艦隊これくしょん with BIOHAZARD7 resident evil   作:焼き鳥タレ派

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Tape3; Bloody Ocean

夜が明けた。

ベッドから跳ねるように飛び起きた俺は、室内の手洗い場で顔を洗おうとした……が。

昨日、風呂も入らないで寝ちまったことに気がついて、

ユニットバスでシャワーを浴びた。

だが、浴室から出ると、今度は着替えがねえことに気づいた。

ジャングルの中なら何日着っぱなしでも構わねえが、

人が集まるところに出るからには最低限の身だしなみは整えなきゃならねえ。

俺にだってそのくらいの常識はある。あるんだよ!

 

コンコン。

 

湯船に湯を溜めてシャツを洗ってると、誰かがドアをノックした。おい、どうするよ。

さすがに俺でも、腰にバスタオル1枚で人と会うほど人間やめてねえぞ。

しょうがねえからドア越しに返事する。

 

「おーい、誰だ。ちょっと今、着替えがなくて出られねえ。後にしてくれねえか」

 

「駆逐艦・巻雲です~だいじょうぶですよ!お着替えと洗濯かごをお持ちしました。

外に置いておきますんで、それを着てくださいね!

着たものは洗濯かごに入れといてください。こちらでお洗濯しますんで」

 

「ああ、そりゃ済まねえな。ありがとよ」

 

「それでは、巻雲は失礼するです!」

 

トテトテと小さな足音が遠ざかったタイミングで少しドアを開ける。

外には真っ白なシャツとジーンズ。そして赤い洗濯かごがある。

さっそく俺は清潔な服に着替えて、上からいつもの漁師服を着た。

どうせすぐ汚れるから、いつもは泥の付いた服を何日も着てるが、

やっぱり新しい服は気持ちがいい。

洗いかけの服を外のかごに放り込むと、俺は食堂へ向かった。

 

やたらと広い食堂には、

やっぱり戦艦を模した武器を装備した女の子がうじゃうじゃいる。

俺が足を踏み入れると、やかましくお喋りしてた艦娘って子らが急に静まり返って、

ヒソヒソと会話を始めた。

 

“イーサンの次の転移者って彼?”

“そう。私、彼が笑いながらB.O.W踏み潰してるところ見たもん!”

“怖い人なのかしら……”

“ザリガニ食べたって本当?”

“マジマジ。ろーちゃんとゴーヤがまだ怖がってる”

 

だからな、丸聞こえなんだよ。それと、何度でも言うぞ。ザリガニは、食べ物だ!

俺は構わず、配膳コーナーで皆が持ってるトレーに忙しく飯を置いてる、

えんじ色のキモノを着た女性に声をかけた。

 

「忙しいところすまねえ。

ジョー・ベイカーっていうんだが、提督にここに来れば食事がもらえるって聞いてきた」

 

すると、女性はニッコリ笑って答えてくれた。

 

「はい。提督からお話は伺っています。私は軽空母・鳳翔と申します。

よろしくお願いしますね。食事はそちらのトレーをお取りになって、

列に並んで順番におかずを受け取ってください」

 

「ああ、これか。ありがとう。しばらく世話になるぜ。よろしくな」

 

俺は積み上げられたアルミのトレーを1枚取ると、

艦娘に混じって一品ずつ並べられた食事を乗せていった。

最後の白飯を受け取ると、静かに食いたい俺は、人の少ない長テーブルの端に座る。

まずは牛乳瓶の栓を外して一気に飲み干す。

 

それで、ようやく食事を始めることはできたが……

くそっ、日本の箸ってもんが使いづらくてしょうがねえ。

いっそ手づかみで食ってやろうかと思ったが、長門に知られると多分またうるせえから、

我慢して二本の棒で、ただただかきこむ。

 

うめえ。なんて料理かはわからんが、誰かが作った飯を食うなんか何年ぶりだ?

魚の炙り焼きに、黒い海藻かなんかを甘く煮たやつ。おっと、これはミソスープだ。

俺が和の朝食を味わっていると、誰かがテーブルの隣にドスンとトレーを置いて座った。

周りを見るが、空いてる席はたくさんある。

わざわざジジイの隣に座らなくてもいいと思うんだが。

 

そいつの格好を見るがやっぱり変だ。

変な耳あてと眼帯着けて、腰に刀ぶら下げてやがる。

俺を見てるから、なんか話したほうがいいのかと思って口を開こうとしたら、

そいつが、開口一番わけのわかんねえことを言い出した。

 

「お前……イーサンに暗殺拳の極意を伝授した師匠だろう!」

 

「はあ?何言ってんだお前。

提督に、俺と奴は無関係だって皆に連絡しといてもらわねえとな。とにかく関係ねえ」

 

「隠したって無駄だぞ!

聞いたぜ、昨日あんた素手でバケモン何匹もぶっ殺したってな!」

 

「そりゃあ……事実だが、やっぱり知らねえよ、そんな奴。大体お前は誰なんだ、一体」

 

「オレの名は天龍!深海棲艦との戦いに明け暮れる人生を送るうちに、

いつの間にか……フッ、身体が強さを求めるようになっちまったぜ」

 

「よくわからんが、俺はジョー・ベイカーだ。お前、ファミリーネームは?」

 

「軍艦の転生体である艦娘にそんなもんはねえ。生前の艦の名前が全てさ」

 

「ますますわけわかんねえが……まぁ、戦い方のコツくらいは教えてやれる」

 

「本当か!?」

 

ミソスープを一口飲んでから、自分なりにまとめた戦い方の説明を始めた。

 

「ああ。まずその1。連中、ボディは丈夫だが頭はもろい。殴るなら頭だ」

 

「ほうほう」

 

「その2。バケモノに左右のパンチを連続ヒットでぶちのめす。

左・右・右の連打で素早い連続ジャブ。右・左・右から左ストレートでノックアウトだ」

 

「なるほど!」

 

「その3。奴らが倒れたら、頭を踏み潰してトドメを刺す」

 

「おお、豪快だな!」

 

「その4。

こちらに気づいてないマヌケには、背後からしゃがんで忍び寄れば簡単に始末できる」

 

「正面切っての戦いもいいが、気配を殺して暗殺ってのもなかなかスマートな感じだな」

 

「まあ、こんなところだ。深海なんちゃらってのがどんなバケモンかは知らねえが、

形は人間に近いって提督から聞いたから、多分応用も利くだろう」

 

「サンキュー!……そうだ、今度の出撃、お前も来いよ!提督に頼んでさ。

今言った戦法、実際に手本を見せてくれよ!

そのブーツ履いてるってことは、もう行く気満々なんだろ?」

 

「ん、これか。こいつがどうかしたのか?部屋にあったから借りてるが。

いい具合に滑り止めになるんだ」

 

「なんだ知らねえのかよ。イーサンもそれ履いて戦ってたんだぜ?」

 

「どういうこった」

 

「そのブーツはな……」

 

天龍って女がこのブーツについて説明してくれた。

なんでも、こいつは艦娘と同じように水の上を走れるようになる、すげえ靴らしい。

なんで70年前にそんな便利なもんがあるんだよ。

科学が進んでるのか遅れてるのかさっぱりだ。

そもそも艦娘ってもんをよく分かってねえんだが。

 

「確かに、深海棲艦ってバケモンがどんな奴かは気になるな……」

 

俺は黒いやつの煮物を平らげて、少々考え込んだ。

深海棲艦ってB.O.Wがこの世界にへばりついて、

人様を困らせてやがるって話はもう聞いた。……狩りの腕が鈍ってもいけねえ。

 

「よし、黙って行くと長門がうるせえ。提督に許可もらいに行こうぜ」

 

「よっしゃー!」

 

それで、俺達は急いで残りの朝食をかきこんで、執務室に向かった。

 

 

 

──執務室

 

「却下する」

 

予想はしてたがやっぱりそうか。提督は執務室を訪ねた俺達の陳情を一言で切り捨てた。

 

「なんでだよ!ジョーはイーサンの師匠で、並の砲撃じゃ絶対倒れねえんだよ!」

 

「天龍は黙っていろ。ジョー、お前も一体何を考えている。

深海棲艦は昨日のB.O.Wとは訳が違う。

大口径砲や魚雷、果ては航空機で空から攻撃してくる生きた戦艦なのだぞ。

今度こそお前の拳では歯が立たない」

 

「昨日言っただろう、タダ飯食らいは性に合わねえって。

だからそのB.O.W……だったか?バケモン退治にも手を貸す」

 

「ジョー。あなたには深海棲艦ではなく、

昨日現れたモールデッドの対処に当たってもらいたいと考えています。

それにあなたにはやるべきことがあるはずです。

帰還の方法を探し、姪御さんと再会すること。

昨日心に決めたばかりの誓いを、もうお忘れですか」

 

「忘れちゃいねえ!忘れるわけがねえ。だが……」

 

そりゃあ、俺だって遊び半分でこんなこと言ってるわけじゃねえ。

ただ、情報が欲しいんだよ。帰還に繋がる情報が。

そのヒントが、深海棲艦とやらにあるかもしれねえじゃねえか。

 

「ゾイの無事を確かめるためなら、俺は何だってする」

 

提督が、俺の目をじっと見ると、ひとつため息のように息を吐いた。

 

「では、座ってお話しましょう。イーサンの物語について。

どの道、今日全てお話する予定でした」

 

「ああ、頼む」

 

俺がソファに座ると、天龍も隣に座った。正面には提督と長門が座る。

長い長い物語が始まった。イーサンが現れたのは数ヶ月前。

そいつがここに来たときも、やっぱりB.O.Wが襲撃してきて、

イーサンは銃を使って撃退したらしい。

 

B.O.Wってのは、怪しい組織に作り出されたエヴリンっていう人間型B.O.Wが放つ、

カビに感染した奴らの末路。

エヴリンがカビを練り上げて一から作ったのもあるらしいが。

で、甥のルーカスがどう関わったっていうと、奴がイーサンを送り込んだ張本人で、

俺が見たようなビデオを見せて、自分を異世界の人間だと思い込ませることで、

意識ごとこっちの世界に飛ばしたそうだ。

 

その後も次々カビに感染したジャックやマーガレットを送り込んで、

ゲームを楽しむように殺し合いをさせてたんだと。

結局最後は、自分を蝕んでいたカビを制御したイーサンに、

ロケットランチャーを食らってぶっ殺されたらしい。

 

「ちくしょう!しっかり教育しねえからそんなことになるんだ、ジャック!」

 

思わずテーブルを殴る。何年も会わねえうちにそんなことになっちまってたとは……!

 

「落ち着いて。あなたのせいじゃない」

 

「いいや、俺がもっと顔を出しときゃこんな事態は防げたんだ……」

 

「ジャングルの沼地で生活をしていると聞きましたが、なぜ、そのような生活を?」

 

「元々俺が人嫌いなとこがあるし、

ジャックとも昔からあんまりソリが合わなかったからな。

余生は誰もいないところで隠居することにしたんだ」

 

「そうでしたか……では、まだお話していなかったことを。

実はここにいる長門君や天龍君は、人間ではないのです」

 

「なんだと!?」

 

「彼女達が艦娘という存在であること自体はお話ししたと思います」

 

「ああ!なんか今日部屋に来た子や鳳翔って人が、

駆逐艦だの空母だの言ってたから気にはなってたんだ!」

 

「彼女達は深海棲艦と戦うことを使命とする、作られた存在、“艦娘”。

ここにいる女性は全て艦娘です」

 

「なっ……信じられっか、そんなこと!

明らかに自分の意志で喋ってるし、見た目も動きもロボットなんかじゃねえ!

……そうだ、こいつが”転生体”だの”生前の艦”だの意味不明なこと言ってたな。

そんときは変な野郎だと思って聞き流してたんだが」

 

「流してたのかよ、おい!野郎じゃねえし!」

 

天龍の抗議を無視して立ち上がろうとする俺を、提督が押しとどめる。

 

「そう、皆は在りし日の軍艦に宿っていた魂に、各種資材を投入し、

人の形を与えた存在なのです。

そして、もうお話しした通り、深海棲艦に対抗できるのは、彼女達だけなのです」

 

「くそっ、人まで造りやがるとは、この世界はどうなってやがる」

 

「詳しいシステムをお知りになりたいなら、工廠へご案内します。

明石君には、こちらから連絡を」

 

「いや、いい。どんな生まれ方したのかは知らんが、

天龍や長門が作り物だとは、どうしても思えねえ。

俺は、自分の目で見たものしか信じねえ。

だから、目の前にいる二人の、人としての存在を信じる」

 

「ジョー……」

 

「はっはっ!いいこと言うじゃねえか、ジョー!」

 

「天龍」

 

「はい」

 

俺の背中をバシバシ叩く天龍を、長門が目で黙らせた。だが、肝心な話がまだだ。

 

「それで提督。結局行かせてくれるのか、くれねえのか」

 

「許可できない」

 

「なんでだ!言ったじゃねえか、俺には情報がいる!元の世界に戻るためにな!

そのためにはこの世界のB.O.Wについて知る必要があるんだよ!」

 

俺は必死に訴える。さっさと帰ってゾイと会って無事を確かめなきゃいけねえのに、

こんなところで足踏みしてられるか!提督も眉間にしわを寄せて考え込んでいる。

ただ俺はじっと待つ。すると、一言つぶやいた。

 

「護衛を付ける」

 

「なに?」

 

「目的はあくまで情報収集、出撃海域は鎮守府正面海域。護衛の艦娘5人を付ける。

夜戦は絶対厳禁。これが、最大限の譲歩です」

 

話のわかる奴じゃねえか!ぶっ飛ばさなくてよかったぜ!

隣の長門が、やれやれと言いたげに小さく首を振っている。

 

「ありがとよ提督!本当に、ありがとよ」

 

「提督のお気持ちを裏切るような結果を招くんじゃないぞ。

それと天龍!ジョーをけしかけた責任だ。お前も付き添うように」

 

「おう、任せてくださいよー!へへっ、これでジョーの必殺拳はオレのもの……」

 

「遊びではないのだぞ!彼の命を預かっていることを忘れるな!」

 

「わわわ、わかってますって!」

 

「うむ、では出発は1時間後。南の桟橋に集合だ。

それまでに他のメンバーを選抜しておく。

ジョー、今回あなたが行くところは、ほぼ安全な海域だが、

くれぐれも油断なさらないよう」

 

「ああ。俺は人の信用を裏切る男じゃねえ。じゃあ、俺も支度があるからもう行くぜ」

 

「気をつけて」

 

「あ、待ってくれよー!」

 

退室した俺達は、本館の出入り口前に居た。

天龍は嬉しそうだが、提督の言ったとおり、俺に取っちゃ深刻な問題だ。

 

「やったなジョー!これで海に出られるぞ」

 

「なんとかなった。深海棲艦は初めての獲物だからな。よろしくな、天龍」

 

「心配いらねえよ。オレ達が行くところは、

生まれたての艦娘が練度を上げるための、訓練場みたいなとこだ。

雑魚しかしねえから、深海棲艦への探りとしてはちょうどいいんじゃねえか?」

 

「そうか。ならいいんだが。また1時間後に会おうぜ。色々準備が必要だ」

 

「ああ!オレも艤装のチェックして時間潰しとく。またな~」

 

そこで俺は一旦天龍と別れた。さて、狩りの準備を始めるとするか。

まず俺は、周りを見回して、目につく木箱を壊して回った。

大量の鉄クズ、薬液3つが手に入った。

ん?よく見たら昨日壊したはずの木箱が元に戻ってやがる。

つくづく訳の分からねえ世界だ。壊すと4つ目の薬液。

 

ちょっと遠くまで来すぎたな。気づいたら、昨日ザリガニ騒ぎがあった林の中にいた。

そこにも木箱一つ。あれで終わりにするか。

殴り壊そうと拳を構えた瞬間、何か嫌な予感がした。なんか怪しいな。

中からカチカチと時計みたいな音がする。

そしてよく見ると、近くの木に細いナイフが刺さってる。抜いて手に取ってみた。

 

武器にもならねえ生活用品レベルだが、前にも言ったように物は使いようだ。

俺は木箱から十分距離を取り、周囲に誰もいないことを確認してから、

木箱にナイフを投げた。すると、ナイフが刺さった瞬間、木箱が爆発。

危ねえ、誰の仕業か知らねえが、中にはトラップもあるってことか。

無闇に壊しまくるのはよそう。

 

もう時間だ。俺は本館に戻り、アイテムボックスの前にいた。

蓋を開け、まずムラマサを取り出す。上手く深海棲艦の死体が手に入ったら、

こいつで解剖して沼地のB.O.Wとの違いを調べる。

AMG-78α。昨日はこいつでえらい目に会ったが、武器としては頼りになる。

また左手に装着すると、全体にエネルギーが行き渡り、

 

《装備完了》

 

やっぱり左拳の威力が格段に増しているのがわかる。

海は艦娘のホームグラウンドだが、これがあれば足手まといにはならないだろう。

ショットガン?いらん。続いて俺は、さっき拾った物資で武器を作り始めた。

昨日大量に拾った木の枝と鉄クズで投げ槍数本。

それと、長門に見つからないよう、こっそり捕まえたイモムシやムカデをすりつぶして、

薬液と混ぜる。こいつが効くんだ。裏のゴミ置き場で見つけた空き瓶に詰める。

回復薬の完成だ。

 

へへっ、最後がお楽しみ。火薬のいらねえ爆弾だ。まず、木の枝を一本バキバキに折る。

そして、鋭く尖った木片を、長細く切った木の板を曲げて包みながら薬液をかける。

すると、空気に触れた薬液が、接着効果を持って木に染み込んで固まり、

弾けたら痛そうな爆弾に早変わりだ。

設置して、その辺の石ころか何かをぶつけてやれば、木の板が剥がれた勢いで、

物凄い勢いで木の刃を撒き散らす。材料が木だからって馬鹿にはできねえぞ。

モールデッドって言ったか?あいつらをまとめてひき肉にできる威力はある。

 

さあ出撃だ。俺は本館を後にして桟橋に向かった。

見通しがいいところだから迷わず桟橋にたどり着けた。

長い木の床の先には、もういくつか人影が見えてる。

ゴトゴト足音を立てて近づくと、徐々に姿がはっきりしてきた。

俺は天龍達に声をかけた。

 

「悪い。待たせちまったな」

 

「よう、これで全員集まったな。

良く考えたら、オレも久しぶりの出撃なんだよな。腕が鳴るぜ!」

 

「心配しないで、定刻通りだヨー!ミスタージョー、私は金剛!

今日は私達がエスコートするから、安心して戦ってネ!」

 

「ジョーでいい。今日は俺のためにわざわざ済まねえな。よろしく頼むぜ」

 

「赤城です。昨日の騒動の時にお会いしましたね。どうぞよろしく」

 

「こっちこそな。なんとか手がかりを掴みてえんだ。協力してくれ」

 

「航空戦艦・日向だ。

あの海域にこの編成は少々大げさな気もするが、生身の人間がいるならやむを得まい。

今日は私が旗艦を務めるが、まあ我々は必要ないだろう。好きに暴れるといい」

 

「戦う武器ならある。足手まといにはならねえ。よろしくな」

 

「龍田だよ~天龍ちゃんが勝手な事したから姉妹艦として連帯責任だって。

天龍ちゃん、後でね?ウフフフ……」

 

「うっ、今夜はどっかに隠れねえと……」

 

「……まぁ、とにかくよろしく」

 

柔らかい雰囲気で凶暴な何かを隠してやがるな……

とにかく、メンバー全員に挨拶を済ませると、俺達は海に降り立った。

艦娘達はいつも通り、って感じでどんどん水面に下りて滑っていくが、

本当にこのブーツで浮けるのか心配だった俺は、ゆっくり足を下ろす。

 

すると……こいつはすげえ!海がクッションのように足を押し返して来やがる。

一歩ずつ前に進むとコツが分かってきて、体重を少し片足のつま先にかけて、

もう片方の足で海面を蹴ると、スケートみたいに海を滑れる。

 

“おーいジョー!置いてくぞー!”

 

「ちょっと待て!まだ慣れてねえ!」

 

重心を動かしてバランスを取りつつ、スピードを上げていくと、

ようやく天龍達に追いついた。便利な代物があったもんだ。

俺がしんがりに付いたのを見た日向が、声を上げた。

 

「ここからは単縦陣だ!陣形を整えろ!」

 

「なんだ?単縦陣?」

 

「まっすぐ一列に並べってことだよ、ジョー。ほら、日向さんの後ろに行け」

 

「おう」

 

陣形とかわかんねえ俺は、天龍の言うとおり日向の後ろについた。

他のメンバーも綺麗な直線に整列する。日向が俺に注意を促す。

 

「もうすぐ会敵ポイントだ。心積もりをしておけ。

いくら駆逐艦1隻といえど……何だこれはっ!?」

 

「どうしたんだ日向。……おお、あいつらが深海棲艦か!」

 

「異常事態発生!総員ジョーを守りつつ、第一波が止むまで耐えろ!」

 

「どうした、何が起こってる。あいつら殺せばいいんじゃないのか?」

 

突然慌てだした日向が後ろに向けて叫ぶ。あれが深海棲艦ってことでいいんだよな?

俺は完全に姿が目視できる距離に迫った影を見て尋ねる。

 

「数も編成も異常なのだ!通常は駆逐艦1体しか出ないはずなのに……

戦艦レ級1、戦艦タ級1、空母ヲ級2、潜水カ級!

他にも敵艦の反応、しかし敵影確認できず!総員戦闘開始!」

 

「オッケーィ!ジョーは下がってて!さぁ、誰からビートダウンしちゃう?」

 

「空母から叩きましょう!2隻から艦載機を展開されてはジョーを守りきれません!

レ級戦艦も発艦能力がありますが、まずは正規空母を沈黙させないと!」

 

「なんでこんなとこに大艦隊がいるんだよ……

クソッ、とにかく俺達の機銃で対空砲火だ!」

 

「そうね~こうなったら全部殺すしかなさそう。砲雷撃戦、始めるね~」

 

なんだなんだどうなってやがる?ここは訓練場レベルの海域だって聞いたが……

死人みたいな肌した女の群れが、横一列になって俺達の前に立ちふさがる。

まるで状況がわからんうちに戦闘が始まっちまった。

でけえクラゲみたいな生き物を被った女2人が、

真っ黒な昆虫みたいな航空機を放ってきた。奴らが爆音を上げて迫りくる。

 

「烈風、飛び立って!」

 

「瑞雲も行くんだ!」

 

赤城が弓に矢をつがえ、空に放つ。

不思議なことに矢は空中で弾け、戦闘機部隊に変化した。

続いて日向も、右腕の飛行甲板から一対のフロートを持つ航空機を発艦させる。

敵味方入り乱れて激しい空中戦が展開される。

上空から絶え間なく降ってくる機銃の銃声。

 

でも、残念だが敵は戦闘機だけじゃねえ。

クラゲの他にもフードを被ったネックウォーマーと、水兵服を着た女が、

身体と融合した砲を向けてやがる。

特にネックウォーマーは、

ぶっとい尻尾に砲やら滑走路やら魚雷を無理やりくっつけてて、もう意味がわからねえ。

 

「バーニング・ラアァァブ!」

 

「誤差修正右七度。主砲、発射!」

 

金剛って姉ちゃんと、大砲も持ってる日向が、クラゲ女に大砲を発射。

二人の装備から物凄え爆音、衝撃波、そして真っ赤に焼けた鉄の塊を噴き出した。

砲弾は弧を描いて、吸い込まれるようにクラゲに着弾。奴の頭を粉々に砕いた。

首を無くした女は今度こそ死体になって、海に沈んでいく。

一人死んだが状況は良くねえ。後ろから爆発音と悲鳴が聞こえてくる。

 

「うああ!」「げふっ!」「ああっ!」

 

「くはっ……皆さん!殲滅できなかった、ごめんなさい……」

 

「お前のせいじゃ……ない。やはり、正規空母2隻は、キツいものだ」

 

赤城達の航空機が倒しきれなかった爆撃機みてえな奴が投下した爆弾で、

日向、赤城、天龍が負傷した。敵は残り何体だ?見えてる範囲では3体。

さっさと片付けねえとヤバイ!

俺は艦娘に気を取られてる連中のうち、手頃なやつを探す。

クラゲ女は駄目だ。頭のやつが邪魔過ぎる。

ネックウォーマーは、バカみたいに太い尻尾に接触する可能性が高い。

なら、こいつしかいねえ。

 

俺は、戦場を大きく迂回するように、海を滑って慎重に移動する。

今も日向達が撃ち合いを続けてるが、

どっかから突っ込んでくる魚雷に邪魔されて上手く反撃できないでいる。

特に、ネックウォーマーの攻撃が激しい。でけえ大砲を撃ちながら魚雷を放ってる。

おまけになんだ?よく見たらこいつまで航空機を出してやがるぞ。

ちくしょう、何笑ってんだぶっ殺すぞ!

 

……今は我慢だ。静かに、息を殺して、海を滑る。

激戦の中、俺の姿に気づいた天龍が目を丸くするが、

俺はただ口の前で人差し指を立てる。心得その4、覚えてんだろうな。

ヒタヒタと足音を殺して奴に忍び寄る。あと3歩。また赤城達の悲鳴が聞こえる。

もうちょっとだけ待ってくれ。目の前の奴は攻撃に夢中で気づいてねえ。あと1歩!

上手く奴の砲声が足音を消してくれる。次の瞬間。

 

俺は一気に近づいて、奴の肩を掴んで強引に膝を付かせた。

驚いた女がとっさに振り返ったがもう遅い。

突然背後から現れたジジイに驚愕する奴の顔。俺は素早く頭頂部と顎に手を伸ばし、

 

「ふん!!」

 

思い切り力を入れた。でも、俺と女の顔は向き合ったままだ。

……そりゃそうだ。360度綺麗に一回転したんだからな。

頚椎をぶち折られて生命活動を停止した大砲女は、

浮かぶ力を失ってバシャン!と、あっという間に沈んでいった。

その時、他の連中も初めて俺の存在に気づいた。

俺は味方に叫びながらネックウォーマーに突進する。

 

「1人殺った!クラゲを頼む!」

 

“無茶をするな、そいつはとりわけ凶暴だ!”

 

「だから俺の出番なんだろうが!」

 

ヘラヘラとムカつく顔の野郎が砲を向ける。

が、発砲する一瞬前に、俺はなんとか奴の懐に飛び込んだ。

至近距離で三連装砲が火を噴き、鼓膜を破るほどの砲声が意識をゆさぶり、

熱風が身を焼くが、ここまで来ればこっちのもんだ。

長距離での撃ち合いを想定した殆どの武装は、

いきなり飛びかかってきたインファイターには届かねえ。

 

「おおおお!!」

 

俺は、今までの怒りを込めて、左腕のAMG-78αで奴の鼻っ柱に一撃お見舞いした。

コイツは効いただろう!実際、奴の両方の鼻の穴から青黒い鼻血が溢れ出している。

その時、腰にぶら下げた道具袋から声が聞こえてきた。無線機だ。

 

『ナニ……オマエ、ダレ?』

 

「ジョー・ベイカーだ、くそったれ!」

 

そして今度は左右交互に拳を叩き込む。

岩のように硬え深海棲艦の肉体に素手の右手が痛むが、知ったこっちゃねえ。

死ぬまで殴る、基本通りだ。

後ろから味方の大砲の叫び声が聞こえる。よっしゃ、

もうすぐ厄介な虫を飛ばしてくるクラゲ女にとどめを刺してくれるはずだ。

だが、その時、また無線に通信。

 

『アンマリ チョウシ ニ ノラナイホウガ イイカモネ』

 

すると、突然ネックウォーマーが俺を突き飛ばし、身体をくるりと回して、

その太い尻尾を俺の脇腹に叩きつけた。

 

「ぐほああっ!」

 

くそ、油断した。海面に手をついて立ち上がるが、

その瞬間を狙って、また尻尾を叩きつけてきた。

今度は左肩から右脇腹にかけて息が出来なくなるほどの鈍痛が走る。

やべえ、肋骨にヒビが入ったかもしれねえ。

 

『アハハ モウ イチゲキ!』

 

次は、縦に振り下ろして俺の頭蓋骨を砕こうとしてきた。

とっさに両腕でガードしたが、重さと威力が半端じゃねえ。やっぱり後ろに倒れ込む。

その後も、奴はケタケタ笑いながら、鞭のような尻尾で回復薬を使う暇も与えず、

俺をいたぶって面白がっていた。

 

“ジョー!立って!”

 

赤城の悲鳴に近い呼びかけが聞こえるが、残念ながらほとんど体力が残ってねえ。

一度大きく血も吐いちまった。視界も真っ赤だ。

うるさいくらいに自分の心臓が拍動している。

俺は海の上で寝転びながら、ろくに身動きも取れずに死ぬのを待つばかりだった。

 

『アハハ ジャアネ バイバイ』

 

フード野郎の声も、もう遠くにしか聞こえない。

奴が尻尾を横薙ぎにするべく大きく曲げる。俺は、こんなところでくたばる運命なのか。

ゾイが生きてるかどうかも見届けられねえまま……!

なんとか攻撃から逃れようと身をよじる。風を切ってしなる奴の尻尾が見えた。

次の一瞬で俺は死ぬ。だったら……こいつをくれてやる!

俺は腰に差していたムラマサを、なんとか両手で横に立てる。

そして、攻撃が命中した瞬間。

 

『ギャアアアアア!』

 

ふん、これが本当の冥土の土産って奴だ!

ついに俺は最後の一撃を食らい、横にふっ飛ばされた。

……わけだが、どういうことか死んでねえ。それだけじゃねえ。視界に色が戻った。

俺は刃が淡くピンクに光るその刀を見つめる。こりゃなんだ、一体?

いや、今はどうでもいい。そんなことより、なんでもいいから……斬りてえ!

 

「うおおおお!!」

 

派手に刀がぶっ刺さった尻尾の傷を舐めている奴に走り寄り、

何度も尻尾を斬る、刺す、叩きつける。その度にムラマサが青黒い血を吸い取り、

その力を俺に流し込むように、急速に傷が塞がり、身体の痛みが引いていく。

 

『アア! イタイイタイ!!』

 

「ハハッ、楽しくてやめられねえな!」

 

妖刀の斬れ味に魅せられた俺は、半ば正気を失い、フード野郎をひたすら斬り続ける。

当然奴も反撃してきたが、斬りつけた相手の命を奪い取る妖刀の一太刀で、

何度でも治り続ける俺を殺すことができない。

もう勝負の行方などどうでも良くなっている俺は、完全に血に酔っていた。

しかし、そんな俺を呼ぶ声が。

 

“目を覚まして!”

 

赤城の声にハッとなった。一体俺は何をしてたんだ?

右手に持ったムラマサを慌てて腰に戻す。足元には切り傷だらけのフード野郎。

何十回も斬撃を浴びてボーっとしてやがる。

俺は、もはやちぎれかけた奴の尻尾に近づき、思い切り踏み抜いた。

 

「おらっ!!」

 

『ギャアアーーーッ!!』

 

通信機の入った道具袋を震わせるほどの悲鳴が大海原に響く。

全ての武装を尻尾に集中させていたそいつは、攻撃手段を失った。これで、終わりだ。

俺は右手で奴の髪を引っ掴んで、無理やり顔を近づけた。

 

「遊んでねえでさっさと大砲で殺さねえからこうなる。あばよ」

 

そして、左腕のAMG-78αを構えて拳を握る。

そういえばクラゲ女の気配が消えた。皆がもう倒してくれたんだろう。

 

《チャージ開始》

 

機械が発する無慈悲な死刑宣告。エネルギーの収束が始まると、

フードも本能的に危機を察知したのか、ブルブルと首を振る。

 

『ヤメテ ヤメテ オネガイ!!』

 

「なに?生きてるのが辛いから、殺すのをやめるのをやめて?

おーし、わかった。歯ァ食いしばれ。意味はねえがな!」

 

《チャージ完了》

 

そして、時は来た。俺は限界までエネルギーをチャージしたAMGを解き放つ。

二人の時間がスローモーションになる。

暴力の塊と化した俺の左手が、フード野郎の頭に食い込む。

顎が砕け、目玉が飛び出し、頭蓋を砕き、脳を粉砕した。

衝撃波がなおも海を駆け、海面をえぐる。奴の死で、ようやく時の流れが元に戻った。

その首なし死体は、やはり青い海へ沈んでいく。

 

“おーい、戻ってこーい!”

 

天龍の声に振り返ると、赤城が手を振っていた。たった2匹でこの有様だ。

まったく、深海棲艦ってのはとんでもねえ連中だ。

 

……なあ、お前もそう思うだろ?

 

俺が気づいてねえと思ったかよ!

背中に差していた投げ槍を素早く抜くと、海に向かって全力で投擲した。

すると、背中に槍が刺さった水死体みたいな女が、

激痛で魚雷を落っことしながら海中から飛び出してきた。

 

『ふごはがががああ!』

 

「後は任せたぜ!」

 

全速力で赤城達のところへ戻ると、皆が総攻撃を開始した。

 

「あなたに爆雷をプレゼント。一生懸命殺しましょうね、天龍ちゃん」

 

「おっしゃ!あんまり出番なかったからムズムズしてんだ。やってやるぜ!」

 

龍田と天龍が缶詰みたいな爆雷を水死体に投げつける。

缶詰は命中すると爆発し、敵の肉体と命をちぎり取っていく。

そして、とどめの一撃を食らうと、水死体は粉々になり、

肉片がボタボタと海に落ちていった。こんなところか。

俺達はようやく脳がはち切れるほどの緊張感から開放された。

 

「やりましたね……無事で何よりです、ジョー」

 

「ありがとよ、赤城。あんたが呼んでくれなかったら、俺は気が狂ってたぜ。

こいつの使いすぎには注意が必要だ」

 

俺は腰のムラマサをぽんぽんと叩いた。

 

「その刀には恐ろしげな何かを感じる。力に飲み込まれないよう気をつけることだ」

 

「ああ。俺も初めはただの汚ねえ刀だと思ってたんだが……」

 

戦闘中の不気味な体験から、日向の忠告を素直に聞き入れた。

 

「それじゃあ、皆さん帰りましょうか~

天龍ちゃん?お風呂に入ったら、お部屋で待っててね」

 

「えっ!あの……手加減、頼むよ……」

 

「だ~め」

 

明日も会えるといいな、天龍。そいつは間違いなくヤバい女だ。

その時、日向が皆に宣言した。

 

「それでは、日向艦隊、帰投する!」

 

その声を合図に、俺達は海軍基地(鎮守府っていうらしい)へ向かって帰っていった。

そういや、結局奴らの肉体サンプルを取るのを忘れてた。

あんだけキツい戦いになるとは思ってなかったから気が回らなかった。

海を進んでいると、艦娘の一人が速度を上げて後ろから近づいてきた。

確か金剛って言ったな。

 

「ヘイ、ジョー。助かってよかったヨー」

 

「呪いの刀も使いようだな。こいつのおかげでなんとかなった」

 

「見ててヒヤヒヤしたけど、もうすっかり元気ネ……ちょっと聞きたいことがあるヨ」

 

「なんだ?」

 

「イーサンのこと。噂話でも聞いたこと、ない?」

 

「本当に知らねえんだ。そんなにイーサンって面白い奴だったのか?」

 

「特別な人。私を助けてくれた。一度はその命と引き換えに」

 

「一度は?死んで生き返ったみたいな言い方だな」

 

「あっ……ソーリー。その話は長くなるからまた今度ネ。シーユー!」

 

そして、金剛は列に戻っていった。

とにかく、深海棲艦の異常発生については提督に知らせとかなきゃならねえ。

この現象が何かの手がかりにならないとも限らねえからな。

そう考えながら、俺は潮風を切りながら海を走った。

 

 

 

──鎮守府正面海域

 

青白く光る身体、そして眼。

潜水ソ級は深海から浮かび上がると、帰投中の日向艦隊に、

背後から酸素魚雷を撃ちこむべく魚雷を装填した。

だがその時、背後に息を吐くような音を聞き取る。

 

ゴボゴボゴボ……

 

「!?」

 

ソ級が振り返ると、目の前に、見るもおぞましい存在がいた。

体長約2mの巨体を白っぽい表皮で覆い、体中から大きなムカデやヒルを生やした、

形だけは人間型の、化け物。

 

彼女は目をむいて、左脇に抱えた魚雷発射管を向けようとするが、

その化け物は桁外れの怪力で彼女の両腕を掴み上げ、大きな頭を叩きつけた。

脳が揺れるほど強烈な頭突きを食らったソ級は、

水中でバランスを崩し、一瞬無防備になってしまう。

怪物はそれを逃さず、今度は両手で思い切り彼女の首を絞める。

 

「ぐぼがばばばばあ!!」

 

必死に化け物の尋常ならざる腕力から逃れようとするが、

完全に首を捉えられたソ級はまともに抵抗することもできず、

ただ両手で水をかくだけだった。やがて、

 

ゴキッ……

 

彼女の首が、折られた。

白目をむいたソ級は、何が起きたのか、なぜ殺されたのかもわからず、

暗い海の底に消えていった。それを見届けた化け物は、泳いで水面に上がる。

そして、引き上げていく日向艦隊の後ろ姿を見つめ、

一度だけ、鳴き声のような音を発した。

 

『カ…ゾク……』

 

 


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