GATE 全十二宇宙連合彼の地にて斯く戦えり   作:マスター亜細亜

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第一話投稿後、悟空以外の戦士たちの活躍や日本、他国、特地の反応等よりも書きたいと思ったネタがあるので先に投稿したいと思います。

※ 今回ゲート登場人物にDBインフレパワーアップフラグがたちます。


第二話 もう一つの出会い

「名が孫悟空なのに斉天大聖知らないんですか」

 

 伊丹は目の前の初めて会った男に対して言った。先ほど翼竜から助けた少女は近くにいた女性警官に任せ安全な皇居内へと連れて行ってもらっていた。

 

「そのせいてんなんとかってのは、オラ初めて聞いたぞ」

 

 はてなマークが悟空の頭に浮かぶ。

 

「孫悟空なら如意棒と筋斗雲とか持ってないんですか」

 

 伊丹は誰もが思う疑問悟空にぶつけた。西遊記の孫悟空といえば、トレードマークといえる頭の金の輪や武器である如意棒、空を自在に飛べる筋斗雲などがないことに疑問を感じた。

 

「おめえはじめて会ったのにオラのことよく知ってるな。筋斗雲はガキの頃はよく乗ってたけど今は息子の悟天が使っているし、如意棒は神様の神殿とカリン様のところに行くために刺したままだったな」

 

 悟空は少年の頃の冒険や戦いを懐かしそうに思い出していた。

 

「後半部分がよくわからないし、西遊記の孫悟空じゃないのか」

 

 孫悟空と名乗る男の正体不明さに頭をかかえ混乱する。そんな伊丹と悟空の前に新たな人物が現れた。

 

「お父さーん」

 

 声がする方に伊丹は顔を上げると悟空と同じ山吹色の道着を着た男が空からゆっくり降りてきた。

 

(ハハッ、また、人が飛んでやってきた)

 

 非日常的な出来事の連続に次第に伊丹の頭はまじめに考えるのをやめつつあった。

 

「何話し込んでるですか、今はあいつらをやっつけるのが先ですよ」

 

「すまねえ悟飯」

 

「あのー悟空さん、その人は誰ですか」

 

 伊丹は悟空に尋ねた。

 

「オラの息子の悟飯だ」

 

 悟飯の肩をたたきながら伊丹に紹介する。

 

「息子?息子というより兄弟にしか見えないが」

 

 自分よりも若く見える悟空に二十代前半の息子がいるとは信じられない伊丹。

 

「じゃあ急いでるんで、またな」

 

 悟空は言い終わると気を込め大空へと飛び立つ。悟飯も一瞬遅れで悟空に続き飛び立っていった。

 

「もう見えなくなった」

 

 伊丹は悟空達が飛んで行った方向を見ながらつぶやいた。

 

「飛び立つ瞬間あの二人から白いオーラ出てましたね」

 

 周囲の危険がなくなり、伊丹の周りには本人が知らない間に多くの人が集まっていた。その人々の中で皇居への避難を手伝った伊丹と同年代の男性巡査長が呆けた口調で伊丹に言った。そして、伊丹に対して伝える内容を思い出し、伊丹に声をかける。

 

「あっ、伊丹三等陸尉、皇居を包囲しようとしていた軍勢が門へと撤退し始めました」

 

「いったい戦局に何が起こったんですか、まだ自衛隊の大規模な部隊は到着していないはずだが」

 

「さっきのような空を飛ぶ武道家やグレイみたいなエイリアン、戦隊ヒーローや魔法少女の一団が軍勢と戦って圧倒しています」

 

「なんだってー」

 

 伊丹耀司この日何度目かわからない絶叫であった。

 

 伊丹が地上で最善と思い精一杯努力している頃、一方、自衛他の戦闘ヘリコプターの編隊が銀座の上空に到着しつつあった。

 

「こちらattacker1。現場空域に到着した」

 

 指揮官機のパイロットは管制官に対して出撃後改めて無線で報告し、指示を待っていた。

 

「attacker1及び全隊へ、火器の無制限使用を許可する。後続の練馬の第一連隊の進行脅威となる敵航空戦力のせん滅を優先的に排除せよ」

 

「了解した。これより敵勢力に対して射撃を開始す……なんだあれは」

 

 射撃スイッチに手をかけていた自衛官は目の前に広がる光景を目視し思わず固まった。

 

「どうした、attacker1状況を報告せよ」

 

「こちらattacker1.本部、人が空を飛び翼竜を素手や光線を放ち叩き落としています」

 

 パイロットはありのまま脚色せず報告した。但し、実際に誰もが自分の目で見ないと絶対に納得しない報告内容であったが。それは無線の先の管制官もその一人であった。

 

「……はあ?」

 

 パイロットの珍妙な報告に管制官は思わず普段ではありえない声で呟いてしまった。

 

「いったい何なんだあいつらは」

 

 帝国軍のある若い騎士は頭上を見上げながら、現在の自軍の劣勢に信じられなかった。

 

 異世界へと進発する前、モルト皇帝帝都で大々的に行われた出陣式はこの騎士をはじめ、異世界大遠征に出陣する多くの兵士達の士気を高めた。もう一つの門へと遠征する軍団合わせて二十万近い大規模な動員、また、帝国軍の誇る亜人や魔導師、1000機を超える竜騎士なども惜しみなく投入されることとなった。

 この圧倒的な軍事力をもってすれば、彼はどんな相手だろうと簡単に粉砕できると確信していた。その認識は彼だけでなく。異世界大遠征に参加する全ての将兵、それを見送る帝国市民や貴族、皇帝モルトでさえ勝利を信じていた。

 

 門を潜り抜けた後、彼の目の前に現れたのは今まで見たことのない天にも届くような建物の群れであった。見たこともない建物等に驚きつつも、指揮官の騎士の号令の元彼は現地勢力への攻撃を開始した。

 戦いを始めた彼が最初に思ったのは、異世界の住民の軟弱ぶりであった。我々の姿を見てほとんどが虫けらのように逃げ惑っていた。時折、紺色の服を着たものが変わった形の小さな杖で抵抗してきたが、我が帝国軍の前に倒れていった。

 だが、帝国軍の快進撃も突如止まることとなった。悟空達の介入によって史実よりも早く。

 真っ先にその餌食となったのが、帝国軍の誇る竜騎士達であった。それまで銀座の空を縦横無尽に好き勝手に破壊と殺戮を行っていた彼らをどこからともなく現れた光弾や光線が彼らを空中でせん滅されていった。

 地上に降りていた一部の竜騎士以外全滅したころ軍団の各地に謎の現地人十数名が現れた。どの者たちは先ほど竜騎士を葬った光弾を放ったり、目にともらぬスピードで自軍を翻弄し、その恐るべき体術によってまたたくまに数百、数千の味方を駆逐していった。

 その亜神に勝るとも劣らない謎の集団の戦闘力に恐怖を覚えた彼は、門の向こうの帝国へと後退しようと駆け出すが、ジャスティスフラッシュとの掛け声と同時に放たれたトッポのエネルギー波によって彼の肉体は多くの者と同じように蒸発し、門を通してエムロイの元へ永遠に現世から飛び立った。

 

 上記のような光景を目のあたりにしたパイロットはありのままを報告し、すでに攻撃の必要性はないと動画をそえて進言したのであった

 

「こちらattacker1.敵航空戦力の全滅を確認。空域内にて飛行する物体は存在せず、また地上の軍勢もすでに壊滅したもよう」

 

「了解、全機基地へ帰投せよ」

 

 銀座事件において戦闘ヘリ部隊は出撃後、一発の弾丸、ミサイルを放つことなく基地へ帰還することになった。これは、後続で到着した自衛隊の部隊も同様であった。このことについて、事件終結後、事情を知らない者が自衛隊の軟弱ぶりを非難したが、事件に巻き込まれた当事者である一般人やマスコミ、自衛隊が撮影した悟空ら戦士たちの戦闘を見て誰もがその批判をやめることとなった。

 

 なお、一部の過激な護憲派団体が憲法違反な自衛隊を廃止し、有事の際は悟空達に守ってもらえばよいと当事者の意思を無視して願望丸出しのデモ行進するがほとんどの国民に相手にされなかったのであった。

 

 

 

 

 

銀座 某所大通り

 

「流石の私もこれ以上はちとやばいわね」

 

 伊丹耀司同様、非番であった栗林二等陸曹は銀座へと偶然出かけていた。そして、不運にも伊丹と同じように事件に巻き込まれたのであった。

 

 左右の手にはそれぞれ敵から奪った刀剣と警察官の遺体から手に入れた拳銃を持ち多数の帝国兵と対峙していた。帝国兵達は当初栗林に対して下賤な目的で近づいたが、最初に手を出そうとした帝国兵は栗林の早撃ちで眉間を撃ち抜かれ絶命させたれた。そのあと、十人以上の帝国兵に対して、傷を負いながらも栗林は倒すことに成功した。だが、多勢に無勢、鬼神のような強さを持つ栗林も次第に敵に包囲されていった。拳銃の弾丸はすでに底をつきただの鈍器と化し、奪った刀剣も何度も敵の体やかたい鎧を切り付けたことで損耗していった。そして、

 

「くっ…しまった」

 

 死角から複数の斬撃を全て避けきれず、致命傷負った栗林の体は限界を超え道に倒れこむ。

 

「私も……これまでのようね……もう少しこいつらを…倒したかった」

 

 薄れゆく視界と意識のの中で一人の敵兵士が栗林にとどめを振り下ろそうとしていた。

 

 自分の最後を本能的に理解した栗林の体は栗林の意識を閉じさせた。

 

 そして、どれくらいの時間が経ったのか、栗林は暖かい波動を体中に流れたのを感じうっすらと再び意識を取り戻した。目をゆっくりと時間を開けると目の前に男の顔があった。

 

「あなた、だれ」

 

 栗林は自分を抱える男に弱く小さな声で話しかけた。いまだ先ほどのダメージや一度意識を失った影響で栗林の思考は不完全な状態であった。もし、普段の彼女なら男に抱きかかえられたりしたら暴れてすぐに腕の中から飛び出していただろう。

 

「目が覚めたか、オラの気をおめえに少し分けた」

 

「ウイスさん、こいつを治療してやってくれ」

 

「はいはい、お安い御用ですよ」

 

 もう一つの声がするほうに栗林は視線を向けると青白い顔をした男が立っており栗林に対して光る杖をかざししてきた。光を見た栗林は再び深い眠りについた。

 

時は少し遡り、孫悟空が伊丹と別れてから数分が経った後

 

 悟空ら四つの宇宙の戦士たちの活躍により既に帝国兵の六割以上が死亡もしくは戦闘不能に陥っていた。

 

「やはり、悟空さん達には役不足な相手でしたね。これなら、悟空さん一人でも十分だったのでは」

 

「だけど、オラ一人じゃあ時間がかかって犠牲は増えていたぞ」

 

 ほかの仲間たちの活躍を見ながらウイスに話す悟空。

 

「ですが、悟空さんあなたはビルス様と同じ破壊が使えるようになったのでしょう。不完全とはいえ、あれを使えば簡単に解決できましたよ」

 

「オラまだウイスさんの言う通りビルス様のようにうまくあの技は使えねえから関係ねえやつまで破壊してしまうかもしれねえ。それにオラ、ザマスと戦った時みたいな状況じゃなきゃ使うつもりはないぞ」

 

「そうですか」

 

 ウイスは表情や言葉には出さないが悟空に対して以前から何か思うことがある様子だった。神の力の覚醒、ザマス事件、力の大会を経てウイスは次の破壊神候補に悟空やベジータを推薦しようとしていた。今回ギンザ事件に介入を協力したのもその資質があるか見極めるための参考材料にするための目的もあった。

 

「あいつすげえな、他のやつと違ってあの人数相手に善戦してるぞ」

 

 悟空とウイスの視界に栗林と栗林を囲み攻撃する帝国軍の姿が映った、

 

「見たところあの女性の方はこの世界の住民の中でトップクラスの力を持った実力者のようですね。もし、このような一対多数な状況でも万全な武器や装備を持った状態なら、あれだけの軍勢に対しても引けを取らなかったでしょうね」

 

 ウイスは栗林の戦いぶりに悟空と同様に感心しつつ、現状を瞬時に把握した。

 

「あぶねえ」

 

 悟空は栗林がダメージを負い倒れこみ、帝国兵に追い詰められる姿を見た。それを見た悟空は考える前に行動に移した。ウイスの隣から栗林の元に瞬間移動し、栗林に剣振りかざそうとしている帝国兵の剣を右手で掴み止めた。

 

「おやおや、悟空さんらしいですね」

 

 ウイスは天使として悟空の一挙手一投足を観察者として見守るのであった。

 

「いい加減にしろ、そいつはもう戦える体じゃあねえんだぞ」

 

「!#$%&@*」

 

 悟空や伊丹達が話す言語とは異なる言葉で兵士は叫んだ。悟空には目の前の男の言葉の意味は分からなかったが、男の言葉から突如現れた悟空に対して焦りや恐怖を覚えていることを感じ取った。

 

「はっ」

 

 悟空は掴んだ剣ごと兵士を持ち上げると兵士を勢いよく投げ飛ばした。悟空は続いて

 

「邪魔だあああ」

 

 悟空は栗林に影響が出ないよう調整しつつ周囲360度の敵兵士の軍勢に対して衝撃波を放った。二人を取り囲んでいた数十名の兵士、亜人の兵士は悟空の放った衝撃波に吹き飛ばされ周囲の建物にたたきつけられ戦闘不能にされた。

 

「すぐに助けてやるからな、はあっ」

 

 悟空はスーパーサイヤ人ブルーに変身し、栗林に近づき隣でしゃがみこんだ。そして、今にも息絶えそうな栗林の胸に手をつくと、力の大会で師匠の亀仙人に気を分け蘇生させたとき同様に、栗林に対して自身の気を分け与えた。

 

「何とか間に合ったな。仙豆はねえからウイスさんに直してもらうぞ」

 

 悟空はスーパーサイヤ人ブルーの変身を解除し、栗林を抱えたままウイスの元に瞬間移動し、ウイスに栗林の治療を頼んだ。ウイスは栗林の治療を快諾すると、杖を栗林の体の中心にかざし治療魔法を唱える。ウイスの治療を始めると栗林の体が光に包まれ、あっという間に傷やあざが消え、きれいな体へともとに戻った。

 

「ふう、治療は完了しましたよ。しばらくしたこの女性も目が覚めるでしょう」

 

「ありがとう、ウイスさん」

 

「それにしても、なぜこの女性を助けようと」

 

「出来たらオラこいつが目が覚めて、本人がよかったらこいつを鍛えたいと思うんだ」

 

 悟空は自分の腕の中で眠る栗林の顔を覗き込みながらウイスに言った。

 

「なぜそう思われたんですか」

 

「こいつの戦いぶりを見て正直わくわくしたんだよ。力の大会で出会った第六宇宙のサイヤ人のカリフラみてえにこいつも鍛えればすごい武道家になれると思ってな。このまま死なせたらもったいねえ、こいつの真の力はあんなもんじゃねえさ」

 

「なるほど、ところで悟空さん緊急事態とはいえ若い女性の方の胸を触るなんてチチさんにばれたら大変ですよ」

 

 ウイスはクスクス笑いながら悟空に言った。

 

「あっ」

 

 日々の修行や幾多もの強敵との闘いを経て、神の力を手に入れ、破壊神と同等の力を手に入れた宇宙最強のサイヤ人もそれより圧倒的に強い妻という存在を思いだし冷や汗をかくのであった。なお、ウイスには口止め料として悟空は再開したパーティーの自分の分の料理を少し譲ることになる。なお、それを見たチチに不審がられて問い詰められ結局ばれたのはまた別の話である。

 

 




 第二話では伊丹に続いて、悟空と栗林のファーストコンタクトをメインにして書いてみました。

 ゲートに登場する人物の中で、唯一純粋な人間ながら特地の亜神並みの戦闘力を誇る栗林志乃が悟空達と出会い鍛えられたらどのような存在になるか今後に期待です。

 次回第三話以降では、事件終結後の日本の反応や十二宇宙の神々の反応について書く予定です。

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