ツンツンしつつもなんだかんだみんなに優しく世話好きなクリスちゃんが私は大好きデス!!
さて、今回の話はそんなクリスちゃんを登場させつつも----大暴れするのは我らが過保護な姉様だと思います(笑)
では、本編をどうぞー!!
※すいません、タイトル間違えてました(大汗)
なので、『うたずきん』から『衝突』へと変わってます。
「はぁっ…はぁっ…なんだだよ!あいつ!!」
そう悪態をつきながら、路地を駆け抜けるのは僕をお姫様抱っこするリゼお姉ちゃんである。
「隙ありデス!リゼさん!!」
「って、あぶなっ!?」
上から降ってきた姉様の指先が僕に触れそうになり、クルッと回り自分の身体を盾にすることで回避したリゼお姉ちゃんにタイルに片足をつけて立ち上がった姉様が不敵に笑う。
「リゼさん、なかなかやるデスね」
「歌兎を時間まで守るって約束したからな。そう簡単に切歌に歌兎触れさせるわけにはいかないからな」
リゼお姉ちゃんも挑発とばかり不敵に姉様へと笑いかける。
その笑顔が、そのセリフが、ギュッと抱きしめられて感じるリゼお姉ちゃんの体温についドキドキしてしまう。
「‥‥リゼお姉ちゃん」
リゼお姉ちゃんを見上げ、惚ける僕を見て、唇を噛みしめる姉様は悔しそうに地団駄を踏むとビシッとリゼお姉ちゃんを指差す。
その時の顔は今にも泣き出しそうな、それでいて湧き上がってくる他の気持ちにも翻弄されているような、なんともいえない顔をしていた。
「なっ、なななな……ぐぅうううぅ〜〜ぅ……。もういいデス!リゼさんの事なんか大っ嫌いになったデス!!あたしから歌兎を攫ったばかりか、歌兎の心すら攫おうするリゼさんなんか大っ嫌いデス!!この悪魔ッ!怪盗ッ!コソ泥ッ!!」
「だからなんでそうなる!?」
リゼお姉ちゃんの悲鳴じみたツッコミからまた再開する千夜お姉ちゃんの『よーい、スタート』というなんとも間の抜けた合図から始まったこの【歌兎ちゃんにわんつーたっち】という名の逃走劇は、果敢に攻めてくる姉様に勝敗が傾いているように思えた。
(それにさっきの挑発から攻めもやけっぱちになっているような気するし)
このままでは姉様に触られるのも時間の問題と考えた僕はリゼお姉ちゃんへとお願いごとをする。
「リゼお姉ちゃん、そっちの角を右へお願い」
「分かった」
リゼお姉ちゃんが方向転換し、レンガの家とレンガの家に挟まれて作られた小道へと足を踏み入れるのを見届けた僕はごそごそとポケットを探る。
「姉様、ごめんなさい」
と、姉様に詫びを入れてから僕は勢いよく"ソレ"を地面に転がせた。
そして、ソレを勢いよく踏みしめてしまった姉様はバランスを崩して尻餅をついてしまう。
「ふふ、そんなところに逃げ込んでもあたしには––デデッ!? 何でこんなところにビー玉がぁああ!!?」
ドッスーン、と大きな音が聞こえてきたから、きっとかなりの勢いで尻餅をついたのでないだろうか?
そう思い、リゼお姉ちゃんの左肩越しに後ろを見てみるとーー
「ふふふ……フフフフ……歌兎ってば、お茶目ちゃんデスね……こんなところにビー玉なんて投げ捨てるなんて……そんなに、そんなにもリゼさんがいいんデスか? あたしという姉が居ながら……もう手加減しないのデスよ……」
ーーそこには、ゆら〜りゆら〜りと不自然な起き方をして、光が灯ってない淀んだ黄緑色の瞳は笑ってないのに、桜色の口元は笑っているという不気味かつ底冷えする笑い方をしている姉様がいた。
(怖いコワイこわいッ!追いかけてくる姉様の顔がマジすぎて怖い!!)
「歌兎、リゼさんッ!!」
何処かのマラソンランナーのように背筋を伸ばし、両手を振りながらも迫ってくる姉様の顔は真顔ときた。これが怖い以外のなんだというのだろう。
リゼお姉ちゃんも後ろを見てから怯え出した僕を見て、チラッと後ろを見た瞬間、逃げるスピードが加速した。やはりリゼお姉ちゃんの目から見てもマラソンランナーのように背筋を伸ばし、真顔で迫ってくる姉様は恐怖の対象の何者でもないらしい。
少しでも姉様の脚を緩ませようとクネクネと小道を通るが、そこは元の世界での出動や特訓で鍛えている姉様にとっては苦でもなんでもない。
どんどん迫ってくる真顔姉様にリゼお姉ちゃんが小さく「ひぃ…」と悲鳴を言った時だった。
ドッシーン、と誰かとぶつかったのはーー。
「てて……なんだってんだ」
「すまない。私が前を見てなかったばっかしに……」
「いいや。こんなところにつったてたあたしも悪いんだから、気にするな……って、なんでこんなとこ居るんだよ、チビ」
そう言って、リゼお姉ちゃんの腕に抱かれている僕を見て目をパチクリさせているのは、薄紫色が入った白銀の髪を赤いシュシュでお下げにして、赤を基調とした服に身を包む少女・クリスお姉ちゃんだった。
「‥‥クリスお姉ちゃん?」
と、唖然と呟く僕にリゼお姉ちゃんが耳打ちしてくる。
「クリスお姉ちゃん? もしかして、この子歌兎の知り合いの子なのか?」
「‥‥うん、元の世界で未来お姉ちゃんと共にお世話になっていたお姉ちゃん」
「そうなのか」
未来お姉ちゃんの時もそうだったけれども、こうも突然に知り合いに出会ってしまうと何を話したらいいのか分からなくなる。
未来お姉ちゃんによるとあっちの世界では僕と姉様が行方不明になって結構な時間が経ってしまっているとのこと、故に捜索隊も解散し、自然と僕と姉様は最悪の結果になったというのが大師匠様が出した決断だったとの事。
その決断に多くのお姉ちゃん達が、ねぇや達が、S.O.N.G.のスタッフの皆様が心痛めたのだろうか。それは僕では想像もできない。
だからこそ、目の前で複雑な感情を持て余しているクリスお姉ちゃんには叱られてもいいと思っている。
「歌兎、ギューーッ、デス」
クリスお姉ちゃんの重たかった口が開き、何か言われると思い、目を瞑る僕は突然横からかっさられるように奪われると鼻腔を擽ぐるのはいつも嗅いでいる匂いだった。
それにびっくりして、目を開けるとデレデレと頬を緩ませる姉様の顔がすぐ近くにあった。
「‥‥へ?」
「えへへへ……やっとリゼ泥棒から歌兎を取り戻してみせたデスよ。あぁーっ、数時間ぶりの歌兎デス!!スリスリスリスリ」
「‥‥ちょっ、姉様っ。くすぐったから……って、そんなところ触っちゃやだよっ」
「いいじゃないデスか、姉妹なんデスから」
僕の頬へと自分の頬をくっつけ、ウリウリウリッと擦り付ける姉様の行動がくすぐったく、離れようとする僕を姉様は離してくれないどころか、変なところまで触れてくるし、撫でてくる。
(姉様…っ、そこはーー)
「ーーいい加減にしやがれ、この過保護ッ!!いつも言ってるだろ、そういうのは家でやれって!!」
そう言って、姉様から僕を剥ぎはがしてくれたクリスお姉ちゃんを見て、やっと姉様はクリスお姉ちゃんの存在に気づいたらしく、キョトンとした様子でクリスお姉ちゃんを見ていた––––––。
クリスちゃんの口調、優しくなっちゃったかも(笑)
っていうか、クリスちゃんの出番少なかったですね……これはあかんな(汗)
次回はバァ〜ンと活躍してもらいましょう!!(笑)
そして、勝利の女神は姉様に微笑んでしまったらしいです。
これで歌兎の抱き枕生活は確定ですね(苦笑)
しかし、リゼちゃんとの絡みも書きたかったんですけどね……仕方ない、ここはルート式にして『姉様Winバージョン』『リゼちゃんWinバージョン』を書くとしましょう!
しかし、一旦は参戦したクリスちゃんとの絡みを書きたいので……リゼちゃんWinバージョンはもう少しだけお待ちを(礼)
また、ここから先は予告と題した私なりの目標でして……12月31日に【繋がる陽陰の太陽】の第2話の更新、1月1日に第3話の更新と新年を記念した着物の姿の歌兎を後書きにて掲載出来ればと思います。
なので、それまで挿絵となる歌兎を描いたり、第2話と第3話を書き進めるのに時間を取られて、更新出来ないかもです(笑)
繋がる陽陰の太陽の第2話と第3話は色んな意味で衝撃的なものとなる予定ですので、楽しみにしててくださいッ!
さて、最後にここ最近の私のガチャですが……クリスマスセレナちゃん。限定解除切ちゃん(技属性と体属性)を其々のガチャ、10回目でゲット出来たのまでは良かったのですが……今行われている新必殺技バージョン・イグナイト切ちゃんはからっきしダメでして…(涙)
最近、切ちゃんのガチャの飴と鞭の落差が激しくて、泣きそう……