インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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随分遅れて2話目投稿!

所々言葉がおかしいかも知れないので、気に食わなかったらコメントお願いします。


新星少女 First Episode

『束さん、1つ質問よろしいでしょうか』

 

体の装甲を外されながら、ギンギラは束に話しかけた。すると束は作業を一時中断して整備用のマシンを起動させて、汗を拭いながら顔を上げた。

 

「うんうん、何かな?」

 

『あなた方からすればおかしな質問だと思いますが、この星の名前を教えて頂けませんか』

 

「………え?ちょっと待って!その言葉そのまま受けとるなら、君とあの娘はこの星の外、つまり宇宙から来たの?!」

 

僅かに間を置き束は驚いた様な声を上げた。それもそうだろう、急に宇宙から来ましたと言われても誰しも疑うだろう。

 

『はい、私とマスターは少なくともこの星の外から来ました。私達は、ここから遠く離れた入植実験惑星『EDN-3rd』から来ました』

 

すらすらと話すギンギラに対して、未だ頭が追い付いていない、地球最高峰の頭脳。

 

「えっと、聞きたい事はいっぱいあるけど何から聞けばいいかわかんないから、取り敢えず確認するけど。嘘はついて無いんだよね?」

 

『はい、私達二人は先程言った通りこの星の住人ではありません』

 

「うん、ごめんねギンギラちゃん、既にそこから取り残されてるんだ、束さんは」

 

 

苦笑混じりにギンギラにそう告げると、ギンギラは自分が作られた時から、『あの戦い』の話、そして

 

 

今に至る『とある事件』の事を束に語った。

 

 

「そんな…そんな事って……それでギンギラちゃん達はその、EDN-3rdから『逃げて』来たの?

 

そんなのソイツらの勝手な都合じゃん!」

 

束は目頭に少し涙を浮かべながら怒りを込めて叫んだ

。そして、それと同時にギンギラの修理が終了した。

 

『はい、確かに彼らは自分達の目的の為に行動を起こしました。しかし、彼らにはあの軍勢を覆す程の武力は無いはずです。恐らくは、裏で手引きした者がいるのではないかと』

 

そう言われ、束が考え込んでいるとドアからクロエが入って来て、少女が目覚めた事を伝えた。そして、ギンギラに通信用の機材を繋いでクロエの後をついて行った。

 

ーーーーーーーーーー

 

「んっ、んん~、ん?あれ?!ここどこ?!えっ?!ギンギラは?!」

 

慌てて現状を確認する少女の元に、扉から入って来た束とクロエが歩みよった。

 

「落ち着いて下さい。

 

まずは挨拶と自己紹介を、私はクロエ・クロニクルと申します、こちらの束様のメイドをしております」

 

クロエは丁寧にお辞儀をすると、束に自己紹介をするように促した。

 

「やぁやぁこんにちは♪皆のアイドル束さんだよ~♪」

 

「えっと、もしかして…」

 

「うんうん、私が君をたす「反NEVEC勢力の人?!」そーなんだよー、束さん達は反NEVEC勢力の…って違うよ!」

 

束が乗り突っ込みをかましていると、クロエがベッドの横にあるディスプレイを起動させて、画面にギンギラを映し出した。

 

『マスター、彼女達は反NEVEC勢力の人間ではありません。私達を助けて下さった方々です。』

 

「えぇ?!あ、あの、そのええと、すみません!早とちりしちゃって!」

 

「いやいや、全然いいよ。それと付け加えておくけど、ここはEDN-3rdじゃないよ?」

 

「えっ?そうなの?ギンギラ」

 

『はい、束さんの言葉は事実です。私達は脱出後、攻撃を受けてそのまま宇宙を漂ったと考えられます。更に追っ手が無いことから、この星はEDN-3rdから遠く離れていると推測されます』

 

二人の言葉を聞いて、少女は暗い顔をして目から涙を溢した。

 

「私達だけ、逃げて来たの?父さんと母さんを置いて、ルアンさんやクーリスさん、ジュリィさんを置いて、私だけ逃げて来たの?!私は、また守られたの?私も皆と戦いたくてアカデミーに入って必死に訓練して、それなのに、私は、『また』何も出来なかったの?!」

 

少女は感情のままに嘆く様に叫んだ。

 

すると束は再び涙を流しながら少女に抱きついて、優しい口調で語りだした。

 

「辛かったね。私はギンギラちゃんから聞いただけだから、説得力とか無いだろうけど…でもね、親が子供を守ろうとするのは当然だと思うんだ。それに、君はまだ子供なんだよ?その年で戦いなんて、君のお父さんとお母さんもさせたく無いんじゃないかな?

 

私には子供はいないし、君の境遇も、私達の星からしたら現実離れしてるし私は君の助けにはなれないと思う。

 

でもね、一緒に泣いてあげる事は出来る」

 

「束、さん。わ、私…私!」

 

「うん、泣いていいよ。束さんもその分一緒に泣くから」

 

「う、ひぐっ、うぅ…うわぁぁぁぁん!うぅ、うぅぅぅぅ、うわぁぁぁぁん!」

 

「うん、うん…辛かったね。ぐすっ、づらがっだね…」

 

「「うわぁぁぁぁん!」」

 

ーーーーーーーーーー

 

それから約一時間後、少女はすっきりしたような顔で束達を見つめて、頭を下げた。

 

「私とギンギラを助けて頂いて、本当にありがとうございました。それに、ギンギラの修理に私の手当て、なんてお礼を言えば良いかもわかりません。でも、取り敢えずこれだけは言わせて下さい。ありがとうございます」

 

「うん、私は全然構わないよ?ね?くーちゃん」

 

「はい、私も構いません」

 

束とクロエが微笑みながら少女に言葉を返すと、ディスプレイが光りそこに映るギンギラが語りだした。

 

『マスター、私から提案があるのですが。この星に一時身を置くのはどうでしょうか』

 

「え?どうして?」

 

『理由は、

 

まず、マスターは戦闘経験が低いので今戻っても恐らく敗北します。

 

そして2つ目は、束さんとクロエさんへの恩返し。

 

最後に3つ目、この星で、T-ENG(サーマルエナジー)の反応を感知しました』

 

「え?嘘でしょ?だって…『スブリマトゥム』は父さん達が止めたはずじゃ」

 

「あ、そうだ。ギンギラちゃん、まだそのサーマルエナジーの詳しい話聞いてないんだけど」

 

『では、T-ENG(サーマルエナジー)について説明しましょう。

 

T-ENG(サーマルエナジー)とは、EDN-3rdに開拓者達が移り住む前からその星に生息していた原住生物のAK(エイクリッド)の体内に蓄積されているエネルギーの事です。その特性は、消費が通常の化石燃料より遥かに少なく、入植初期から比べると、作業等の効率は飛躍的に良くなっています。

 

しかし、もう1つの特性が体内から排出された後、すぐに霧消しやすく、当時は研究が困難とされてきました。しかし数年前に発見されたAK(エイクリッド)の化石により研究は急激に早くなっています。

 

そして、『ハーモナイザー』と言う装置を通じて、人間の体内にT-ENG(サーマルエナジー)を循環させる事で、身体機能を活性化させる効果もあり、体力の回復等も行えるので開拓やAK(エイクリッド)との戦闘で大いに役立っています。

 

更に、人間の体内で循環させ、高める事により発動するるEX-T(エクスサーマル)ブラストと言う技もあります。

しかし、これは個人差があるのでまだ研究は不完全です。

 

これが私から話せるT-ENG(サーマルエナジー)の全てです』

 

ギンギラの話が終わり、少女は少し前に習った予習の様な感覚で所々考えながら聞き、束は目を輝かせ全力でノートに、聞いた内容とそこから考えられる考察等を書き込みながら聞き、クロエは静かに寝息をたてていた。

 

「凄い、凄いよ!!これが地球の外の…EDN-3rdの技術!これを私のISに搭載出来れば、ちーちゃんといっくんと箒ちゃん、そして私の夢が叶う!ねぇギンギラちゃん、その技術を教えて!私にはその技術が必要なの!」

 

興奮気味にディスプレイに寄る束に対してギンギラは冷静に、そしてなだめる様に登録された音声で声を発した。

 

『それは出来ません』

 

「どうして?!少しぐらいいいじゃん!」

 

「束さん、私も教えたい気持ちはありますけど…でも、それはNEVECの規則で禁止されてるんです。

 

[T-ENG(サーマルエナジー)の情報は、基礎知識以上の事を関係者以外には決して口外してはいけない。]

 

もしこのルールを破ったら、私は本当の意味でアカデミーに戻れなくなる。

束さんには本当に感謝してます…でも、これだけはダメなんです。もしこの技術が悪用でもされれば、この星も危険なんです。T-ENG(サーマルエナジー)はそれ程までに危険性を孕んでいます。だから、ごめんなさい」

 

申し訳なさそうに頭を下げる少女を見て、束は我に返った。そして急に慌て出して全力で手を振り誤魔化しながらもう一度口を開いた。

 

「あぁ、ごめん!別に、好奇心とかが抑えられなくなってただけだから!ごめんね?…えっと、そういえば名前聞いてないような?」

 

「「あっ」」

 

束の声で目が覚めていたクロエと少女は声を合わせて心の中で「完全に忘れてた」と思いながら声を出した。

 

『私の自己紹介は先程終わらせました。後はマスターだけです』

 

ギンギラの言葉を聞いて、束とクロエが少女の方を向くと少女は多少たじたじしながら、口を開いた。

 

「えっと、紹介が遅れました。私は

 

『ステラ・ターナー』です!」

 

 


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