——ライドモンスター、それはアプリの数だけ存在し、自ら考え、行動する『電子生命体』。
彼らはライドディスクで実体化し、そしてクロスドライバーでその力を発揮する。
今、ネットの海の底から、最凶の人工知能が動き出そうとしていた。
近未来、人類-ヒト-の知能を人工知能-AI-が超える——。
———創都学園都市、高架下 午前10:30
ディスクロスは、小さなバグの集合体が生んだ戦闘兵・バグダストと戦っていた。
「これで決める!」
「よっしゃぁ、行くぜ!」
[DISC SET! FINAL BREAK!]
「「烈風ライダースラァァァァッシュ!!!」」
ディスクをアタックロスウエポン・ソードモードに装填、烈風のエネルギーを纏った斬撃でバグダストの大軍を切り裂いた。
切り裂かれたバグダストは爆炎とともに消滅した。
[SYSTEM SHUT DOWN!]
「あ、そういえば…」
ディスクロスの変身を解いたとともに、洸祐はウィンザに聞き出した。
「バグレイダーとさっきのバグダストもライドモンスターみたいな一種の電子生命体みたいなのだよね?なんで普通に攻撃できるんだろう?」
「あぁ、それはそのクロスドライバーを起動した段階で、バグレイダーやバグダストを強制的に実体化させるプログラムをインプットさせてるからだ。あと、俺達ライドモンスターもライドディスクを起動した段階で実体化されるプログラムが発動されて、ディスクロスのアーマーになってるんだぜ!」
「さすが検索アプリのモンスター!なんでも知ってるし、すごいよ!!」
「おいおいおい!それに気づくお前もすげぇぜ!さすが主人公!」
…と人間1人とモンスター1体(?)が誉め合いをしていると、放置してある貨車の扉が開き、
「えっ、でっかいバッタ…!?」
洸祐と同い年であろう少女が姿を現した…
———創都学園都市、うみそら書店 午前11:00
創都学園都市でも一、二を争うほどの人気書店のうみそら書店。そこには由衣の父親でもあり、この書店の店長の椎名哲也が慌てふためいていた。
「ちょっとちょっと、由衣!あれ一体どういうことだよ!?」
「だよね…」
慌てふためく哲哉をよそに、由衣は苦笑いで応えた。
「だって数日前から行方不明のあの根岸ノノがあそこにいるんだよ!?」
超人気アイドル・根岸ノノ、彼女は数日前、突然マスコミはファンの前から姿を消し、連日報道されるほどの大ニュースとなっていた。
「洸祐くんが知らずにこっちに連れてきたんだって、ってかそろそろ父さん、レジいかないとマズいんじゃない?」
「ゲゲッ!?忘れてた!」
そういうと哲哉は、レジのほうに駆けて行った。
窓側にある、テーブルスペース。そこに洸祐のノノはいた。
「いや、まさかノノさんがそんな有名なアイドルだったなんて…あまりテレビを見てないから…。」
「いいんです、まだ私は駆け出し中だと思ってるんで…」
「でも、なんでウィンザが見えるんですか?」
「実は…。」
ノノはポケットから、ディスクの欠片のようなものを取り出した。
「これを拾ってからなんです。さっきのバケモノやあなたのモンスターが見えるようになったのは。」
「間違いねぇ、これは、『エクスの欠片』だ…!」
「エクスの欠片?」
「あぁ、この欠片を7つ集めると、トロイアに対抗できる究極の力が手に入るっていうやつだ。言わずもがな、それを手にしたものは俺達もバグレイダーも見える。」
「そういえばトロイアって一体何者なんだろう?…でもこの話するとウィンザが『処理落ち』しちゃうし…」
「…あぁ、奴に対抗できるクロスドライバーの適合者がいるんだ、俺もできる限り話してみるぜ。」
そういうと、ウィンザは意を決して口を開いた。
「俺達ライドモンスターもかつてはお前たちみたいにサイバーユニバースで平和に過ごしていた。が、その平和も長く続かなかった。突如ネットワークの海の底で潜んでいた最凶最悪の人工知能、トロイアが突然覚醒しだした、そして俺達仲間をディスクに強制変換して、バグレイダーも操り、インターネット上につながっているものを支配させ、人間世界に恐怖と混沌を陥れようとしている…」
「そんな…そんなひどいことしていたら困る人なんてたくさん出るのに…どうして!?」
「そこまでは分からねぇ…でも、あいつがマジで暴れだす前に止めねぇとヤバイ…でも…俺達なら絶対に止められる!!!!」
「そ、そうだ。僕達なら、絶対…って、ウィンザァァァ!?」
ウィンザはまるで力尽きたかのように『処理落ち』してしまった。
「まさか、私が知らないところでそんなことが…」
とても他人事と思えなかったのか、ノノもそうつぶやいた。すると…
「アイドルのおねーちゃーん!」
遠くから子供の声でノノを呼ぶ声がした。
「まさかファンの子!?居場所バレた!?」
ノノに向かって小学生らしき男の子が走ってくるが…
ビタン!!という物凄い音を立てて、子供が転んだ。
「ううっ…うっ…。」
「大丈夫!?あっ、怪我してる…」
ノノは持っていたリュックサックから絆創膏を取り出し、男の子の膝に貼り付けた。
「痛いの痛いの天まで届け~!」
「…はははっ、おねえちゃん、僕ね、おねえちゃんが出てるテレビすっごく見てるの!!おねえちゃん見てると、すっごく元気になってくるんだ!!」
さっきまで涙目だった男の子も、ノノのおまじないの恩恵なのか、どんどん笑顔になっていった。
「あっ、すみませんウチの子が…」
と男の子を探していたであろう母親が、男の子を引き取りに来た。
「私みたいな駆け出しでも、誰かのためになっているんだ…なんか、嬉しいな。」
その母子を遠目に見守りながらノノはつぶやいた。
『番組の途中ですが、ここで臨時ニュースが入ってきました。創都学園都市の橋ノ基工業団地にて、突然大型のタンクローリーが無人のまま暴走、警察のバリケードを突破し、同都市のコンビナート方面に向かっているとのことです。』
突然入ってきたテレビの臨時ニュースが賑やかだった書店を静まり返らせた。
「まさか!?」
「あぁ、バグレイダーだ。急いで行かねぇと!!」
「ノノさんはここにいてください。」
「わかりました。」
洸祐とウィンザは書店を飛び出し、バグレイダーのいるところへ向かおうとするが…
「よく考えてみれば、ここから橋ノ基って、相当距離あったような…」
「一回ベルトを付けてみろ、そして右側にあるデバイスを手に取れ!」
「わかった!」
[CROSS DRIVER SYSTEM UP!]
「えぇっと、右側のデバイス…これか!」
ベルトの右側にあったCDプレーヤー型デバイスを取り出した。
「よし、そして真ん中のボタンを押してみろ!」
ウィンザに言われて、ボタンを押してみると、デバイスは宙を舞いバイク型のマシン・マシンディスクロッサーへと変形した。
「すごい…すごすぎるよ!」
「もたもたしてると逃がしちまうぞ!さぁ、飛ばしていこうぜ!」
「あぁ!」
ディスクロッサーに跨り、バグレイダーが乗っ取ったタンクローリーを追う。
———創都学園都市、基ノ橋工業団地 午前11:25
人も車も通らない道路に、無人のタンクローリーが走っていた。
そのタンクの上には、自動車のバグから生まれたビークルバグレイダーが立っていた。
「『エクスの欠片』は手に入れた、後は我々の恐ろしさを人間どもが知れば…」
ビークルバグレイダーの手には『エクスの欠片』が収めされていた。
しかし、彼らの向こう側から、一台のバイクが走って来るのが目に見えていた。ディスクロッサーに乗った洸祐だ。
「タンクローリーにバグレイダーが!」
「ビンゴだ!行くぞ!」
「あぁ!」
[WIND DISC START UP!]
[WIND DISC SET!!]
待機音声が鳴り響く、そして…
「変身!!」
その時だった、それと同時にビークルバグレイダーが黒煙の弾丸を発射した。
「フン、これであいつらはコースアウトだ…」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
電子音声が鳴り、黒煙の中には、ディスクロッサーにまたがったディスクロスがそこにいた。
「——僕達で止めよう、ウィンザ。人もディスクにされているライドモンスターも助けて…そして、トロイアを倒す!!!」
「さすがだぜ!主人公!」
「みんなが幸せに生きている毎日を、壊されるわけにはいかないからね。」
「おのれ…ごちゃごちゃと!!!」
ビークルバグレイダーは、バグダストを召喚した。
「ならばレースと行こうじゃないか。キミが勝つか、私が勝つかの死のレースをね…!」
そういうと、ビークルバグレイダーはバグダストはおろか、タンクローリーまで吸収し、巨大な戦車のような姿へと変貌した。
「うそでしょ、こんなこともあり得るの!?」
「所詮はバグの塊だ、なんでもありってやつだろ。」
しかし、巨大なビークルバグレイダーは容赦なくディスクロスに襲い掛かる。
スロットルを全開にして、何とか免れたものの、逃げるのに精いっぱいだったが…
「ライメイ!なんか秘策はないの!?」
「今やっていますよ!…ここから800メートル先に使われていない廃倉庫があります、そこにおびき寄せれば…」
「被害も抑えられるってことか!今はそれに賭けるしかない!」
ライメイの秘策通りに、ディスクロッサーのスピードを上げるディスクロス、勿論、そのことはビークルバグレイダーは知らない。
———創都学園都市郊外、廃倉庫内
廃倉庫の構内にビークルバグレイダーをおびき寄せるディスクロス。ビークルバグレイダーはその大きなボディ故に、廃倉庫の壁を突き破り、突入した。
スピードを上げて、ビークルバグレイダーとある程度距離を置き、バイクをスピンターン。
「奴は恐らく機械の力も持っています。おそらく電気的な衝撃を与えれば数秒ではありますが、動きは封じられると思います。」
「ナイスアイデア!それでいこう!」
[THUNDER DISC START UP!]
[THUNDER DISC SET UP!]
[CROSS UP! THUNDER DRAGON FLY!]
ライメイの提案で、サンダードラゴンフライフォルムにチェンジ。アタックロスウエポンをボウガンモードに組み替える。
[DISC SET! FINAL BREAK!]
ディスクをウエポンのスロットにセット。
「「稲妻ライダーシュート!!!」」
稲妻のエネルギーがビークルバグレイダーを捉えた。すると、動きが段々と鈍くなり、止まった。
「ウィンザ!一気にとどめに持ちこむよ!!」
「OK!これでラストだっ!!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
[FINAL CLASH!WIND HOPPER GO!!!]
ウィンドホッパーフォルムに戻り、ベルトのヘッダを必殺シークに移行。風のエネルギーがディスクロスとディスクロッサーを包み、急発進。
「「烈風ライダーブレェェェェェイク!!!!」」
矢のような突撃が、動かなくなっていたビークルバグレイダーを貫いた。その一撃が追い打ちだったのか、タンクローリーのガソリンが引火したのか、ビークルバグレイダーは爆散した。
「やった!」
———廃倉庫外、
「必ずそのクロスドライバーは頂くわ…我が偉大なるトロイア様のために…」
蛾のような女の怪物が、ビークルバグレイダーの持っていた『エクスの欠片』を手に、去っていった。
———創都学園都市、うみそら書店付近のバス停 午後12:26
「もう行くんですか?」
「うん、まだ私を必要としている人がいる限りね。」
「そうですか…。」
「それと、これ。」
ノノは洸祐に、『エクスの欠片』を手渡した。
「頑張ってね、秘密のヒーロー。」
洸祐たちがいるバス停にバスが到着した。
「そっちも再び頑張ってください。アイドルとして。」
「いや、今度テレビで見るときはロック歌手かなぁ、もうアイドルはこりごりっていうか、もっと違うことをしてみたいし。」
そういうと、ノノはバスに乗り込んだ、そしてノノを乗せたバスは発車し、だんだんバス停から離れていく。
「秘密のヒーローか…なんか悪くないかも。」
洸祐は少し微笑んで、書店へと足を早めた。
COMING TO NEXT STAGE...?
いかがだったでしょうか。
自分自身、文才のへったくれもないので、ちゃんと物語が成立しているのかなぁ…なんて思ってみたり。
ちなみにこの作品(ディスクロス)なんですが、あえてイメージCVはつけていません。
(作者が声優知識が全くないため)
なので、読者の皆様のご想像にまかせています(それでいいのか←)
次回は早くも新フォームと一話にチラッと出てきた謎の少年も出てきますので、お楽しみに!