OMATASESHIMASHITAッ!!
お待たせした上に、今回の話は三つに区切らせてもらって…割と簡単に書かせてもらってます。
なので、内容が読者の皆さんに伝わるといいのですが…(汗)
というわけで、本編をDOUZOッ!
※この話の何処かに珍しい事が起こります。
その珍しい事を見つける事ができた人は明日いいことがあるかもデス!
では、そちらの方も楽しみにしつつ、ゆっくりとご覧ください!
切歌と歌兎の二人が千夜の
「それじゃあ、私たちはもう帰ります。二人はちゃんとチノちゃんのいうことを聞くのよ」
「ふふふ、すっかりお姉ちゃんね。シャロちゃん」
「茶化すな!」
ぽこん、と千夜の頭を軽く叩いてからシャロは千夜と共にラビットハウスのドアへと向かう。
その後ろ姿を見て、寂しそうにしているのが言わずもがな、切歌と歌兎である。
「…お姉様、帰っちゃうんデスかぁ…?」
「…姉上様ぁ…」
遠のいていくシャロの背中を見つめながら、潤んでいく少し垂れ目と眠たそうに半開きした黄緑色の瞳からの視線を感じとり、シャロは顔を苦渋で歪める。
しかし、そんなシャロの顔に負けずに視線を送り続ける二人にシャロは後ろを振り返ると大きな声で叫ぶのだった。
「あぁ、もう!分かったわよ!二人とも私の家に来ればいいじゃない!そうしたら、いつまでも一緒に居られるでしょう!!」
半ヤケ気味に叫ぶシャロの言葉を聞いて、二人は顔を見合わせると嬉しそうにその幼さが残る輪郭を笑みで歪める。
「ん、泊まる!」
「デスデス!!」
モップを持ったまま、嬉しそうにその場に利き手をあげてぴょんぴょんと飛び跳ねる二人にシャロは片手を見せる。
「じゃあ、五分だけ待ってあげる。だから、着替えとか準備してきなさい」
「…ん、分かった」
「30秒で充分なのデス!行こう、歌兎」
モップをその場に放り投げ、切歌は歌兎の右手を握りしめると階段を駆け登る。
二人の姿がいなくなってから、シャロは二人が放り投げたモップを床から持ち上げるとチノ達の方へと持っていく。
「はい、これ」
「ありがとう、シャロちゃん」
「別にココアのためじゃないから」
そう言って、ココアに渡したところでバタバタと階段を降りてくる足音が聞こえ、続けて現れるのが緑色と花青緑色のリュックを背負った切歌と歌兎であって、二人はニッコリと笑うとシャロへと敬礼する。
「準備」
「…終わった」
「のデス!!」
何故か、ハイテンションな二人を見て、呆然としていたシャロがひたいを抑えると切歌へと声をかける。
「……そう、で…切歌はなんで歌兎ちゃんを抱っこしてるの?」
そう、中に着替えやその他諸々入っているであろう緑と花青緑のリュックを歌兎が大事そうに持ち、その歌兎を切歌が背負っているのだ。
一体何があれば、そうなるのだろうか?
シャロが呆れながら聞く中、切歌は自信満々に胸を張ると当たり前のようにそれを答えるのだった。
「それはもちろん!歌兎が階段から足を踏み外さないようにデスよ!もし階段で転んだりしたら危ないデスからね」
「そう…」
(確かにこれは過保護ね)
時々、リゼと帰り道を共にする時に聞こえてくる"切歌の過保護"がここまで酷いものとは思わなかった。
シャロはひとまず、切歌から歌兎を降ろすと歌兎の手を握るともう一度、チノ・ココア・リゼへと頭を下げるとドアに向かって歩いていく。
「それじゃあ行くわよ、二人とも」
「はーいデス。リゼさん、ココアさん、チノちゃん。お疲れ様デス」
「…また、明日お願いします」
「あぁ、お疲れ様」
「お疲れ様〜。切歌ちゃん、歌兎ちゃん」
「お疲れ様です、お二人共」
三人にぺこり、と頭を下げた切歌・歌兎がドアから外へと出ていくと残された三人に妙な沈黙が降りてきて、気まずくさを感じてきた頃
がちゃん
とドアが開く音が聞こえ、人一人顔を出せるくらいに開いたドアの隙間からひょこっと顔を出すのが、さっきシャロと切歌に両手を繋がれ、この店を後にした歌兎であった。
「あれ?歌兎、どうしーー」
眠たそうに開かれた黄緑色の瞳を忙しなくキョロキョロと動かす歌兎にリゼが問いかける。
そんなリゼのセリフを遮った歌兎は小さく息を吸い込み、ぎゅっと唇を噛む。
「ーーこれだけは言っておかないとって思ったから…」
「「「?」」」
三人が首を傾げる中、歌兎はもう一度空気を吸い込み、チラッとチノの方を見ると蚊が鳴くような声で呟く。
「………おやすみなさい、チノ」
チノの方をジィーーと見つめたまま、頬から耳にかけてを真っ赤に染める歌兎にチノも同じように頬を染めながら、返事をする。
「はい、おやすみなさい。歌兎さ…歌兎」
チノの返事を聞いた歌兎は淡く微笑むとぱたぱたとチノに向かって右手を振り、目が合ったココアとリザにもう一度頭を下げると姉達の後を追うのだった…
ⅰ.
切歌と歌兎を家に招いたシャロは困っていた。
その理由はこの二人が喜びそうな晩御飯が材料的に作らない事だった。
(さーて、どうしたものかしら…)
冷蔵庫を見つめたまま、晩御飯の献立を立てるシャロの耳に届くのは、リビングではしゃぐ暁姉妹の笑い声である。
「…わぁー、このうさちゃん、もふもふっ」
「歌兎、見て見てください。このうささん、葉っぱ咥えてるデスよ!」
「…本当だ、じゃあ君はワイルドうさちゃんだね」
「デスね!」
という話し声から恐らく、部屋に入ってきたワイルドギースを二人が見つけて、ワイルドギースを抱っこする歌兎を切歌が抱っこしているって感じだろうか。
この短期間でここまで具体的に状況が浮かぶということは、シャロも切歌の過保護節が痛いほど感じ取っているということだろう。
「…ぁっ…」
「…逃げちゃったデスね…」
二人が残念そうな声を漏らす中、シャロは冷蔵庫から材料を取り出すと早速、晩御飯を作り始めるのだった…
ⅱ.
作り終えた料理を切歌と歌兎に手伝ってもらって、盛り付けたシャロはリビングにあるこじんまりした机を囲んで、料理を口に含む。
しゃきしゃき
と白く細長いものを噛み砕くたびに広がる食感に歌兎は左隣に腰掛け、静かに食べるシャロへと声をかける。
「…姉上様、これってもやし様?」
「様?」
確かに、目の前に広がる料理にはふんだんにもやしを使用しているが…何故、歌兎はもやしの事を様づけしているのだろうか?
首を傾げるシャロの左隣にいた切歌がその垂れ目を大きく見開く。
「あぁ、何処かで食べた事がある食感だと思ったら、もやし様でしたか!お久しぶりデス、もやし様」
「…もやし様のおかげで、僕らはここまで大きなったんだよ」
それぞれ、大事そうに箸で一本のもやしを味噌汁から摘まみ取り、恭しく頭を下げる切歌と歌兎。
「こら、やめなさい!二人共。食べ物を粗末にするじゃないの!」
シャロが二人の箸を下ろそうとするもすかさず、切歌が抵抗する。
「これは粗末にしてるんじゃないんデス!」
「…あの頃、お世話になったもやし様との再会を噛みしめている」
「意味が分からないわよ…」
普段は、シャロのいうことや周りのいう事を素直に聞く歌兎もこのもやし様との邂逅の時間だけは邪魔されたくなったらしい。
眠たそうな瞳を不機嫌そうに細めながら、シャロを睨む歌兎や切歌の突然の奇行に頭を抱えるシャロ。
しかし、それくらいで二人の奇行は止まらず、エスカレートしていくのだった。
箸でつまむ事さえも拝ましいと思い始めたのか、二人はもやし…いいや、もやし様を両手に乗せると天に向かって持ち上げると深々と頭を下げる。
「…もやし。それは最早僕らの命の恩人とも言える白いお方。…そう、あのお方で僕らは出来ている」
「もやし。それはあたし達のお財布が絶唱をしてしまっても何処からか現れて、S2CAであたしと調を救ってくれたあの時の響さんのように、もやし様はあたし達のお財布を忽ちにエクスドライブさせてくれるのデス」
「意味がわからないけど、取り敢えずその響さんって子には謝るべきだと思うわよ、私。あのもやしと同じ扱いなんてあまりにも不憫すぎるわ…と、それよりも歌兎ちゃんのさっきのセリフは何?もやしで出来てるって」
「…もやし、と呼び捨てするのも拝ましい程にお世話になったあの方。あの白くて凛と天に向かって伸びるあの姿に僕らは勇気付けられ、あのシャキシャキとした食感に明日を生きていく為の
「デスデス。あの三文字を耳にしたり口にする度につい様って付けないと身体がむず痒くなっちゃうデス」
「そこまでなの!?そこまでもやしを崇めてちゃってるの!あなた達!!?」
突然始まった語りに果敢に突っ込むシャロはほっておいて、暁姉妹は心ゆくまでもやし様と感動の再会を堪能するともやし様とのエピソードを話しつつ、シャロが作ってくれた料理を口に含んであったのだった……
今回もしょーもない話となりましたが…次回から割とちゃんとした話になる予定です。
回想回とかも含めるので、皆さんも見たことあるシーンも登場すると思いますッ!
と、今週の木曜日は響ちゃんの誕生日と切ちゃんの中の人こと茅さんの誕生日デスね〜♪
折角なので、この二人…響ちゃんと切ちゃんが絡む話でも書こうかなぁ〜…と思ってみたりするのですが、間に合うかなぁ…(苦笑)
間に合わなければ、また翌日書かせてもらうかもです。
また、こちらもしてみたいなぁ〜と思っていることなんですが、ごちうさとのコラボが終わった後に他の作品ともコラボしてみたいなぁ〜と考えております。
私のただの願望なので…実行しないかもですが…、実行出来るように本編の方も進められたらと思います(土下座)