仮面ライダーディスクロス   作:楓神スラッガーエース

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どうも初めまして、楓神と申します。
初投稿&文才まるでなし なので、いろいろアレな面はあると思いますがよろしくお願いいたします。


仮面ライダーディスクロス 本編
第一話「戦士、起動!」


———君は『主人公』ですか?

  ▶YES ▶NO

 

これは、僕自身のストーリー。

僕は、強く、優しく、どんな困難にも逃げ出さずに立ち向かい、みんなを守る

『主人公』———に憧れているだけだった。

 あの日のあの時までは…。

 

 

 

———創都学園高校、午後3:30。

「『タドル戦記』ももう終盤かぁ~」

創都学園高校二年生の神薙洸祐は、愛読書でもある『タドル戦記』の最新刊を読んでいた。

ふと視線を上げると…重たそうにノートを運んでいる女子高生-椎名由衣がいた。大変そうに見えたので、声をかけてみることにした。

「由衣ちゃん!」

「あっ、洸祐くん。」

「そのノートは?」

「現代文の課題のノート、職員室の貴水先生まで持って行くの」

「持つよ。なんか重そうだったし。」

「いいよ、だって私が係なんだし…」

「いいから。」

「あ、ありがとう洸祐くん…あ、!『タドル戦記』の最新刊?いつか貸してね。」

「いつでもいいよ。だって小学校からの仲じゃん。」

「おーい!ユイッチー!!悟の試合始まるよー!!!!」

廊下の先で女子生徒が由衣のことを呼んでいた。

「あっ、そうだった…でも…」

「いいよ、僕が持っていくから。」

洸祐は微笑むと、由衣は洸祐を信頼しているのか、女子生徒のもとに駆けていった。

それから洸祐は職員室の貴水先生のところへノートを渡すと、悟がバスケをしている体育館に行った。

体育館からは観戦している生徒の声や、バスケをしている生徒の声が聞こえてくる。

「よっしゃ行ったれ悟!」

チームメイトからボールを渡された府次悟は、まるでその期待に応えたかのように華麗なダンクシュートを見せた。

歓声と割れんばかりの拍手が体育館に響き渡る。

「やっぱ悟って主人公キャラだなぁ…。」

体育館の二階のフロアを見渡すと、さっきの女子生徒と一緒に歓声をあげている由衣がいた。

「由衣ちゃんも悟みたいな感じがいいのかな?」

ふとそう呟いていると

「お~い、洸祐~!!もう帰るのか?」

悟が洸祐に気づいたのか、大声で声をかけてきた。

「あっ、うん。」

「わりぃ、そろそろ俺も帰らねぇと。じゃ、また明日な~」

悟はそうチームメイトに声をかけると、

「帰ろうぜ、洸祐。」

「うん。」

 

———創都学園都市、午後3:40

 洸祐と悟は、帰り道である市街地の歩道を会話しながら歩いていた。

「マジかよ!?もう『タドル戦記』って終盤近ぇのかよ!?ただでさえまだ『魔王編』も読み終わってねぇってのに…。」

「うん、だってすごくワクワクして主人公の気持ちになっちゃうんだもん。」

「——でも悟のほうがよっぽど主人公っぽいよ。」

「何だよそれw」

「だって、みんなの期待に応えてバシッとシュートしちゃう感じとか。」

「まぁ、たしかに主人公って感じはするなw」

「——でもさ、俺は思うぜ?洸祐のほうが主人公みたいなんじゃねぇかって」

「…どこが?」

「なんていうか、その…そのヘッドホンとかw」

「超テキトー過ぎない?w…ん?あの人…。」

洸祐が見た先には、キャリーバッグを持ってきょろきょろしている男性がいた。

「どうしたんですか?」

「あぁ、地下鉄の駅を探しているんだけど、地図アプリも不調だし、乗るハズだったトラムが不調で運転中止してしまってね…」

「確かバス停ならこの近くにありますよ。案内します。」

「本当に!?助かるよ。」

このやり取りを遠目に見ていた悟はつぶやいた。

「…ほらな。」

と。

 

———創都学園都市 地下鉄創都線・風樹駅前バス停、午後3:45

「いやいや、助かったよ。本当にありがとう」

「それほどでもないですよ。」

男性と別れた洸祐に悟が話しかける。

「ホント、洸祐って優しいし、周りが見えてるよな。」

「そうかな?…でもさ、困っている人を見かけると放っておけないし、周りが笑っていないと、自分も心の底から笑えないし。

——だからさ。強くて、優しくて、みんなを守れる『主人公』に憧れるんだ。僕なんてただの脇役みたいな感じだけど。できることはやりたいんだ。」

「そっか。…しかし多いよなぁ、アプリの異常にシステム故障が…」

「そうなの?システム故障とかって…」

「ほれ。」

悟はビルにある街頭ビジョンのニュース番組を指さした。

『続いてのニュースは、先日から創都学園都市にて相次いでいるAIシステムの故障、その事件との関係性は不明ですが…本日正午過ぎ創都トラムラインの上り、下り線で突如トラム車両が停車、トラムラインは本日分の運転を中止し、これにより利用者約300人に影響が出たほか、創都工業団地の工場のロボットアームに異常が発生し———。』

「うわぁ…想像以上に大変なことになってるね…」

「あれ?洸祐くんたちも地下鉄に?」

と、そこへ由衣たちが仲間の女子生徒とともにやってきた。

「あれっ、由衣ちゃん!?」

「本当にひどいよね…地下鉄もすごく混んでいたし…。」

そう話している由衣の目には涙が浮かんでいた。

「(何がどうなっているんだ!?でも今は先に由衣ちゃんを…。)」

どうすればいいか分からなくなったその時…

「トラムも地下鉄もダメなら路線バスがあるだろ!それに今の時間なら空いてるかもしれないぜ?」

悟が由衣の肩に手を置いて、声をかけた。

「…うん。」

悟は由衣たちを連れてバス乗り場へと向かった。

「(やっぱり悟はすっごい主人公だ…!それに引き換え僕はただの脇役———)」

悟たちと逆の方向を歩き出そうとしたその時、停止しているはずのトラムの電光掲示板から強烈な光が発せられるとともに、

——神薙洸祐、あなたは主人公ですか?————

    YES/NO

と書かれた謎の文章へと変貌した。

「何だこれ…?なんで僕の名前を…!?」

「(僕は…僕は…!)」

電光掲示板に触れようとしたその時、光とともに謎の黒いデバイスが掲示板の柱の根元に置かれていた。

それを手にすると同時に謎の声が洸祐の脳内に響き渡った。

「主人公ニナレルカハ、君次第。ソノ"クロスドライバー"ガ君ヲ導イテクレルダロウ——。」

「クロスドライバー?何なんだこれ?あ、調べてみればわかるかも!」

カバンからスマートフォンを取り出したその時、見ず知らずのアプリがダウンロードされていることに気づいた。

長押ししても削除されるどころか、ダウンロードが一向に進んでいく。そして、眩い光が洸祐の周りを包んで…

——「お前が俺の相棒-バディ-ってことか!!神薙洸祐ッ!!」———

大きなバッタの姿をしたモンスター・ウィンザが洸祐の目の前にいた。

「し、新種のバッタ!?」

「だぁっ、違ぁう!!俺はライドモンスターってやつだ!」

「ライドモンスター?」

「スマートフォンのアプリやパソコンのソフトウエアのプログラムとかが集まって生まれた電子生命体ってやつだ。そして、俺は検索アプリから生まれたウィンザ。ネットの仲じゃ検索しない人間なんてどこにもいやしない!即ち、最強のライドモンスターって奴だ!!」

「…ってことは、要するにこのクロスドライバーっていうのと関係があるってこと?」

「うげぇ!?理解力ありまくりじゃねーか!!」

「いやだって、話的にそうとしか…」

「マジかよ!?」

「さすがはヒーロー!そのクロスドライバーは選ばれた者しか使えない代物ってやつだ!」

「えっ、ヒーロー?」

「要するに、俺とともに強大な敵をぶっ倒そうぜってことだ!!」

「強大な敵!?いったい何なのそれ!?」

「まぁ、アレを見てみな。」

「えっ!?」

ウィンザが見ている方向には、何の変哲もない電光掲示板。

するとそこから二体の怪物が現れた。そのうちの一体は何やらディスクのようなものを手にしている。

「さすがは、地図アプリを司るチカラ、半端ないねェ…!」

「次のポイントは、やはりシティOSしかねぇなァ!」

それを見て洸祐はすかさずウィンザに聞く。

「まさか、今のって!?」

「あぁ、最近巷で起きているトラムのAI暴走の張本人だ!」

だが、その怪物はノイズ交じりとなり消えてしまった。

「消えた!?っていうか、みんなには見えていないんだね。」

「クロスドライバーを持っていると、俺達ライドモンスターや、バグレイダーっていうさっきの怪物まで見えるんだ。恐らく、アイツの手先だな…。」

「アイツって…?」

「人間世界を混乱に陥れようとする最強最悪の人工知能・トロイa…」

するとウィンザの動きが急に鈍くなり始めた。

「えぇっ!?いったいどうしたの!?」

「…うぅっ、危うく『処理落ち』するところだった…。ま、問題はない、とりあえず今はあいつらを追うぞ!」

「あっ、ちょっと待ってよ~」

洸祐はウィンザの後を追いかけていった。

 

路地裏、午後4:05

 何とか二体のバグレイダーを追い詰めた洸祐とウィンザ。

すると二体の内の一体が壁に謎の亀裂を発生させ、二体はその亀裂の中に入っていった。

「うわっ、裂け目に入っていった!?」

「洸祐!俺達も行くぞ!あの先で戦うんだ!!」

ウィンザの発した一言に、洸祐は言い出した。

「戦う…?無理だよ、そんなこと、僕には…」

「いいのかぁ?お前は本が好きだって検索にあったが、今この物語に『主人公』は一人もいねぇ。ヤベェくらいの世界が広がってるんだよ!」

「えっ…」

「嘘だと思ってベルトを差し出してみろ。」

言われるままにベルトを壁に差し出した。すると壁に穴が開き、洸祐とウィンザを『吸い込んだ。』

 

ビル群、午後4:07

 洸祐達が吸い込まれた先は、高層ビルが立ち並ぶビル街だった。

「ここは…シティOS社の本社ビル!」

「ってことはアイツら、街ごとシステム機能をドカンするつもりd…」

なんとウィンザの頭に地図アプリのマーカーのようなものが刺さっていた。

「ちょっと!?ウィンザ、頭に何か刺さってる!」

「マジか!?うおぉぉぉっ引っこ抜けねぇ!!!」

「…目的地補足、グッバイ、『人間』」

すると、背後の方向から、二体の内の一体・ライナーバグレイダーが掌から光弾を撃ち出してきた。

この一撃に洸祐もウィンザも吹っ飛んだ。

「そんな…なんて酷いことを…。」

「酷いことも何もねェぜ?俺らはただ、偉大なるトロイア様に命ぜられているだけだからなァ!」

その片割れ、マニュピレータバグレイダーもまるで挑発するかのように言い放ってきた。

「うぐぐ…」

「ウィンザ!!」

「洸祐、クロスアップするんだ…!!!」

「クロスアップ?」

ウィンザはディスク型のアイテム・ライドディスクを投げ渡した。

「クロスドライバーでその俺のディスクをロードするんだ!!このままじゃ俺もお前も勝ち目がねぇ!!!」

「で、でも、そんなこと僕には…」

「その力は、洸祐、お前にしか使いこなせねぇ!!」

そんな時、スマートフォンに通知が。

その内容は

『———あなたは主人公ですか?———

     YES/NO 』

あの電光掲示板の文字だった。

「お前の中に絶対あるはずだ!俺と相棒になって一緒に戦う理由が!!!!」

————僕にやれるか分からない、でも

やれることをやるだけだ!!

もしこの力が、僕にしか使えないのなら…

この力で、ウィンザや、由衣ちゃん、みんなを守れるのなら…!!———

「俺の…俺の検索に間違いってのは一つも存在しねぇ!!洸祐、お前は———」

スマホの返答に『YES』と答える。すると洸祐の勇気に呼応したのか、真っ黒だったクロスドライバーに色が付いていく。

「なるんだ…僕が本当の、『主人公』に!!!!」

[CROSS DRIVER SYSTEM UP!]

[WIND DISC START UP!]

ディスクの起動と同時に、ウィンザの身体が光に包まれる。

ベルトのヘッダを操作し、ディスクをドライバーにセットする。

[WIND DISC SET!!]

待機音声が鳴り響く、そして…

「変身!!」

[CROSS UP! WIND HOPPER!!]

セットしたディスクを回転、すると洸祐の身体は黒と緑のラインのボディに包まれ、そしてウィンザの身体が分割され、アーマーを形成した。

今ここに、仮面ライダーディスクロスが誕生した。

「すごい…変身した!」

「さっすが主人公!やると思ってたぜ!」

ディスクロスは構えをとり、一気に飛躍、ライナーバグレイダーに近づいて、猛攻をくらわせる。

「力が、体の中から湧き上がってくる…!」

「そりゃあ今、俺とお前が一心同体になって戦っているからだ、お前が足りない部分は俺が補ってる。だから思う存分暴れられるってことだ!」

「小癪な真似を…再びこれの餌食に…!」

「させるか!洸祐、もう一回ベルトのヘッダを操作しろ!」

[WIND DISC ABILITY ACTIVE!!!]

ウィンドホッパーフォルムの特殊能力、それは、相手の弱点の探知。わずか1秒足らずに弱点を見抜いた。

「弱点見えた!」

「よっしゃぁ、洸祐、とにかく回れ!」

「えっ、なんだかわからないけど…」

ディスクロスは兎にも角にも、ライナーバグレイダーの周りを回り始める、ウィンドホッパーフォルムの俊敏さと相まってそれはまるで竜巻のようだ。

「なぜだ!?ディスクの能力が作動しない!?」

戦法が功を奏したのか、ライナーバグレイダーが手にしていたディスクから異変が生じ始めた。

「よっしゃあ!作戦成功!!洸祐、一気にとどめ叩きこむぞ!!」

「あぁ!!」

[FINAL CLASH!WIND HOPPER GO!!!]

烈風のエネルギーがディスクロスの右足を包み込み、高く跳びあがる。そして…

「「烈風ライダーキック!!!!」」

烈風の力を宿した必殺のキックが、ライナーバグレイダーを打ちのめした!

「す、すごい…」

するとディスクロスはライナーバグレイダーが持っていたディスクを拾い上げる。

「もしかしたら、これも…?」

「どうやら、あいつらに利用されていたみたいだな、よし!残りの一体は…」

ウィンザが何かを話そうとしたその時…

「私が彼と戦う、ということでしょうか?」

ディスクが突然しゃべり始めたのだ。

「あぁっ…なんで俺が話そうとしたことを言うんだよ、ライメイ…」

「あなたの言うことは既に予測済みです、ウィンザ」

「なんだかわかんないけど、別の姿に変われる、ってことだよね?」

「要約すれば、そういうことです。」

「よし、分かった!」

[THUNDER DISC START UP!]

サンダーディスクを起動すると、トンボ型のライドモンスター・ライデンが姿を現す。

「初めまして。この状況だと自己紹介はあのバグレイダーを倒してからにしましょう。」

「わかった。一緒に戦おう!」

「承りました。」

[THUNDER DISC SET UP!]

[CROSS UP! THUNDER DRAGON FLY!]

ウィンドホッパーフォルムアーマーがパージされ、ウィンザの姿に.

それとは逆にライメイの身体が分割され、新たなディスクロス-サンダードラゴンフライフォルム-の形態のアーマーとなった。

「うげぇぇぇぇぇ!?姿が変わったァ!?」

この形態変化には、マニュピレータバグレイダーも驚きを隠せない。

[ATTAC-ROSS WEAPON!ACTIVE!]

ディスクロスは間髪入れずにマルチ武器・アタックロスウエポンをボウガンモードへと変形させた。

速足で逃げようとするマニュピレータバグレイダーの足元にボウガンの攻撃を的中させる。

「うぎゃぁっ!?」

「逃がすか!」

[THUNDER DISC ABILITY ACTIVE!!!]

サンダードラゴンフライフォルムの特殊能力・マーカーバインドでマニュピレータバグレイダーの動きを完全に封じた。

「さて、一気にとどめに行きますよ。」

「あぁ、これで最後だ!」

[DISC SET! FINAL BREAK!]

ドライバーにセットしてあったサンダーディスクをウエポンのスロットにセット。

「「稲妻ライダーシュート!!!」」

稲妻の超エネルギーを秘めた一撃がマニュピレータバグレイダーを一瞬のうちに仕留めた!

[SYSTEM SHUT DOWN!]

「や、やった!」

 

———同時刻

「こいつも『ハズレ』か…次だ…。」

蜘蛛型モンスターを従えた紫の銃を持った黒服の謎の少年も、動き出そうとしていた。

 

創都学園都市、午後4:30

初めての戦いを終えて、何とか悟と合流した洸祐。

すこし嬉しそうな洸祐をみて悟は…

「どうしたんだ洸祐?そんな嬉しそうな表情して、いいことでもあったのか?」

「うん、なんか僕も、主人公になれた気がしてね。」

「だから言ったろ。洸祐は主人公っぽいって、お前優しいからさ。優しい奴が一歩進みだしたらそれはもはや最強レベルになるんだよ。」

「そっか、そうだよね!」

 

———この時僕らは知らなかった。すでに僕らの日常は、最凶の人工知能の魔の手に落ちていたということに…。———

COMING TO NEXT STAGE...?

 

 

 




 …というわけで始まりました「ディスクロス」。
読んでてアレ?と気づいた方もいると思いますが。
このディスクロス、実は元ネタは「アプモン」です。
と言っても、アニメ版を見ていないので漫画版が基ですが。
勿論、そのまんまではマズいな…ということで編み出したのが「昆虫」モチーフ。いい意味で原点回帰していればなぁと思っています。
後は、登場人物の名前も、懐かしのあのFlash作品から…とか作者の遊び心にも気づいてくれたらなぁと思っています!
改めて、今後ともよろしくお願いいたします。
 

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