インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~ 作:鉄血のブリュンヒルデ
マジでありがとうございます!
本編への突入はまだ先になりますが、どうかお付き合い下さい!
ここは太平洋上にある、束の秘密のラボ。
衛星等の監視網から逃れる為、ステルスが施されている。
そしてここの整備室の様な場所で、束とギンギラがお互いの情報交換をしていた。
「そういえばさ、この前なんだかんだ話せなかったこの星に関する事をギンギラちゃんに話そうと思うんだけど、いいかな?」
『はい、それで構いません』
「うんうん、それじゃ始めるね。
まずはこの星の名前、地球って言うんだよ。この星には196の国があって、それぞれの国で違った文化や宗教に基づき政治を行ってるんだよ。全部説明してると時間が足りなくなるから、私が選んだ主要国だけって事で」
そう言いながら、ディスプレイに世界地図を複数表示して、そこに信仰している宗教を色つきで示している物など、様々な地図を表示した。
「まずはここ。私の生まれ故郷の日本!
ここは他国から一目置かれる位の特殊な文化があるんだよ。食文化もそうだし、日本のおもてなしの精神とかも評価されてるらしいよ。ちなみに量産型ISの打鉄で有名だね。
お次はここ。世界最大の国、アメリカ!
ここは世界でも特に影響力のある国で、ちょっと過激な発言をすると世界中のニュースで取り上げられるよ。
今のアメリカの大統領は色々言って世間を騒がせてるよ」
『束さん、大統領とはなんでしょうか』
「それはねぇ、アメリカの政治のトップを示す言葉だよ。色々な国で色々な言い方があるけど、大統領が一番多いかな」
『なるほどありがとうございます』
「うんうん、それじゃ再開するね。
お次はイギリス!飯不味で有名だけど、あれは結構美味しかったなぁ。
イギリスは経済・文化共に先進的で、19世紀から20世紀前半までの間、世界最高位の大国だったんだよ。現在も列強であり続け、経済、文化、軍事、科学、政治で国際的な影響力を持ってるよ。
後は、色んな映画やゲームの舞台になってるね。
次の国はフランス!
フランスは食文化が有名だね。特にワインは国内外で親しまれているよ。一回飲んで見たけどあれはヤバい。
そして、私の大好きなリズムゲームの舞台でもある!
この国も量産型ISのラファール・リヴァイヴで有名だね。
最後はドイツ!
ここも色々な映画の舞台になったりしてるよ。それと、有名な独裁者がいたりね。軍事的にも世界で有数の国だよ。確か人工生命体の研究やISの適合率を上げたりする研究を行ってるとかなんとか。
…こんな感じかな。さて!次はギンギラとの番だよ!」
束に促されて、ギンギラは自分の記憶メモリのデータを読み取り説明を始めた。
『はい、ではEDN-3rdの説明をしましょう。
まずは、マスターの通う『アカデミー』の説明です。
アカデミーとは、NEVECがEDN-3rdの入植活動の原動力となる次世代の人材育成と先進技術研究を目的に設立した教育機関です。EDN-3rdの3ヶ所にベースを設立しており、地域ごとにベースの教育方針や理念が異なります。
まずは、マスターの所属していたアドバンスベースです。
アドバンスベースは、EDN-3rdに設置された最新のベースです。大気圏外との行き来も可能であるシャトル発着場を持ち、EDN-3rdの玄関口としても機能しています。他のベースと積極的に交流カリキュラムを行いながら、隊員の自助努力を促す校風を持っています。ベース全体の管理はAIオペレーターの「W.I.Z-γ」が務めています』
「ねぇギンギラちゃん、うぃずって何?」
『各ベースの情報を管理する運営AIシリーズの事です。全て眼鏡をかけた女性の姿にデザインされています。そして、開発者の意向でベースごとに人格が異なります』
「え?人格が違う意味ってある?」
『恐らく、開発者の趣味と思われます』
僅かな沈黙の後、ギンギラがこのままでは空気が重いままだと思い説明の続きを始めた。
『それでは説明を再開しましょう。
続いてはフロンティアベースです。
アカデミー設立当初から運営されている最も古いベースで、森林・海洋地帯の開拓事業を行いながら、エイクリッドや雪賊の勢力分布調査や、周辺環境の研究なども活発に行われています。ベース内には発掘作業中のエイクリッドの化石が横たわるエリアがあり、登る事も出来ます。力仕事が多いため、豪快・タフを売り物にしている隊員が多いのも特徴ですね。ベース全体の管理はAIオペレーターの長女「W.I.Z-α」が務めています。
そして、最後がテックベースです。
最新のシミュレーターを用いたVSの教習に力を注いでいて、ベース対抗で毎年開催される戦技大会では好成績を残しています。砂漠や火山といった厳しい環境での開拓任務を担当しているので隊員たちの能力が高く、NEVEC本体へエリートを多く輩出しています。ベース全体の管理はAIオペレーターの次女「W.I.Z-β」が務めています』
束は先日と同様にギンギラの言葉をノートにメモしながら、ギンギラの説明で感じた疑問点を聞くことにした。
「そのウィズって、長女とか言ってるけど姉妹なの?」
『はい、人格にもそういう風に互いを認識するようにされています』
「それ考えたのも…」
『……恐らくは開発者だと思われます』
本日二度目の沈黙を破ったのは、クロエと共に料理をしていたステラだった。
「はぁ、クロエさんの強烈料理を見てからなんとかしようとはしたけど丸2日掛かるとは…あ、束さーん!ご飯出来ましたよー!」
「うん!すぐに行く!ギンギラちゃんも燃料の補給を…って、ねぇギンギラちゃんは何で動いてるの?」
『主に
「おぉ!凄く聞きたい!」
『はい。ですが時間も遅く、マスターとクロエさんの料理が出来た様なので、説明の続きはディナーの後でという事にしましょうか』
ギンギラがどこかで聞いた事のあるような台詞で説明会の中止を促した。
「うん!それじゃあスーちゃんの手作り料理を楽しみに行きますか!」
束は整備用具を片付けると、全速力で食卓へと走った。
「あーもう、束さん!廊下は走っちゃダメ!」
「だってスーちゃんの手料理早く食べたいもん!」
「それは嬉しいですけど、廊下は走っちゃダメです!」
「もー!スーちゃんのケチ!」
互いに一歩も引かずに意見を述べ合っているので埒があかないと思い、クロエが二人に近付き声をかけた。
「そんな事をしていては、ご飯が冷めますよ?」
「「え?」」
ぐるる~…
「「あっ…//」」
二人で揃って食事の事を忘れていたので急激に腹が空き、腹の虫が鳴るのだった。
そしてその二人を可愛い小動物を見るような目でクロエが見ている。
「さぁ、ご飯にしましょう。今日はステラ様に手伝って頂いたので、出来栄えはとても良いですよ」
「「はーい!」」
全員が食卓につくとクロエが号令をかけた。
「それでは」
「いただきます」
「いただきます!」
「いふぁふぁひまふ!」
「束様、号令をする前から食べ始めないで下さい」
「て言うか食べながら喋らないで下さいよ」
「ごくっ、だって美味しいんだもん!」
「「束さん(様)?」」
「ごめんなさい…」
ビーーッ!ビーーッ!ビーーッ!
束達が日常的な会話を繰り返していると、突然アラームが鳴り響いた。
「束様、これは!」
「うん、ここもバレたね…」
束とクロエの会話について行けず、ただ緊急事態という事しか理解出来ないステラが状況を確認するために束に未だ困惑した声で質問をした。
「束さん、バレたって一体…て言うかこのアラームは?」
「私とクーちゃんはね、世界中から逃げ回ってるんだよ。今まで色々回って、ここでステルスを張ってやっと安定したのに…」
三人が状況確認していると、ラボが大きく揺れた。そしてディスプレイにギンギラが映し出され、現状の確認を済ませて1つの答えに行き着いた。
『恐らくは、私達がここに落ちた事が原因でしょう。大気圏突入の際にどこかの国の人工衛星の監視網に掛かったものと思われます』
「それじゃあ…私達のせい?」
「違うよスーちゃん!これは私がステルスの補強してなかったからだよ!」
「でも、私達が落ちて来なければこんな事にはならなかった!」
二人が言い争っていると再びラボが大きく揺れ、天井が陥落してきた。辛うじてそれを避けると、ラボの中で一番頑丈な整備室に向かった。
「束様、いくらここが頑丈でもいつまで持つかわかりません。開発中のISを貸して下さい。私が殿を勤めます」
「ダメ!それじゃあクーちゃんが危ないよ!それに、開発中だから出力の制御がまだ終わってない、とても危険だよ!」
「背に腹は変えられません!早くご決断を!」
「でも…クーちゃんは私の大切な家族だもん。傷付いて欲しくないんだよ…」
「束様…」
今度は束とクロエが言い争い始めて、その近くでステラは何かを決断したような表情になった。
「束さん、クロエさん、私が出るよ」
「「え?」」
「ギンギラ、行ける?」
『はい、いつでも』
「何言ってるの?!ダメだよ!いくらギンギラちゃんでも、あの数は無理だよ!さっきレーダーの反応調べたけど、15機もいるんだよ!?」
「その程度こなせなきゃ、一番星なんて夢のまた夢です」
「え?どういう事?」
「昔父さんが言ってたんです。
『例え離れる事になっても、一番星みたいに強く輝いてれば、その回りには沢山の人が集まる。そうやって光を繋いで大きく輝け。そしたら、いつでも俺達はお前を見守ってる』
って…だから私は一番星を目指す。だから、こんな所で立ち止まっていられないんです。束さん、約束します。絶対死にません、絶対ここを守ります。だから、私を…いや、私達にやらせて下さい!」
「…クーちゃん、カタパルトと束のデスク繋いで」
「束様?!」
「わかってる、スーちゃんにとても危険を背負わせてる事ぐらい。大人失格だよね…でも、子供を信じるのも大人の仕事、って言ったら言い訳かな。ははっ…でも、あんな強い目で見られたら、断れないよ」
「ありがとうございます!ギンギラ、行こう!」
『はい!マスター!』
各自がそれぞれの仕事を開始し始めた。準備の最中度々ラボが敵の攻撃に揺れたが、構わず作業を続けた。
そしてギンギラがカタパルトに乗ると、整備室のギンギラ達がいる部分が切り離された。
『スーちゃん、聞こえる?』
「はい、聞こえてます」
『一応聞くけど、操縦経験は勿論あるとして…実戦経験、ある?』
「実戦経験?ふぅ…………
一切無い!悪いか!」
ステラの言葉に束とクロエが驚いていると、ギンギラがステラの言葉の意味を理解した。
『マスター、その言葉は』
「うん、父さんがギンギラに始めて乗った時の言葉の改良版だよ」
『フフフッ、ハハハハハハッ!いいねぇ、いいよスーちゃん!それじゃあ私とギンギラちゃんでサポートするよ!ギンギラちゃんはそれでいい?』
『はい。ギンギラ、サポートします』
「よし、それじゃあ…」
「ステラ・ターナー!」『ギンギラ!』
「『出ます!』」
その言葉と共にギンギラの乗るカタパルトに稲妻が走り、そしてカタパルトはレールの上を加速し火花を散らしながらギンギラをラボの外へと運ぶ。
そしてカタパルトがレールの上で止まると同時にギンギラは最大出力で飛び出した。
ギンギラは飛び出した後、まるで自分の姿を見せる様に拳を腰あたりで構え胸を張った。その姿に束とクロエだけでなく、敵すらも息を飲んだ。だが敵はすぐに意識を戦闘に戻した。
『スーちゃん、ギンギラちゃん、来るよ!』
「了解!」
ギンッ!
ギンギラは空気を切り裂くようなスピードで一瞬の内に敵の懐に入ると、その勢いに任せて敵の胴体を殴った。
「なんなのあのISは?!サイズが明らかに大きいし、それにどうして殴っただけで『シールドエネルギー(以下:SE)』がここまで減るの?!」
SEとは、ISのバリアーやビーム等の武装の使用時に使われるエネルギーでISの最大の特徴『絶対防御』を発動するのに使用される。
ISの操縦者の命は、この絶対防御によって"ほぼ"保証されている。
『ギンギラちゃん、絶対防御については話したよね?』
『はい。あれがある限りは私達に勝利は有り得ません』
『違うよ、ギンギラちゃん。絶対防御はSEを大幅に使用する。そしてSEが無ければISは強制解除される。つまりわざと絶対防御を発動させればいいんだよ!ギンギラちゃんの力ならそれが簡単に出来る!』
『わかりました。マスター』
「ん?どうしたの?」
『とにかく敵に攻撃すれば良いそうです』
「オッケー、それじゃあ一気に行くよ!」
加速、打撃。加速、打撃。それをずっと繰り返して敵を撃破していると、流石に相手も対応してきてギンギラも多少ダメージを負っている。
そして、挟み撃ちにされて敵もこれを決め手にするつもりなのか、顔が少しニヤリと歪んだ。
その時
「準備体操はこのくらいかな?」
『マスター、流石に長かったと思われます』
「「え?」」
にやけ顔は一瞬で困惑に変わり、片方の操縦者の表情は次の瞬間には痛みに歪んでいた。そしてその腹部には、ギンギラの後ろに浮いていた輪型のサブ武器が高速回転しながら腹部にのめり込み、怯ませていた。
ギンギラはその隙にもう一方の敵に腕に内蔵されているメイン武器のレーザーシューターを放った。
「ぐあっ?!」
「がぁ!」
敵が怯んでいる隙に直ぐ様懐に飛び込み、回し蹴りを決めてもう一方の敵にぶつけた。
『
「うん、行くよ!」
この力は本来人間が使う
「『サーマルキャノン!』」
ゴォォォォーー!
「「キャアアアーーーー!」」
周囲に
最初の方の謎説明は後々出る国の捕捉説明とかだと思ってください。
それと、エクストルーパーズの説明も一応入れておきました。それでも何か不明な点、おかしな点があれば感想欄にコメントお願いします。
それと誤字脱字報告もどんどんしてくだされば幸いです。
戦闘シーンって難しいですね…