そして皆さんからの評価、お気に入り、感想に感謝をm(_ _)m
おかげで原作カテゴリー『ドラゴンボール』にて日刊総合評価、月間総合評価、四半期総合評価、年間総合評価、相対評価においてトップページに表示されるようになりました。
今後もみなさんを楽しませる独自のドラゴンワールドを描いていきますので、今後とも応援のほどよろしくお願いします。
では前書きをどうぞ↓
いよいよ始まったサイヤ人襲来。ところが原作よりも遥かに強くなっていたはずの戦士達はあっさりとナッパに蹴散らされてしまう。
その上ピッコロ、ラディッツ、悟空の三人を前にして余裕を見せるべジータ。彼が秘める切り札とは……!?
そしてこの状況でもなお余裕を見せるクリムゾンには何か秘策があるのか……!
たまにはこういうのもいいだろうと↑↑↑いかにもなあらすじを書いてみました(´・ω・`)
「がはっ……!!」
ラディッツは懐に入られたべジータの一撃を受けて思わず膝をつく。
とどめを刺そうとするべジータへ、今度はピッコロが飛びかかるが先程と違い全力の状態で戦っているにも関わらず、そんなピッコロをもってしても
そう、
「ちくしょう……! か、勝てねえ……!!」
「諦めるな孫! 絶対に逆転の目はあるはずだ……!!」
すでにべジータに打ちのめされ、全身の骨を砕かれた悟空がうつぶせに倒れながら悔しさに叫ぶ。
不意打ちを仕掛けた三人だったが、それは何の意味もなさなかった。
自分の肉体を盾に作戦を成功させようとしたラディッツは一撃で殴り飛ばされ、悟空はカウンターの形で一撃をもらい撃沈。ピッコロもすでに何度か重傷を負っては再生を繰り返し、じわじわとなぶり殺しにされつつある。ヤムチャの援護によって他の戦士から分けられた仙豆も用いているが、完全にじり貧となっていた。
その後も何度か挑んだが、金色のオーラを持つ
そんな悟空を励ましながら、ピッコロは再生能力ともっとも高い基本戦闘力を活かしてべジータをどうにか抑え込もうとしている。
「だだだだだっ!!」
20メートルほどの中距離から無数のエネルギー弾を発射するピッコロ。大半が外れていくそれを馬鹿にするようにべジータが見下している。
しかし、ピッコロの狙いは別。やがて以前悟空を包囲したエネルギー弾の包囲網が出来上がると、ピッコロはべジータから離れる。
「ふっ、面白い技だな。それでどうするというんだ」
「くたばれっ!!」
逃げる素振りすらないべジータにせめてダメージをと、以前放ったときよりも遥かに気を込めた魔空包囲弾が次々とべジータへ命中し滞留するエネルギーは大爆発を引き起こす。
その間に、ダメージを負ったラディッツと悟空の元へやってきたヤムチャが二人を回復していた。
「すまんな悟空。仙豆だ、食えるか?」
ヤムチャはピッコロとべジータの戦いから二人を連れて離れると、ラディッツの傷を回復し始める。内臓にまでダメージが及ぶ重傷ではあったが、幸いにもヤムチャの技で癒せないほどではない。
ヤムチャが他者を回復させている技は、ナメック星人の回復技を自分なりに真似たものだ。回復に即効性はないものの、骨折や打撲程度ならあっさり治せる程度には優秀な能力である。
「……ぐっ、でえじょぶだ。助かったぞヤムチャ。けど、仙豆はあといくつ残ってる?」
「……残りひとつだ。次に誰かが致命傷を負えば、その後はもう治すことはできない」
思った以上に追い詰められている現状に悟空もラディッツも顔をしかめる。
ならばとピッコロの方を振り向けば──そこにはあっという間にボロ雑巾のようになったピッコロが宙を浮くべジータに首を掴まれていた。
「ピ、ピッコロ……!!」
ラディッツは自分達の代わりに散々痛め付けられたのであろうピッコロを見て怒りが込み上げる。
それに伴い膨れ上がった彼の戦闘力が復活によるパワーアップと相まってべジータの興味を引く。
「ほう! いいぞ、近頃は相手になるのがいなくて飽き飽きしていたんだ! さあ、もっと俺を楽しませろぉ!」
飛来するべジータを相手に、悟空は切り札である20倍の界王拳を繰り出す。
「でやあああっ!!!」
急激に上昇した悟空の戦闘力に面食らうべジータだったが、それでも彼の優位は揺らがない。
そんなときだった。
ターレスがクリムゾンを人質に、悟空達へ抵抗をやめるように迫ったのだ。
「ほれほれ、ちゃっちゃと抵抗を止めな。こいつの頭を吹き飛ばされたくなければな」
頭に手を当てられ命の危機にありながらもクリムゾンの不遜な態度は変わらない。
しかしそれを見たラディッツも悟空も、べジータとの戦闘を止めてしまう。
「ターレス! 貴様余計なことをしやがって!」
「いいじゃないですか、べジータ様。何事も効率よくですよ」
ニヤニヤと笑うターレス。見れば、ナッパと戦う桃白々も手を止めてしまっている。ボラはすでにやられてしまったのか、仰向けに倒れたまま動こうとしない。
ナッパはこの隙に目の前の奇妙な男を殺そうかとも考えたが、勝負に水を差したことで殺気立つべジータの怒りを受けたくないことから大人しくしている。
彼がこれまで癇癪を起こしたときに犠牲になってきた面々を考えれば、ここは大人しくしている方が正解だからだ。
しかしそんな状況で、クリムゾンは口を開いた。
「ラディッツ、悟空。どうした、お前達の力はそんな程度か? これまでの修行は、そんな程度の力しか出せないのか? 違うだろう! これは試合じゃない! そこの男による侵略だ! 万が一お前達が負けるようなことがあれば、チチも、悟飯も、俺の家族も! 皆死ぬことになるんだぞ! そんなこともわからないのか!」
クリムゾンの怒声が荒野に響く。ターレスはそれを無表情に黙って聞いている。
「……サイヤ人から力を引き出すにはいくつか方法があるのを知っているな。死にかけて復活することによってパワーアップすること。厳しい環境に身を置くこと。それに加えて、実は教えていなかったもうひとつの方法がある」
クリムゾンは人質に取られていることなど気にせず、腰から愛銃であるデザートイーグルを取り出し自身の頭に突きつける。
「……それは、精神の解放だ。怒りであれ、悲しみであれな。俺なんぞの死でそのきっかけになるかはわからんが、どうかこんなところで負けてくれるな。ラディッツ……娘を、家族を頼んだぞ」
クリムゾンは以前チチから、悟飯が潜在的に持つパワーの相談を受けていた。
癇癪を起こす度に周囲のものを破壊しかねない悟飯は、結局ラディッツと同じようなデザインのパワーを制御する『禁箍児』なるものを取り付けることになったのだ。
そのときドクターゲロと行った経過観察から激しい感情の高ぶり。特に抑制されている一定の感情が噴き出したときに、サイヤ人の細胞が超パワーを発揮していることに気づいていた。
とはいえ、いい大人であるラディッツや悟空が感情を解放するなど生なかなことではない。
しかしだからといって誰かが死ぬまで隠れているべきなのか。
否である。
このままでは程なくして戦士らは全滅するだろう。
であるならば、戦力を見誤った責任を取る意味でも、保険があるという意味でも、この場で死ぬのに相応しいのは自分しかいないと、クリムゾンは結論付けたのだ。
「ま、待てクリムゾン!!!」
しかしラディッツの制止も空しく、クリムゾンは容赦なく自身に向かって引き金を引いた。
それは空砲でもなんでもなく、クリムゾンの頭を砕いて間違いなく彼の命を奪う。
脳漿をぶちまけ、鮮血が弾ける。力無く崩れ落ちる肉体が、まるで糸の切れた人形のように倒れる。
もはや仙豆でもどうしようもないだろう。
確実な“死”だった。
「そ、そんな……!!」
「まさかとは思ったが本当にやりやがるとは……大した男だ」
悟空が驚愕し、ターレスもまた返り血を浴びながら宣言通りにしたクリムゾンの覚悟に敬意を評する。
さきほどクリムゾンは、悟空、ピッコロ、ラディッツがべジータと死闘を演じている間にターレスへ取引を持ちかけていた。
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ターレスと至近距離で対峙したクリムゾンはわずかな時間でターレスという人間を分析していた。“この男には仲間に隠した暗い感情がある”と。
「……お前、あの男が嫌い、いや憎いだろう」
それは質問ではなく断言。そのことにターレスはやや顔をしかめながらも否定はしない。あの男とは、もちろんべジータである。
「仲間でも殺されたか。仇を取ってやりたくともヤツの方が強くて手が出せないといったところか……」
ターレスはまるで心を読んでいるかのようにすらすらと内心を解き明かすクリムゾンに寒気を覚える。
「貴様、俺の心を……!」
思わず構えるターレスだったが、クリムゾンはやはり物怖じしない。
「心なんぞ読まなくともわかるさ。お前が内心奴を憎んでいるだろうことが表情を見ただけで実に分かる。それだけわかりやすいんだ、大方あのべジータもお前の内心を知っていて
完全に自分を挑発するクリムゾンの胸ぐらをターレスは掴む。これ以上喋らせる前に黙らせるべきだと理性では判断しているのに、ターレスは目の前の恐ろしい男になにかを期待していた。
「俺がきっかけをくれてやる。ヤツを殺したければその時に動け」
「……何をするつもりだ」
「死ぬのさ、派手にな」
そう言った男の残った隻眼が、どこか生きることに疲れているように感じたのはターレスの気のせいだったのだろうか。
こうしてターレスはクリムゾンを人質に取った振りをして、彼が言うチャンスを待つことになる。
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ラディッツは打ちひしがれていた。
人生で二番目に出会った友だった。
家族を失った人生に、暖かさを与えてくれた男だった。
この男の為に戦うのならば悪くはないと、そう思わせてくれる男だった。
その男が、死んだ。目の前で。
ドラゴンボールを使えば生き返れるだとか。
そんなことはラディッツの頭にはなかった。
スカーレットになんと謝ればいいのか。
こんなことになるなら、はじめから連れてくるべきではなかったのではないか。
ぐるぐると回る思考が、弟であるカカロットの声で現実に引き戻された。
「兄ちゃん避けろー!!」
突き飛ばされたラディッツは、飛び出してきたカカロットの胸をべジータのエネルギー波が貫くのを見る。
「心臓にジャストミートだ! はっはっは! 楽しませてもらった礼だ、さっさと楽にさせてやるぜ!」
べジータが自身のエネルギーを高める。このままでは間違いなくラディッツもまた死ぬだろう。
(なぜだ……?)
ラディッツは自身が泣いていることに気づいた。
死にかけている弟を抱え、その涙が胸を濡らす。
(なぜだ……!?)
濡れた瞳を哄笑する声へと向ける。そこには金色の髪を宿した禍々しく凶悪なサイヤ人そのものの姿があった。
「きさまの……! きさまのせいかああああああああああッッ!!!」
──プツン──
「くたばれえ!!」
放たれたべジータの特大エネルギー弾は、仲間への遠慮など一切込められていない。そのまま直撃すれば、余波でナッパやターレスも死ぬだろう。
しかしそれを、ラディッツは迸る金色のオーラに任せて無造作にかき消した。
「俺の大切な
一瞬でべジータの元まで移動したラディッツはギリギリと万力のような力をこめてべジータの腕を力尽くでねじあげる。
「俺は怒ったぞっー!! べジーターッ!!」
もうひとりの伝説の戦士が、その姿を現した。
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カツン……カツン……
クリムゾンは暗い回廊を軍靴を鳴らして歩く。
カツン……カツン……
どこまで続くかわからない道だ。なぜ自分はこんな場所にいるのかと考え──自ら死んだことを思い出した。
「……そうか、俺は死んだんだったか。だが問題ない。一度死ぬことぐらいは想定内だ」
クリムゾンは自身がいつか戦いに巻き込まれ死ぬことを予期していた。それゆえ、すでに保険を用意してある。
騙すような形になったラディッツには悪いが、果たして戦いには勝てただろうか。
万が一勝てなければ、完成したばかりの人造人間13号を起動することになっている。
今回連れてこなかったのは、人間ベースの人造人間第一号である為か性格に難があったため命令に従わない可能性があったからだ。
しかしラディッツやピッコロをはじめとした面々が負けてしまえばそれも致し方なくなる。
そんな風に考えているクリムゾンの前に、不意に何者かが現れる。
自身とよく似た赤い髪の毛。対照的に低い身長。そして奇しくも同じになってしまった隻眼。
かつて自らの手で殺した男。レッドリボン軍初代総帥レッドの姿がそこにあった。
「何しに出てきた。悪いが俺にはまだ迎えはいらんぞ」
殺気すらこめてクリムゾンはレッド総帥を睨む。すると、どこから取り出したのか葉巻を咥えたレッド総帥は、そんなクリムゾンの様子を見てほくそ笑む。
『自分の企みが思うようにいかなくて、悔しいか?』
「……貴様に答える義理はない」
『そんなものはな、なにかを企む上で当然のことだ。人間誰しも失敗する。貴様も、私もな』
そう言って静かにクリムゾンを見つめるレッド総帥。その目にはかつてない穏やかさがあった。
『死んでようやくすっきりできた。お前の母親にも謝ることができた。礼を言う。よくぞ俺を殺してみせたな』
ニヤリと笑うレッド総帥に、クリムゾンは内心がひどくざわつく。
「俺は貴様を殺したことに一ミリの後悔も抱いてはいない。さっさと失せろ、亡霊め!」
クリムゾンは振り払うようにレッド総帥に向かって手を振ると、その姿はまさしく煙のように姿を消してしまった。
『……地獄は狭いぞ。こっちに来るのは、当分後にしておけ』
最後にそう一言言い残して、レッド総帥だった魂は消えていく。
クリムゾンは釈然としない思いを抱いたまま、意識を取り戻すのだった。
とりあえず断言できるのは絶対ここでラディッツ覚醒するのは予想されてなかっただろうなというね(´・ω・`)
自分も書いてたらこんなことになったのでびっくり。
流れ的には突然のクリムゾンの自殺で精神的に揺らいだところを、悟空が目の前で死にかけて覚醒といった感じです。わかりにくかったですかね( ̄▽ ̄;)
さて、今回あっさり自殺したクリムゾン総帥ですが保険を打っておいた為さっくり生き返ってきます。
感動を返せとか言わないでくだされ(笑)
まあドラゴンボールの世界だからできることですけどね。死生観メチャクチャなあの世界だからこそ、わざと死ぬという演出は生きると思ってます。