ZZZZさん、さんたつさん、ふまるさん、誤字報告ありがとうございますm(__)m
ものの一ヶ月でここまで来れたこと、皆さんへ何よりも感謝を。
いよいよ始まった宇宙最強決定戦!
今回はそれに続くコルド大王とクリムゾン、フリーザとラディッツの戦い!
本編をどうぞ!
レッドリボン軍がフリーザ軍を圧倒し、桃白々がギニュー特戦隊を蹂躙している頃。
人里離れた荒野にて、五人の人影が対峙していた。
「……へえ、あのときのナメック星人じゃないか。ずいぶんと自信をつけたみたいだけど、どう料理してあげようかな」
すでに最終形態──本人からすれば本来の姿に戻っているフリーザは機械化された腕と尻尾を見せつけながらピッコロを笑顔で睨む。機械の義眼が宿す冷たい光がピッコロを見つめるが、ピッコロはそれをまるで意に介さず睨み返す。
「料理されるのは貴様だということを、よく覚えておくんだな」
「フ、フフフ……! よく吠えるねまったく……!」
その態度にこれまで抑えてきた怒りが吹き出しかけるフリーザ。しかしそんな二人の前にラディッツが躍り出る。
「……ピッコロ。こんな状況で言うべきことではないのは重々承知しているが、俺とフリーザの戦い。どうか手を出さないで欲しい」
「なんだいラディッツ。まさかこの僕を相手にたった一人で戦いになるどころか、勝つつもりでいるのかい?」
フリーザは嗤う。“弱虫ラディッツ”と呼ばれた生き残りのサイヤ人でも最も直接戦闘からかけ離れた男が自分を倒すと言い切ることに。
「ああ、そのつもりだ。……父の……母の……そしてダックの仇。お前にはあまりに多くのモノを奪われてきた。だが俺はもう逃げん! ここで決着をつけるぞ、フリーザ!」
万感の思いを込めてラディッツは超サイヤ人へと変身する。
長い長髪を金色に変化させ、荒々しくもどこか落ち着いた雰囲気を漂わせて。
「なるほど、超サイヤ人か。たしかにそれだけのパワーがあるなら、この僕を倒せると言い切るのも過言じゃないんだろうね。……でも、それは
フリーザもまた、自身の戦闘力を解放する。
ラディッツの黄金の輝きに匹敵するほどの紫紺のオーラ。
禍々しくも強大なそれを浴びながら、不思議とラディッツは安堵していた。
それに気づいたフリーザが、どこか訝しげな視線をラディッツへと寄越す。
「ふっ、安心したぞフリーザ。過去お前に恐怖した俺だが、弱いものいじめをすることになるんじゃないかと内心ハラハラしていたんだ」
ラディッツは嗤う。フリーザを見下すかのように。
その姿に、フリーザはほんの一瞬だが自身の前にかつて立ちふさがったサイヤ人の姿を思い起こす。
「生意気だよ、ラディッツ。きえっ!」
フリーザは目の前のラディッツを相手に超能力を発動し、彼を大きく吹き飛ばす。
ラディッツは飛ばされる一瞬クリムゾンと視線を交わす。互いの勝利を信じて。
そんなクリムゾンだが、彼は今の状況に焦燥感を抱いていた。フリーザ一族で最も警戒すべき相手、クウラがいないことに。
──その時、ターレスの気が急激に下がっていくのを全員が感じる。
「悟空、ピッコロ。ここは
「……わかった。死ぬなよ親父!」
「クリムゾンのあんちゃん! 任せたぞ!」
今日ここに集まった同士に余計な言葉はいらない。お互いが信頼しあっているからだ。
そして今、クリムゾンの周りに三人の強力な護衛がいることはピッコロも悟空も知っている。
クリムゾンはそのことを気づかれないよう、極自然にコルド大王を見上げた。
「それで? 最もか弱い貴様が、ワシに何を見せてくれるのかな?」
まるで子供に問いかけるかのように、コルド大王が口元を歪めてクリムゾンを見下ろす。
しかしクリムゾンはそのことにまるで臆せず、同じく笑みを浮かべてこう言った。
「レッドリボン軍の力を思い知らせてやろう」
それを聞いたコルド大王は、クリムゾンが自信満々に言ってのけたのがよほどおかしかったのか、大笑いし始める。
「フフ……! フッハッハッハッッハ……! 面白い、実に愉快だぞ貴様! どうだ、今なら道化として貴様を飼ってやってもいいぞ? ククッ……!」
角を含めれば三メートルはあるコルド大王は、巨体を揺らしながら体を傾いでクリムゾンを煽る。
「それでは遠慮なく味わっていただこう。やれ、少佐」
「うごぉっ!?」
突如としてクリムゾンの横から現れた手が、傾いだコルド大王の腹にヒットし巨体を殴り飛ばす。
予期せぬ攻撃にコルド大王は無防備に吹き飛ばされ、巨岩をいくつも破壊しながらどうにか止まる。
「な、なにが起きたのだ!」
ずくりと痛む内臓のダメージを無視してコルド大王は立ち上がる。見ればいつの間にか特製のバトルジャケットは砕け、肌が露出していた。
「……光学迷彩という言葉をご存じかな、コルド大王」
なにもない場所からするりと現れたのは、灰白色の長髪の男。“RED RIBBON”と書かれた帽子を被り、両耳には小さなリングピアスを着けている。
「
灰白色の男が名前を呼ぶのと同時、同じく何もない空間から青白い肌をした辮髪の大男が現れ、両腕を広げた低姿勢からコルド大王の巨体を一気に掴まえる。
「ぬぅおおお!?」
「コルド、大王!」
コルド大王の名を一言叫び、14号は力任せにその巨体を運んでいく。どうやら強制的に戦場を移す算段のようだ。
高速で飛んでいくコルド大王と14号を見送ると、13号は一度クリムゾンの方向を振り返る。
そのまま13号はクリムゾンへ向けて不器用な敬礼を見せると、自身もまた14号が飛んでいった方向へと飛んでいった。
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ここはレッドリボン軍本部地下にある、人造人間を開発しているドクターゲロの専用ラボ。
そこでいよいよ人造人間が起動し、この先に待つ戦いへと投入されようとしていた。
クリムゾンは『13』と書かれたカプセルが開くのを待つ。
やがてそこから現れた灰白色の長髪をした男はクリムゾンの方を向くと、どこか不器用な敬礼をして話し始める。
「
その言葉にクリムゾンはわずかばかりに眉をしかめると、すぐに人造人間13号から視線を外して次の人造人間の起動を待つ。
「……おやおや、連れませんな
ニヒルに口元を歪めて笑う人造人間13号。クリムゾンは彼から呼ばれた“大佐”という言葉に反応し、彼へと振り向くと口を開く。
「……貴様への貸しは、まだ全て返してもらっていないぞ。グレイ少佐」
「おや、そうおっしゃるクリムゾン大佐こそ、約束をお忘れで……?」
二人はしばしお互いを見つめ微笑むと、互いに勢いよく腕相撲するような姿勢で握手を交わす。
「よくぞ戻った、グレイ少佐……! 体に不具合はないか?」
「今のところすこぶる好調ですな。文字通り、生まれ変わった気分ですよ」
今回人造人間13号として起動した男は、以前の名前をグレイという。
最終階級は少佐であり、クリムゾンの部下として働いていた過去を持つ。
しかし最後の任務で敵部隊からの砲撃よりクリムゾンを庇い、生きているのが不思議なほどの重傷を負ってしまい集中治療室での入院を余儀なくされていた。
クリムゾンが総帥となってから意識を取り戻した彼は、クリムゾンより提案された人造人間への改造手術に同意。
自身の肉体をベースに改造を受け、脳改造に伴う記憶の消失も人格コピーと呼ばれる一度データ上に記憶を移す方法によって回避することに成功した。
ちなみにこの人格コピーによる記憶消失のリスクは高く、最悪の場合記憶野の初期化を招くことになりかねない。
しかし成功率3パーセントと言われたこの方法を潜り抜けたことによって、クリムゾンは得難き味方を再び得ることに成功した。
「それで、当面の任務は何になりますか?」
「しばらくはそのボディに慣れるための訓練を命じる。二ヶ月……いや一ヶ月で万全にしろ。それとこれからお前につける部下を紹介しておこう」
そう言ってクリムゾンは待機していたカプセルを開かせ、そこから出てきた対照的な二人を紹介する。
「人造人間14号と15号だ。どちらもパワーはお前と変わらんが、人格コピーをしたわけではないから予め搭載した戦闘コンピューターに従って戦闘することになる。こいつらの完熟訓練も任せる」
「了解です、大佐殿」
カプセルの前に立つ人造人間14号。青白い肌をした辮髪の筋肉質な大男である彼は、改造前の名前をモスグリーン中尉という。
レッドリボン軍の威光を笠に着て、とある基地近くの町で恐喝、強姦と好き放題やらかしたあげく、それに抵抗した住民四人を殺害。その凶暴性から改善の余地なしと断じたクリムゾンは、彼を人造人間へと改造する際に一切の記憶を消去させた。
代わりに達人らの戦闘データをプログラム化したものを複数取り込ませ、動きだけならかつての彼を想像できないほどに練磨された存在ができあがった。代償として目標に設定した相手の名前しか叫べない不良が発生しているが、作戦行動に支障はないためそのままになっている。
続いて人造人間15号。彼もまたレッドリボン軍の恥部であり以前の名前をパープル少尉という。
彼が行ったのは違法な賭博。上官らを抱き込み、逆らえない立場にある兵士から次々と金を巻き上げて巨額の財産を築き上げた。遂にはその金でカジノまで築いたが、そこが運の尽きだった。
潜入捜査を行ったクリムゾン大佐によってギャンブルでは大敗。カジノはメタリック軍曹によって物理的に破壊された。
その後さらに余罪が発覚。無理矢理借金を負わせた女性兵士への強姦、真実を話そうとした兵士の殺害などが次々と判明しモスグリーン中尉と同じく人造人間への改造素体となることが決定した。
改造後の姿は肌の色が紫へと変わり、肉体の大半を機械化された。その割合は殆ど生身が残っていないほどと言ってもよく、脳さえも残っていない為もはや彼を彼として証明するものは表面的な肉体のみにすぎない。
そして一見して小兵といえる彼がなぜ、人造人間として選ばれたか。これは人造人間改造に伴う適正が関係している。
13号のような例外はともかく、大半の人造人間はまずその適性を調べられる。機械化した際の拒否反応、体内にエナジーサイクルシステム、いわゆる気を扱う機能を取り入れる為の脳改造。これらを確立する為に犠牲になった人間は百人では利かない。
その大半は前述したような犯罪者らが大半だが、レッド総帥の時代には適性があったというだけで誘拐され結果的に死んだ人間も少なくない。
クリムゾンは当然そのことを知っている。犠牲になった186人全ての顔と名前を記憶している。
彼が総帥となってからも誘拐は一度だけ行われた。双子の男女。手がつけられない悪童として知られていたその二人を、クリムゾンは彼らの家族から依頼されて誘拐した。“殺してくれて構わない”とまで言われて。
彼ら二人が目覚めるのはまだ先になるとドクターゲロは言う。今はまだ冷凍睡眠の状態で眠り続けているだけだ。
「……ここに眠っている18号までをいずれお前に預ける。ひとまずは、この二人を引き連れて今度の戦いに出向いてもらうぞ」
クリムゾンは先を見据える。いずれこの幼ささえ残る男女がかつて見た悪夢のようになるならば……そのときは彼自身が始末をつけると覚悟して。
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時折飛んでくる流れ弾のごとき気弾を、人造人間15号が両掌に搭載されたバリア発生装置で防ぐ。
「派手にやっているな。コルド大王は本来の姿に戻ったか。……では、こちらも用意させてもらうとしよう」
クリムゾンはホイポイカプセルを取りだし、展開した大型のコンテナから次々と部品を運び出す。
突然守備範囲が広がったことに15号が慌てるが、クリムゾンは取り合わない。
「さて、せっかくの規格外が相手なんだ。俺もしっかり相手してもらうぞ、コルド大王」
クリムゾンは対化物大口径電磁狙撃銃“シャーリーン”の組み立てを始めながら、不敵に笑った。
今回は人造人間13号の過去をほんのわずかに仄めかすような内容になりました。
このドラゴンボールR。実は初期案のいくつかに人造人間13号を主人公としたものがありまして、グレイ少佐というのはそのときの名残になりますね。
え? 少佐と大佐が揃いも揃って前線で敵の砲火にあってるとかどういう状況って?
こまけーことはいいんだよ!(松田感)
これ↑のAAとかあるけど、元ネタがブラックエンジェルズって知ってる人どれくらいいるんだろ(´・ω・`)
※指摘があったのでパープルの階級を少尉にしました。