの机の前に立つ簪はデータを空中に投影しながら言った。
「うん、分かった」
「それじゃあまた後でね。けど何かあったら言ってね。予定ずらすから」
「うん、また後で」
そしてステラの言葉を聞いた簪は、笑いながら教室を出て行った。
「ターナー。放課後空いているか?」
「うぇ?」
簪との会話が終わり、ポケっとしだしていたステラに千冬が声をかけた。しかしポケっとしていたステラは返事をしようとして変な声が出た。
「整備課がまた武器のデータが見たいと言っていたぞ」
「マジですか」
「む、何か予定があったか?」
「あ、でもそっちは遅れていいって言ってたんで、行きます」
「そうか。なら頼んだぞ」
ステラは後にこの選択を後悔するが、その事はまだ誰も知らなかった。
…………………………
「ありがとうねステラちゃん」
「いえいえ。私のデータが役立つなら全然使って下さい」
IS学園の整備室。技術だけで見れば世界でも有数の物が揃ったその部屋には、不思議なデザインの武器が並んでいた。
「いやぁ、相変わらず面白いね。武器の弾丸等に属性を持たせるなんて。今度お礼に学食でグレートパフェ奢ってあげる」
「本当ですか?!やったーー!」
(((((癒されるわー)))))
整備課にいるステラ以外の生徒と教員全員の思考がベストマッチしたその頃、ステラは時計を見て焦りだした。
「あー!やばい!結構時間経ってる!」
「どうかしたの?」
「友達とアリーナで約束があるんです!遅れるとは言ったけどこんなに遅れたら流石に怒るよ………」
「そんなステラちゃんに良いこと教えようか?」
「何ですか?」
「この整備室を出て廊下を通るより、窓に付けてあるスロープを使った方が早いよ」
「スロープ?」
その言葉に振り返ると、そこには確かに鉄のワイヤーがアリーナ付近の廊下へと繋がれていた。
「凄い!先輩ありがとうございます!」
「おぉ?!///」
ステラそう言いながら抱き着き、次に身を翻してスロープにかけてあるフックを掴んだ。
「それじゃあ、グレートパフェ楽しみにしてますね!」
ステラは笑顔でそう言いながらスロープを下って行った。
それを見送る女生徒は、頬を赤らめてボーっとしていた。
「ねぇギンギラ!間に合うかな?」
『アリーナに打鉄弐式の反応はあります。連絡しますか?』
「うん、お願い!」
スロープを下り終わり窓から飛び込んで、ステラは廊下を駆け出した。
『マスター、通信繋がりました』
「了解。開いて」
〈ステラ!来ちゃダメ!〉
「え?何で?」
〈良いから!絶対に来ちゃ、キャア!〉
「え?どうしたの?!ねぇ!簪!」
ステラは叫ぶが、既に通信は途切れていた。
「いったい何が………。ギンギラ!ジェット出して!」
『分かりました!』
ステラはジェットを装着して廊下をさっきの三倍程の速度で進んだ。
「着いた!」
ピットに着くと、ステラはジェットを収納してカタパルトの先に立った。するとそこには、ボロボロになったセシリアと鈴、そして簪がいた。
「なに、してるの?ボーデヴィッヒさん……」
「ん?ステラ・ターナーか。こんな所で会うとは奇遇だな」
「ふざけないで!何してるのって聞いてるの!」
「なに、ただの模擬戦さ」
「模擬戦?どこが?ぱっと見、三人ともダメージレベルCは行ってるよ?」
淡々と答えるラウラに、ステラは拳を握りしめながら言った。
「三人が何かしたの?」
「いや、ただ私が少し挑発しただけさ。そうすると全員が噛み付いてきてね、それを「ふざけるな!」ん?」
「挑発しただけ?ふざけないでよ!あなたが三人の心を刺激するような事を言ったんでしょ?!それなのに、こんな!」
「どんな事があろうと、先に手を出した方が悪い。それが戦場の………いや、この世間のルールだろ?」
ラウラとステラが会話をしていると、後ろからシャルルも含めた男子メンバーも入ってきた。
「鈴?!てめぇよくも鈴を!」
「待って一夏」
「ステラ、なんでだよ!」
「なんでかって?そんなもの決まってる」
ステラはそう言いながらギンギラを展開しながらアリーナに飛び降りて、着地した。
「ボーデヴィッヒさんは、私が倒す」
「面白い」
ステラはラウラを蒼い瞳で睨み、ラウラは邪悪な笑顔をラウラに向けた。
今日から多分更新できない日が続くので、急ぎで二話書いてみました。