インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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今回は少し短めです。


混乱と出会い Twelfth Episode

「うらぁ!」

 

「たぁ!」

 

ステラ達が作業をしている整備室に、紅蓮と黄金の光がぶつかり合いながら壁を突き破り侵入してきた。そして二つの光が弾けると、エクシアを纏った弾と、アギトを纏った翔一が縺れあっていた。

 

「え?!ちょっと何やってんの!弾!」

 

「津上先生!止まって下さい!」

 

ステラと千冬が必死で止めようと声を掛けたが、二人はもう一度能力を全開にし光になった。二つの光は縺れ合いながら開けた穴から出ていった。

 

「私が行きます!」

 

ステラはそう言って整備台に鎮座していたギンギラに飛び乗り、そのまま二人を追った。

 

「私も行く!」

 

千冬もトリガーを展開しながら走り出した。

 

ドゴーンッ!ギュンッ!ザシュッ!

 

ガキンッ!

 

「弾!何やってんの!」

 

「津上先生!止まってください!」

 

お互いの剣でつば競り合いをする翔一と弾の間に割って入ったステラと千冬は、それぞれの武器を展開して攻撃を受け止めた。

 

「何って、模擬戦だけど?どったの?」

 

「どうかしたんですか?織斑先生」

 

「「え?」」

 

「「え?」」

 

「もー、喧嘩でもしてるのかと心配したよ~……」

 

「あ、悪い」

 

「津上先生、教員の生徒との私闘はなるべく控えて下さい」

 

「すみません、はははっ……」

 

その後四人は整備室に戻り、弾と翔一は束に怒られていた。

 

「二人とも無茶し過ぎ!幾ら一次移行(ファーストシフト)の為でもやりすぎだから!」

 

「すみません………」

 

「今回は許すけど、模擬戦は次からちゃんと私に言ってからやるように!いい?!」

 

「はい……」

 

「ちょっとダン君聞いてる?!」

 

翔一は束に注意され反省する様な雰囲気になっているが、弾は先程からずっとそわそわしている様だった。

 

「こんなことしてる場合じゃねぇ!早く、誰か俺と試合してくれ!」

 

「何言ってんの!弾は束さんの話聞いてたの?!」

 

「ふざけんなよ!聞いてるわけねぇだろ!」

 

「なに逆ギレしてんの!」

 

「今のままじゃダメなんだよ!もっと、もっと強くならねぇと!」

 

「そんなの「俺がやる」え?数馬?」

 

叫ぶ弾に、ステラは止めようとするが、数馬がそれを止めた。

 

「この際だ。専用機持ちの実力の把握の為にも、全員で模擬戦をしよう。しかし、機体の整備の為にも模擬戦は二時間後だ」

 

千冬も数馬の提案に乗り、模擬戦を提案した。反論しようとする者はいたが、千冬のごり押しで決定した。

 

………………………………

 

「さてと、初乗りの感覚はどう?」

 

ギンギラを纏い、IS学園のアリーナの様な場所に浮くステラがそう言うと、正面には新たなISがそこにはいた。

 

「うん、まるで今までの失敗が嘘みたいに体に馴染むよ。今なら、誰にも負けないとさえ思えるよ」

 

「そっか」

 

そう答えた簪を、ステラは嬉しそうに見つめた。

 

「手加減はしないよ?」

 

「うん。寧ろされたら困る」

 

「なんで?」

 

「私がすぐに勝っちゃうから」

 

「言ってくれるじゃん」

 

互いに挑発しあうステラと簪だが、その顔は心の底から楽しそうだった。

 

「「さぁ、始めよう」」

 

<試合、開始!>

 

「行くよ!」

 

『了解!』

 

「はぁ!」

 

試合開始の合図と共に、ステラと簪は互いの武装を展開してつば競り合いを始めた。

 

「くっ!」

 

「うぅっ!」

 

ステラの使う武器は、本来ビームを撃ち出す為の射出口からエネルギーを維持させて作る即席のビームサーベルだ。対する簪の武器は近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀の夢現。

 

バチバチバチッ!

 

二人の剣戟を物語るように、火花が散る。そして、数分間斬り合いが続いた頃に戦いは動いた。

 

「うらぁ!」

 

「くっ!はぁ!」

 

二人は互いを弾き飛ばして、そのまま遠距離武器を展開した。ステラはそのままビームガン。そして簪は背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲、春雷。

 

「はぁぁ!」

 

「いけぇ!」

 

ドンッ!

 

二人の撃ち出したエネルギーが衝突し、爆発が起こった。

 

『マスター、来ます!』

 

「っ?!」

 

ドーーーンッ!

 

爆発で生じた煙を、数発のそれぞれ別に稼動するミサイルが突っ切ってステラを襲った。

 

「あっぶな~。もう少し遅れてたら直撃だったよ」

 

ステラはギリギリのタイミングでバリアを張っていた。

 

「それが、山嵐なんだね」

 

山嵐。それは打鉄弐式の最大武装。第3世代技術のマルチロックオン・システムによって6機×8門のミサイルポッドから最大48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射する。そして束の手によりリロード機能が大幅に強化され、拡張領域を大量に消費する代わりに10回分のミサイルを乗せた事により山嵐は本来より格段に進化している。

 

「いくらステラでも、これは避けられないでしょ?」

 

そう言って簪はすべてのミサイルポッドを開いた。

 

「こ、これは流石に拙い…」

 

『……マスターはエクスサーマルを高める事に集中して下さい。回避と防御は私がやります』

 

「わかった。お願い!」

 

『はい!』

 

ステラは狙われる方向を減らすために、地面スレスレに降りてそこから機体コントロールをギンギラに委ね、目を閉じた。

 

「いっけぇぇ!」

 

簪の叫びと共に、ミサイルポッドからミサイルが連続で発射された。その数は144発。

 

『くっ!はっ!』

 

ギンギラは掠りながらも全てのミサイルを避けていた。

 

「まだ、もう少し…」

 

ドーンッ!ドーンッ!

 

「まだ、足りないっ!」

 

ドーンッ!ドカーーンッ!

 

『マスター!』

 

「っ!行ける!」

 

その声を聞いて、ギンギラは立ち止まってリングを前に突き出した。

 

「『サーマル、キャノン!』」

 

ステラ達の放ったサーマルキャノンは迫り来るミサイルを破壊しながら進み、簪に直撃した。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」

 

シールドエネルギーが尽きてISが解除された。

 

「っと!大丈夫?簪」

 

空中に投げ出された簪をお姫様抱っこの様な形で受け止めると、簪は笑いながら答えた。

 

「うん、大丈夫。ステラは強いね」

 

「えへへ///ありがとう」

 

そしてステラと簪は楽しそうに話しながらピットに戻った。


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