セングラ的須賀京太郎の人生   作:DICEK

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現代編22 全国大会強化合宿編② new!!

 

 

 

 

 

「まぁ読めてるだけで勝てるんだったら誰も苦労しないんだけどな」

「ですよね!」

 

 対局室にHAHAHAという陽気な笑い声が響く。京太郎も援護した風越レギュラーの変則対局は池田の勝利で終了。京太郎の支援を受けた星夏は奮闘したもののそれがアガりには結びつかず三着での終了となった。他は美春が二着で深堀がラスである。

 

 この結果に京太郎は少なくない引け目を感じていた。風越のレギュラーと言えば県内でもトップクラスの実力者。しかも一般入学で入った一年にも関わらずそれをもぎ取った星夏は尊敬に値する努力の人である。

 

 そんな星夏にセコンドとしてついたのに勝たせてあげることができなかった。京太郎の性格としては気にしないはずもなく、無駄にメガン仕込みのアメリカンな振る舞いなどしてみたが、当の星夏は自分の敗北などまったく気にしてなどおらず、興奮冷めやらぬといった風だった。

 

 さあさあとぐいぐい背中を押してくる星夏に心中で安堵のため息を漏らす。

 

 選手として長く戦うために一番必要なのは不必要に負けを引きずらない精神力だ、と咏は言っていた。得られるものだけそこから得て、負けたことそのものは綺麗さっぱり忘れる。こういった気持ちの切り替えが咏はプロの中でも抜群に上手いと言われている。

 

 かと言って勝利に執着する闘志がない訳でも向上心がない訳でもない。どんな強者でも負ける時は負けるものだと割り切り、次の試合でそれを活かす。引退するまでそれの繰り返しだとからから笑うが、負けて打ちひしがれてもすぐに立ちあがり次へ向かう咏の小さな背中が、京太郎は子供の頃から大好きだった。

 

 ちなみに弟子として何より大好きなのは師匠である咏に好きな所を直接言ってやることだ。のらりくらりとするのが得意な咏であるが弟子に褒めちぎられることにはそこまで耐性がある訳でもないようで、大上段から褒め続けてしばらくすると顔を真っ赤にして扇子でばしばしぶっ叩いてくるのだ。

 

 普段見れない表情が見れるし咏を褒められるし京太郎にとって良いことずくめなのだが、加減を間違えるとしばらく口をきいてくれなくなってしまう。へそを曲げる咏に謝り倒すのもそれはそれで楽しくはある――

 

 敬愛する咏のことだから無限に時間を費やす所だった。咏には今晩にでも電話することにして思考を切り替える。採譜をしてくれていた智紀たちから用紙を受け取り、自分の記憶と照合して対局の流れを整理。どこがポイントで何を話すのかある程度決めてから、京太郎はホワイトボードに書き込みをしていく。

 

 その間に、全員がホワイトボードの前に行儀よく座っていた。

 

 大分前のめりになっている星夏は最前列に座っており、その横には当たり前のような顔をしてゆみも座っている。高校最後の大会が終わったので既に部としては引退している身のゆみであるが、当然大学でも麻雀は続けるということで、むしろ引退した今の方が麻雀の勉強には熱が入っている。こういう時にどうするべきか。毎日のように中々レベルの高い質問をしてくるので、京太郎としても話していて楽しい。

 

 後は理論派組が比較的前の方に座り、そうでないものが外に座っている。清澄で言えば和が前の方で久や優希が後ろの方だ。和は最前列に座ろうとしていたのだが、最前列の席は三つ。すっ飛んでいった星夏とゆみに遅れを取り最後の席に座ろうとしたものの、タッチの差で美穂子に負けてしまったのである。

 

 負けた結果として、和は美穂子の後ろの席に座っている。その和の目が何だか怖いと感じた京太郎は、後ろの方の席で久とだべっていた優希に視線を送った。京太郎の視線に気づいた優希はすぐさまその意図を察するとにやりと笑い、こそこそ和に忍び寄っていく。

 

 正面を向いている和は優希に気づかない。無防備な和に近づいた優希は、いきなりお腹の肉を摘まんだ。甲高い、和の悲鳴が響き渡る。その悲鳴の直撃を受けた美穂子が驚きで椅子から転げ落ちたが、いきなり悪戯をされた和は他人の心配どころではない。

 

 そういうことをしそうな人間に心当たりがあった和は真っ赤な顔で優希を睨むが、使命を果たした優希はガッツポーズまで取っている。やけにやり切った顔の優希に、和はひらめくものがあった。優希にこういう指示を出す可能性があり、かつ優希がすぐに言うことをきく人間はこの世に一人しかいない。

 

 恥ずかしい思いをさせられたからくりを察した和は真っ赤な顔のまま京太郎をこれでもかと睨むが、割と意地悪である京太郎は知らん顔。むしろ両頬に指をあてて『笑え』と和を煽る。

 

 そこでようやく和は、自分が京太郎の前でどんな顔をしていたのかに思い至った。苛立ちに任せていた表情が、かわいらしいはずもない。そういう顔をしているのは良くないと京太郎は言っているのだ。なるほど一理あると思わないでもないのだが、だからと言っていきなりお腹を触られて悲鳴をあげさせられた、というのは年頃の女の子の沽券に関わる一大事である。

 

 普段であればお詫びにデートの一つでも要求していた所であるが、それは自分がいけない表情をしていたことでチャラにしてあげようと思う。

 

 そして今は、毎晩鏡の前で練習した成果を披露する時だ。

 

 力を抜いて、できるだけ自然に。私はあの堅物を虜にした、この世界で一番素敵な女性の娘。できるはずだ。絶対にできる。

 

 薄く、しかしはっきりと笑みを浮かべた和に、京太郎は一瞬我を忘れた。忘れていたことなどなかったつもりだが、認識不足であったらしい。原村和はただの美少女ではない。笑顔の似合うとびっきりの美少女だ。京太郎にもたまらず笑みが零れる。美少女の微笑というのはどんな時でも男を元気にするものなのだ。

 

「そうそう。そういう顔の方が良いと思うぞ」

「……頑張ります」

 

 笑顔を引っ込め羞恥で真っ赤になった和と強引にハイタッチする。なるべく強引に、勢いで押した後にそれとなくフォローをするのが和と仲良くなるコツである。良く働いてくれた優希とは去り際にグータッチ。戻る時、お尻を摩りながら立ち上がろうとしていた美穂子に手を貸すと、美穂子は和と優希を代わる代わる見ながら、問うてきた。

 

「清澄はいつもこんな感じなの?」

「俺を入れても六人しかいませんからね。騒々しくて申し訳ないです」

「ううん、仲良しなのは良いことだと思うわよ? 本当に」

 

 美穂子は京太郎に向かってにっこり微笑んでからちらりと和を見た。人好きのする笑みを浮かべている美穂子に先日滅多打ちにされて以来和は苦手意識を持っていた。麻雀を続けるならばいずれ打ち倒さなければならない相手と言うのは解っていても、彼女は三年。少なくとも高校生でいる間は戦わなくて済むと安堵している自分がいる。

 

 優希が読むような漫画の言葉を借りるのであれば『格付けが済んだ』ということなのだろう。気持ちの上で風下に立っているのを、麻雀をしていない時でさえヒシヒシと感じる。

 

 でも、と和は気持ちを引き締めた。苦手な美穂子の視線を正面から受け止める。その程度で立ち向かえなくなるようでは、恥ずかしくて京太郎の隣に立てない。何よりここでこのお嫁さん系美少女を好き放題にさせてしまうと、色々良くないことが起こると女の勘が言っている。

 

 普段は勘など信じない和であるが、信じないまでも程よく共存するのが麻雀を楽しむコツだと京太郎も言っている。好き放題にさせてたまるかという意思が通じたのかどうか。和の視線に何か意図を感じた美穂子は小さく首を傾げたが、特に何かを口にすることはなかった。

 

 京太郎に礼を言った美穂子が椅子に座りなおすのを待って、和も椅子に座る。

 

 ばちばち行きそうな気配を感じていた京太郎はそんな二人の様子を見守っていたが、当座それが爆発するようなことはないと察すると心中で安堵のため息を漏らした。これでしばらくは安心だと気を取り直し、感想戦を始める。

 

「さて――まずは第一局から始めますが」

「どうやって華菜ちゃんの手を読んだのか説明するし!」

「黙って話を聞くこともできねえのか池田ァ!!」

「大丈夫ですよ久保コーチ。元々そこから説明するつもりでしたから」

「命拾いしたな池田ァ」

 

 苦笑を浮かべてフォローを入れる京太郎に、貴子はあっさりと引き下がる。貴子に見えないよう両手を合わせて感謝の念を送ってくる池田に良いってことよと視線を返す。美穂子は清澄が特殊というような言い回しをするが、風越だって負けていないと京太郎は思う。

 

「さて。あくまで俺のという前置きが必要ですが、読みには牌効率とか牌の引き算からの確率とかから来る理屈の部分と、対局相手を見て情報を集める実際の部分からなります。今回は後半の実際の解説から入ります」

 

「人間というのはよほど訓練をしていない限り、行動に伴って不必要な動作が伴います。レースゲームで右に曲がる時、身体も一緒に右に傾くとかそんな感じの話です。ねえ、佳織さん」

「京太郎くんのバカ!」

 

 へろへろ飛んできたクッションを片手で受け止め、肩をいからせる佳織に返しに行きながら解説を続ける。

 

「牌を確認するだけなら視線を動かせば十分な訳ですが、一緒に身体も動く人がまぁまぁの数存在します。視線だけよりも動きが少しですけど大きくなる訳ですね。華菜さんはこのタイプで理牌の癖と合わせて手牌を読みました」

 

 京太郎の言葉に、一部の女子が首を傾げる。身体が右に傾くというのはあくまで京太郎のたとえ話で、実際に視線を動かすことに伴う動作はそこまで大きいものではない。視線だけを追うのよりも動きは大きいのだろうが、それだって気を張っていなければ見逃してしまうものだ。実際京太郎の言う池田の動作を察知できていたのは美穂子と一くらいのもので、後は言われた所でどうにもぴんとこない。

 

 この人実はすごい人なのではなかろうか。須賀京太郎という人間をよく知らなかった面々の間に、じんわりと理解が広がっていく。

 

「手が高そうってのはどこから判ったし」

「色数が均等字牌なしと判ったのと後は雰囲気ですね。こう、手が高そうだと顔に書いてありました」

「顔かぁ……」

 

 現状ではどうしようもなさそうなことに、池田は唸り声をあげた。野球などのスポーツ同様、うち回しに癖がないかどうか風越でもコーチによるチェックは入るのだが、手牌の良し悪しが顔に出るというのは、過去に何度か指摘されたことはあった。

 

 修正した方が良いかと池田も考えはしたが、貴子の判断は必要ないということだった。今もそうなのかと池田は貴子に視線を向けるが、貴子は表情を変えずに頷く。

 

「お前は精神状態がうち回しに直結するタイプだから一つのことに集中した方が良い。ハンデがあろうが気にするな。その分取り返せ」

「頭の片隅に置いておく程度で良いと思いますよ。それでそのうち治るもんだと咏さんも言ってたので」

「頑張ってみるし」

「俺に手伝えることがあったら言ってください。それでは――はい、吉留さん」

「華菜ちゃんついでに私も同じことを聞いておきたいんだけど……なんで?」

「視線の動きから色に偏りがあるのが見て取れました。理牌の順番からして筒子。ドラと字牌に関しては癖ですね。吉留さんは手牌ドラがあると表示牌にじっと視線を送る癖が――」

「嘘っ!?」

「本当です。ドラがない時でもそうではあるんですがドラがある時は視線が強い感じですね。字牌についてですが、字牌を理牌する時それが対子だと二牌まとめて持つ癖があります。引っ込めた位置からして南だと判断しました」

 

 うそーと無言で美春の唇が動く。手牌の情報は競技者としては隠しておきたい情報の一つ。ドラの有無は値段に直結するのでありなしが完全にバレるとなると競技者として大きなハンデになることは否めない。

 

 ちらと見れば貴子がこれ以上ないというくらいに渋い顔をしている。大きな弱点となりうる要素が放置されていたとなれば、それは指導する人間の責任である。美春の癖についてはどうやら今まで指摘していなかったようで、眉間の皺も凄く深い。

 

「矯正は簡単だと思います。その辺りは久保コーチにお任せするので問題ないでしょう」

「合宿中には何とかするぞ吉留」

「はい、頑張ります……」

「そのお二人の手が高い速いということが解っていたので引き気味に打ち回しました。南を最初に絞ったのは勿論ですが、筒子を吉留さんに鳴かせないようにもしています。結果として手が重くなりアガりの目がほぼ消えてしまいましたが、少なくとも吉留さんの手の進行を大分遅らせることができました」

 

「欲を言えば筒子、南を抱えた上でアガりを目指すのがベストでした。手の入り具合によっては攻めにシフトするのもアリだったんですが、残念ながらそれは無理そうだったので予定の通り引き気味に打つのを続行。深堀さんが安手でテンパイしてたこともあり、この局は平和に終えることができました。この半荘の中ではベストに近いうち回しだったと思います」

 

 中途、細かな説明を入れながらの解説に、最前列のゆみと星夏は真剣な顔で聞き入っている。他の面々の反応も悪くない。この手の話に興味がなさそうな佳織まで聞き入ってくれているのだから、話している側としては嬉しい限りである。

 

 これで最終的に勝てていたら胸も張れたのであるが、結果は池田の大勝利である。麻雀で一番大事なことはアガることだという咏の教えを反芻する一半荘だった。

 

「とりあえず一半荘解説が終わった訳ですが、何か質問がある方は……それではゆみさん」

「君の真似をするには相当に視野を広く持たないといけないように思えるんだが、君はどういう訓練をしたんだ?」

「意識して全体を見るように、と咏さんに弟子入りした時から言われているのでその通りにしましたが、打ちながらそうするのは最初は難しかったです。俺は後ろで対局を眺めてみるところから始めました。ゆみさんならすぐに慣れますよ」

「ありがとう。ついでに全国区で読みの鋭さで君が一目置いている選手を聞いておきたい」

「臨海女子の辻垣内智葉さん、白糸台のリ……弘世菫さん、千里山の清水谷竜華さん、姫松の愛宕洋榎さんですね。姫松なら末原さんも捨てがたいですが読みということなら愛宕さんで」

「去年のシード校から綺麗に一人ずつ出たじゃねえか。須賀の推しは誰だ?」

「この中なら白糸台の弘世さんですね。読みに直結した手作りとそこからの狙い撃ちにはしびれます」

「御前の孫か。あいつは筋がめちゃくちゃ良いよな。ちょいと派手さには欠けるが」

「大衆受けはしなそうなうち回しですよね玄人好みというか……ところで蓮華さん、御前なんて呼ばれてるんですね」

「…………知り合いなのか?」

 

 聞くのが嫌とはっきり顔に書いてある貴子の問に、京太郎はぽちぽちスマホを操作しながら応える。女の気配に咲などが身を乗り出しかけたが、孫という単語にひっかかって動きを止める。

何というか貴方趣味が広すぎはしませんかと思いながら、興味はありませんよというポーズはとりつつ、耳だけは傾けている。

 

「友達ですよ。年度の始めに『ショッピングに付き合ってくれたら美味しいもの食べさせてあげる』って言われて喜んでたらヘリで北海道まで連れていかれまして。服かアクセサリーかと思ったら買うのが何と馬で驚きました」

「あの家は昔っからスポーツやらの文化振興に熱心だからな。競馬もそうだが麻雀協会にも出資してるぞ。どっちも一族の一人が理事をやってる。お前の推しのSSSもプロにならねえんだったら協会入りするだろうって噂だ。話を戻すがまさかお前が馬選んだのか?」

「ここらで新しい風を入れたいとか言われまして……」

 

 正確な値段は知らなくても何しろお馬さんだ。庶民にもお安い買い物ではないことは容易に想像がついた。この上ヘリの中で『代々大きいレースには勝てていない』という話を聞いてしまうと選びにくいことこの上ないが、現地についてしまっている手前ここでごめんなさいというのは角も立つ。

 

 何より蓮華は年が大分離れているとは言え大事な友人だ。その友人が自分を頼ってくれているのだから何とか力になってあげたい。それは偽らざる京太郎の本心である。

 

 ならば解らないなりに全力を尽くそう。この中からと指定された柵の中では何頭もの馬が動き回っている。走ったり歩いていたり思うがままだが馬の素人である京太郎には遠目に見ても解ることしか解らない。元気そうか、見た目の色、後は性別くらいだ。女の子の方が少し多いな、とぼんやり考えていると一頭、明らかに京太郎に視線を向けてくる馬があった。

 

 須賀京太郎は人間だ。当然馬の言葉など解るはずもない。ましてその馬は嘶きさえ発していなかったのだが、アーモンドのような円らな瞳から『あたしにしときなさいよ!』という無駄な力強さをびしびしと全身に感じた。人間以外の生き物からここまで押しの強さを感じたのは、神境で小蒔が降ろしたお歴々を除けば初めてのことである。

 

 ひょっとして馬というのは皆こんな感じなのかと他の馬の顔も見てみたが、視線で訴えかけるような力強さを感じた馬は他にいなかった。確かに馬が皆こんなであれば世界はもっと楽しいだろう。ならばその馬が特別で自分にとって縁があるのだろうと判断した京太郎は、即決でその馬を推薦することにした。

 

 あまりにも素早く選んだ京太郎に蓮華が目を丸くする。紳士的な少年だ。適当に選んだ訳ではないことは解っているが、そうでないならばその根拠を聞いてみたい。じっと見つめてくる蓮華に瞬時に根負けした京太郎は素直に視線で訴えかけられたことを話した。

 

 これを聞いた蓮華は大笑いである。牝馬が人間の男性に秋波を送るのも稀だろうが、それに応えようという人間もまた稀だ。そんな奇縁が自分と結びついたのだ。新しい風としてこれ程のものはないだろう。

 

『京太郎さんの女の子を見る目を信じます』

 

 そんな言葉と共に蓮華は購入を即決した。後で夢に出てきそうだったので馬の値段などは極力聞かないようにしつつ、蓮華の馬になることになった女の子の『いまにみてるといいわ!』という視線に見送られ牧場を後にした京太郎は、美味しい海の幸を堪能した後、やはりヘリコプターで長野に戻った。

 

「いやぁ、海の幸美味しかったですね」

 

 馬の話を食べ物の感想で話を締めくくった京太郎から差し出されたスマホを見ると、確かに牧場で馬を挟んで京太郎と並ぶ弘世の御前の姿が確認できた。休日を楽しむ孫と祖母という風であるが、そのにこにこした顔からはまさかその老婦人が呼び出しがあればどんなお偉いさんでもすっ飛んで行くという政財界の怪物だとは想像もつくまい。

 

 その怪物とまさに祖母と孫くらいに年が離れているというのに友達と言ってのけるのだからこの男も大したものだ。先輩が推す訳だなと思った貴子は、せめてこの少年にも今回の合宿で得られるだけのものを得てもらおうと心中でプランを組みなおした。

 

 

 

 

 


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