うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

64 / 74
ども。アニメ【アズールレーン】加賀さんの『姉様』ボイスに“あ"ばばばば……”と声にならない声をあげながら、大興奮している律乃です(至極単純)

因みに、推しキャラは綾波ちゃんとユニコーンちゃんです。
ポニテと守ってあげたくなる雰囲気にやられたんだ……(二人の可愛さに瞬殺KO)

では、シンフォギアとは関係ない余談をしてしまいましたが……本編をどうぞ!!


002 1129(いいにく)チケット~争奪戦~

 歌兎との二人っきりのデートが楽しみすぎて、自室に掛けてあるカレンダーの11月29日へと大きなはなまるマークを書き、1日が終わる毎に大きな✖︎(ばつ)マークを記していくのが日課になってきたそんなある日、あたしはある目的を果たすために妹の自室へと訪れていた。

 トントンと右手の人差し指を折り曲げて、中に聞こえるようにしっかりと木で出来た扉を叩くと

 

「…はーい」

 

 間延びした物静かな声が聞こえ、僅かに開いた扉の隙間からひょっこり顔を出す水色が掛かった銀髪がサラサラと揺れてからあたしを眠たそうに半開きした黄緑の瞳が見上げてくる。

 首元にヘッドホンが掛かっているのを見るとどうやら、歌兎は連休を利用して、徹夜であのやけに百合百合しいオススメされたアニメとゲームを視聴しつつ、プレイしていたのだろう。

 サラサラな水銀の髪は何処と無くボサボサな気がするし、半開きした瞳もいつもよりも眠たそうに思える。

 

(想像以上に高価な買い物でしたが、アレを買ってよかったデスね)

 

 一人、納得するあたしを暫し不思議そうに見上げた後、チラッと壁に掛けてある時計を見る為に振り返ってからキョロキョロと渡り廊下を見渡すその視線から妹が問いたいことが自ずとわかってきて、両膝に手をついて、歌兎の視線と合わせてから優しく微笑む。

 

「調なら今日は響さんと未来さん、クリス先輩とショッピングに行くそうデスよ。だから、お昼は作り置きしてるカレーを温めて、食べてって言ってました。一緒に食べましょうね」

 

 コクンと小さくうなづく歌兎は玄関の方を見てから優しい表情になって静かに微笑む。

 

「…お姉ちゃん達とショッピングか……シラねぇ、楽しんできてくれるといいね」

「はい。調は気配りさんの頑張り屋さんなので、今日は羽目を外して楽しんできてほしいデスよ」

「…うん」

 

 コクッとうなづく歌兎の頭をポンポンと撫でながら、右手を目の前に差し出す。

 

「調が朝ご飯作っていってくれたので一緒に食べましょう」

「…うんっ。あっ、少し待て。朝は寒いからカーディガン羽織ってくる」

 

 自室に入ってからドタバタと白いカーディガンを羽織ってからあたしの手をギュッと握る歌兎の可愛さに瞬時に頬がゆるゆるになるのを我慢しながら、まずは顔を洗いに行く為に洗面所へと向かう。

 

「気をつけて。台に登ってくださいね」

「…よいっしょっと」

 

 白いカーディガンの袖が濡れないようにめくってあげながら、近くに干してある妹の専用の防水エプロンを付けてあげてから右手に付けてあるヘアゴムでサッと前に流れている長い髪を一纏めにしてあげる。

 

「なんと、今日はポニテなのデスッ!」

「…かわいい。ありがとう、姉様」

「えへへ〜♪ 調と歌兎のヘヤースタイルならなんでもござれデスよ」

 

 得意げに笑うあたしにもう一度「ありがとう」とお礼を言ってから、ポニーテールを揺らして、前を向くと小さな両手で水を溜めてから、顔を数回洗う歌兎は朝の冷水にすっかり目が覚めたようで部屋を訪れた時よりかは瞳の半開き具合がミリ単位で違う。

 

「はい。タオルデス」

「…うん……」

 

 トントンと受け取ったタオルで顔についた水滴を拭いた妹からタオルを受け取って、洗濯機へと放り投げてから調に頼まれていた方の籠に入っていた洗濯物も一緒にガラガラと回しているとトコトコと台を片付けた歌兎が近づいてくるので防水エプロンをササッと洗ってから、リビングと向かう。

 

「…僕も手伝う」

「チンするのと味噌汁温めるだけなんで、歌兎は椅子に座ってテレビ見てて大丈夫デスよ」

「…むー、分かった」

 

 シブシブといった感じでリビングの椅子に腰かけた歌兎へと近づくのはあたしの周りでトコトコとお手伝いしてくれている調ロボと切歌ロボよりも一回り小さい歌兎ロボと切歌ロボで足元に近づいてくる二体のロボを机の上に持ち上げた歌兎へと切歌ロボが一生懸命何かを伝えようとしている。

 

「…?」

 

 小首を傾げる歌兎の机の上に重ねてある両手の甲をチョンチョンとまん丸な鉄で出来た手で叩いてから、歌兎ロボが小さな体躯を精一杯使って引き寄せているリモコンを指差す。

 

「…リモコンがどうしたの? へ? 電源? 付けろって?」

「デス」

「…ん」

 

 歌兎ロボの小さな手に導かれるままにちょんと人差し指で赤いボタンを押すのを見届けてから切歌ロボが1~9の数字が描かれている黒いボタンへと小さな両手を添えると「よっこいしょ」と全体体重をかけるとニュースが流れていたチャンネルが料理特集をしているチャンネルへと変わる。

 じゅ〜〜と何かが焼ける音が此方にも聞こえてきて、味噌汁を温めている最中、テレビへと視線を向けるとそこには大きな鉄板の上に赤身へと美しい線が走る如何にも高そうなお肉が焼かれており、切歌ロボは心なしかルンルンと弾むような足取りでテレビから離れた席に座っていた歌兎の袖を小さな左手で引っ張ると一緒に近い席へと向かい、机の端から嬉しそうにパタパタと両脚を動かしながら、机へと身を乗り出す歌兎へと小さな体躯を預ける。

 

「…このテレビ番組がオススメなの?」

 

 切歌ロボが後ろに倒れてしまわないように身を乗り出す位置を微調整している歌兎はポニーテールを左右へと尻尾のように振りながら、目下にいる切歌ロボへと声をかけると歌兎を見上げるように顔を動かすと肯定の()であろう両手をブンブンと振り回す。

 

「デスデスデース!」

「…お肉料理特集か。流石姉様ロボッ。前もって特集でお肉の部位の事やお料理のお勉強しておくことによって、僕がお店での作法やお料理名前を知らないという恥をかかせないだけじゃなくて、部位ごとの美味しい食べ方や豆知識をも身につけられるという一石二鳥なばんぐ––––ううん待って。ま、……まさか、このお肉料理特集は僕に肉料理を作れるようにさせるた、め……? いつもお世話になっているシラねぇや他のねぇや達、お姉ちゃん達が11月29日行けない分。僕が行ったお店の味を覚えて、作ってあげなさいっていう遠回しなエールなの……? ね、姉様ロボ……そんなにも僕の事を考えて、暑いエールを送ってくれたんだねッ!! うん、任せてッ。姉様ロボの暑い気持ちも僕が受け止めて、絶対成功させて、美味しいお肉料理を振る舞えるようになるからねッ!!」

 

(やめてやめてやめてやめてやめてェエ"エ"エ"エ"エ"エ"エ"エ"エ")

 

 それ以上、その子を褒めないでッ。敬愛しないでッ。崇拝しないで–––––ッ!!!! 

 お姉ちゃん、恥ずかしさのあまり爆死するからッ!! お庭に花の文字で『ありがとう』書いて、マムがいるところ逝っちゃうからァア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!

 

「デ?」

 

 自分を用いたロボだからこそ分かる、小さい切歌ロボ(その子)は単純に自分が好きなお肉がたくさん映った番組が見たかったのであって、そんな歌兎が思っているような深い意味はない、断じて。

 だって、突然身を乗り出して、真剣な表情で食い入るようにお肉料理を観ている歌兎をぽかーんとした表情で見上げてるんだよ……あたし、歌兎になんて言って誤解解けばいいの。あんな純粋で真剣な表情で作り方覚えてるんだよ……うちの妹っていつからあんなに真面目ちゃんだったんデスか……。

 思わぬところからの精神へとカウンターを食らったあたしが耳まで真っ赤にして、恥ずかしさのあまり死にそうになるのを両掌で顔を塞ぐことでなんとか回避しているのを心配そうな表情で見上げてくる調ロボの頭をポンポン撫でてあげる。

 

「……うん」

「ありがとう、調ロボ。あたしなら大丈夫デスから、お椀やお皿を切歌ロボと一緒に準備してくれます?」

 

 疲れたようにいうあたしに心配そうな視線を送った後で二体は小さな体躯を懸命に動かして、壊れないようにお椀やお皿を運んでくれるのを受け取りながら、白米や味噌汁をよそっていると

 

「…ん」

 

 自分がリモコンを持ってきたのに、切歌ロボとばかりスキンシップを取る歌兎に嫉妬した歌兎ロボがくいくいと全身を使って歌兎の袖を引っ張っている。

 その様子に気づいた歌兎が自分へと視線を向けてくれるのを見届けた歌兎ロボは切歌ロボのようにある数字が書かれたところへと両手を添えると全体重を掛けて、チャンネルを変える。

 

「…可愛い……この番組は動物特集なんだね」

「…んッ!」

 

 丁度、生まれたばかりの子猫達がじゃれ合う映像が画面いっぱいに映され、突然チャンネルを変えられた切歌ロボ以外はその映像の可愛さに思わず頬がゆるむ。

 思わずゆるゆるになる歌兎へと近寄った歌兎ロボは今度は仔犬がじゃれあっている映像が流れる画面を指差しながら、ブンブンとまるで"こっちの方がいいよ"と自重しているかのように右手を振るう。

 

「…へ? そっちよりもこっちの方が僕に似合ってる?」

「…ん。…ん」

「…歌兎ロボが言うならこのままでも……って、姉様ロボ、リモコン取らないで」

 

 時の流れに自分のことは任せ、自分の事よりも他人なザ・自己犠牲な性格は相手が機械でも発動してしまうようで、さっきまで熱く切歌ロボと約束していた事は何処へやら、すっかりこっちの動物特集を観ようとする歌兎からリモコンを奪い取った切歌ロボは"あたしはそっちが観たいのッ! "と言わんばかりにさっきのお肉料理特集へと変えるのをみて、歌兎ロボも"僕の事は僕の方が一番分かってるのッ! "と言わんばかりに動物特集へとチャンネルを変える。

 

「デスデスデースッ!!」

「…んッ!! …んッ!!」

 

 白熱していくチビっ子ロボによるチャンネル争奪戦に中間にいる歌兎はおろおろと二体を落ち着かせようとして、二体が押しているリモコンを上に持ち上げてから、二体が届かないように椅子から立ち上がると画面が分割できる機能を発動させる。

 

「…ふ、二人共落ち着いて。え……と、そうだ。確かこのボタンで………とッ。……ほら、これで二人がオススメしてくれた番組が見れるよ」

 

 其々の観たいテレビが分割されているのを見届けた二体は嬉しそうに両手を取り合うのを見て、歌兎は疲れたように椅子に腰掛ける。

 

「デース」

「…ん」

「…落ち着いてくれたようで良かった」

 

 二体のロボによる歌兎と見せかけてのチャンネル争奪戦はひとまず幕を閉じたようで……今は二つに分かれた其々の画面を机へと身を乗り出す歌兎へと縋るように腰掛ける二体の小さなロボが肩を並べて、一人と二体が仲良くテレビを観ている。

 遠くから小さな一人と二体が身を寄せ合って仲良くテレビを観ている様子は眺めているとほっこりと温かい気持ちになるし、何よりも––––

 

(––––癒されますね……)

 

 そんな癒させる空間を壊すのは嫌だが、朝ご飯をこのまま食べないで歌兎の可愛らしいお腹がぐぅ……と鳴るのは姉として許せないため。

 調ロボと切歌ロボに手伝ってもらいながら、リビングへと調が作っていってくれた朝ご飯を広げると歌兎の隣へと腰掛ける。

 

「…姉様、お疲れ様」

「温めるだけなんでそんなに疲れてないデスよ」

 

(精神的にはかなり心がすり減ったデスけどね……)

 

 歌兎の首元へと顔を洗う用とは別の防水エプロンを付けてから、万が一にもお汁を零して、大火傷をしないように椅子を近づけてあげてからゆったりと朝ご飯を取っている最中にあたしはやっと本題に入るべく、歌兎の目の前へとソレを差し出したのだった。

 ソレを不思議そうに見つめた歌兎は眠たそうな黄緑の瞳をまん丸にするとあたしの顔をマジマジと見つめると小さな声で訪ねたのだった。

 

「…え? 姉様も買ったの?」

 

 と、心底不思議そうに。

 




これでまた一つ切ちゃんの黒歴史が増えたとさ(めでたしめでたし)
あと、歌兎さんは姉様を敬愛するがあまり純真な真面目ちゃんに育ちました(めでたしめでたし)



新しく始まったマリアさんメインイベント【裏切りの独奏曲(カデンツァ)】は読者の皆様は既にプレイなされたでしょうか?

私はのんびりとプレイして、マリアさんらしいシナリオに涙腺がやられつつあります……マリアさん、あんなって人はッ! なんで自分の事も大切にしないのッ!? いや、それは装者みんなにも言えることか……。

そんなイベントで交換できるメモリア【イケてるふたりに大変身ッ!】のシナリオを先日に読んだんですが……やべーデス。切ちゃんも可愛いけど、なんだかんだいって付き合ってくれる調ちゃんの優しさたるや……改めて、きりしらはいいなぁ〜と再認識できるシナリオでした。

また、今回のメモリアの切ちゃんって非常に……いつもの一億倍増しで可愛くありません?(可愛さのあまり数秒固まる)

ぺろっと意地悪に舌を出した表情に、サイドテール……あと兎のマークが押された可愛らしいジュース……あぁ、二人でラビットハウスに買いにいったんですね(的外れ)

あぁ……まさか、切ちゃんが髪の毛結んでいるメモリアが見れるなんて……(歓喜)
前々から切ちゃんって髪の毛結んだ姿も似合うと思ったのですよッ!! やっぱりサイドテール間に合うですが、今度はポニテを。ポニテした姿を律乃めへと見せてください!(必死)

って、かなり暴走しちゃいましたね……今週の未来ちゃんの誕生日は未来ちゃんと響ちゃんを載せる予定ですので、楽しみにしててください!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。