インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~ 作:鉄血のブリュンヒルデ
「という訳で、クラス代表は織斑 一夏君に決定しました!」
「異議あり!」
「もう、せっかくいい感じなのにどうしたの?一夏」
「え?いや、ステラがやるんじゃ無かったっけ?」
「え?私そんな事一言も言ってないよ?」
「え?」
ここは一年一組の教室。先日のクラス代表決定戦の結果を朝のHRで伝える為に、連絡を早めに済ませ今に至る。
「だって私『決めていいですか?』って聞いただけだもん」
「うっ、それは…」
「諦めろ、織斑。それと時間も無いんでな」
その言葉に全員が時計を見た。
「後五分だ。早く授業の準備をしろ」
そして全員が急いで準備を始めた。
「それとステ……ターナー。整備科の生徒が男子を連れて明日来て欲しいと言っていたから、明日行ってやれ」
「はーい、織斑先生♪」
ステラはちょっとニヤッと笑って返事をした。
「ねぇ一番星ちゃん〜」
まったりとした声で声をかけてきたのはこのクラスのマスコット的存在の『布仏 本音』。先日弾に助けられた二人の内の一人で虚の妹である。
「どうしたの?のほほんさん」
「今日の放課後におりむーのクラス代表のお祝いしようと思ってるんだけど、一番星ちゃんも来る?」
ちなみに一番星ちゃんというのは本音がステラと話したときの印象で付けたあだ名だ。
「あ、うん!行く行く!」
「それじゃあ決まり〜!」
にんまりと笑う本音に癒されながら、ステラは授業の準備を始めた。そして準備が終わると、思い出した様に数馬の元に向かった。
「ねぇ数馬」
「どうした?」
「これ束さんからのプレゼント」
「プレゼント?」
ステラから手渡された箱を開けると、そこから赤いクワガタの様な機械と黄色い蜘蛛の様な機械、そして青いコウモリの様な機械が飛び出した。
「うわぁ?!」
「………なんだこれ?」
「束さんが作った自立稼働出来る小型のメカで、メモリガジェットって言うの。こうやって後ろのメモリを抜くと携帯とか腕時計とかカメラになるよ」
「どっかで見た事あるぞこれ」
「気にしない気にしない」
「まぁありがたく貰っとく」
「あ、それとフィリップにも追加武装として使えるって」
「了解」
キーンコーンカーンコーン
「それじゃあまた後でね」
「おう」
そして一日の授業が終わり、本音の言っていたパーティーが始まった。
「「「「「織斑君、クラス代表就任おめでとう!」」」」」
「なんだろう。お祝いの筈なのにそんなに嬉しくねぇ」
「まぁまぁ、いいじゃない。料理も美味しそうだし」
「元凶が何言ってんだよ」
「えへへ///」
「いや、褒めてねぇよ」
「そんな事より、オルコット。お前は全員に話す事があるんだろ?」
「はい」
数馬に言われ、セシリアは席を立ち全員から見える場所に立った。
「皆さん。先日の非礼、申し訳ございませんでした!」
「「「「「えぇ〜…」」」」」
「今更過ぎるよオルコットさん」
「あんな試合見せられて、それにもう御手洗君達と和解してるんでしょ?なら私達が口出ししたりする事じゃないよ」
「そうだよぉ、セッシー。あの戦い凄かったよ〜」
「皆さん…ありがとうございます!」
セシリアはクラスメイトの言葉に少し涙ぐみながら顔を上げ、満面の笑みを見せた。
「良かったな」
「はい!ありがとうございます!数馬さん!」
「も〜そんな事より早く食べようよ〜」
「そうだな。今から珈琲を淹れるが、誰か飲むか?」
「「「「「はい!飲みます!」」」」」
「ハハハッ、数馬人気だな。俺も頼む」
「んじゃあ俺も淹れるか」
「はーい!私も飲む!」
「でしたら私も頂きますわ」
「全員か。好みによって俺か弾に分けるぞ」
「ういーす」
それぞれ珈琲を受け取り、一斉に飲み始めた。
「美味しい!」
「何これ!もう缶珈琲飲めないよ!」
「ちょっとそっちのも飲ませてよ………あまーい!」
「おい、今どっかにハンバーグいたぞ」
「うわっ!渋っ!」
「馬鹿ね。それがいいんじゃない!」
その後、たまに食堂で二人の珈琲を飲みに多くの生徒が集まったりしたとかしないとか。
「はいはーい!新聞部でーす!話題の男性操縦者をインタビューしに来ましたー!」
そう言いながら食堂に入って来たのは、二年生の新聞部副部長の
「さてと、それじゃあ織斑君から!クラス代表としての意気込みは?」
「え!?え〜と、その、頑張ります!」
「え〜、もっと何かないの?」
「自分、不器用ですから」
「うわ、前時代的!」
「じゃあ適当に捏造するとして、質問です!君達三人は結構仲が良いみたいだけど、同じ中学校なの?」
「はい、そうですよ」
「なるほどなるほど。それじゃあ次は五反田君行ってみよう!」
「ういーす…」
薫子に声をかけられた弾は面倒くさそうに机から起き上がった。
「それじゃあ質問!君の今後の意気込みなんか聞かせて貰おうかな」
「やりたいことだけやる。以上」
「おぉ!どストレートに来たね!それじゃあ次は御手洗君!」
「まずはこの学校の意識改変だな。実力至上主義もいいが、もっと大切なものもある」
「おぉ!今のフレーズいいね!使わせてもらうよ。それじゃあ次は、セシリアちゃんっている?」
「こちらに居ますわ」
薫子の呼び声に答え、少し離れた席に座っていたセシリアが立ち上がった。
「それじゃあセシリアちゃんには、御手洗君と戦った時の感想も聞こうかな」
「はい。数馬さんの動きは初心者とは思えない程の物でした。ISのシュミレーターと生身の訓練しかしていないと聞いた時にはとても驚きました」
「なるほど、あの動きをたったそれだけの訓練で。そういえばその訓練付けたのって、あの時のアリーナ破壊した子?」
「そうですわ。お呼びしましょうか?」
「うん、よろしく」
「ステラさん。少しよろしいですか?」
「ん?いいよ。ちょっと行ってくるね、本音」
「いってらっしゃ~い」
本音とじゃれあっていたステラは、セシリアの呼び声に答えるとテコテコと歩いて来た。
「なになに?」
「新聞部の方がステラさんのお話をお聞きしたいと」
「うんうん、少し興味があってさ。一体どんな訓練をしたの?」
「基本的には色々な武器の扱いとか、銃火器の扱い方等です。それと対人格闘術や剣道等の武術。まぁ剣道は他の人の力が大いに役立ちました。その技術は弾のエクシアのブレードでの戦いにも反映されています」
「ふむふむなるほど。そういえば君の専用機ってどこ製?君は国家代表候補生でも企業代表でもないでしょ?」
「え?あ、えっと………」
(篠ノ之 束製です。なんて、言える訳ないじゃん!どうしよう!マジでどうしよう!)
「黛、ターナーの機体に関してはあまり掘り下げるな」
「あ、織斑先生」
戸惑うステラに助け船を出したのは、スーツを着込んだ完全に教師モードの千冬だった。
「ターナーの機体は特殊でな。実験機として運用されている。篠ノ之束が信頼した者にコアを一つ託したらしい。つまり、わかるな?」
「触らぬ神に祟りなし、ですね」
「物分りが良くて助かる」
「ごめんねステラちゃん。それじゃあセシリアちゃんから順に意気込みお願いね」
「はい。私は今の自分を見直し、更に邁進して行きたいと思っております」
「次はステラちゃんね」
「えっと…………あ、そうだ」
「ん?」
「まさか」
「あー、多分そのまさかだな」
「あれか」
「あれですわね」
ステラは言いながらニヤッと笑い、その他の薫子以外のメンバーは理解したように笑顔や苦笑いを浮かべた。
「この学園で、ステラ・ターナーここにあり!と、言われるような………ギンギラ一番星を私は目指す!」
この台詞ずっと使いたかった!やっと言えた!