Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~   作:ほにゃー

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とんでもない事

「おい詐欺ステッキ!これはどういうことだ!魔法少女になったのはイリヤだろ!どうして俺まで変身してるんだよ!男で魔法少女とか笑えねぇぞ!」

 

俺はルビーを掴み、握りつぶす勢いで力を込める。

 

『こ、これは私の推測ですが、貴方の首からぶら下げていた指輪。あれには元々所有者の魔術師としての力を開花させる力が秘めてあり、その力がイリヤさんと私との契約によって共鳴を起こし、貴方様を魔術師へと昇華させたのではないかと。後、変身ではなく転身です』

 

「じゃあ何か?俺はお前の詐欺の二次被害にあったってことか?」

 

『二次被害とは失礼な。まぁ、そういう見方もできますね』

 

「嘘だろ…………」

 

俺の理解の範疇を超えている出来事に俺はルビーを手放し、膝を尽き項垂れる。

 

「えっと……レイ、ごめん。私の所為でなんか大変なことに………」

 

「いや、イリヤの所為じゃねぇよ。イリヤも被害者だし」

 

『それにしても!お二人ともよくお似合いですよ!特に、イリヤさん!やっぱり魔法少女はロリっ娘に限りますねぇ!どっかの年増ツインテールとは大違い!』

 

「ほぉ?誰が年増だって?」

 

宇治路から聞こえた声に俺とイリヤが振り返ると黒いミニスカートに赤い服を着たツインテールの女性が居た。

 

誰?

 

『あらぁ、誰かと思えば凛さん。生きていたんですね』

 

「ええ。お陰様でね」

 

何やらご立腹の様だ。

 

「おい、ステッキ。あの人は誰だ?」

 

『彼女は凛さんです!私の前のマスターですよ!』

 

「こっちに来なさい、ルビー!誰かマスターかみっちり教えてあげるわ!」

 

『いえいえ!そんなの教わるまでもありませんよ。私のマスターはこちらにおわすイリヤさんこそ私の新しいマスターなのですから』

 

「はぁ?貴女、どういうこと?」

 

「ち、違うんです!詐欺です!騙されたんです!」

 

イリヤは睨んでくる凛さんに慌てながら無実を訴える。

 

「はぁ……まぁいいわ。大体分かったから取り敢えず、そのステッキ返してもらえる?碌でもないものだけど、私には必要なの」

 

そう言われ、イリヤはステッキを凛さんに差し出す。

 

「どうぞ」

 

「ありがと」

 

凛さんはそれを掴み、貰おうとするがステッキはイリヤから離れなかった。

 

「手を離してもらえないかなぁ?」

 

『無駄ですよ』

 

凛さんの言葉に返したのはルビーだった。

 

『既にマスター情報は上書き済みですからね。本人の意思があろうとなかろうと私が許可しない限りマスター変更は不可能と言うこ「ふん!」ホワッチャ!』

 

最後の言葉を言い終える間も無く、ルビーは家の壁に叩き付けられる。

 

叩き付けられた衝撃で壁が凹んだ。

 

「上等じゃないのルビー。それならもう一度マスター変更したくなるように可愛がってあげるわ」

 

『相変わらず情熱的な方ですね。そんなに魔法少女が恋しいのですか?』

 

「誰が!あんなもん人に見られたら自殺もんよ!」

 

「私、今自殺もんの状況なんだ」

 

イリヤがなんかショックを受けてる。

 

『分かりました。じゃあ、イリヤさん。私を凛さんに向かってコノヤローっと思いながら振って下さい』

 

「え?……えっと、このやろー」

 

イリヤが力無くルビーを振る。

 

すると先端から何かが出て凛さんに当たる。

 

「ぎゃああああああ!!?」

 

「「なんか出たー!!」」

 

イリヤとはもった。

 

『イリヤさんの返答はこうです!ステッキは誰にも渡さねぇ。さっさと国に帰りな年増ツインテール!』

 

「言ってない!そんなこと言ってない!」

 

「何すんのよ!」

 

すると凛さんはキレ、イリヤごとルビーを攻撃する。

 

「イリヤ!」

 

俺は咄嗟にイリヤの前に立ち、守るように抱きしめる。

 

攻撃がやみ、目を開けると俺もイリヤも無傷だった。

 

「あれ?無傷?」

 

『凄いですね。どうやらその服には防御魔術が付与されていて大抵の攻撃を防ぎ、守ってくれるみたいです』

 

「そうなのか……あ、イリヤ無事か?」

 

「う、うん。レイが護ってくれたから」

 

『しかし、お忘れですか凛さん。カレイドルビーにはAランクの魔術障壁・物理保護など多くの力が宿っている事を。つまり、今や英雄に等しき力を得たこの私に年増ツインテール如きが敵うと思ってるのか!と、イリヤさんは言ってるのですよ!』

 

「ちょっと!勝手なこと言わないでよ!」

 

『お前に魔法少女は似合わねぇ。諦めて国へ帰りな年増ツインテール!っと言ってるですよ』

 

「おい!それ以上は止めろ!」

 

俺とイリヤでルビーに文句を言ってると凛さんはポッケから何かを出し、俺達に投げる。

 

あれは宝石?

 

その瞬間、宝石が光り爆発した。

 

その眩い閃光に俺とイリヤは目が眩んだ。

 

「な、なに?」

 

『目眩ましです!イリヤさん、逃げてください!』

 

「そ、そんなこと言ったって………」

 

「ごめん、少し眠っててね」

 

その声が聞こえた瞬間、俺は感覚だけを頼りにイリヤを突き飛ばす。

 

そして、次の瞬間俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると目の前に、心配そうに俺を見るイリヤが居た。

 

「イリヤ?」

 

「レイ!良かった、目が覚めて!」

 

『いや~、障壁の内部から攻撃とは、戦闘経験の差が出てしまいまいたね。これから色々教育していきませんと。しかし、目が見えない状況で感覚のみで凛さんの気配を察知し、イリヤさんを守るレイさんも凄かったです。まるでアニメを見てるような気分でした。では、私はこれで』

 

「待てバカステッキ」

 

逃げ出そうとしたルビーを凛さんが捕まえる。

 

「どさくさに紛れて逃げ出そうとしてんじゃないわよ」

 

『ちっ!暴力には屈しませんよ。私の新しいマスターはイリヤさんと決めたんですから』

 

「あっそ」

 

そう言い凛さんはルビーを放り捨てる。

 

『あれ?』

 

「それならそれでもいいわ。こんな小さな子達を巻き込みたくないけど………ちょっといい?」

 

凛さんに声を掛けられ俺とイリヤは凛さんの方を見る。

 

「これから言う事を良く聞きなさい。拒否権はないわ、恨むならルビーを恨みなさい」

 

風が吹き、雲に隠れていた月が顔を出し、俺達を月明かりで照らす。

 

「これから貴方たちは魔法少女と魔術師になってクラスカードを集めるのよ」

 

今日一日だけで、いや、ほんの僅かな間に色々あり過ぎて、俺もイリヤも色々追いつかない中、一つだけ俺とイリヤは理解出来た。

 

俺達はとんでもなく面倒なことに巻き込まれたんだと

 

「「………はい?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サファイアー!どこだー!」

 

ルビーとサファイアがどこかに去ったあと、海斗はルヴィアさんと手分けしてサファイアを捜索することになった。

 

「どこ行ったんだよ……」

 

そう呟きながら、近くの公園に入ると月明かりに照らされて、誰かの姿が目に入る。

 

それは女の子だった。

 

ただし、格好はレオタードのような格好にマントを着ていた。

 

そして、手には錫状頭部分の星が六芒星になっているステッキがあった。

 

「お前、サファイア!?」

 

『海斗様、先ほどぶりです』

 

「………これは一体どういうことだ?」

 

『私の新しいマスターです』

 

海斗が尋ねると、サファイアはそう答える。

 

「カード回収のことはサファイアから聞きました」

 

すると少女は口を開く。

 

「カード回収なら私がやります。その代り、住む場所を下さい。食べ物を下さい。服を下さい。戸籍を下さい………私に、居場所を下さい」

 

そういう少女の瞳は、どこか寂しそうな目をしていた…………


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