うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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ifストーリーの方じゃないんデス…、本当に申し訳ない…。

ただただ、私の中にある私欲を抑えられなかったのデス…。どうしても、あのアニメとクロスオーバーさせたいッ!とうずうずしてしまいまして…、ほぼ勢いだけで書きました(汗)

クロスオーバーしたアニメは『ご注文はうさぎですか?』です。
なんで、クロスオーバーしたかったのかは本編でも、後書きでも書きたいと思ってます( ̄^ ̄)ゞ


※今回の歌兎は、甘えん坊な要素を多く含んでおります。本編と比べると、五割増しくらいになってます(笑)


クロスオーバー:ご注文はうさぎですか?
001 ご注文は迷子ですか?


よく晴れたある日、僕は姉様と二人で商店街を歩いていた。

僕の歩幅に合わせて、ゆっくりと歩いてくれる姉様の方へと向くと、にっこりと微笑んでくれる。太陽に明るい笑顔を向けられ、僕も自然に口元に笑みを浮かべると、つい先ほど姉様から貰った緑色のパーカーを見つめる。

そして、姉様の方を向くと僕は眉をひそめて、恐る恐る姉様の方へと問いかける。

 

「…姉様、本当にいいの?これ、とっても気に入ってたでしょう?」

「いいんデスよ。歌兎の服には、上着なかったデスからね〜」

 

そう言って、僕の頭をくしゃくしゃと撫でてくれる姉様は本当に気にしてないように思えるが、僕だって馬鹿ではない。この服を姉様がどれくらい大事に着てきたか、そして愛着を持っているかくらいは知っている。

なので、眠たそうに開いている瞳へと心配そうな色を浮かばさせていると姉様はニッコリと笑うとクルクルと指を回しながら答えてくれる。

その答えと態度から嘘とは判断出来たが、これ以上姉様を困られるのはかなり忍びない。

 

「ーー」

「そんな顔しなくても大丈夫デスよ。そのパーカーは、もう一着あるのデス。だから、お姉ちゃんとお揃いデスよ、歌兎」

「…ん」

 

(…僕が知ってる限りじゃあ、もう一着なかった気がするけどな…。

でもーー)

 

「えへへ〜、歌兎とお揃いって嬉しいデスねぇ〜。ねぇ、歌兎?」

「…ん。僕も嬉しいよ」

「えへへ〜、歌兎もお姉ちゃんとお揃いは嬉しいんデスね」

「…ん。僕は姉様のことを尊敬してるから」

「もう、歌兎ってば、可愛いのデス!!」

 

ーー僕へと抱きつき、こんな幸せそうな笑顔を浮かべる姉様の善意を裏切るなんて、僕には到底出来ない。なので、僕は姉様がすりすりと頬をすり寄せてくるのを自分からもすると小さく呟く。

 

「……お姉ちゃん、ありがと」

「ん?歌兎、なんか言ったデスか?」

「…ううん、言ってないよ。それより、姉様あそこに美味しそうなものがある」

 

眉をひそめる姉様の背後へと指差す僕の視線を追った姉様の少し垂れ目な瞳が段々と大きくなっていく。

 

「うわぁああああ!!!」

「…寄って帰るの?姉様」

「デスデス!」

僕の問いかけに元気よく答えた姉様は、僕の手を引くと屋台へと繰り出していく。

屋台で思う存分食べた後というのに、姉様はコンビニによるとお菓子やらを買っていこうと僕を引き連れて、コンビニの中を探索する。

ポテトチップスやジュース、時折僕の方を見て、どれがいいかと問いかける姉様に指差して欲しいものを伝えていく。

お菓子やらが沢山入ったビニール袋を空いている手で店員さんから受け取った姉様はその中からあるものを取り出すとパクッとかぶり付く。

もぐもぐと幸せそうに食べる姉様を見ていると、なんだか僕も幸せな気持ちになってくる。見上げてくる僕の方を見た姉様はパクパクと食べているそれを僕の方へと差し出す。

真っ白でふかふかな生地が包む焦げ茶色のものは、美味しそうな肉汁を溢れ出しており、僕は思わずゴクリと生唾を飲み込むとそれへと齧り付こうとするが、そうする前に姉様の注意する声がかかる。

 

「歌兎。これ、食べるデスか?美味しいデスよ」

「…ん。欲しい」

「暑いデスからね。ふぅーふぅーしてから食べるのデスよ?」

「…ん。ふぅーふぅー」

「あーんデス、歌兎」

「…あーん」

 

姉様から肉まんなるものをもらおうと思い、ふぅーふぅーと息を吹きかけてから食べようと大きな口を開けた僕の目の前を薄灰色の物体が横切り、「パック」と姉様が持っている肉まんを咥えていってしまう。

それを見て、唖然とする僕と姉様。

 

「…!」

「デス!?」

 

だが、その後の僕と姉様の行動は大きく違っていた。ぼくは姉様の肉まんを取り戻そうと薄灰色の物体(それ)を追いかけて、姉様は取られてしまったショックと僕の行動の速さにびっくりしているようだった。

 

「歌兎、待つデス!」

 

薄灰色の物体を追いかけるのに、必死な僕は姉様の停止の声を聞こえず、建物の細い路地へと足を踏み入れて…そこから先からの記憶はない…

 

 

 

 

 

ⅰ,

 

「…ん?ここは…」

 

僕は頭を抑えると、首を横に振るとゆっくりと立ち上がる。

 

(…うーん、ここは…何処だろ?)

 

さっきまで、姉様と居た街とは建っている建物が違う。

赤と白が織りなす石畳の道の横には、どうやら川が流れているようだった。太陽の光を反射し、キラキラ光る水面をゆったりと流れていく小舟まで見たところで、僕はいよいよここが何処なのかわからなくなった。

 

(どうしよ…。姉様ともはぐれちゃったし…)

 

姉様と合流するのが一番なんだけど…、ここが何処かわからないのに勝手に動き回るのはかえって迷子になってしまう気がしてならない。

 

「…お姉ちゃん…っ」

 

姉様から貰ったパーカーを握りしめ、泣き出しそうになる気持ちを抑え、僕はこの街の探索に出ることに決めると路地から顔を出すとゆっくりと歩き出す。

年季の入った建物の間に埋まっている木や、この街の中を流れる雰囲気を感じているととても健やかな気持ちになれる。

ゆったりと流れる時間と、早く姉様と合流しなくてはと焦る気持ちにより、この街の探索は思った以上に捗ったが、それによってわかったのは、この街は一度も来たことのない街であること。そして、今絶賛迷子中ということだった。

近くにあるベンチへと腰掛け、僕は背もたれへと縋ると上を向くと目を瞑る。そして、小さく呟く。

 

「…あぁ、疲れた…。…どうしよ、ここから…」と。

 

 

 

 

 

 

 

ⅱ,

 

私は今、親友の宇治松 千夜(うじまつ ちや)ちゃんと一緒に帰っている。

帰路の時に通る公園の差し掛かった時だった。見知った人物がベンチに腰掛けて、空を疲れた様子で見つめている。

その時、さらっと水色が入った銀髪が風に遊ばれ、その人物が着込んでいる悪魔をイメージしたような緑色のパーカーがふわりと揺れる。

私と千夜ちゃんは顔を見合われると、その人物へと近づくとその華奢な身体へと抱きつく。

 

「あっ!チノちゃんだ!」

「あら、本当に。あんなところでどうしたのかしら?」

「チーノちゃん♪こんなところでどうしたの?」

「…うわ!?」

 

抱きつき、問いかけてくる私の顔をジィーと見て、キョロキョロと辺りを見渡すチノちゃんに私は眉をひそめる。

 

「チノちゃん?」

「…そのチノちゃんって、僕のことですか?」

「「ーー」」

 

チノちゃんのそこの言葉に私と千夜ちゃんは絶句し、勢いよく顔を見合わせるとアタフタとする。そんな私たちに囲まれて、チノちゃんもしどろもどろに声を漏らす。

だが、絶賛混乱中の私たちにはその小さな声は聞こえない。

 

「千夜ちゃん、どうしよう!チノちゃん、記憶喪失みたいだよ!」

「…えっと…僕、そのチノちゃんって子じゃないんです。だから、人違いだと…」

「何処か、頭を打ってしまったのかもしれないわね!ここからだと…」

「…あっあの、僕はチノちゃんじゃないんです」

「フルール・ド・ラパンだね!ほら、チノちゃん立って」

「…あっ、あの…僕は…」

「大丈夫よ、チノちゃんッ!私たちが直してあげるわ」

「…だから、違うんです。僕はーー」

 

私と千夜ちゃんはチノちゃんの手を掴むと、頼りになる友達がいるフルール・ド・ラパンへと走っていった…

 

 

 

 

 

 

 

ⅲ,

 

「で、その子をチノと間違えて連れ回してしまったというわけか」

 

私はカウンター席に大人しく座る悪魔をイメージしたような緑色のパーカーを着込む水色が入った銀髪を持つ少女へと視線を向けると、その少女の目の前にいるチノへも視線を向けると、目の前にいる三人が間違えてしまったのもうなづける。

肩にかかる水色入った髪の長さも色合いも目の前にいるチノと全く同じだし、身体つきや雰囲気などもチノと全く同じだ。恐らくだが、年も同年代くらいなのではないかと私はよんでいる。そんな瓜二つな外見を持つ二人の違うところというと、目の色くらいだろうか?

カウンターの向こうにいるチノの瞳は髪と同色で大きいのに対して、カウンターに座る少女の瞳は黄緑で半開きである。

 

「ごめんなさい、先輩。私もついていながら…」

「いいさ。シャロがあの子の名前を聞いてくれなかったら、今ごろ大騒ぎになっていただろうからな」

申し訳なそうにしている学校での後輩へと声をかけると、四人で少女の近くへと歩いていく。何故なら、迷子だと判明した彼女自身の情報がもっと欲しいからだ。

シャロが聞き出してくれた彼女の名前は、暁 歌兎(あかつき うたう)。彼女の情報は今のところ、それだけだ。

 

その歌兎はというと、チノが淹れてくれたミルクとお砂糖多めのカプチーノを前にして固まっている。そんな歌兎に、チノが申し訳なそうに声をかける。それに歌兎はパタパタと手を振る。

 

「ごめんなさい。コーヒー、嫌いでしたか?」

「…あっ、違うんです。ただ、姉様とねぇやたちが居ないのに…こんな美味しそうなコーヒーを飲んでいいのかなぁ…って思って」

 

コーヒーに映る自分を見つめて、そうぽつんと話す歌兎の様子から“姉様とねぇやたち”という人達との絆の深さが読み取れる。恐らく、その絆の深さは私たちには想像できないくらいものなのだろう。

ならば、尚更その人達へと歌兎を返す義務が私たちにはあるだろう。

それにチノに似てる歌兎をこのまま置いておくとは、かなり後味が悪い。

 

チノがカップを拭きながら、歌兎へと問いかける。チノの質問にうなづいた歌兎は“姉様”を思い浮かべているのだろう。乏しい表情を穏やかなものへと変える。

 

「歌兎さんはお姉ちゃんがいるんですか?」

「…はい、とっても素敵な人なんです。そこにいてくれるだけで、周りの人を明るくしてくるというか…まるで太陽みたいな人なんです。僕はそんな姉様が大好きで…」

「歌兎さん?」

 

穏やかなだった表情を歪めて、ぽろりと強く握って、膝の上に置いている両手へと透明な雫が落ちる。

 

「おい、泣いてるのか?」

「…姉様に迷惑をかけちゃったって思うと…自分が不甲斐なくて…。姉様、きっとすごく心配してる…」

「大丈夫だよ!歌兎ちゃん。ココアお姉ちゃんが絶対、お姉ちゃんに会わせてあげるからね!」

 

ガシッと歌兎に抱きつくココアを見て、やれやれと思う私とチノ、シャロと違い、千夜はココアとは違う位置から歌兎に抱きつくとココアとうなづき合う。

 

「えぇ、私たちに任せて!早く会わせてあげるからね」

「…ん、ありがと。ココアお姉ちゃん、千夜お姉ちゃん」

 

そう言って、涙を拭いた歌兎はその後ラビットハウスで暮らすことになり、ただで泊まるのは嫌だと言う本人の意見からラビットハウスで暫く働くことになった…




というわけで、姉様が迎えにきてくれる。ココアたちが姉様を探し出すまで…ラビットハウスで働くなった歌兎ですが…

姉様が迎えにきてくれるのは、いつのことになるでしょうか…?




前書きで触れたこのクロスオーバーを書こうと思った理由ですが…

本作の主人公・歌兎が、このごちうさで登場するチノちゃんに似ている事でした。

姉となる切ちゃんと正反対となる性格と色にしたいなぁ〜と考えてしまった結果、無意識に似てしまったわけなんですが…

ここまで似ていると、それをネタにごちうさとコラボしてみたいなぁ〜と思い、今回の話を書いてみました(笑)

少しでも、読者の皆様にこのコラボが気に入っていただけたのであれば、いいと思ってます…m(_ _)m

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