託された力   作:lulufen

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第24話 騎馬戦

「上に行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞ更に向こうへ(Plus Ultra)!」

 

 

「制限時間は15分!振り当てられた P (ポイント)の合計が騎馬の P (ポイント)となり、騎手はその P (ポイント)数が表示されたハチマキを装着!終了までハチマキを奪い合い保持 P (ポイント)を競うのよ。取ったハチマキは首から上に巻くこと、取りまくれば取りまくる程管理が大変になるわよ!」

 

「先生!!質問です!」

 

「はい!緑谷君なにかな?」

 

「持ち点がなくなったり、騎馬が崩壊して脱落した場合の敗者復活はありますか!?」

 

 復活があるなら条件次第で多少の余裕は出来るが・・・

 

「ふふふ、いいわねその質問!答えは簡単!ないわ!」

 

 なしか・・・なら先手必勝で早々に敵の騎馬を崩した方が後半は楽になるか

 

「はい、早々に数を減らそうって考えた子達!安心するのはまだ早いわよ?」

 

「え?」

 

「確かに敗者復活はない!でも、そもそも持ち点がなくなろうと騎馬が崩れてもアウトにならない!【個性】発動アリの残虐ファイト!でも、あくまでこれは騎馬戦!悪質で崩し目的での攻撃等はレッドカード!一発退場とし、退場したチームの P (ポイント)は退場の原因となった相手チームに加算されるわ!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

「15分!!?」

 

 最後に高得点でさえあれば勝ち・・・ P (ポイント)数は僕の場合あまり関係ない・・・僕を主軸に騎馬を組んで機動力で回避に徹していれば勝ちだけど、そもそも[(スピード)]は僕以外に効果はないし制御できる速度に制限がある。それに適応できる人は彼位しか分からないけど、初速はそこまで加速しないって言ってたから初速からトップギアの[(スピード)]だと合わせるのは厳しい。それに騎馬がどうにかなっても騎手は僕の P (ポイント)のせいで狙われ続けるから相当な負担がかかる。そもそもこの P (ポイント)の僕と組もうなんて猛者がいるかどうか・・・いや、悩んでいても埒が明かない!一先ず当たってみないと!

 

 声を掛けようと思考の海から浮き上がりいざ周りを見るとあからさまに僕を避けている。

 

「あの!あ・・・」

 

 声をかけてもフイっと目や顔をそらして離れていく

 

 やっぱり最序盤から高得点を保持し続けるより終盤に奪取した方が戦法として理に適ってはいる・・・が、何もそこまで露骨に避けずとも・・・

 

「デク君、組もう?」

 

「麗日さん!!?」

 

  P (ポイント)による制限が思ったよりも大きく、それによって露骨に避けられることに傷付いていると麗日さんが声をかけてきた

 

「良いの!?僕としては有難いけど、序盤から狙われ続けることになるよ!?」

 

「最後にはたくさん P (ポイント)持ってないといけないんだから何時から狙われてたって変わらないよ!それにデク君メッチャ速いからガン逃げされたら勝つじゃん」

 

「いや、確かに回避に徹してれば勝てる見込みはあるけど・・・」

 

「それにさ!仲良い人とやった方が良い!」

 

「麗日さん・・・ありがとう!」

 

 良し!これで一人確保!麗日さんが一緒なら重量は無視できる。ただ、麗日さんだけだと必然的に僕が騎馬にならないといけないし人数が足りない。それに麗日さんに騎手は厳しいんじゃないだろうか。こう言っては何だが、無重力にする以外にこれと言って攻撃や防御に向いたことは麗日さんにはできない。麗日さんは騎馬の後方になってもらってサポートしてもらった方が良い・・・騎馬は安定性を求めるなら3人は欲しいし・・・だとすると攻防に優れた騎手又は騎馬の前面が務まるフィジカルと機動力に優れた人が2人・・・機動力が抜群と言えば・・・

 

「飯田君!」

 

「ん?」

 

 ――――――――――

 

「飯田君を先頭に麗日さんと出来ればもう一人で騎馬を作る。そんで麗日さんの【個性】で僕らの重量を軽減すれば機動力は抜群!攻防は僕が担当すればカバーできる。騎馬のもう一人は決めかねてるけど、騎手に向いた人が加わるなら僕が騎馬に加わったって良い・・・機動力さえ確保できれば最悪逃げ回っていれば一位通過は間違いなしだ」

 

「・・・さすが緑谷君」

 

 よし、後はもう一人を決めれば・・・

 

「・・・だがすまない・・・断る!」

 

「え!?」

 

 飯田君が加わることを確定事項として考えていると予想に反して断りが来た

 

「入試から君には負けてばかり、素晴らしい友人だがだからこそ君についていくだけでは未熟者のままだ。一位通過が確定しているのは大変魅力的ではある、叶うならチームを組みたいさ・・・」

 

「なら・・・」

 

「しかし!それだけでは・・・君と一緒じゃダメなんだ。それじゃあ俺はその場で足踏みして前を歩む君の背中を見ているだけだ。君と敵同士として対峙して初めて俺は一歩踏み出せる。俺だってトップを目指してるんだ。君をライバルとして見るのは爆豪君や轟君だけじゃない!・・・俺は君に挑戦する!」

 

 もう始まってる・・・僕は今トップに立っている。友達ごっこじゃいられない・・・

 

「フフフフ・・・やはりイイですね目立ちますもん!」

 

「!」

 

「私と組みましょ一位の人!!!」

 

「わぁぁ近!誰!?」

 

 声を掛けられたので振り向けば顔だけで視界を埋め尽くすほど至近距離に女性がいた

 

「私はサポート科の発目 明!あなたの事は知りませんが、その立場利用させてください!!」

 

「あっあけすけ!!・・・ん?発目?」

 

 もしかして・・・

 

「あなたと組むと必然的に注目度がNo.1となるじゃないですか!?そうすると必然的に私のドッ可愛いベイビーたちがですね!大企業の目に留まる訳ですよ!!それってつまり大企業の目に私のベイビーが入るってことなんですよ‼」

 

「ちょ、ストップ!ストップ!!ベイビーがなんだか分んないけどちょっとストップ!つまり僕らと組んでくれるってことでいいんだよね?」

 

「ええ、そうです!あとベイビーはベイビーですよ?ああ、もちろんあなた方にもメリットがあると思うんですよ!サポート科はヒーロー科の【個性】をより扱いやすくする装備を開発します!私ベイビーがたくさんいますのできっとあなたに見合うものがあると思うんですよ!」

 

 そういいながらガシャガシャと装備品を取り出す発目さん

 

 つまりベイビーって発明品のこと?このマシンガントークといい発明品を独自の名前で呼ぶところといい・・・

 

「あのさ、発目さん」

 

「はい?何でしょう?」

 

「発目 斑鳩って人知ってる?」

 

「おお?大伯父さんじゃないですか!?」

 

 大伯父?大叔父?まあどっちでもいい。ともかく発目さんはカル爺の姪孫に当たる人ってことか・・・道理で類似点があるはずだ。それに思考回路も似通ってそう・・・

 

「お知合いですか?いや、あの人が関わりを持とうとする人なんて限られてますし、私と同年代の人と知り合う場所なんて・・・ん?もしかしてあなた、鬼哭道場に居るモルモットのモル坊ですか?」

 

「モル!?・・・カル爺め!」

 

 やっぱモルモットのモルじゃないか!何が“も”っと頑張れ“る”坊主でモル坊だよ!

 

「おおお!!カル爺なんて大伯父さんを呼べるってことはご本人ですね!これはますます注目が集まること間違いなしに違いありません!ああ、あと私の【個性】はですね――」

 

 これで騎馬の後方は揃った・・・前面予定だった飯田君が抜けたのは痛いけどこの際それはいい。あと一人・・・

 

 周りを見渡すと殆どの人がチームを組み、作戦を話している

 

 僕らに不足しているのは騎馬の前面部・・・機動力が不足しても僕が騎手として守りに回ればカバーできるからそれ以外の守りができる人が好ましい。なら・・・

 

「僕と組んでほしい!」

 

 ――

 ―――――

 ――――――――

 ―――――――――――

 

「15分経ったわ。それじゃあいよいよ始めるわよ」

 

『15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!!!!』

 

「麗日さん!!発目さん!!常闇君!!よろしく!!!」

 

「はい!!」

 

「フフフ!!」

 

「ああ・・・」

 

『よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!行くぜ!!残虐バトルロワイヤル!カウントダウン!! 3 !!!』

 

「ふぅ・・・」

 

『 2 !!! 1 !!!』

 

「よし!」

 

『START!!』

 

 開戦の合図と共にA組とB組の2チームが突っ込んできた

 

「いきなりの襲来とはな・・・まず2組。追われ人の運命・・・選択しろ緑谷!」

 

「序盤から全力じゃスタミナが持たない!逃げの一手!!!」

 

「了解した・・・!?」

 

 ズブリと地面に騎馬が沈み身動きが取れなくなった

 

「沈んでる!麗日さん発目さん!!ジャンプ!!」

 

 [翼]

 

 背中から服を突き破るようにして翼を生やし、羽ばたいた風圧で妨害とサポートアイテムの補助で空中への離脱を図る

 

「飛びやがった!!追え!!」

 

「耳郎ちゃん!」

 

「わかってる」

 

 空へ離脱する僕らへ遠距離攻撃が向けられるが、ソレは常闇君が【個性】で防いでくれる

 

 [複製腕]

 [巨大化:拳]

 

「皆乗って」

 

 複製腕で手を複製し、それを巨大化して組むことで簡易の足場として皆を乗せる。普段なら巨大化した手の重量で空なんか飛んでられないけど、麗日さんの【個性】で軽くすることで難なく飛べている

 

「長時間は飛んでられないけど、しばらくは安全を確保できた。常闇君、さっきみたいに攻撃が来たら防いで」

 

「分かった」

 

『さ~まだ2分も経ってねぇが早くも混戦混戦!!1000万は文字通り宙に浮いちまったし各所でハチマキの奪い合い!!届かぬ1000万無視して2位から4位狙いってのも悪くねえ!!』

 

 地上ではこの試合の目論み通り争奪戦が繰り広げられている

 

「あの~緑谷さん?いつまで飛んで高みの見物を洒落込む積りでしょうか?このままじゃベイビーの活躍が」

 

「さすがにずっとは飛んでないよ?大体10分位したら地上に降りる。ラスト5分でハチマキを奪うつもりだから騎馬の皆はそれまでは体力温存してて」

 

 会ってから20分も経ってないが発目さんの考えは分かった。

 

《勝つことよりも目立つこと!目立って大企業の目に留まること!》の1つに尽きる

 

 ―――――

 

『さァ残り時間半分切ったぞ!!依然として一位は空飛ぶ緑谷のまま!!以下の順位はB組隆盛の中、果たして勝利の女神は誰に微笑むのか!!あと緑谷降りてこい!このままじゃ首位不動の泥仕合じゃねえか!』

 

「と言われてますがどうします?何時でも行けますよ?寧ろ行きましょうよ」

 

「いやまだだ、まだ早い。それに最後の最後に登場した方が場も盛り上がるし、注目も浴びれるよ?」

 

「さあ、解説の声なんて無視して高みの見物と行きましょう!!」

 

 目立つと分かると直ぐに掌返すこの変わり身・・・諭した僕が言うのも何だけど現金だな・・・

 

「司令塔は緑谷だ、俺はそれに従うのみ」

 

「わ、私もデク君に従うよ!」

 

「ありがとう皆、あとちょっとだから準備はしといて」

 

 そうして飛び続けること数分、残り時間が5分を切った時ゆっくりと地上に降り立った

 

『俺の言葉を無視して飛び続けた緑谷が主役は遅れて現れると言わんばかりに悠々と降り立ったぁ!!さあ野郎ども!ボッコボコにボコって天狗っ鼻へし折ってポイント全部むしり取れ!!』

 

『試合に私情を挟むな、馬鹿が』

 

 わお、皆よりもプレゼントマイクからのヘイトが凄まじいな・・・

 

「緑谷・・・プレゼントマイクの台詞(セリフ)じゃないが、そろそろ獲るぞ」

 

「轟君!!」

 

「ラストスパートを掛けてきたか・・・」

 

「序盤と違って狙って来るのは少数じゃない。ここからが本番だ!」

 

「承知!」

 

 轟君達は走り出すとともに流れるように全方位に放電からの地面の凍結で確実に足止めを狙ってきた。なんチームかが氷に飲まれて氷像と化した

 凍結こそこちらには届かなかったが、放電によって発目さんが用意したジャンプシューズは壊れてただの装甲の厚い靴になってしまった

 

「ああ、ベイビーが!!」

 

「常闇君!」

 

「牽制する!」

 

 常闇君の【個性】で攻撃を仕掛けるも轟君率いる八百万さんが盾を作り出すことで防がれてしまう

 

「ちっ![創造]厄介過ぎる!」

 

 凍結によって壁を作られ僕ら対轟君達の一騎打ちに持ち込まれてしまった。それに、常闇君が言うには[創造]よりも上鳴君の放電の方が厄介で、常闇君の【個性】の弱点となってしまうらしいが、どうやら轟君はそのことを知らないらしい

 

 なら牽制にはなる

 

「皆、出来るだけ距離を取って!相手には飯田君がいる!機動力に関しては僕の次に彼は速い。加速に時間は掛かれどどんな隠し玉を持ってるか分からない。距離を開けてれば気付いてから対処に移れる時間に猶予ができる」

 

『残すところ約2分!首位は変わらずガン逃げ緑谷!対する轟はハチマキ3本所持850 P (ポイント)で2位!!土壇場の逆転劇なるかぁ!!!!』

 

「あと、僕に掴まって!」

 

「デク君、どうするつもりなん?」

 

「相手取る人数は増えるけど動けるフィールドが多いにこしたことはない!飯田君を警戒しつつ空を飛んで氷の壁を超える。2分位ならどうにかなるはずだ。寧ろ向こうが何かしてくる前に離脱する方がいい」

 

 [翼]

 [複製腕]

 

 複製腕で強化した目で飯田君の動きを警戒しつつ、捕まるように指示を出していざ飛ぼうとした時、僕らが何かしようとしていることに気付いたのか轟君達は動いた。氷の壁からフィールドの端までの距離を一瞬で詰めるほどの加速。

 

 [バリア]

 

 ガン!どさどさ・・・

 

 何かが硬い壁にぶつかる様な音に続いて地面に落ちる音が聞こえる

 

 僕は両手を前に突き出した姿勢のまま冷や汗を流していた

 

「え?」

 

 歓声が鳴り響く中で一瞬だけ音が消えた。誰の声だったか。地面に座り込んで驚きの表情でこちらを見る轟君チームの誰かだろうか、それとも気付かぬ内に事が起きた僕らの内の誰かだろうか。

 

『な、何が起きた!!?速っ速ーー!!一瞬でゼロ距離まで接近した轟チーム!飯田そんな超加速があるなら予選で見せろよー!!!そしてそんな超加速に難なく対応しやがった緑谷!ライン際の攻防!あの一瞬での攻防を制しやがった!てめえ首位譲る気ねえな!』

 

「危なかった・・・」

 

「緑谷君・・・あの速度にすら対応するのか」

 

 足から黒い煙を出し、唖然とした顔で見上げてくる

 

「見切れるようになったのは最近だけどね」

 

 障子君に[複製腕]を覚えさせてもらって心底良かったよ。じゃなければ[バリア]も間に合わずみすみす P (ポイント)を奪われるところだった

 

「皆、また距離を開けて!最後まで気は抜けないよ!」

 

 奪われこそしなかったが、奪うこともできなかった。あれだけ早く動いたんだ相当な負担があったはず。二発目はそう簡単には出してこないと思うが用心に越したことはない

 

 轟君達を警戒する僕らの前で轟君達は騎馬を建て直し――

 

「隙ありだよ高得点君?ハチマキもらうよ」

 

「っ!!皆後ろ!距離開けて!」

 

 ――睨み合う僕らの死角からハチマキに手を伸ばされる。間一髪で伸ばされる手を叩いて阻止できた

 

 何時の間に背後に!?

 

 気付けば氷の壁は解け初め、壁として機能していなかった

 

「ちっ!ハチマキは取れなかったか・・・コピーできたのは増強系が一つだけなのが残念だが使えそうだ」

 

 コピーだと!?相手の【個性】を真似するのか!?あの様子じゃ増強系の【個性】を真似された。どれだ?[筋力増強(パンプアップ)]か?[(パワー)]か?まさか[鬼]か!?

 

 焦る僕を余所にまるでかっちゃんの様に手を爆発させて単身突っ込んでくる

 

「早速使わせてもらうよ!!」

 

 [バリア]

 

 咄嗟にバリアを張って僕と相手の間に半透明の膜を出現させるが、相手は「勝った!」と言わんばかりの顔で右腕に赤い線を走らせた腕を振りぬいてきた

 

「!!?」

 

 あの腕に走っていた赤い線は間違いなく[受け継がれし力(ワン・フォー・オール)]だ!

 

 まずい![受け継がれし力(ワン・フォー・オール)]相手じゃ全力で張ったバリアもガラス細工の様に割られてしまう!

 

 [巨大化:拳]

 [鉄腕]

 [爆破]

 

 バリアで時間を稼ぎ、[爆破]で加速させた裏拳を当てようと考えていたが、予想に反してコンッと軽い音だけ鳴らしてバリアは破られず、呆気に取られつつもバリアを解除して唖然とした顔で無防備な姿を晒す相手に横から巨大な裏拳がクリーンヒット

 

 あの浮き出た赤い線からして間違いなく[受け継がれし力(ワン・フォー・オール)]のはずだが・・・僕の張ったバリアが強力だったと仮定しても岩を砕く超パワーを防げるほど強力じゃない

 とするとコピーが不完全だったかコピーは出来ないのか

 

 他の【個性】に関しては[PF-ZERO(ポジティブフィードバック・ゼロ)]は特殊過ぎるから真似できず、それ以外は[覚えた]【個性】だから真似できなかったのかな?

 

「物間!大丈夫か!?」

 

 吹き飛んでいく相手を尻目に、不可解な点を考えていると声が聞こえた。目を向ければ吹き飛ばされた相手チームの騎手は意識を失っているようでチームメイトが揺さぶっている。

 

『物間、自信満々に攻撃するも緑谷にカウンター喰らって吹き飛んだぁ!!鉄壁!緑谷鉄壁!こいつからハチマキ奪取出来る奴いんのか!?ってか大丈夫かぁ物間!?』

 

『無防備な状態な所を横から大質量でぶん殴られたんだ。恐らく失神したんだろう。いくら落馬しても復活できるからと言って失神したんじゃ継続できないだろうな』

 

 救護班の人が何やら二本の赤い手旗を解説席に向かってパタパタ振ると騎手を担架に乗せて運んでいった

 

 手旗信号かな?

 

『おおっと言ってるそばから棄権したぜ!どうやら呼吸はしっかりしてるが肩が脱臼している様だ。俺らは体が資本!リカバリーガールにキレイに治してもらえよ!ちなみに P (ポイント)は緑谷チームに加算されんぞ!ますます狙われるな!!さあ、予想外の棄権で11チームに減っちまったが気張って奪い合え!!』

 

「緑谷!来るぞ!」

 

「え?」

 

「クソデクゥゥゥ!!!」

 

「かっちゃん!?」

 

 常闇君に呼ばれ運ばれていった騎手から意識を会場に戻すと【個性】によって宙を飛び、鬼の形相でかっちゃんが単身突っ込んでくるのが見えた

 

『おっと!そうこうしてる内に時間が差し迫ってるぜ!てなわけでそろそろカウントダウン行くぜ!!エヴィバディセイヘイ! 10 !! 9 !!』

 

「俺達もいるってことを忘れては困るな!!」

 

「飯田君!」

 

『 8 !! 7 !! 6 !!』

 

 前方からやってくる轟君達はまたしても全方位へ電撃を放ち、こちらへ攻撃を仕掛けてくる。即座に常闇君が【個性】を盾として防ぐ

 

『 5 !! 4 !! 3 !!』

 

 かっちゃんは轟君と僕を見比べた後、高得点の僕に狙いを定めた様で猛スピードで向かってくる。常闇君が轟君達を相手取っているので必然的に僕がかっちゃんと対峙することになる

 

『 2 !! 1 !!』

 

 [バリア]を張り、念のため巨大化した手を前方に構えておく

 

『TIME UP!!』

 

 勝った・・・

 

『早速上位4チーム見てみよか!!最初っから最後まで1位緑谷チーム!!辛くも首位に届かず2位轟チーム!!怒涛の追い上げで3位爆豪チーム!!最後に定石(セオリー)通りにガチンコ勝負で4位鉄てアレェ!?オイ!!!心操チーム!!?いつの間に逆転してんだよ!まあいい、以上4組が最終種目へ進出だああーー!!』

 

「緑谷、この後いいか?」

 

「え?」

 

『一時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜ!』

 

『寝る』

 

『ヒュー』

 

 どうにか1000万 P (ポイント)を死守して一位通過で騎馬戦を終えた僕は、轟君に誘われるがままに学校関係者専用の入り口へと向かった




OFAの性質上コピーしてもピーキーパワーは出せない点を修正しました

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