うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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昨年は大変お世話になりました。

今年もよろしくお願いいたます(土下座)


漫談編 ホロロン鳥と兎と時々意地っ張り。 中編

3.

 

 ネコネお姉ちゃんに引っ張られるままに廊下へと連れ去られた僕と姉様はズンズンと迷いない足取りで進んでいくピンク色の着物に覆われた小さな背中を見つめながら、小さな声で隣で同じく"なぜ自分が連れ出されたのか? "理由がわからず、整った顔立ちをキョトンとしている姉様と意見を交わす。

 

「……ココポでお世話するって事はこれから向かうところはルルお姉ちゃんのところかな?」

「……そうじゃないデスか。それならあたし達まで付いて来ちゃって良かったんデスかね?」

「……んー」

 

 姉様から問われ、チラリと前を歩くネコネお姉ちゃんの横顔と足取りを盗み見て見るとどうやらハクお兄さんへの怒りで一杯一杯なのか、ふんふんと廊下を踏みしめていくので僕はゆっくりと自分の中で吟味し、姉様の方を見て小声で答える。

 

「……良かったんじゃないかな?」

「……歌兎がそういうなら。あたしはそれでいいデス」

 

 ほんわりとそういった姉様へと淡く微笑んでから、今回はネコネお姉ちゃんの用事に付き合うことにする。そう決まった瞬間、引っ張られるだけだった足取りが弾むようになるのを見ると僕はもちろんのこと、姉様もさっきのホロロン鳥のヒナでココポのお世話をしてみたくなってしまったらしい……。

 

 三人で並んで、ルルお姉ちゃんことルルティエお姉ちゃんの部屋の前に並び、代わる代わる身振り手振りで説明すること数秒後、ルルお姉ちゃんは三人を見渡しながら確認とばかりに問いかける。

 

「ココポのお世話…ですか……?」

「はいなのです! ココポみたいな大きな子でもちゃんとわたしとお世話できるってハクさんに証明したいのです! 切歌さんと歌兎さんも一緒に」

「切歌様も歌兎様もご一緒に」

「…ん」

「デース!」

 

 ネコネお姉ちゃんの言葉に力強くうなづく僕––––の頭の上と肩の上に乗っかっているホロロン鳥のヒナ達–––––と力強く右手をおでこに押し当ててる姉様まで見た後、ルルお姉ちゃんはハッとしたような顔で自分を見上げてくるネコネお姉ちゃんの決意とは別に大きく燃える対抗心の炎が映る丸い赤い瞳を見て、全てを悟ったような顔をする。

 恐らく、ルルお姉ちゃんのことだからネコネお姉ちゃんがハクお兄さんと味を張り合っていることは察しているのかもしれない……。

 

「あ……でも……」

 

 なので、僕たちを気遣ってくれてお断りするかもしれないと内心ハラハラしながら、ルルお姉ちゃんを小鳥達と見上げているとルルお姉ちゃんは形良い眉をひそめて、何かに葛藤しながら歯切れ悪く言葉を発する。

 

「でも……?」

「デス……?」

 

(でも……? でもに続く言葉とはなんだろうか?)

 

 僕と姉様が同期(シンクロ)した動きで小首を傾げているとルルお姉ちゃんは首を横に振り、僕達を見渡してからニッコリと笑う。

 

「ううん……どうか……ココポを……よろしく……お願いします……!」

「ありがとうございます、ルルティエさま! がんばりますです! 行きましょう、切歌さん、歌兎さん」

「はい、ココポをあたし達で隅々まで掃除してあげましょう!!」

 

 ネコネお姉ちゃんと姉様がココポが居る小屋に向かって小走りで向かっていくので僕も置いていかれまいと追いつこうと足の向きを変えた瞬間、ルルお姉ちゃんがこいこいと僕のことを手招きしているのに気づき、ちょこちょこと近づく。

 すると、頭の上にいた一匹の小鳥がルルお姉ちゃんの掌にピョンと飛び乗って、ほっそりしている指先で頭を撫でられているのを見てから、ルルお姉ちゃんが僕だけを手招きした理由を知る。

 

「ふふ、可愛い……みんな、ココポの小さい時にそっくり。この子達は歌兎さまが飼っているのですか?」

「…んん、着いて来ちゃったの。朝、姉様達とこの子達が詰まってる木箱を見に行った時から」

「そうなんですか」

 

 ルルお姉ちゃんはさっきの僕の言葉足らずな説明でも理解してくれたようで僕の目線まで腰を落とすと遠慮がちに尋ねてくれる。

 

「その……歌兎さま、もし良ければ、わたしがこの子達をお預かりしていましょうか? 初めてなさるココポのお世話をされながら、この子達のお世話をするのは難しいと思いますから」

 

 目の前にある優しく慈愛に満ちたピンクの瞳を暫し見つめた後に静かに首を横に振る。

 

「…ルルお姉ちゃんの気持ちは嬉しいけど、この子達を連れて来ちゃったのは僕だから。僕が責任を持ってお世話してあげないとっ」

 

 そう意気込むととんとんと優しく頭を撫でられて、前を向くとルルお姉ちゃんの手が頭の上で動いていた。

 

「……あまりご無理はなさらないでくださいね。ココポの事どうかよろしくお願いします」

「ん、ココポのお世話任せて」

 

 ポンと胸を叩いてから、ルルお姉ちゃんへと振り返ってから小さく手を振って、廊下を小走りで向かおうとした瞬間、廊下の角から血相を変えた姉様が走ってきて、自分の目の前に現れた僕をギュッと抱きしめると安心したようにため息をついてから、身を離すと二人で手を繋ぐと小屋に向かって歩き出すのだった……




ということで後編は早ければ今日、遅ければ近いうちに更新させていただきます!

ネコネちゃん、歌兎、切ちゃんの三人は協力してココポのお世話をこなせるのでしょうか?
あと、小鳥達とココポが仲良くなれるのかも心配ですね…(微笑)



という事で、話が繋がっているの分からないですが……うたわれの世界で暮らす二人の服装をまだ装飾品や柄を付け加えると思いますが……私なりにデザインして、うたわれ衣装ver暁姉妹を描いてみました!
私のへっぽこ画では切ちゃんの可愛さはもちろんのこと、歌兎の可愛さも微塵も伝わらないと思いますが……参考程度に立ち寄ってもらえると嬉しいです。



【挿絵表示】



ということでどうだったでしょうか?
最近忙しくて、歌兎もですが……切ちゃんも久しぶりに描いたので、全然似てないと思いますし、可愛くもないと思いますが…うたわれでは二人はこういった服装なんだと読者の皆様のイメージ作りに役立ててもらえると嬉しいです(土下座)




と、かなり遅いですが……【シンフォギアXD】の重大発表はシンフォギアライブでしたね!!
しかも開催日が響ちゃん&切ちゃんの中の人、茅さんのお誕生日だということに大興奮し『絶対行きたいッ!!』と意気込んで、ふと思ったんですが……今回のXDの切ちゃんのカップリングソングって"お誕生日"の歌でしたよね…(ガタガタ)
つまり【はっぴーばーすでーのうた】は茅さんにとっては本当の"はっぴーばーすでーのうた"ってなるわけですね!! 『あたしにばーすでー』となるわけですね!! ってはしゃいじゃってますが……あの曲は良くも悪くも切ちゃんらしい曲ですから……あまり素直に喜べませんが……こういうキャラと演じていらっしゃる方がクロスするとついテンションが上がってしまいます! って何言ってるのか、分からないですね…すいません…(大汗)




最後となりますが……前書きでも書かせていただきましたが、昨年は大変お世話になりました(土下座)

私欲に溢れた話や更新が遅くなってしまう時が沢山あり、楽しみになされている読者の皆様をお待たせしてしまうことになり、申し訳ありませんでした…。

今年はもう少し更新スピードを速めたい……と書きたいのですが、次回の話後、本編にてまだ終わらせられてないメインストーリーの手直しに掛かりっきりとなるので半年はあまり話を更新出来ないと思います…(大汗)

なるべく早く終わらせたいと考えていますが、何日、何ヶ月必要かは現状では分からないで……のんびりと更新を待っていただけると嬉しいです!

今後とも本作【うちの姉様は過保護すぎる。】と主人公・歌兎。そして、(わたくし)律乃、共々どうかよろしくお願い致します(敬礼)






R2.1.1.追記.雪音クリスちゃんの【SONG FOR THE WORLD】について。

前編の方にてアルバムXD2に収録されている雪音クリスちゃんの【SONG FOR THE WORLD】の解説と言ってもがっつりしたものではなく、軽い感じのを高垣さんがラジオにて言っていたとお伝えし、感想の方にて"その回はどこなのか"というご意見を頂き、私の記憶の中はあるその回を探してみたのですが……完全な確信は持てないのですが【73〜75回】の間で間違いないと思います。
理由はそのお話を聞いた時、茅野さんがゲストに来られる回に近いか、その回だった気がするので…気持ちがソワソワしていた記憶があるのです。
なので、【73〜75回】を聴いていただけると高垣さんのお話が聞けると思います。

また、それに似た話していらっしゃった内容に似ている文章を高垣さんのオフィシャルサイト【あやひごろ】の【シンフォギアXDクリス新曲♪ 】にもありましたので、気になった方は確認していただけると嬉しいです。

さて、もう少し語らせていただくと……高垣さんは私がなるほどと思った会話にて『XDの曲だけど、原作の装者のみんなの気持ちも含まれている』と言われていたと思うのです。
確かに【SONG FOR THE WORLD】もですが、他の曲にも原作のみんなの心境といいますか……高垣さんのお言葉をお借りしていただくと『あの時感じていた気持ち』なのかなぁ……と思う歌詞が多々あるんです。

クリスちゃんでいうと『受け継いだ愛情を胸いっぱい込めて放て』というところがそこなのかな…と思っていたりします(微笑)

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