金曜日に投稿するつもりが書き溜めを作っていたら投稿するのを忘れてしまっていました。
次回はすぐ更新いたします!
「被告、遠山キンジは異端審問会の血の盟約に背き、自分一人だけ女の子に好かれるという大罪を犯した、これは事実に相違ないか」
「「「相違ありません!!」」」
「相違しかねえよ!」
ちくしょう、吉井の奴裏切りやがって……!
「なにこれ、魔女裁判の真似事?」
アリアがこの状況を見てポカンとしている。
「真似事なんかじゃねえ! コイツらマジで殺しに掛かってくるから
「なんであたしがアンタを助けないといけないのよ、武偵なら自分でなんとかしなさい」
「武偵憲章1条があるだろ!」
「じゃあ私は異端審問会側を仲間として信じるわ」
「ふざけんな!」
「アンタ、私に強猥したこと忘れたの?」
「……なっ!」
……なんて、事を、言いやがる!
「証人、それは事実か?」
ほら食いついちまったじゃねえか!
「そうよ、紛れもない事実! コイツは命の恩人であるはずのあたしに向かって猥褻行為を働いたの!」
「判決、死刑」
「まて! まだ弁護側の主張がないだろうが! そもそも誤解だ!」
「では弁護側、何か主張したいことはあるか」
おぉ!
俺に
少しは反論の余地が生まれるかもしれんぞ。
「特にありません」
「弁護しろよ! てかお前吉井だろ!」
「堪忍しろキンジ! 今朝の星伽さんからの朝食もこの裁判の対象だ!」
白雪からの朝飯? なんであれが裁判の対象なんだ?
「意味わかんねえこと言ってんじゃねえよ! 第一あれはお前も食ってただろうが」
「……何? 星伽さんが作った朝飯……? キンジ、弁護人、食ったのは事実か?」
何故かこの会話に団員の一人が食いついた……いや、声で分かったがコイツ武藤じゃねえか。
「あぁ、それは事実だ」
「そうか、キンジは裁かれるから良いとして吉井……お前も食ったんだな?」
「え? うん」
「裁判長、コイツも磔にしていただきたい」
「えぇ‼ なんでさ!」
「承認する」
「ぎゃぁぁぁぁぁ! 待って!待って!」
よくわからんがざまあみろ!
「では被告人、吉井明久に判決、死刑」
「議論すらしないの!? ってまって! みんな銃を向けないで! 洒落になってないよ!」
よし、しばらくは吉井に注意が向いている!
この隙になんとか対応策を……
「あ、そうだキンジ、はい」
作戦を練っている俺に向かってアリアが何かを渡してきた。
「ベルト?」
「さっきの事もう忘れたの?」
あぁ、そういえば(ヒステリアモードの)俺がアリアのスカートのホックが外れたのに気付いて渡したんだったな。
いやそんなもの渡す暇あるなら助けてくれたっていいと思うんだが。
「キュピーン! 裁判長! 理子分かった! 分かっちゃった!」
突然俺の隣の席の峰理子がFFF団に混ざって騒ぎ始めた。
しかも俺の近くまで来て騒ぐもんだから、せっかく吉井に向いていた意識がこっちに戻っちまってるじゃねえか!
「峰団員、何が分かったというのだね」
「はい裁判長! キー君ベルトしてない! そのベルトをアリアが持っていた! つまり! 彼女の前でベルトを取る何らかの行為をした! 要するに二人は――」
ヤバイ、これはヤバイ。
なぜかは分らんが明らかな殺意が俺に一転集中しだした。
「熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」
「……」
一瞬、俺が今までの人生を走馬燈のように思い出していた次の瞬間。
「「「「「「コロス」」」」」」
すべての銃口が吉井から俺へとシフトチェンジした。
「お、お前らなぁ!」
俺がなんとか反論しようとした時――
――ズガガン!!
銃声!? ほんとに撃ちやがったのかコイツら!
と、思ったのもつかの間。
FFF団が撃った物ではないと気づかされた。
なぜなら、銃声は俺の後方、FFF団ではなくアリアが立っている場所からだったのだ。
「れ、れれれれ恋愛なんて、くっだらない!」
先ほどまで殺気まみれだったFFF団も呆気に取られてしまう。
「全員覚えておきなさい! 今度あたしの前でそんなくだらないこと言うやつには――」
それが、神崎・H・アリアがクラスのみんなに発した、最初の言葉だった。
「風穴あけるわよ!」
「「「「はい、申し訳ございませんでした」」」」
と、俺の2年生スタートは朝からチャリジャック、異端審問会、アリア、と最悪なこと続きだった。
(ほんと、かんべんしてくれ……)
「ではキンジは釈放し、吉井の刑を執行する」
「僕はオチ担当なの!? ぎゃああああああああああ! 燃えてる! 燃えてる! 助けてえええええ!」