Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~ 作:ほにゃー
俺たちの間に沈黙が流れる。
誰も言葉を発さず、視線を躱す。
その時―――
「オーホッホッホッホッホ!」
何処からかお嬢様風の高笑いが響いた。
「な、何!?」
「この癇に障るようなバカみたいな笑い声は……!」
「無様ですわね」
そして、俺達の背後から一人の女性がやってくる。
青いドレスに金髪の縦ロールだ。
「敵に対していかに必殺の一撃を入れるか。その一瞬の判断こそが勝負の行方を分けるのですわ。なのに、相手の力に恐れをなして逃げ纏うとは、飛んだ道化ですわね!遠坂凛!」
「ルヴィア!」
知り合いなのか?
「てか、アンタ生きてたのね………」
「当然ですわ。美遊、ご苦労様」
そう言って女性もといルヴィアさんは、少女、美遊からクラスカードを受け取る。
そして、高笑いを上げる。
その笑い方に凛さんはキレたのか、ルヴィアさんの延髄に鋭い蹴りを入れる。
痛そうだ…………
「やっかましい!てか見てたんなら助けなさいよ!この縦ロール!」
「レディの延髄に、よくもマジ蹴りを………!これだから知性の足りない野蛮人は!」
「なにを偉そうに!不意打ちだったくせにいい気になってんじゃないわよ!」
そう言い、二人はなぜか取っ組み合いの喧嘩を始めた。
「えっと………」
「お知り合い……なのか?」
行き成りの出来事に俺とイリヤは頭が追いつかず呆然とする。
『やれやれ、成長しませんね、御二人は』
その時、急に地響きが起き、地面が揺れる。
「うわっ!今度は何!?」
「カードを回収したから鏡面界が閉じようとしてるんだ」
フードの少年は、フードを被り直し言う。
「とりあえず、脱出しよう。ルヴィアさん、凛さん。行きますよ」
そう言って少年が振り返るとまだ二人は取っ組み合ていた。
「…………はぁ~………もう知らね」
少年は腹部の胃の辺りを抑え、溜息を吐く。
「……サファイア」
『はい、マスター』
美遊は持っていたステッキ、サファイアに呼び掛けるとサファイアは返答をした。
『虚数軸を計測変数から排除。中心座標固定。半径六メートルで反射路形成。通常世界に帰還します』
地面に六芒星の魔法陣が現れ光り輝き、そして、俺達は元の世界に戻ってきた。
「戻ってきたの?」
『はい。一先ず今晩はこれで終了ですね』
「ふぅ~」
ルビーから終わりと聞き、イリヤはその場に座り込む。
そして、凛さんとルヴィアさんは未だに喧嘩してた。
「で?さっきから気になってたんだけど、そっちの子は何?なんでサファイア持ってんのよ?」
「それはこっちの台詞ですわ!」
「………アンタ、まさか………」
「……ええ、そうですわよ!あの後、サファイアを追い掛けたら「この方が私の新しいマスターです」とかわけのわからないことを!」
大体こっちと同じって訳か。
「ともかく!勝つのはこの私ですわ!覚悟しておくことですわね、遠坂凛!行きますわよ、美遊!」
そう言ってルヴィアさんは美遊を連れて、何処かへと去って行った。
「はぁ……俺も帰るかな」
そう言って少年は欠伸を一つして転身を解く。
「あ、おい!」
「ん?」
「お前、名前は?」
名前を尋ねると、そいつは笑って答えた。
「海斗。海斗・F・ディオールだ。じゃあな」
そう言い、海斗も去って行った。
「凛さん、あの海斗って奴は何者なんですか?」
「海斗は貴方と同じ指輪の魔術を使う魔術師で、ディオール家の現当主。一応、ルヴィアが後見人になっていて、修行の一環でついてきてるのよ。それはともかく今日はご苦労様」
そう言って凛さんはイリヤに手を差し出す。
「あ、いえ」
「次もよろしく頼むわね」
「え?まだあるんですか!?」
「……凛さん、クラスカードって何枚あるんですか?」
俺は恐る恐る尋ねる。
「全部で七枚よ」
マジかよ………………
翌日、眠たい体に鞭を打ちながら俺とイリヤは学校に登校した。
流石に夜更かしは体に悪影響だな。
席に着くなりイリヤは顔を伏せ眠り、俺も同じように眠る。
暫くすると藤原先生がやって来て朝の会になる。
俺は眠たい目をこすりながら前を見る。
「今日は転校生を紹介します!入って」
「「はい」」
聞覚えのある声に俺は眉を寄せ、イリヤも起きる。
そして、そこには昨日会った二人がそこに居た。
「美遊・エーデルフェルトです」
「海斗・F・ディオールです。よろしくお願いします」
昨日であった謎の魔法少女と魔術師は転校生ってアニメかよ……………