ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

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タイトルは“美味い食事と適度な運動”と読んでください(´・ω・`)

そして聞いてください!
まさかの丸焼きドラゴン師匠から主人公のイメージイラストをいただきました。超かっこいい。あとがきで挿し絵として紹介しますので是非見てください!!!

毎回サブタイトルには悩まされます。今回も説明に片寄りすぎてちょっとしたなぜなにナデシコになりそうだった(-∀-`; )
ナデシコ知らない人はテレビ版→劇場版と見て打ちのめされよう(°∀°)(笑)


第11話【成長】挿し絵有

選抜された七人は天界へと赴き、厳しい修行に取り組んでいた。

 

天津飯、クリリン、ヤムチャら三人は神が作り出した過去の幻と戦う特殊な部屋へ。

 

ボラは地球人の中で最も強者であると見抜いたヤジロベーを連れて決闘部屋へ。

 

ラディッツはピッコロがいない間の護衛として、桃白々と組手を行いつつクリムゾンからの総評に耳を傾けていた。

 

「たった3ヶ月で最低ラインに設定した戦闘力1000を超えられる者がこれほどいるとはな。正直、天津飯やクリリンらはともかく、他の連中は振るい落とされると思っていたぞ」

 

クリムゾンは天界の傍らで事務処理をしつつ、もはや自分が認識することすらできないレベルの格闘を行うふたりの達人を眺め呟く。

 

すると桃白々からカウンター気味に交差する一撃を受けたラディッツが大きく後ろにのけぞり、その体勢が崩れた瞬間を活かして桃白々が足元へと鋭い蹴りを放つ。

 

ラディッツはそれを重心を固定することで防ごうとするが、確かに下段蹴りを放ったはずの桃白々の脚は気づけばラディッツの胸を押していた。

 

「ぬおっ!?」

 

どすん、と重い音を立てて倒れこむラディッツ。すると顔の横を桃白々の鋭い手刀が通りすぎ、今自分が完全に負けたことを悟る。

 

「……いったい今のはどうやったんだ」

 

「自分で考えい。わしは何も特別なことはしておらん」

 

戦闘力で言えばゆうに倍はあろうかと言う自分を負かせた桃白々を見上げ、思わず尋ねてしまうラディッツだったが、答えは素っ気ないものだった。

 

「すさまじいレベルアップだな、桃白々殿。名だたる達人のひとりとして声はかけたが、正直あなたがここまで来れるとは思っていなかった」

 

「ふん、相変わらず舐めた口を利く小僧だ。わしはわしの為に今回の頼みを引き受けただけのことよ。だが、これで大したことのない相手だったら依頼料で50億は貰うから覚悟しておけ」

 

「期待は裏切らんさ。更なる精進を期待するよ」

 

「つくづく生意気な小僧だな」

 

ラディッツを軽くいなすという、地球人ではいまだ誰も成し遂げていないことを成し遂げた桃白々はクリムゾンをしばし睨んだ後、再び鍛練を開始する。

 

今度はゆっくりと中腰になった桃白々は、“馬歩站椿(まほたんとう)”と呼ばれる馬にまたがったような体勢に変わって気を練り始める。

 

クリムゾンには到底真似できない極めて優れた気のコントロール。気の総量こそメンバーの中では低いものの、卓越した戦闘技術に磨きをかけた桃白々の実力は7人のなかでもトップクラスであった。

 

彼がこれほどまでに強くなった理由。それは“真剣に鍛え直す”という、極めてシンプルなものだった。

 

元々桃白々は、兄である鶴仙人、兄弟子である亀仙人と共に武泰斗の末弟子として日夜鍛練に励んでいた。

 

やがて兄が、ピッコロ大魔王に師匠である武泰斗を殺されたのを皮切りに悪の道へと落ちていったように、桃白々もまた武道家としての生き方に限界を感じていた。

 

結果として、桃白々は一度武道を捨てた。

 

仙人としての修行をしていたことにより人より遥かに長生きとなった桃白々だったが、人々にまぎれ、雑踏のなかで暮らすことを選択して二百年以上を過ごした。

 

だがある日、些細なことから酔っぱらいと喧嘩をした彼は誤って相手を殺してしまう。

 

それに吹っ切れた桃白々は二百数十年ぶりに武術の力を再認識し、殺し屋として生き始める。

 

これまでどこかコソコソと生きてきた彼にとって、圧倒的な武力を振るって相手を追い詰めることはえもいわれぬ快感を覚えることができた。

 

しかしそれも長くは続かなかった。形式上は自分の弟弟子に当たる天津飯に、ただの一撃で敗北したのだ。

 

それはこれまで自分が無敵だと信じて疑わなかった桃白々にとって衝撃を与えた。

 

無言で修行に向かおうとする桃白々を兄である鶴仙人があまりにうるさく咎めた為、思わず半殺しにしてしまったが、彼自身そのことは欠片も後悔してはいない。

 

それからというものの、桃白々はかつて途中で放り投げた仙人としての修行を再開した。

 

自分を苛め抜き、追い詰め、自身の奥底にあるエネルギーすべてを解放せんと。

 

そして、彼の人生からすれば僅かばかりの時間が過ぎ、いつの間にか修行が苦ではなくなった頃。

 

どうやって見つけたのか、クリムゾンが山奥にいるはずの桃白々へ誘いをかけにきた。曰く、侵略者を迎え撃つのに力を貸してほしいと。

 

桃白々自身は殺し屋を辞めたつもりはなかったが、金で誰かを殺すことに飽きていたのは確かだった。そんな心境の変化がゆえか、桃白々は彼の誘いをタダで引き受けた。

 

すべては、己自身の研鑽の為に。

 

求道者。今の桃白々を評するなら、その言い方が最も相応しいであろう。

 

さて、そんな桃白々にこてんぱんに打ちのめされたラディッツだが、未だにさきほどの負け方が理解できず、仰向けに転がりながら考え込んでいた。

 

「世界は広いな……」

 

「ああ、面白いだろう。正直俺もあの男があれほどに強くなっていたのは予想外だったが」

 

「なあクリムゾン。俺の戦闘力は今どれくらいある」

 

言われてクリムゾンは眼帯を押し上げると、そこに仕込まれた義眼によってラディッツを見る。

 

彼の全身を測定し、そこから肉眼では確認できない微量の気をも含めた計算が終わると、彼の視界半分に計算結果が写し出された。

 

「戦闘力2300といったところだな。形振り構わず気を練り上げればさらに上の数値を記録できるだろうが。すでに登録されたデータが反映されているから概ね誤差はないだろう」

 

そう言ってクリムゾンは仕事に使っていたタブレットを取りだし、全員の戦闘力が記録されたページを見る。

 

そこには修行に出る前の悟空やピッコロをも含めたメンバーの戦闘力が乗っていた。

 

孫悟空。戦闘力4000。

 

ピッコロ。戦闘力4000。

 

クリリン。戦闘力1800。

 

天津飯。戦闘力1700。

 

ヤムチャ。戦闘力1400。

 

ヤジロベー。戦闘力2800。

 

ボラ。戦闘力1500。

 

桃白々。戦闘力1100。

 

悟空とピッコロ、それにヤジロベーという規格外を除けばラディッツの戦闘力はトップクラスに高い。だがその数値に不満があるのか、ラディッツは黙してただデータを眺めるだけだった。

 

「……あまり思い詰めるな。たった3ヶ月でこれだけ伸びたのだ。伸び代で言うならお前のポテンシャルは悟空やピッコロに匹敵する」

 

「お世辞はよせ。少なくともピッコロの奴は俺以上のセンスの持ち主だ。それと互角に戦ったという俺の弟も、恐らくな。だがまさか、この俺がこれほどまでに強さを実感できる日が来るとは思わなかった。礼を言う」

 

ラディッツは少し気恥ずかしいのか、やや顔を背けながら不器用にクリムゾンへと礼の言葉を告げる。

 

「礼を言われるようなことではない。俺にとってメリットがあるから機会を提供しているまでだ。それに、そんな程度で満足してもらっては困る。なにせナッパの戦闘力は最低でも4000。最大で6000前後だと俺は考えている。資料を見る限り、奴はサイヤ人としても尋常ではないタフさを持つ。それを含めれば、この数値は妥当だろう」

 

言いつつクリムゾンは資料にかかれた各人の詳細を読んで思う。よくもこれだけの人材が眠っていたものだと。

 

例えばこのメンバーの中でも若輩であるクリリン、ヤムチャ、天津飯だが、彼らは全員数値上では表せないだけのポテンシャルを秘めている。

 

まずクリリンだが、彼は気を極薄の刃へと変えて放つ気円斬という技を編み出した。恐ろしいことに、この技は現状誰も防げないという結論が出た。多種多様な技に詳しい桃白々のお墨付きである。

 

格上殺しの可能性を有する彼の実力は、若年層の達人のなかでも頭ひとつ抜けている。さすがは幼少期とはいえサイヤ人の悟空と互角に競いあっただけのことはあるというものだ。

 

続いてヤムチャだが、彼も今回の修行によって己の武術の方向性を見いだしたとも言えた。

 

彼は元々荒野で盗賊をしていた頃、狼牙風々拳という技を主に使っていた。が、これには欠点があった。野獣のごとき勢いと速さによる高速連打で相手を押しきる技だが、その反面防御が疎かになってしまうといったものがある。

 

それを補うために編み出したのが超低姿勢での新狼牙風々拳であり、自身の動きを援護する繰気弾である。

 

とはいえこれも破られてしまったヤムチャはブルマとの安らぎすら捨て、さらなる技を編み出していた。

 

その名も牙狼疾風拳。狼牙風々拳が高速連撃による必殺技だとすれば、この技は全身の気を高めたことによる一点突破の特攻技。その威力は正面から天津飯の気功砲を突き破るというのだから恐れ入る。

 

火力という一点においては、ヤムチャは間違いなく地球の達人らにおいて最強と呼べるだけの実力を得ていた。

 

そして天津飯。彼が実は三つ目族という特殊能力を持った宇宙人の末裔だということが、スカウターの裏次元データベースから判明していた。

 

何代も前からの一種先祖返りであり、彼自身の豊富な気はその血筋由来のものでもあった。

 

とはいえ彼自身は自他に厳しく、決して妥協をしない。かめはめ波をも上回る気功砲をはじめ、多彩な技を備える彼はかつて兄弟子とも言える桃白々を一撃で倒すほどの成長を遂げた後、悟空に敗北してからは亀仙人の元を訪れて基礎から己を鍛え直していた。

 

彼ら三人は戦闘力の数値上ではクリリンに準じるものの、その実力において全員の差はほとんどないと言ってもよかった。

 

……そして、今回残った面子のなかで最も驚愕の事実が判明したのがヤジロベーである。

 

かつて魔族をも食料とした彼だが、複数の解析によると彼は地球人の突然変異であることが判明した。

 

突然変異とは様々な惑星において数世代間に時折生まれる存在であり、戦闘に特化した存在である。いずれ倒す予定のフリーザやコルド大王もそうであるし、サイヤ人にも既に死んだとされているがブロリーという突然変異の存在があったらしい。

 

事実、彼だけは他の達人ほど厳しいトレーニングを積んでいるわけでもなく、ただなんとなく組手を繰り返すだけで悟空やピッコロに匹敵する戦闘力を叩き出している。

 

今もボラを相手に組手をしているものの、どこか手抜きをしているのが見え見えだった。

 

そしてそんな化け物と対峙するボラだが、彼は驚くべきことに亀仙人による修行を受けるまで気を使っていないことが判明した。つまり、純粋な肉体の強度で対戦車ライフルの弾丸を防いでいたのである。

 

そんな彼が気の扱いを覚えるのは一朝一夕にいかないかと思われたが、驚くほどあっさりとコツを掴んでモノにしたのを見てクリムゾンはひきつった笑みを浮かべるしかなかった。

 

その戦い方は正しく重戦車。サイヤ人に匹敵するのではと思うほどの圧倒的な防御力を盾に、正面から相手を蹂躙するといったものである。

 

彼自身は槍の使い手だったが、現状彼の怪力に耐えられるだけの強度を持つ槍は存在しないため、ボディーアーマーの一部に使われていた素材を利用して武器開発が進められている。

 

最後に、今回の達人参加に誰もが驚かざるを得なかったのが世界一の殺し屋桃白々である。

 

彼自身の実力は天津飯以下とはいえ十分に高く、しかし今回の戦いにおいて参加できるほどの強さを持たないのではとクリムゾンさえ考えていた。

 

しかし、その予想は覆された。彼自身、二百年以上昔に辞めた武術で片手間に世界最強と呼ばれるだけの実力を持つ達人だったのである。

 

己の秘めた潜在能力を引き出す仙人としての修行は、彼にかつてない武術家としての力を与え目覚めさせていた。

 

また兄弟子であったという亀仙人との修行は存外に得るものがあったらしく、その実力はさきほどのラディッツとの戦いが見せた通り、サイヤ人を相手に何をしたのか認識させることなく倒すという凄まじい技量の高さを見せつけた。文字通りの達人である。

 

「そうそうたる面子だが、これでもべジータに勝てるか微妙なのだから恐ろしいな」

 

最後にクリムゾンはそう言って総評する。そう、これだけの武人・達人が集まっていながら、現状で戦闘力においてナッパを上回る存在は一人として存在していないのだ。

 

「奴は戦闘民族サイヤ人の王族だ。すなわち、サイヤ人として最も純粋な血を引いているということでもある。闘争本能に飲み込まれず戦い続けるクレバーさもある。今の俺なら大猿化すれば戦闘力では圧倒できるだろうが、それでは敵味方関係なく襲ってしまうだろうからな。変身しても理性が保てるエリート共が羨ましいぜ」

 

愚痴混じりに呟かれたラディッツの言葉を聞き、その時クリムゾンに天啓が走る。

 

「……ラディッツ。大猿化しても理性を失わなければ、戦力としては大幅な強化に繋がるよな」

 

「何を当たり前なことを言っている。それができないからこうして苦労しているんだろうが」

 

「俺に考えがある。しばらく修行を中断して付き合え。俺の予想通りなら、お前を今の十倍強くしてやれるぞ」

 

オールバックにした深紅の長髪をなびかせクリムゾンは立ち上がる。鍛えぬかれた高身長の肉体。失った瞳を閉ざす眼帯をつけた顔をラディッツに向け、彼は妖しく微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ということで選抜メンバーの紹介でした。ほんとはもっと文字数とかあったのですが蛇足な内容かなーとか思ったので全部書き直しました。最初は前書きにもあったように、本気でなぜなにナデシコみたいなノリだったりします。
ちなみに主人公の戦闘力は98です。

さらっといなくなってるピッコロさんはどこへ行ったのか。それはまた次回にでも(´・ω・`)


そして……!!!!


これが……! 丸焼きどらごん氏による主人公のイメージイラスト!! 


【挿絵表示】


面白い小説書けてなおかつイラストまで書けるとかほんと反則。羨ましいったらありゃしない(°∀°)(笑)

そして連続投稿はさすがに限界でしたが、お話的にはここからどんどん盛り上がりますのでまだまだ頑張りたいと思います。

みなさん応援&感想いつもありがとうございます。超頑張ります!!

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