渡物語   作:UKIWA

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 楽しんでいただければ幸いです!

 どれではどうぞ!

 ※小説タイトル名を変えました。


ぽぷらホリデー

   001

 

 

 北海道某所のファミレスで働く種島ぽぷらは背と胸以外に関して言えば、どこにでもいる平凡で、普通で、日常的で、ごくごくどこにでもいる女子高校生と言えるでしょう。楽しく働き、他の従業員と話しながら働く彼女の光景は可愛らしく、いじりやすいといった印象を私は受けてしまう。ただそう思うのは私以外も同じことでしょう。例えば仕事をしない人、男嫌いな人、家出をしている人、普通を追い求める人、人なら何でも知っている人、帯刀している人、ヘタレな人もそして、小さいもの好きな人も。

 

 彼女は私と同じように、吸血鬼を助けた阿良々木暦や私の親友である戦場ヶ原ひたぎと同じくらい個性的で不思議な同僚たちに囲まれて、彼女の青春の1ページの物語として今日も働く。

 

 私はその一つ一つの物語を簡潔に簡単に4コマでコミカルに描かれそうな漫画のような形で頭で描きながら、砂糖もミルクも銀のスプーンも、ましてやストローも入れずに、濃くて苦い何も入れていないブラックのコーヒーを、この寒いこの地でゆっくりとされど急いで彼らの働く日常を見ながらぼんやりと息をコーヒーで抜きながら楽しんでいるのだと思う。

 

 

 

  002

 

 「バイトしませんか!」

 

 北海道某所。私は今、忍野さんを探して沖縄から飛行機を使って最南端から最北端へと渡り、北海道内をヒッチハイクしながら渡り歩いてるところです。そんな中ヒッチハイクできそうな車を探していると、小学生?なのかな、でもバイトという単語から推測すると、高校生からだったような、そんなことは置いといてもバイト勧誘されています。

 

 「親御さんが働いている所のアルバイトかな?」

 

 確か労働基準法で満15歳だと働けなかったけど家の仕事のバイト勧誘だと労働基準法にはいるのかな。私ももっと勉強した方がいいかな。

 

 「は、この感じかたなしくんと同じ状況になってる!」

 

 何か困ってる顔になっちゃたけど私はどうしたらいいのでしょう。こういう時に

 A 素直にお断りする

 B とりあえずそのバイト先に行ってみる

 C 専門家に相談する

 D 相手に抱きつく

うーん最後の選択肢は阿良々木君ならやってしまいそうだけど、ハ九寺ちゃんみたいに。あれ私も少し寒気が何か別次元の過去でそれをやられたような感覚があるのだけど多分気のせいでしょう。

 

 「私高校2年生です!!」

 

 これは私でも少し驚いたかな。でも年齢と見た目ってかなり違うことが最近だとよくあるって聞くし、永遠を生きる吸血鬼も見た目は幼女だけど年齢は私たちの何百倍だったりするけど。

 

 「ごめんね、背が小さいからそうなのかと」

 

 「ちっちゃくないよ!!あ、」

 

 今の発言を止めるかのように口を手で隠してちょっと可愛いかなと阿良々木くんみたいなことを思ってしまったけど、これは彼女のお決まりのフレーズなのだろう。だとしたら皆からいじられちゃうタイプなのかな。

 

 「ふふっ、ええっとバイトの勧誘でしたよね。確かにバイトはやってみたかったけど、ごめんなさい私ここの町に来るのが初めてなので」

 

 「そうですか」

 

 残念そうに落ち込む彼女を見て心が傷むけど、阿良々木くんたちを助けるために少しでも急がないと。

 『くぅぅ~』私としたことがどうやらお腹がすいたらしい。実際には食後期収縮という現象が連続で起こって胃が空になった状態で収縮するとなることなんだけど、確かに最近はヒッチハイクでの移動でとろろ昆布おにぎりや味噌焼きおにぎりぐらい食べてなかったかな。

 

 「もしかしておなか減ってるんですか?」

 

 やっぱり聞かれていたかぁ、私も穴があったら入りたい気分でその中の壺に入って自分に蓋をしたい気分です。でもお腹がすくのは人間として当たり前のことだから鳴ったことは自分の中で水に流そうかな、でもどこに行けばいいんだろう私もここの地域はあまりしらないしなぁ。あ、そうだもしかしたら彼女に聞けばいいお店を知っているかもしれない。

 

 「もしよかったら私のバイト先行きませんか?バイトの勧誘は断られちゃったけど、私の働いているファミレスだったらすぐに案内できますよ」

 

 お腹が空いたのは事実だし、ここは彼女の言葉に甘えさせてもらおうかな。

 

 「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな、私は羽川翼といいます」

 

 「私、種島ぽぷらっていいます。羽川さんは私より一つ上の先輩だったんですね、たちふるまいがすごく奇麗だったので大学生の人かと」

 

 私そんな大人びて見えるのかな?まあ、ここからかなり遠い高校で制服も着ていなかったらそう見えるのかもしない。確かに私もこの一年でかなり成長したと思うから私としてもそう見られるのはうれしいかな。

 

 「私学校だと大人びたとかはあまり言われないから少しうれしいかな。そういえばここの近くのファミレスといえばワグナリアだったけどもしかしてそこかな?」

 

 「えぇ!?羽川さんここに来るのが初めてなんじゃあ」

 

 「初めてだけど、ワグナリア自体は北海道に何店舗はあるし、さっきヒッチハイクで乗せてもらった車の窓からも何件か通り過ぎたしね」

 

 「凄いなぁ、私が知ってる所でも最近できたミラノ風ドリアが美味しかったあそこしかファミレスだと覚えていないですよ」

 

 「大丈夫私も全てを把握しているわけじゃないから、だいたいオーストラリア大陸のファミレスとかは知らないからね」

 

 「それはオースト大陸以外のファミレスは知っているということになるんじゃあ、あ、ここにいても風邪をひいちゃうので早速いきましょう羽川さん」

 

 私はそんなわけで種島ぽぷらちゃんに連れられて雪の中明りがともるワグナリアへと向かった。

 

 

 

  003

 

 ファミレスといえば、私の場合最初に出てくるものとを上げるとするならば、ミラノ風ドリアが人気の所やチーズinハンバーグが第一位の所だったりするけれど、ここの地域の人たちに100人にあなたが最初に思いつくファミレスといえば?と街頭アンケートしたら90%の確率でここワグナリアと言うでしょう。なぜならワグナリア以外のお店はここの付近では珍しいといえるぐらい無いのである。そしてこのワグナリアの最大の魅力が他のチェーン店には中々真似のできない料理のバリエーションといえるでしょう。そんなわけで私羽川翼は、アルバイト勧誘をしていたとても胸以外高校生には見えない種島ぽぷらちゃんに連れられてここワグナリアに来ています。

 

 一つ目のドアが開くとテレレン~♪テレレン~♪という音が二回軽快になり、もう一つの扉が開くと奥からウエイターの一人が出てくるのが見えた。

 

 「いらっしゃいませ、二名様喫煙席か禁煙席かどちらにしますって先輩じゃないですか!?」

 

 「もう先輩じゃなくて今はお客様なんだからね」

 

 種島さんは腰に手を当てながら怒ったようなそぶりをしていたが、相手のほうはそれを見て和んだような顔をして種島さんの頭をなでていた。あれ?さっきの会話だと一応学校の後輩なのかな?でも今の状態だと、近所にいる高校生に仲良くしてもらっている小学生といった状態にしか見えないんだけどなぁ、もしかして他の従業員人もこんな感じなのではとよそくしたけどどうやら当たりのようでした。

 

 「あら、ぽぷらちゃんどうしたの、何か忘れもの?」   

 

 奥からもう一人のウェイターさんが来たけど、なんというか私も突っ込まずにはいられないぐらいひとが来ちゃったなぁ、あれって確か日本刀だと思うのだけど、私もあの時阿良々木君が持っていた『妖刀・心渡』ぐらいしか本物は見たことなかっけど、でもあれは確か臥煙伊豆湖さんが作ったレプリカだったから、あれは本物の正真正銘日本刀と言えるのかといわれるともしかしたら違うかもしれないのかな。

 

 「八千代さんも今は私はお客様なんだからね」

 

 「ごめなさいぽぷらちゃん、それと今の状況で聞きずらいのだけど彼女はお友達?」

 

 「ええっと、さっきバイト勧誘で出会った羽川翼さんです。」

 

 「種島、新しいバイトか?」

 

 奥からせんべいを食べながら来てる人もいるのだけど、しかも他の従業員と少し違う格好してるから多分それなりに上の人だと思うんだけどな。最初に入って5分もたたない内にかなり戦場ヶ原さんと同じくらいの個性的な人達が出てきちゃったなぁ、でもここに勧誘された=個性が強い人と認識した方がいいのかな。それだと私もというか、でもあながち間違えでないかもしれないなぁ。

 

 「違うよ、羽川さんはお腹をすかせてたから連れてきたの」

 

 「それって野良猫が可愛いから連れてきちゃったみたいな感じじゃないのか?」

 

 「店長それは彼女に失礼じゃないでしょうか」

 

 「そうだよ店長、ごめんね羽川さん」

 

 「ううん、私は別に気にしてないよ。それに猫って言う部分はあながち間違ってないしね」

 

 私の中にも二人の猫みたいな妹達がいるし、それに今は色々な所を回っているから野良という表現も間違ってないし、猫を助けるという話からしてみたら4月の時の自分自身のことを思い出しちゃうな。

 

 「もう、かたなし君私達は禁煙席だから案内をよろしくね」

 

 扉を二枚抜けた先、そこから始まる4コマ劇場、個性の飛び交うファミレスで私はあの時のこと、怪異と出会った少女達の今も続く物語を思い出しながら、ここでの波乱で、克服して、恋愛して、働く物語を私は自分の目で自分の脳に、体に焼きつけながら、小さい彼女とともに席を案内するウェイターに連れられて禁煙席の席に座るのでした。

 

 

 

  004

 

 「ご注文は何になさいますか?」

 

 そう聞かれ、私は数々の料理が写真で載っているメニュー表を見ると、イタリアンや中華料理、日本食、ステーキやハンバーグなど王道の肉料理がほかの店では出来ないであろうバリエーションを誇っていた私はここの料理人さんの腕はチェーン店どころかこのメニュー量をこなすのであればどこかの料亭の店の引き抜きが来るのではと今思っています。

 

 「じゃあ、この油淋鶏と回鍋肉と…コーヒーをブラックで」

 

 「じゃあ私はココアで」

 

 「油淋鶏と回鍋肉、ブラックコーヒーにココアで以上でよろしかったでしょうか」

 

 ここって以外にコアなものがそろっていてびっくりしちゃうなぁ、普通のファミレスに油淋鶏なんて置いてないしね。でも確か人気メニュー一位がこれだった所もあったような気もしたんだけど、でもこれだけ料理があるとどれを食べればいいか迷っちゃうなぁ、今度戦場ヶ原さんにもこのファミレスの事教えよ、もしかしたらあそこの付近で出来ちゃうかもしれないしね。

 

 「すごいですね羽川さん、油淋鶏と回鍋肉なんて食べようとすると私だと片方の半分ぐらいしか食べきれないですし」

 

 「私も普段は普通の量しか食べないけどちょっと今日はお腹すいちゃったしね。それによく動いて、よく食べて、よく寝れば子供は成長するしね」

 

 「羽川さんはまだ自分が子供だっていうことですか、私も羽川さんみたいな背があれば皆大人のようにみられると思ったんですけど」

 

 「私も世界一般的に見たら大人の部類に入るのだろうけど、種島さんのご両親や自分たちよりもう倍以上生きてる人からしてみればまだまだ私たちの事を子供にしか見れないし、それにまだ私たち高校生だよ?まだ大人からの援助がないと生きていけない歳なんだからまだまだ私たちは子供だよ」

 

 でも、私はまだ義理親の人のお金でこうして世界を回らしてもらえてるんだし、彼女みたいに私は働いてお金を稼いでといったことをまだやっていないから、彼女は私よりも何倍も世の中を知っている大人だと私は思う。背はちっちゃくてかわいらしいけどね。

 

 「わ、私羽川さんのような人になってみたいです!!羽川さんみたいにものごとを色々考えられる人間になりたいです!」

 

 「ええっと、種島さん?いやいや、私よりも今ここでバイトで働いている種島さんの方がずっと大人だよ」

 

 「大人!?」

 

 おーい種島さん?これっていったいどういった状態なのかな、どこか上の空みたいな顔になっちゃってるし、話しかけても返事がないんだけどなぁ。確かこういう時に言うセリフが『返事がない。ただの屍のようだ』だったけ、でも今の状態だと『返事がない。ただの背が小さい小学生のようだ』と変換されてしまいそうだけど。

 

 「惜しい、凄く惜しい一つメニューが足りないのがすごく惜しい、俺はあの料理をっく…!!」

 

 話し込んだり考えている間に料理が出てきたけど、ウェイターじゃなくってシェフが出てきちゃったんだけどしかも二人も、あれかな料理はお客様に出すまでが料理人の仕事だという感じなのかな?でも一人地面を叩きながら膝をついてるのだけど。しかもどことなく声が阿良々木くんと声が似ているのだけど気のせい…かな?

 

 「おい種島、料理持ってきたぞ、いつまでボーとしてやがるんだ」

 

 金髪の料理人、いやファミレスだとシェフなのかな?その人が種島さんの髪の毛をいじって一つのみつあみにしちゃってるんだけど、でもこの髪型は私としては親近感が湧くんだけどね。でもあの髪形を一瞬でセットするのは美容院の人でもびっくりだよ。というか、世界の髪を扱う仕事をしている人全員が目から鱗だよ。

 

 「は!?佐藤さんまた私の髪をいじって、って相馬さんどうかしたの?」

 

 「ああ、さっきここの注文を受けたメニューを聞いた時からこの感じなんだよ」

 

 「いつもはこんな感じじゃないんですか?」

 

 「いつもはニヤニヤしながら人の弱みを握って喜ぶ奴なんだが」

 

 そんな人を置いておいて大丈夫なのだろうかこのお店。私としては面白いと思って済ませてしまうのだけど、他の人だと完全に変人のそうくつみたいになってるような、もしかしてこの金髪の人も何かやってしまったとかなのかな。

 

 「おい、俺はこいつみたいな変な趣味はしてないぞ」

 

 「まあ、佐藤君は恋愛に関してヘタレなところ以外は普通の人だけど、それより君見たところ高校生だけどここら辺の人なの?」

 

 「いえ、私はここに来ること自体が初めてなので、あと私ある人を探しているんですけど」

 

 「ある人?それって家族とか恋人とか何かかな」

 

 「人の事なら相馬さんに相談するのは正解だよ羽川さん。相馬さんは人の事ならだいたい知ってる人だから」

 

 「まあ、僕は身近な人には詳しいだけだからそんなに期待はできないけどね。」

 

 「それはどこまで知ってるんだ相馬」

 

 怒り口調の金髪シェフが阿良々木君似の声をしたシェフに頭を鷲掴みにしているんですが、ここの人たちはシェフも含めて個性的な人達だったようです。でも阿良々木君の周りにいる女の子たちもかなり個性的というか個性の溢れすぎている人達なんだけどね。

 

 「痛い痛い佐藤君、別に轟さんの情報なんか少ししか持ってないよ」

 

 人の事なら何でも知ってるか、なんだか臥煙さんみたいな感じなのかなでもどちらかといえば知っていることだけしか知らない私に近い人なのかもしれないなぁ。

 

 「ええっと、特徴としてはサイケデリックなアロハシャツ一枚を着ていてぼさぼさの金髪という格好で口によく煙草をくわえている人なんだけど」

 

 「「「え?」」」

 

 

 ある日、アルバイトが連れてきた猫のお客様は突拍子もない人探し、北にあるこの土地で彼女はアロハのシャツの男を探していました。それは、ここの日常ではない、もう一つの物語。そしてここのアルバイト種島ぽぷらは忘れない。あてのない人探し、委員長の中の委員長羽川翼を目標として見てしまったのだから。それは幸福で、不幸なのかもしれない。ただこれだけは言える彼女の休日も働く日もいつもどこまでも明るい一日であることを。

 

 

 

  005

 

 後日談と言うか、今回のオチ。

 やはり忍野さんの居場所は掴めず、私としてもなんとなく日本にはいないと思っていたからそこまで落ち込むことはありませんでしたが、次の行き先はどうしようかというのを今は考え中ですがとりあえずは日本から出て海外に探しに探しにいこうと思います。

 これからどうするかなど自分の中には色々な問題ややることが山積みだけれどそんなに焦ってもしかたがないと私ながら他人事のように自分事ように思いながら渡ろうと思います。

 そういえばさっき食べた料理が中華料理だったから、三大料理関連でフランスに行ってみようかな。そんなくだらなく当てずっぽうな事で見つかるかどうかはわからないけど卒業式までには必ず。

 外は雪景色そして行き先を決めた猫はまた旅をする。私の後ろには活気のあふれる日常と前には非日常が駆け巡っていた。

 

 

 





 次回予告をお伝えするのは私、羽川翼です。次回予告にするに当たって私が言える最大のネタバレは私が登場しないことです。

 次回「むうビター」

 あらすじは忘れました。

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