壁や床が吹き飛び、屋内なのに太陽光が差し込んでくる
「ぐうぅぅ!なんてもの放つんだ!!」
[翼]で体を包み、[
本来ならここに水はないので[操水]は使えないが、「紙に描かれた絵を3分だけ具現化する【個性】」である[
『自分で描いた絵であること』『紙のサイズの影響を受ける』『3分の時間制限』と制約があるが、他の【個性】に必要なものを用意できるメリットは大きい。
そうして具現化した水は紙のサイズから1枚1リットル程度だったが、100枚すべてを使用したので100リットルになる。
ただ、それでもダメージを負った。防御を固めたが所詮は急造、威力こそ抑えることができたが、その凄まじい威力に纏っていた水はほとんど吹き飛び、直撃した翼が痛い。恐らく焼けただれているだろ
【個性】を解除して翼をしまったので多少の痛みは治まったが、肩甲骨のあたりがジクジク痛む。
でもお蔭で――
― 覚えた ―
「どうだ!テメーにゃ勿体ないもったい―――なんで無傷で立ってやがる!!」
無傷じゃないけど誤解してくれるならそのままにしておこう
『爆豪少年、次それ撃ったら・・・強制終了で君らの負けとする。屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしてはもちろん敵としても愚策だそれは!大幅減点だからな!』
「ああーじゃあ!殴り合いだ!」
オールマイトからの厳重注意で苛立つかっちゃんは爆破の勢いに乗って飛掛ってきた。それに対し両方の掌を向け、たった今覚えた【個性】を発動
[爆破]
派手な音と共に大きな爆発が起き、飛び掛ってきていたかっちゃんが吹き飛んだ。同時に爆破の威力で僕自身も吹き飛び、危うくビルから放り出されるところだった
なんて威力だ!これより弱いとはいえ同じ爆破をああも自在に使いこなすなんて、やっぱかっちゃんはすごい!
吹き飛ばされ壁に叩きつけられたかっちゃんは直ぐに立ち上がりその表情を憤怒の形相へと変えた
「てめー!なんで俺と同じ【個性】が使えんだよ!さっきのバリアもダイヤモンドみたいなのも!昨日は増強系の【個性】使ってただろ!火ぃ噴く【個性】だけのはずだろ!?やっぱり俺を騙してやがったな!楽しかったかおい!俺を騙せてよぉ!!!」
[剛力]
[怪力]
[剛腕]
[
またしても爆破の勢いで飛掛ってくるのに対してカウンター狙いで腕に力を込めた
「これでも喰らえ!」
ボン!!
「!?」
手応えがない!!
目前で爆発が起き、爆炎で視界が遮られるが、そのまま腕を振りぬいた
しかし振りぬいた拳が何かに当たった感じがしなかった
「うぎっ?」
「なめてんじゃねーぞクソデクが!!!!」
直後、背中の痛みと共に背後からかっちゃんの声が聞こえる
空中で方向転換した!?
「ほら行くぞ右の大振り!!」
追撃!?拙い!!
[
一歩だけ加速して追撃を回避
「ちっ避けやがって!!」
やっぱり強い!長期戦は不利だ、なら!!
「かっちゃん!!次の一撃で君に勝つ!!」
「一撃だぁ!?」
「全力の一撃をもって君に勝つ!!そして超える!!」
全力の一撃による短期決戦!!
「上等だ!!その根拠諸共ぶっ飛ばしてやる!!テメーより俺が強ぇってこと叩き込んでやる!!」
やっぱりかっちゃんならこの挑発に乗ってくると思った!
[脚力強化]
強化した脚で接近し
[怪力]
[剛力]
[剛腕]
[鉄腕]
[
[
[
[
[金剛石]
[鬼]
[衝撃強化]
[
幾重にも【個性】を重ね掛けして腕を引き絞り
体が軋み、悲鳴を上げているが構うもんか!限界まで強化した肉体でもって殴る!!
「うぅぅぅ――
「
『双方中止――』
――らあっ!!!」
――
全力で振り切った
ボォォン
ガン!!!!!
「「!!!」」
お互いの全力の一撃は双方とも相手の頬を捉えていた
最後に立っていたのは――
「う・・・が・・・」
かっちゃんは白目を剥き、前のめりになってその場に崩れ落ちた
――僕だった
「っしゃあぁぁぁぁ!!」
勝った!かっちゃんに勝った!!!!
ジクジク痛む頬をそのままにその場で雄たけびを上げた
「はっ!確保テープ巻かないと」
『爆豪少年、確保されたので失格!』
危ない危ない、忘れるところだった。後は――
「早く麗日さんと合流して核を回収しないと」
――残る飯田君のみ
僕は気を引き締めると[
―― 5F ――
5Fの中央の部屋の入り口までつくと麗日さんに無線を入れた
「麗日さん、そのままで聞いてほしい、返事もいらない。今、僕は君のいる部屋の入り口にいる。少しでいいから飯田君の気を入り口からそらして。そしたら僕が核まで走って回収するから」
無線の内容通り注意をそらすため、麗日さんはじりじりと反時計回りに移動し始めた
「何をしようとしているかは分からないが、爆豪君がやられたからといってここで負ける訳にもいかないのだ!」
飯田君は麗日さんを警戒し常に麗日さんの真正面を向く様に少しずつ動いている
[
今!
飯田君がこちらに背を向けたと同時に走り出し、彼が気付く前に【個性】で加速して核に触れた
「飯田君、核は回収させてもらったよ」
「なに!?ああーーー核ーーー!!!」
『ヒーローチームWIN!!』
こうして戦闘訓練一試合目は僕らの勝ちで終わった