託された力   作:lulufen

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第4話 実技試験 下

 試験開始から数分、順調にPを稼いでいた

 

 離れた敵は[操土]の【個性】で地面を隆起させて刺し貫き、近づいてきた敵は[鉄腕]の【個性】で腕を硬化させて殴って破壊、これを淡々と繰り返していた

 

「よし、これで結構なPは稼げたと思う」

 

 そう安堵していると超大型敵(0P)がビルを破壊しながら現れた

 

「うお!!でっか!!って皆逃げちゃってるけど、ん~あれを倒すとなると大変そうだなぁ」

 

 あまりの大きさに皆が逃げる中、如何にして敵を無力化するか考えていると、転んで起き上がれない人が視界に入った。

 

「いたたた・・・」

 

『転んじゃったら縁起悪いもんね』

 

 あの子はあの時の!?

 

 彼女のすぐ後ろでは超大型敵(0P)が腕を振り上げ、今にも彼女を叩き潰そうとしている

 

 このままじゃ!

 

 彼女を見た途端、先ほどまで考えていたことが全て吹き飛び『助けなきゃ』としか考えられなくなった

 

[(スピード)]

 

 彼女のところまで、制御できるギリギリ(100km/h)の速度まで加速し――

 

「えっ」

 

[バリア]

 

 ――驚く彼女を尻目に両手を突き出し、[バリア]の【個性】で超大型敵(0P)の振り下ろしを防いだ

 

「うぐっ!!間に、合った!!」

 

 思ったよりキツイぞ!?これ!!

 

「今朝の地味目の人!?何で!?」

 

 突然現れた僕に彼女は驚いていたが、超大型敵(0P)の腕を防ぐのに手一杯でそれどころじゃなかった

 

「大丈夫!!すぐ助けるから!!」

 

 どうすればいい!!どうすれば!!

 

 超大型敵(0P)は潰せない僕らに対し荒立つかのように2撃目を放とうと再度、腕を振り上げた

 

「や、やばいよ!?今のうちに逃げようよ!」

 

 彼女は今のうちに避難しようと提案してくるが、僕たちが逃げるより超大型敵(0P)が2撃目を放つ方が早い

 

 ならば!!

 

[巨大化:拳]

[反射]

 

 バリアを解除し、すぐに[巨大化:拳]の【個性】で右手を巨大化させ超大型敵(0P)の振り下ろしを掌で受け止めるようにして触れる

 直後、超大型敵(0P)の腕は何か巨大な物に殴られたかのように弾かれ、その腕に引っ張られるように巨体をよろめかせた

 

[反射]の【個性】は掌で触れなければならないので使いどころが限られているが、超大型敵(0P)のような重鈍で攻撃の予測がし易い相手には効果的だ

 

「今のうちに早く逃げて!!」

 

「う、うん!!ありがとう!」

 

 超大型敵(0P)が体勢を崩している間に彼女に避難させた

 

「ふぅ・・・さて、格好付けて助けたからには最後も格好よく〆なきゃ」

 

 そう一人呟くと喧しいほどの機械音を響かせながら超大型敵(0P)が起き上がった

 

 地面に手をついて[索敵(サーチ)]の【個性】で周囲に人がいないかを確認

 

「周囲に人影無し!!」

 

[脚力強化]

[跳躍(ジャンプ)]

 

 その場で勢いよく敵の頭上まで飛び上がり増強系の【個性】を発動

 

[怪力]

[剛力]

[剛腕]

[鉄腕]

[筋力増強(パンプアップ)]

[筋繊維強靭化(ビルドアップ)]

[炭素硬化(ハードクロム)]

[(パワー)]

[金剛石]

[雷]

 

【個性】を発動するたび腕の筋肉は盛り上がり、ジャージは内部から弾けた。むき出しになった腕は黒く輝き、紫電が弾けている

 

「鬼哭流・岩鬼(がんき)流星拳(ギガ・ストライク)(プラス)[雷]」

 

 紫電が激しく弾ける腕を振りかぶり全力で振り下ろした

 

雷帝の一撃(トール・ハンマー)!!」

 

 凄まじい雷轟と目が開けられないほどの光があたりを覆い尽くした

 

 一瞬のうちに光が収まり、そのあとには7割近くが融解した超大型敵(0P)と、余波で破壊されたその他の敵(1P・2P・3P)の残骸が散乱していた

 

「よし、上手くいった!」

 

 岩爺から教わった技を、【個性】を多重発動したとはいえ使用し、更にぶっつけ本番で他の【個性】との複合技を成功させたので軽い達成感を味わっていた

 そこでふと体が下に引っ張られるような感覚がして自分が落下中であることに気付いた。

 下を見れば地面衝突まで時間はあまりなさそうだ

 

 地面まで残り約50m

 

 翼を出せば・・・いや翼だけじゃ止まれない

 

 地面まで残り約40m

 

 なら別の【個性】も発動させれば

 

 残り約30m

 

[翼]

[突風]

 

[翼]の【個性】で背中に蝙蝠の翼を生やし限界まで広げ、同時に[突風]の【個性】を下向きに使って落下の速度を落とす

 

 残り0m

 

 ふわり、スタッ

 

 「終~了~~!!」

 

 無事着地に成功したところで試験は終了した

 


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