((;・-・)こそこそ
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(ノ・Д・)ノ ⌒ .、ノ__ノ
ヾ(・□・;;)ノ≡3≡3
加勢に来たプッシイの二人を尻目に息を整えながら周りを見渡す
大量の短剣を寄せ集めた大剣を振り回すトカゲ
また、大きな鉄塊を担いだオカマ
プロが順調なのに対して雄英生徒組は逆に押されている
女子高生
メインアタッカーの麗日さんに大きな外傷こそ見えないが小さな切り傷が目立ち、サポートとしてで中距離で牽制していた梅雨ちゃんに至っては左肩から血を流して青い顔をしている
また、轟君の兄弟らしき炎
光源が弱点の常闇君は
そんな中、脳無はどういうわけか微動だにせず棒立ちで、その肩に奇術師
『今すぐあのふざけた仮面野郎に拳を叩き込んでかっちゃんを奪還すべきだ!』という考えと『まず各個撃破して形勢建て直すべきだ』という考えがせめぎ合っているが、焦る気持ちを押し込めて『まず各個撃破して形勢建て直し』を選択する
自分自身もターゲットである以上無闇矢鱈に挑んでもリスクだけが上がるだけで意味がない
まずは味方の援護に周り、劣勢を強いられている味方の立て直しを図るべきだ
[怪力]
[剛力]
[剛腕]
[鉄腕]
[
[
[
[
[金剛石]
[脚力強化]
[鬼]×3
[ズーム]
[
[
「
下半身は足、特に
前方に跳躍し、虎に襲いかかっているトカゲ
続けてマンダレイと対峙しているオカマ
だが右はフェイントで本命は左だ。
余程訓練していなければ人は視覚で得た情報で判断する。それが咄嗟の判断を要する場合、その他へ割いていた意識が一旦途切れる
掌底を防ぎ、余裕の笑みを浮かべているオカマの太腿へ左手の硬化させた五指を突き刺し、右掌から特大の[爆破]を発生させてから左腕で振り回す様に数度地面に叩きつけてから跳躍し、トカゲ
着地と同時に追加でトカゲ
仮に動ける様になったとしても両腕両足がズタズタになっているはずだから再び参戦するのは難しいだろう
次いで周囲に目を走らせれば麗日さんが女子高生
丁度、真正面に炎
噴き出していた黒と蒼が交じり合った炎が一瞬鎮火したが、直ぐに勢いを増して噴き出した特大の黒炎で反撃されて炎に包まれ肌がチリチリと焦げる
クソ!蒼と黒の炎は別かよ!!
「っ!」
「ネホヒャン!」
黒炎で視界が塞がれている中、悪寒を感じて反射的に高く飛び上がると棒立ちだったはずの脳無が背中から触手と共にチェーンソーやのこぎりなどを生やし、今まで僕がいた場所を切り払っていた
即座に[鎌鼬]を乱雑に放って触手を切り刻み、着地と同時に再生し始めた触手と共に両腕と両足を切り飛ばし[操土]で地中に引きずり込んで圧縮
「うおおおぉぉおおお!!」
いざ奇術師
一つ目を無理な姿勢で弾いたため即座に二つ目を弾ける姿勢になく、別の方法で破壊するか又は回避するかを判断する前に間に割り込んだ虎が雄叫びと共に受け止めてくれた
虎が岩を抑えている間に[ジェット]と[爆破]による立体軌道で奇術師
奇術師
複製体だったか!!
背後から聞こえる甲高い音に[ジェット]で上空へ飛び上がるが
慌てて視線を向ければ、地中に引きずり込み且つ周囲を高圧縮したにも係らず、当たり前の様に抜け出した脳無が再生した触手から凶器を生やし振り回していた
「虎さん!」
「セイヤァ!!」
「ホヒャ!!?」
ただ、僕に攻撃している隙を麗日さん達が突いて無重力としたことで、空中にプカプカと浮きながらジタバタともがくように暴れている
更に虎が下から掬い上げるように拳を叩きつけて上空へ打ち上げた
いくら強力な再生能力と凄まじい膂力を持っていても宙に浮いたままでは意味がないだろう
[筋繊維超増強《ハイマッスルボディー》]で増えた筋肉に痛覚がないことに加え[金剛石]で硬くなっていたことが幸いして自前の筋肉にはダメージはないが、時間経過と共に形勢は不利になっていく一方
トカゲ
特に四肢を串刺しにしたから意識が戻っても戦線復帰は不可能
炎
知能こそないが再生能力と怪力が厄介な脳無は麗日さんが封じてくれている
全身タイツ
これで複製可能上限や複製条件が難しければいいが、B組の物間君や心操君の様に発動条件が容易だった場合は最悪だ
そして奇術師
対するこちら側は、弱体化しても未だ強力な炎を操る炎
そして早々に撃破したオカマ
麗日さんと梅雨ちゃんは女子高生
ただ、麗日さんの【個性】は長時間の使用は厳しかったはずだし、梅雨ちゃんは刺し傷からの出血が心配だ
残る
複製体で疑似的に増援を作られる前に全身タイツ的を無力化しなければならないが、予想が正しければ
奇術師
つまり早急に奇術師
再び状況の確認をしていると奇術師
ピキッ
「っぎ!!?」
投げられたガラス玉が砕けて現れた降り注ぐ氷塊を避けるべく足に力を入れた途端、耐え難い激痛が走りその場に倒れ込んだ
「グォォォオオオ!」
「大丈夫か!緑谷!」
あわや直撃かというところで常闇君が間に割り込み庇ってくれた
「ごめん、ありがとう!」
「ソンナノ効クモンピャア!炎ハ反則ダヨ・・・」
発動していた[
筋肉
元々限界以上の強化による自壊を疲労と引き換えに[
これ以上の戦闘は避けるべきだが、
加えて奪還するにしても何時ワープゲートの
このままかっちゃんが連れ去られるのを眺める羽目になる位なら一か八か行動不能になる前提で突っ込むっきゃない!
「
全身に力が漲り始めるが比例して至る所に激痛が走る
[
絶え間なく全身を襲っていた痛みが感じなくなっていき、比例して周囲の音が小さくなり代わりに心音だけが耳元で響いている
「
こちらが攻勢に出たのを察してか先ほど掌で弄んでいたガラス玉をばら撒くと様々な姿の脳無が数十体現れた
脳無相手にあまり時間を割けない為、一撃必殺ならぬ一撃必倒で撃破していくが、脳無に掛かり切りになっている隙を突いて死角から脳無を巻き込みながら黒炎が迫ってきたり、氷塊や岩が脳無の影から襲ってきたりと余りにもこちら側の手数が足りない
視界の端に
「君の【個性】を貰うよ」
「え?」
突然の目の前に来た僕に戸惑う常闇君を余所に、常闇君の頭を引き寄せ額を会わせた
勢い余って頭突きになってしまった気がする
ー 覚えた ー
[黒影]
[鬼]×3
独りでに影が波打ち、のっぺりとした平面だった影が形を変えながら立体になり、大きな角を携えて赤い眼を明滅させながら僕の横に現れた
差し詰め[
[
嬉々として暴れだす[
「お待たせしました」
「お!グットタイミング!」
しかし最後の脳無を撃破したところでワープゲートの
「行かせるか!!」
逃亡を阻止するべく氷塊に土槍、雷撃、鎌鼬に影の鬼と手当たり次第に放ち、自身も幾度となく襲い掛かる
「どうする?サブは捕まっ!えたけど!メインっ!は!暴走してて手が出せないけど!?」
「仕方ありません。彼だけで我慢しましょう・・・皆さん撤収です」
「おいおい良いのかよメインがまだだぜ?早く帰ろうぜ!」
「仕方ありません。これ以上長居してはヒーローの増援が来てしまいますからね」
「あいよっと、人質バリア!」
逃がしてなるものかと攻勢を強めようとした時、首を掴まれたかっちゃんが奇術師
「かっ・・・!!」
このまま放てば盾にされているかっちゃんに直撃すると氷塊や雷撃を放つのを止めたが、こちらの制御を振り切って構わず襲い掛かる[
[
これによってかっちゃんは解放されたが、直ぐに別のワープゲートの中から現れた炎
脳みそがむき出しで異形の姿にされたかっちゃんが虚ろな表情で立ってる姿が脳裏をかすめた
「デク!来るな!」
「痛ってぇなぁ・・・くそ!」
「最後の最後にへま踏んでんじゃねえよ」
捕らえられたかっちゃんが炎
「轟君!」
直線上の木々や地面を細切れに切り裂きながら突き進む無数の真空の刃は、直前に避けられたことで奇術師
三度奪取される前に飛び上がり、かっちゃんの奪還に成功した
しかし無理に無理を重ねてボロボロなのに更に無理やり動いた反動で全身に力が入らなくなり、このままでは敵陣のど真ん中に倒れ込む形になってしまう
「ごめん!」
このままでは奪還したかっちゃん諸共捕まってしまうと掴んだかっちゃんを[爆破]で轟君達の方へ吹き飛ばす
「後は頼ん――」
「デ――!!」
「メインゲット!撤収!撤収!」
周囲の空間が歪み、体が縮む様な感覚と共に意識を失った
―—――――――
『やあ、お帰り』
開闢行動隊がアジトに戻ると古びたブラウン管テレビから声がした
「ただいま戻りました」
「ふぅー!体がバッキバキで超体が軽い!」
「テメェは殆ど動いてねえだろ」
「あーあー!そんなこと言っちゃう!?止まってたし!ものすごく静かに止まってたし!」
「五月蠅いです」
「お!トガッチ目ぇ覚めた?」
「なぁなぁ、マグ姉達を医務室に連れてったらもう帰っていい?飛んで跳ねてもうクタクタよ」
「ええ、構いませんよ。マグネ達の治療はこちらで手配しますので今日はゆっくり休んでください。こちらの準備が出来次第またお呼びします」
『なら地下のメディカルポットを使うといい』
「アイアイサー!あ、忘れないうちに。ほいよ、メインターゲットのもじゃもじゃ君だ」
コンプレスが指を鳴らすと掌に乗せたガラス玉が割れ、意識を失った緑谷が現れた
念のためにと意識を失ったままの緑谷の四肢を縛り上げ黒霧へ渡す
「一丁上がりってね」
「ありがとうございます」
「ねぇねぇ!その子ってやっぱ仲間になるの?なるの?真っ赤で傷だらけでとっても素敵!もっと血だらけにしたらもっと素敵になると思うの!浅く斬って滲み出る血を舐めるのもいいし、ザクって斬ってドクドク溢れ出す血を啜るのももいいし・・・あぁ、イイ・・・素敵・・・」
コンプレスの手元に緑谷が出現した途端、先程まで気だるげだった渡我がトゥワイスの背中から乗り出す様にして緑谷の額から垂れる血を触ろうと手を伸ばしている
渡我が動く度に緑谷によって着けられた四肢の傷口から血が溢れ出し、トゥワイスの背とアジトの床を赤く染めていくが当の本人は気にした様子もなく恍惚とした顔で緑谷を見つめている
「ちょ!トガッチ!重症何だから動いちゃマズイって!俺の一張羅が真っ青に染まっちゃう!」
「はぁ・・・一応は仲間にする予定です。これ以上傷つけるのはだめですし、貴女の方が血だらけ傷だらけですよ」
「ちぇー」
「では解散してください」
そして開闢行動隊のメンバーが次々と立ち去っていく中、黒霧一人はその場に残る
「所で先生、いくら時間が経過したからと言ってメインターゲットの彼を放っておけなど、何故です?・・・結果的にはこうして捉えることができましたが・・・」
誰も居なくなったアジトで一人、古びたテレビに話しかける
『大丈夫。捕まえることができなかったとしても必ず大切な幼馴染の為に向こうからやって来たさ。何せ彼は
「ならなければならない?まるで本人の意思とは無関係にヒーローを目指しているように言いますね」
『全くの無関係ではないだろうけどね。絶望の中にいる
「それはまた随分と
「でも、その強迫観念をキレイに取り除いて
「なるほど、だから放置して撤収しろと指示出したわけですか・・・あまり手を出すと拗ねますよ?」
『飛び立つ為の翼は授けた。そろそろ巣立ちの時だ。親として盛大に祝うための下準備というわけだよ。それに僕もそろそろ決着もつけないといけないからね』
「・・・・・・そうですか、あまり無理なさらないでくださいね」
『善処しよう』
「ではサブターゲットの彼は放置ですか?それとも機を見て再チャレンジですか?」
『いや、放置で構わない。どちらも手元に回収できるに越したことはないが、あくまでサブだ。【個性】や気性の荒さから引き込めるかもしれないとサブに位置付けたが、彼と比べればなくても問題ない』
「そうですか。では先生がご執心の彼はどうしますか?」
今回の襲撃で捕らえた緑谷について尋ねる
『ふむ、暫くは眠っていて貰おうか。望みは薄いだろうが仲間になるかもしれない大切な人員だ。暴れられて怪我でもされたら大変だからね。それに君も今日は忙しかったから休みたいだろう?準備ができてから起こしてあげよう。勧誘もその時でも構わない』
「ええ、では地下牢にでも入れておきます」
『どうせなら彼の部屋に連れて行ってくれないか?彼も話し相手が居ると喜ぶだろうからね。仲良くなれば説得もしやすくなる』
「彼というと ――― ですか?」
『そう、 ――― も彼に興味を持っているようだったからね』
「了解しました」
黒霧が立ち去り、テレビの電源が落ちたアジトにはコチコチと古時計が時を刻む音だけが