インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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始まりの始まり Ninth Episode

 

 

「んん、あれ?私なんで家に、ん?なんで皆そんな顔してんの?」

 

『マスター、気分は如何ですか』

 

「え?別に問題無いけど」

 

「ステラ、お前はパーティの途中で倒れたんだ」

 

千冬にそう言われ、ステラが周りを見回すとリビングにはクリスマスの装飾がされていた。

 

「そうだったんですか?すみません、迷惑かけて」

 

(あれ?でも私、鈴と一緒に買い物してた様な…)

 

…………………………………………

『嫌だっ、助けてくれ!』

 

『もう許して下さい!すみまゴァッ?!』

 

『ハハハッ!アハハハハッ!まだ、だよ?』

…………………………………………

 

(え?これ、何?)

 

「ステラ、どうかしたか?」

 

「え?あ、いや何でもないよ」

 

「しっかりしなさいよ、ステラ。パーティーはまだ続くのよ?」

 

「ていうか、なんで束さんとクロエさんに蓮さんがいるの?」

 

「いやぁ、ちーちゃんに会いに来たらたまたまパーティーしてたから参加しちゃった♪」

 

「私は束様が行かれる様でしたので、ステラ様のお顔を久しぶりに拝見しに来ただけですよ」

 

「私は弾と蘭の様子を見に来たのよ。そろそろ帰るわ」

 

蓮の言葉にステラは残念そうにして、先程の違和感を振り払うように笑顔で蓮に向き直した。

 

「え?蓮さんも一緒にパーティーしましょうよ」

 

「いいの?ならお義父さんに連絡しなきゃ」

 

ステラと蓮の会話が終わった所で、一夏がソファーから立ち上がりステラの肩に叩いた。

 

「さて、ステラ。あと少し料理残ってるからちゃっちゃと作ろうぜ」

 

「うん!わかった」

 

二人はそう言ってテキパキと調理の準備を始めた。

 

「なら、私もお礼にうちの今度出そうと思ってた特別メニューを作るわ。厨房借りるわね」

 

「それなら私も手伝う!」

 

蓮はどこから取り出したのか大きなフライパンを使って料理を始め、蘭はそのサポートを。

 

「なら俺はコーヒーでもいれるか。弾、手伝え」

 

「ういーす」

 

「それじゃあクーちゃんとリンリン、私達は持って来たケーキ飾り付けでもしようか」

 

「そうですね」

 

「はい!」

 

「なら、私は皿でも出すか」

 

そうやってそれぞれパーティーを楽しむ為に準備を始めた。

 

まるで心に残る不安を掻き消すように。

 

しかしその中にステラは含まれていなかった。

 

「最後の料理完成!」

 

「イェーイ!」

 

「こっちも出来たわよ」

 

「久しぶりに良い汗かいた!一夏さん!いっぱい食べて下さいね!」

 

「どうだい!この束さん達特製盛り付けケーキは!」

 

「ふぃー、疲れたー」

 

「二人ともお疲れ様です」

 

7人がそれぞれ準備を終わらせリビングに集まって来た時、リビングにはコーヒーの香りが部屋を包んでいた。

 

「こっちは後少しで淹れ終わる」

 

「数馬ってコーヒー作るの上手いんだね。初めて知った」

 

「あれ、そうだっけ?なら飲んでみた方がいいわよ。数馬のコーヒーマジで美味いから。弾も美味いけど二人とも癖があるのよねぇ」

 

「まぁ、数馬は無糖派で弾が甘党だからな」

 

「二人とも、そこまで二人にそっくりなんだ…」

 

「束さん、何か言いました?」

 

「へっ?あ、いや何でもないよ」

 

「そんな事より、早く始めないと時間も無いぞ」

 

「え?あ、ホントだ!皆始めよ!料理が冷めないうちに!」

 

「そうだな」

 

そう言ってステラ達はパーティーに興じた。

そして、パーティーが終わりそれぞれ帰路についていた時に全員が心の底で一つの事を思っていた。

あの事をステラに気付かれていないか、だ。

 

そして、織斑家の庭には千冬、束、蓮の3人が集まっていた。

 

「弾と蘭には少し遅れて帰ると言ったから大丈夫よ。それよりこれの使い方を教えて」

 

「ちーちゃん、お願い」

 

束に促され、蓮の前に出た千冬はポケットからトリガーを取り出して胸のあたりで構えた。

 

「トリガーオン」

 

千冬がそう呟くと、千冬の足先から順に変化して行き、そこには黒いコートを羽織り両腰に弧月を1本ずつ携えた千冬の姿があった。

 

「これがトリガーの使い方だ」

 

「ありがとう、それじゃあ」

 

「トリガー、オン」

 

蓮のその一言で掌の中のトリガーは起動した。

 

その姿は千冬とは違い、黒いコートでは無く赤いパーカーだった。

 

「へぇ、これが。それで武器は?」

 

「そのトリガーはちーちゃんの戦闘データを元にして作ったの。サイズも形状も自由自在で、体のどの部位からも出せるよ。でも弧月より強度は落ちるけどね。名前はスコーピオン」

 

「それと、射撃武器も付けておいたよ。ハンドガンタイプだけど、威力は保証するよ。オプションで鉛弾(レッドバレット)っていうシールドエネルギーに反応してそれを重りに変える能力も射撃武器に付けたから」

 

蓮はその言葉を聞いて、静かに拳を握った。

 

「ありがとう。これでアイツを殺せ「それはダメ」…どうして?その為の力でしょ?」

 

「違うよ。これはアイツを止める為の力だよ。

 

れーちゃんはじゅんくんを殺された恨みで選択が極端になってるんだよ!」

 

「じゃあ何!?復讐出来る力があるのに、貴方はそれを使わずにいられるの?!」

 

「違う!そういう事じゃ無くて!」

 

「そうよね!貴方には分からないわね!間接的にも貴方が殺した様なものだからね!」

 

「…え?」

 

「そうでしょう?貴方がアレを完成させなければ…

 

 

貴方が『ベリアル』なんて作らなければ純も荘吉も『あの子』も死ななかったのよ?!貴方が殺したも同然よ!アイツの研究に協力した貴方も人殺しよ!」

 

「黙れ」

 

蓮が束に対する尚も糾弾の言葉が止まりそうにないと感じ、千冬は腰の弧月を引き抜き蓮の首に突き付けた。

 

「お断りよ」

 

「っ?!」

 

そして、それと同時に蓮は手を横に振り上げ指の先端からスコーピオンを出して千冬と同様に首に突き付けた。

 

「ここでやり合ってもいいわよ?」

 

「二人ともお止め下さい。ここは市街地ですし、それに、お二方の内どちらかでも傷つけば少なくともお二方の家族が悲しみます」

 

二人の間に殺伐とした空気が流れたが、そこに現れたクロエがひとまずその場を鎮めた。

 

「………ごめんなさい、冷静さを欠いたわ。束、言い過ぎたわね。ごめんなさい」

 

「私もすまない。咄嗟とはいえ友に武器を向けるとは」

 

「れーちゃん、その…」

 

「復讐は当分見送りね」

 

「え?」

 

「私にはまだ実戦経験が少なすぎるわ。ある程度使いこなせる様になるまで『私達の』復讐は始めない。それでいいかしら?」

 

「うん!ありがとう!」

 

蓮の言葉に束は理解を得たと思い嬉しくなって抱きつこうとした。しかし、蓮はそれを受け流した。

 

「でも、貴方の事を許した訳じゃないから」

 

「……うん、分かってる」

 

「そう、それならいいわ」

 

蓮はそう言ってトリガーを解除し、その身を翻し夜の街並みの中に一人帰路についた。

 

そしてその背中を3人は視線で見送った。

 

 




いやぁ、クライマックスファイターズ欲しい!
そもそもPS4持ってないぃ!
よし、お年玉で買おう。

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