ギリギリ間に合った……(大汗)
案の定、文字数は少なめです。
それでは本編をどうぞ!!
目の前に人の気配を感じられなくなってから暫く経った頃、誰かに押し付けられた壁沿いにズルリとピンク色のタイルへと腰を落とした僕はさっきまで自分の身に起きていた事を受け入れられずに目の前の白い壁を茫然と見つめる。
(……プルってしてて……少し湿っていて……生暖かくて……そして、柔らかった……)
自分の唇をなぞり、さっきまで押し付けられていたものを思い出すとやっぱりあれは誰かの唇だったと考えられるだろう。
(でも、誰が僕に?)
自慢じゃないけど、僕は誰かに好意を抱かれるような立ち振る舞いをしてないし、台詞も言ってないように思い出せる限りではないように思える。思えるのだが、僕は数秒前までこの場所で壁に押し付けられた後に何かを顔にかけられて、軽く唇を押し付けられた後にペロリと上唇と下唇を舐められて、啄まれた。
(……初めて、あんなキスされた……)
その時の光景を思い浮かべるだけで顔が真っ赤になり、耳まで熱を帯びていく。
いつもは姉様に恥ずかしいけどおはようとおやすみにキスをおでこか頬にされたりしたりするくらいで誰かと唇でキスをした事ない。
(……そっか、さっきのが僕のファーストキスなんだ……)
ファーストキスという言葉自体に強いこだわりや思い出があるわけではないけど、言葉にすると何か込み上げてくるものがある反面、何故誰かがこんな事をしたのかが気になる。
「…!」
(そうだ! 僕の顔にかかっているこの布にさっきの人の名前が書いてあるかもしれない)
大急ぎで顔にかかっている布を手にとってみると薄い布生地の下の所に《暁 歌兎》と見知った名前が同じく見知った文字で書かれてあり、思わずガクと気を落としてしまう。
「……ってこれ。僕のじゃん」
折角誰かが反面すると思い期待していた分、呆気ない結果で終わってしまい、ついガッカリしてしまう。
恐らく、さっきの人とぶつかってしまった時に落としてしまったのを見ていて、拾ってくれたのだろう。
振り出しに戻ってしまった"僕にキスをした人探し"に他にヒントになるものはないかと首を捻って考えていると廊下の方から叫び声が聞こえてくる。
『……う〜ぅ! 歌兎! 何処デスか〜ぁ!!』
(姉様?)
常日頃から耳にしている特徴的な"デス口調"を壁越しに耳にして、眉をひそめているとギィ……とドアが開く音が聞こえ、ひょっこり顔を出すのは明るめの金髪に大きな
「歌兎、発見デス! ってあれ? トイレの床に座ったりして具合でも悪いんデスか? ハンカチを握りしめたりして……」
「…ぁっ」
しまった、さっきまでの出来事を考えるのに夢中ですぐに立ち上がることが出来なかったと後悔しつつ、スクッと立ち上がった僕はポンポンとお尻を叩くと薄っすらと涙まで浮かべている姉様を納得させられるような言い訳を考える。
「…なっ! なんでもないの」
「なんでもないならなんで床に変わってるんデスか……っ」
声まで涙声になるのを聞いて、考えるよりも口から飛び出たのがーー
「…これはその…少し疲れちゃったから…休憩してたの」
ーーという苦しまみれの言い訳だったのだが、姉様は安堵の溜息をついてから、胸をなで下ろす。
「そんなんデスか。なら早くお姉ちゃんを呼んでくれたら良かったのに」
淡く微笑みながらそう言う姉様は僕に向けて両手を広げると近づいてくる僕を抱き上げてからそのままトイレを後にすると食堂へと舞い戻ると僕を椅子に座らせると隣に腰掛けてからエビフライ定食の器を触れてから僕を見る。
「すっかり冷めちゃったデスね、温めてもらいますか?」
「…んん。僕が早く食べなかったのが悪いんだからそのまま食べる」
零したから服が汚れるということでエプロンを付けてもらってからモグモグと冷めてしまった定食を食べていく中、僕はまだ食堂に残ってからご飯を食べているお姉ちゃん達とねぇや達を見ていく。
僕が食べている席の斜め前に腰掛けて、食事するのは未来お姉ちゃんと響お姉ちゃん、クリスお姉ちゃんでどうやら未来お姉ちゃんは既に食べ終わっており、まだ食べている響お姉ちゃんとクリスお姉ちゃんが食べるのを待っている様子だ。
「もう、響もクリスも早く食べないと訓練に遅刻しちゃうよ」
「うっぷ……クリスちゃんが帰ってくるのが遅いからっておかわりするんじゃなかった……」
「お前、どんだけおかわりしたんだよ」
「んーとね、確かこれで5杯目だったと思う」
「お前馬鹿だろ!? おかわりで富士山築いてどうすんだよ!? おかわりで世界遺産狙うつもりか!?
目の前で山盛りのご飯を片手に「えへへ」と笑う響お姉ちゃんに呆れ顔のクリスお姉ちゃんの二つ席空けてから向かい合うように座り、食事を取っているのがマリねぇとセレねぇだ。
「セレナ、大丈夫? トイレから帰ってきてから顔色が悪いわよ」
「え? そ、そんなことないよ。マリア姉さんの見間違いだよ」
「そうかしら? 頬が真っ赤よ。熱があるのかもしれないわ、おでこをどしてごらんなさい」
そう言って、マリねぇがセレねぇのおでこを触るところを見てから、僕も早く食べないと特訓に間に合わなくなると心早足で定食を掻きこむ。
さりげなくヒントは潜ませておくスタンツで今週の土日のどちらかでお風呂シーンを書ければと思います!
お待たせしてしまい、すいません……(大汗)