逆行したTSヒカルは頑張ります   作:アキラ天狗

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5.囲碁教室

翌日、幼稚園にてヒカルはあかりを囲碁教室に誘う。

ヒカルと一緒に行きたい!とあかりは了承。

帰宅後、あかりの母親と美津子が電話で連絡を取り合っていた。

 

「ヒカル、あかりちゃんも誘ったの?」

「うん。あかり昨日初めて囲碁したんだけど、すごく楽しそうだったんだ。オレもあかりと打ちたい」

「そう…。あかりちゃんがいいならそれでいいんだけど…」

なんとも言えない顔をする母親見て苦笑してしまう。

さすがに4歳児が幼馴染誘って囲碁教室はないよなぁと思うが、佐為のため。

佐為の言うことを少しでも聞いてあげたい。

そして正直あかりといる時間は心が落ち着いている。

ヒカルはそう考えながら日課になりつつある物置部屋に直行し、佐為と打つ。

 

 

 

「いよいよ明日だな。囲碁教室。佐為、手加減して打ってくれよ?でないとオレ神童とか言われちゃうぞ。神童ヒカル。うわ、ダジャレかよ」

『クスクス。神童ですか、面白そうですね』

「やめてくれよ~」

 

頭を抱え込むヒカルに佐為は笑い、そんな佐為を見てヒカルも笑う。

続きを打ちながら明日を楽しみにする二人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日、ヒカルとあかりは平八に連れられて囲碁教室に来た。

「こんにちは。白川といいます。ヒカル君とあかりちゃんだったね。どうして碁に興味を持ったの?」

(白川先生変わんないなぁ。あの時と同じ事言ってる!)

「わたしはヒカルにおしえてもらってようちえんでうったの!しろとくろをならべていくのおもしろかったから!」

「へぇ、あかりちゃん、ヒカル君に教えてもらったの?ヒカル君はおじいさんに教えてもらったのかい?」

「ううん。えーと、テレビで見て面白そうだなーと思って。新聞とかに載ってる碁のコーナー見て覚えた」

 

『ヒカルの嘘つき』

「(おかげさまで)」

ヒカルと佐為は顔を見合わせて笑う。

 

「先生、この子は才能があります。わしは町内大会で優勝する実力なんじゃが、3子置かせて打ったらわしが負けたんですわ」

「3子で勝った?4歳の子が?」

「そうなんです。確かに最初は指導碁でもしようとしたが、途中からは本気になって―――いくら置石ありとはいえわしに勝った。とんでもない才能の持ち主だと思うんですわ」

「………ヒカル君。本当にテレビと新聞だけ見て覚えたのかい?」

「うん。そんで打ってみたくてこないだじーちゃんと打ったんだ!」

「………今から僕と打ってみようか」

「いいの!やったぁ!」

4歳児らしく演技をして碁石を持つ。

「あかりちゃんは今から打つのを見ていてくれるかい?」

「はーい!ヒカルがんばってね!」

「おう!先生、置石3つでもいい?」

「いいですよ」

ヒカルは拙い手つきで石を置いていく。

それを期待した目で見る平八とあかり。

 

「(佐為。手加減して打てよ?)」

『はい!でもいいんですか?私が打って』

「(前にも言ったろ?オレは佐為の打つ碁が見たい。オマエをもっと知ってもらいたい。佐為の凄さを秘密にしておきたくない)」

『…わかりました。では遠慮なく打たせていただきますね』

「(オレには遠慮なくていいけど今は手加減だけは忘れるなよ~)」

先日の平八との対局を思い出し佐為に釘を打つ。

『なるべく頑張ります♪』

「(佐~為~…)」

そんな二人のやり取りを知る由もない白川は、白石を盤上に打った。

「(行くぜ!佐為!)」

『はい♪』

 

 

 

 

 

「…ここまでにしようか」

30分も経たずに白川が声を発する。

まだ序盤も序盤なのに驚いて白川を見つめる。

「ヒカル君。君は凄い才能を持っている。よかったら僕がいるプロの研究会に来ないかい?」

「えっ」

突然の誘いに驚愕するヒカル。

だってそうである。

ヒカルはまだ4歳なのだ。

今の碁も佐為はかなり手加減して打っていた。

例えるなら棋力は中一の囲碁部の大会の時のヒカルほど。

だからまさか研究会に誘ってもらえるとはヒカルも佐為も思っても見なかった。

動揺して言葉を発せずにいると、祖父が興奮した様子でヒカルを撫でる。

「すごいじゃないかヒカル!プロの集まりに呼んでもらえたんだぞ!」

「ヒカルってすごいの?」

「ああ、あかりちゃん。ヒカルは凄いんだ!」

「わぁヒカル!よかったねぇ!」

「う…うん」

 

ヒカルは戸惑った。

小学生になるまでは大人しくしているつもりだったから。

それが白川のいる研究会に誘ってもらえたから。

「(佐為、どうする?)」

『ヒカルが良いのでしたら是非行きたいです!』

「(わかった)…先生、よろしくお願いします。あ、でも教室も来ていい?あかりと打ちたい」

「もちろん。ヒカル君がいいのなら」

「あかり、毎週一緒に教室いこーな!」

「うんヒカル!」

 

 

 

 

次の火曜日、棋院で行われる研究会に参加することに決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思ったより早く研究会に参加できたな~」

囲碁教室から帰宅後、日課になった物置部屋での佐為との対局を開始する。

『そうですねぇ。ふふ、ヒカルも嬉しそう』

「そりゃこんなに早く先生達に会えるからな。和谷ってもう先生の弟子なのかな。5歳の和谷か、想像できねぇ」

クスクス笑い合う。

「今のうちに外堀を固めていけば、プロになる時にお母さんもうるさく言われないだろうな。オレがプロの研究会に行く事になったってじーちゃんが色々広めてたし」

『前の時はヒカルが何も言わなさすぎだったんですよ~』

「確かに…。今回はちゃんとお母さんに伝えていこう…」

 

一度打ち終え、碁石を碁笥に片付ける。

「しかしよく考えたら4歳児の打つ碁じゃねーな。まぁいいか」

『神童でいいじゃないですか。楽しみましょうね!』

「ああ!」

 

 

 

美津子に怒られるまで二人は対局を楽しんだ。

 

 






ヒカル(佐為)無双が始まります。
和谷はまだいません。

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