Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~ 作:ほにゃー
「起きなさい!」
「ふがっ!」
「ふぎゅ!」
行き成りの衝撃に目を開け頭上を見る。
見ると、そこには教科書を丸め、怒っている藤村先生がいた。
「授業中に居眠りしないように!」
「「はい……」」
俺とイリヤは先生に謝り、教科書に目を落とす。
あの後、俺とイリヤは凛さんから色んな説明を聞いた。
凛さんはクラスカードと言う英霊と呼ばれる者の力が宿った危険なカードの回収を命じられ、そのために、ルビーを貸し与えられたそうだ。
だが、ルビーにマスターとしてふさわしくないと判断され、ルビーはイリヤをマスターに選んだ。
仕方ないので、凛さんがルビーを説得するまでの間、イリヤと俺は凛さんと一緒にクラスカードの回収任務をすることになった。
本来、俺は無関係な人間なのだが、ここまで事情を知った以上知らないフリをするのは難しいし、なによりイリヤが心配なので俺もカードの回収を手伝うことにした。
放課後になり、俺とイリヤは早々に学校を後にする。
イリヤは何処か嬉しそうにしていた。
『やれやれやっと放課後ですか』
イリヤのランドセルに入ってるルビーが少しだけ顔を出し、言う。
「ごめんね……ねぇルビー、魔法の使い方教えてよ」
『いいですよ。でもどうしたんですか?昨夜はあんなに嫌がっていたのに』
「折角だから楽しもうと思って」
「あ、そうだルビー。俺のあの指輪の使い方って分かるか?」
『あれは私は知らない物ですし、使って覚えてくしかないでしょうね』
「やっぱそうか」
「あれ?これなんだろ?」
ルビーと話してるとイリヤが自分の靴箱から何かを取り出す。
あれは手紙?
『おおっ!これはもしやアレですね!』
「アレって………まさか!?」
『そのまさかですよぉ!放課後の靴箱に手紙と言えば、これはラブなあれにまちがいありません!』
ラブレターだと!?
確かにイリヤは可愛いからそれなりに人気もある。
幼馴染と言う立場である俺は男子たちから嫉妬の対象となったりもする。
しかし、まさかラブレターなんか出す奴がいるとは………………
『さぁさぁ、イリヤさん。早く中身を』
「おおお、落ち着いてルビー。ここは冷静に……冷静に……」
イリヤは顔を真っ赤にして手紙の封を開け中身を見る。
俺もイリヤの後ろからドキドキしながら覗き見る。
〔今夜0時に高等部の校庭まで二人で来るべし。来なかったら殺………迎えに行きます〕
ラブレターではなく脅迫状だった。
イリヤは死んだような目をして、手紙をそっとしまった。
『………帰りましょうか、イリヤさん』
「………そうだね」
「………イリヤ、気を落とすこと無いぞ。誰だって勘違いするさ」
「………そうだね」
力無く返事するイリヤを見て、俺は心のどこかでほっとした。
なんでほっとしたんだ?