ホログラムによる合否通知って全員にしてたのね・・・
オールマイトは依怙贔屓なんてしてなかったんや!ごめん!
一週間後
「出いずいずく出久!!来た!!来てた!!来てたよ!!」
母さんが慌てて手紙を差し出してきた
部屋にいってから読もうと思ったけどお母さんの不安そうな顔を見ると一緒に見ようと思った。
「えっ!いいの?こういうのは一人で見た方が良いんじゃない?心の準備とかいろいろあるだろうし!!」
決して、決っして一人が不安だとかそんなんじゃない。
早く結果が分かればそれだけ早くお母さんも安心するだろうという僕なりの配慮だ。
だから僕を一人にしないでください
「ふう・・・・・・え?」
不安そうな顔のお母さんを尻目に封を切ると中から小さな円盤状の物が転がり出てきた
「・・・なにこれ?」
隣に座るお母さんも良く分からないものがポツンと机にあることに僕と同じく困惑していた
『私が投影された!!!!』
「「オールマイト!!?」」
突然小さな円盤が光ったかと思うと聞き覚えのある声と共に眼前一杯に人の顔が写し出された
『諸々手続きに時間が掛かって連絡が取れなくてね、いやすまない!!』
写し出されたのはオールマイトで、連絡が遅れたことに謝罪をした
『あまり引っ張っても不安が募るだけだろう!先に合否の発表から行こう!』
「出久・・・」
「大丈夫、覚悟はできてる」
お母さんが不安げにこちらを向くが、すでに準備はできてる
筆記だって自己採点で合格ラインは超えてたし、実技だって結構な数撃破したから合格してるはずだ、大丈夫、大丈夫だ、合格してるはずだ
『安心したまえ!君は合格だ!!』
「ふぁぁぁ」
「出久!!」
オールマイトから合格通知を受けると、無意識のうちに机に乗り出していた体から力が抜け椅子にドカリと座り込んだ
自己暗示のように大丈夫と繰り返し言い聞かせていても不安はどうしても残る、それを受験校側から「もう大丈夫だ」と言われて全身から力が抜けてしまった
『筆記は満点とまではいかなかったが高得点!合格ラインはバッチリ超えていたさ!そして実技も同じく合格ラインを超えて合格だ!』
「おお!」
「やったじゃない出久!」
「うん!」
お母さんと喜び合っているたがオールマイトの話は終わってなかった
『そして先の入試!!!見ていたのは
『
一位通過・・・
『来いよ緑谷少年!
「お母さん・・・合格・・・したよ、合格した」
「よかったねえ、よかった、本当によかった」
お母さんと抱き合いながら泣いて喜んだ
アダムさん、貴方に【個性】を貰ってからいろいろあったけど、やっと夢へのスタートラインに立てました!!これから
――――――――――
春
「出久!ティッシュ持った!?」
「うん」
「ハンカチも!?ハンカチは!?ケチーフ!」
「うん!!持ったよ!時間がないんだ急がないと・・・」
お母さんが何度も確認してくるが、急いで出発しないと遅刻してしまう
「出久!」
「なァにィ!!」
なんだよ、急いでるのに!!
「・・・・・・超カッコイイよ」
目頭に涙をためてお母さんが褒めてくる
「・・・・・・!行ってきます」
お母さんに見送られて僕は高校へ向かった
――― 雄英高校 ―――
「1-A、1-A・・・広すぎる・・・・・・あった、ドアでか・・・」
迷いながらも目的の場所に辿り着くとそこには僕の身長の4倍はある扉があった
そっと中に入るとそこには出来れば別クラスがよかった幼馴染と試験の時に質問してた真面目そうな人が言い争っていた
「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」
「ボ・・・俺は私立聡明中学出身飯田天哉だ」
「聡明~!?くそエリートじゃねえかブッ殺し甲斐がありそうだな」
「ブッコロシガイ!?君ひどいな本当にヒーロー志望か!?」
言い争っていた真面目そうな人――飯田君――はハッっと僕に気付くと近づいてきて自己紹介を始めた
「俺は私立聡明中学の――」
「聞いてたよ!あっと僕緑谷、よろしく飯田君」
こちらも自己紹介し返すと、飯田君は顔をしかめてまるで「私悔しいです」と言いたげな表情で話してきた
「緑谷君、君はあの実技試験の構造に気付いていたのだな。俺は気付けなかった!!君を見誤っていたよ!!悔しいが君の方が上手だったようだ!」
え?構造?なんの話?
「あ!そのモサモサ頭は!」
ビクッ!
「緑谷出久君!」
麗日さんだ!!制服姿やっべええ!!
「そっちも合格できたんだね!!これからよろしくね!!」
「よ、よよ、よろしく!」
どもったー!!変な奴って思われた―!
「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんな人だろうね?緊張するね」
よかった、気にしてないみたいだ
そして近い!!そんな近づかれたらその、なんというか、ね?
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け、ここは・・・ヒーロー科だぞ」
麗日さんと話していると廊下から声が聞こえた
視線を向けるとそこにはミノムシがいた
なんか!!!いるぅぅ!!!
ミノムシの人はもそもそとミノ――寝袋――からはい出し全員に向けて話し始めた
「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
先生!!?
「てことはこの人もプロのヒーロー?」
でも見たことないぞこんなくたびれた人
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
担任!!?
「早速だが
ゴソゴソと寝袋をあさり体操服を取り出した
なんでそんなところに入れてんのさ!?
――― グラウンド ―――
各人が体操服へ着替え、グラウンドに集合すると先生から【個性】把握テストを行う旨を告げられた
「「「「【個性】把握テストォ!?」」」」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
皆が【個性】把握テストについて驚いている中、麗日さんは入学式とガイダンスについて質問していた
余程楽しみにしていたのだろう、実は僕も楽しみにしていました
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
「!?」
「雄英は自由な校風が売り文句そしてそれは先生側もまた然り」
「?」
ん?先生側も?
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈、中学の頃やってるだろ?【個性】禁止の体力テスト。国は未だに画一的な記録を取って平均を作り続けている、合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」
そう言うと相澤先生は何やら変わったボールを取り出した
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」
「67m」
「じゃあ【個性】を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい。早よ」
かっちゃんにボールを投げ渡し――
「思いっきりな」
――全力を出すよう指示した。そしてボールを受け取ったかっちゃんは獰猛な笑顔で円の内部に入っていった
「んじゃま――」
かっちゃんは獰猛な笑顔のままボールを持った腕を振りかぶると――
「――死ねえ!!!」
死ね?
――ヒーロー志望らしからぬ掛け声と共にボールを吹き飛ばした
「まず自分の『最大限』を知る」
相澤先生は手元の機械を一瞥した後こちらに見せるように突き出した
「それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
突き出された機械には705.2mと表示されていた
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705mってマジかよ」
「【個性】思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」
【個性】の使用を許可されたうえで目に見える数値で力を測れるチャンスに皆が沸き立った
「面白そうか・・・ヒーローになる為の三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」
そんな中、相澤先生は不機嫌な声でチャンスを試練に変えた
「「「「はあああ!?」」」」
「生徒の如何は
入学初日、いきなりの在学を掛けたテストが始まった