…と前置きはこの辺にして、第四話です。
デストレイの新フォームやトロイアサイドにも動きが…?
前回までの仮面ライダーディスクロスは…
スピーカバグレイダーを倒したのも束の間、謎の少年・白堊靈斗が仮面ライダーデストレイとなり、ディスクロスである洸祐に『エクスの欠片』を渡すように要求してきた…。
——ライドモンスター、それはアプリの数だけ存在し、自ら考え、行動する『電子生命体』。
彼らはライドディスクで実体化し、そしてクロスドライバーでその力を発揮する。
今、ネットの海の底から、最凶の人工知能が動き出そうとしていた。
近未来、人類-ヒト-の知能を人工知能-AI-が超える——。
創都学園都市、創都自然公園、午後2:15
「———トロイアには手出しはさせない。」
「そんな…まさかトロイア側にも仮面ライダーがいるってのか!?」
「ウィンザ!?」
「とにかく降りかかる火の粉は振り払うしかねぇ、行くぞ!洸祐!」
「うん!」
[WIND DISC START UP!]
[WIND DISC SET!!]
「変身!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
すぐさまディスクロスに変身。
「とにかくまずはヤツのことを検索するのが先決しかねぇ!」
[WIND DISC ABILITY ACTIVE!!!]
「俺とお前の格の違いってヤツを見せつけてやるよ。いくぞ、ペイン…。」
[READY? DEADLY SPIDER START!!!]
「あぁ、我が力、お前らの記憶に焼き付けろ…!」
デストレイはディスクロスの方向に右掌をかざす。すると紫のエネルギーがディスクロスを包み込む。
「!?エラー表示だと!?」
「うそでしょ!?」
「これが俺のチカラ、お前らとはレベルも格も違うってことだ…!」
デッドリースパイダーの能力、ハッキングにより防御プログラムを改ざんされ、デストローダーによる容赦ない銃撃がディスクロスを襲う。
「このままじゃダメだ!撤退するしか…」
「それしかもう方法はねぇ!」
ウエポンのアタッチメントを取り換えてボウガンモードに、そしてその一撃を地面に撃ち込み、砂ぼこりを発生させる。
砂ぼこりが晴れると、ディスクロスの姿はいなかった。
「フン、尻尾を巻いて逃げたか。」
[SYSTEM DOWN!]
デストレイの変身を解除し、靈斗の姿に戻る。
「まぁいい、力づくでも『エクスの欠片』を奪うまでだ…!」
創都学園都市、うみそら書店 午後2:30
命からがら逃げてきた洸祐は傷だらけになりながら書店の入り口に入っていく。
「ちょ、洸祐くん!?どうしたんだ!?」
カウンターで作業をしていた哲哉がふらふらになっていた洸祐を見つけた。
「あ、店長…」
「一体何があったは知らないけど、なんとか処置を…由衣!」
「何、父さん…って洸祐くん!?なんでこんな姿に!?」
「私は今手が離せない。洸祐くんを地下の書庫で応急処置させてくれ。」
「なんだかわからないけど、分かった。」
由衣に介抱されながら、洸祐は地下の書庫に連れられた。
「救急箱と飲み物を取ってくるからちょっと待っててね。」
由衣は地下書庫に洸祐を連れて行くと、救急箱を取りに行くために書庫を出て行った。
「ねぇ、ウィンザ。」
由衣が出ていくタイミングを見計らって、ウィンザを呼び出した。
「ん、何だ?」
「彼もトロイアに対抗する『仮面ライダー』なんだよね…あの力があっち側にあるってなると、完全に終わったも同然だよね…。僕達、負けたんだ…。」
「洸祐…。」
落ち込んでいる洸祐を、ウィンザはただ見ているだけしかできなかった。
創都学園都市郊外、廃墟 同時刻
「フフフ…ついに『仮面ライダー』が対峙を始めたわ…これであいつ等の『エクスの欠片』を奪えば…。」
「トロイア様の完全復活は近い…ということだね。」
「あら、『ノイジー』にしては察しがいいわね。」
「キミの考えは常にワンパターンだからね。『シュガー』」
蛾のような怪物・シュガーとシバンムシのような怪物・ノイジーは何やら会話をしている。
「ハハッ、面白いねぇ。それじゃぁ、どっちが『仮面ライダー』から『エクスの欠片』をパクれるか、賭けようぜ?勿論『スカ』も参加で。」
「ったく、『カジノ』よぉ、俺はそんな駆け引き嫌だってのに…」
ヨコバイのような怪物のカジノと、カマドウマの怪物・スカも何やら賭け事を行おうとしていた。
彼らの目標はただ一つ、『トロイア』の完全復活である。
創都学園都市、路地裏 午後3:30
「板ノ上のスタジアムでバグレイダーっぽい反応をキャッチしたぞ。」
「そいつが当たりか否かでも、ディスクロスさえ来てくれればそれでいいか。」
「そこで『エクスの欠片』を根こそぎ奪うと。」
「そういうことしかありえねぇだろ。」
靈斗はポケットから、カセットプレーヤーのようなデバイスを取り出すと、スイッチを押す。すると形がどんどん変わっていき、専用マシン・デストチェイサーに変形した。
デストチェイサーに跨り、バグレイダーの許へ疾走する。
創都学園都市、 創都記念スタジアム外 午後3:35
監視カメラのバグから生まれたレンズバグレイダーが、右眼のレンズでとらえたものをすべて破壊していく。無論仮面ライダーがまだ現れていないため、市民の人々にはなんの前触れもなく窓ガラスや鉢植えが突然壊れてるように見えたのか、次々にスタジアムから逃げていく。
[SYSTEM START!]
その時、レンズバグレイダーの背中に衝撃が、静まり返ったスタジアムの外に電子音が響いた。振り向くとそこには、デストチェイサーにまたがり、デストローダーを構えた靈斗がいた。
「何だ?テメェ…?」
「お前が『アタリ』か『ハズレ』か見極めに来た。」
「ほぉう…面白いが、まずはこいつ等を倒してからだな…!」
そういうとレンズバグレイダーはバグダストを呼び寄せた。
「チッ、こんな雑魚ども相手にしてるヒマねぇってのに。」
靈斗はディスクロッサーから降り、デストローダーを起動し、変身せずにバグダストに持ち前の格闘術でバグダストに立ち向かう。
数分も経たずに、バグダストを倒し切った。
「グ…おのれぇ!」
「フン。さぁて、見せてもらおうか、お前が『アタリ』か『ハズレ』か…」
[DEADLY DISC START UP…!]
[DEADLY DISC SET!]
「変身…!」
[STAND UP! DEADLY SPIDER!]
靈斗はデストレイに変身、その間もなくレンズバグレイダーに容赦ない銃撃を喰らわせる。
「…ッ、その姿、テメェも『仮面ライダー』か!!」
「俺はアイツのように甘ったれてはいない。さてはお前、『エクスの欠片』を持ってるな?」
「なぜそれを知ってる!?」
「『アタリ』だな。」
[VENOM DISC START UP…!]
デストレイは黄色と黒のライドディスクを起動する。
「ディスクと起動したってことは、ボクが必要ってことね…。」
スズメバチ型のライドモンスター・ポイズが気だるそうに実体化する。
「行くぞ、ポイズ。」
「ハイハイ。」
[VENOM DISC SET!]
[STAND UP! VENOM HORNET!]
紫のアーマーのデッドリースパイダーから、ポイズの身体が、新たなデストレイの形態・ヴェノムホーネットのアーマーを形成した。
「たかが姿が変わっただけで…!」
「それはどうかな…?」
[READY? VENOM HORNET START!!!]
黄色と黒のエネルギーがデストレイの右拳に集中、間髪入れずにそれをレンズバグレイダーに打ち込む。
「これしきのパンチで俺が打ちひしがれるとでも…」
その時、レンズバグレイダーの身体に異変が発生した。
「か、体が動かねぇ…!」
「それもそうさ、さっきボクがキミに致命的な毒を注入したからね?」
ヴェノムホーネットの特殊能力、それは相手に致命的な毒を注入し、相手の全能力を一斉ダウンさせる能力である。
「ふざ…けんな…。」
「そもそも俺はお前の相手をしてる暇はない、求めてるのはお前の持っている『エクスの欠片』だけだ。とっとと消えてもらうぞ。」
デストローダーの銃身を180度変え、銃口から鋭い剣が展開された。
[BREAK DOWN! VENOM HORNET!]
「「ヴェノミングスラスト!!」」
刀身に黄色のエネルギーが宿る、デストレイはXの字にレンズバグレイダーを斬り、そしてとどめと言わんばかりに貫いた。
「うっ…ぐっ…グアァァァァァァアッ!!!!!」
貫かれたレンズバグレイダーは断末魔の叫びをあげ、爆散した。
「で、結局ディスクロスは出なかったけど、どーするの?」
「構わない、そのうち奴は現れるに決まっている…。」
爆炎の中から『エクスの欠片』を拾ってデストレイは言った。
拾うと同時に、雨が降ってきた。
創都学園都市、うみそら書店地下書庫 午後4:00
「(あんな強さに、僕が勝てるわけないよ…負けたんだ…僕は…。もう、あのライダーに勝てない…。)」
外の雨音も聞こえない地下書庫での隅で、洸祐は座り込み、あの『敗北』を引きずっていた。
COMING TO NEXT STAGE...?
…と言うことで第四話、いかがだったでしょうか?
実はこのデストレイ、モチーフのアプリは「悪質アプリ」(普通のアプリと偽ってスマホにウイルスを入れこんだり、個人情報流出させたりするやべーやつ)です。
そして今回から登場した四人の怪人(シュガーに至っては二話に出てますが…)、すべて実在するコンピューターウイルスから名前をとってます。(気になる人は調べてみてね!)
デストレイの圧倒的な力に精神ともにズタボロの洸祐は立ち直ることができるのか、次回もお楽しみに!!