古城くんは基本けだるげ   作:トマボ

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さらば諭吉ィィィィィ!
したけど駄目でしたねー…

そして作業が進まないので頭空っぽで書いてますがさらに時間がかかるという……。要領悪いだけなんですけどね

失礼しました。




別枠 ぶっちゃけた古城くん1

 

 

その少年は隠し事が苦手だった。

 

それは、生来の気質からなのか、隠し事をしていることで周囲の者達に気遣われるのも、逆に気を遣い続けることも面倒に思えた。

 

彼の周囲の人々は人魔ひしめく世界でも、基本的に気だるげで無関心な少年の目から見ても比較的まともな部類の者達だった。

 

それだけに、やけに勘が鋭く、悟られまいとするのに労力を費やすことは彼にとっては厄介事でしかなかった。

 

この少年と、少年と一番長く時間を過ごした彼の妹も、生きてきた十数年間の間にいくつかの事件に遭遇する事もあり、時には命も危ぶまれることもあった。

 

そんな世界でも、もとい、そんな世界だからこそ、例えそれが綱渡りな均衡状態の上であっても、一度出来たから時が流れた平和の上で育った者からすれば、そんな出来事に多感な時期に出会ってしまえば、恐怖を抱き、トラウマになってしまったとしてもおかしくはない。

 

幼い少年少女が本能的な恐怖に怯える中で、一度深呼吸し、己を客観的に見て、心身ともに安定している状態に即座に戻す。

 

そんなことが出来る子供達だらけなのならば、将来が有望過ぎて逆に心配になるだろう。

 

しかし、その兄妹は飛び抜けて天才でも無ければ、両親のように特殊な環境に慣れてもいなかった。

 

そのため、事件をきっかけに魔族を恐れたし、同じ人間に恐怖した。

 

良い出会いもあればそれ以外もあったのだ。

 

 

だが、少年は妹にそんな暗い顔でいて欲しくなかった。

 

 

自分の怠惰な部分を自覚しつつもそれを押し殺して明るく振る舞った。

 

 

祖母の所でも霊的な術に触れる場で、少しでも妹の顔に影が射すようであれば、怖ろしくてたまらなかった祖母や式達に刃向かったし、シャレにならない悪戯をした。

 

 

ー男の子ならば冒険を。時には引けない戦いもあるのだと。

 

 

当然説教どころではなかったし、父と共に打ちのめされたりもした。

 

 

悟い少年は妹の成長を促す機会を奪ってしまっているのではないかと思ったが、兄が兄なら妹も妹だった。

 

幼いながらに己の兄が怠惰なことには気づいていたし、自分の為に無理をしている事も知っていた。

 

時間のほとんどを使って自分を楽しませようと、哀しませまいとしてくれた兄に感謝した。

 

感謝しながら、弱く、震えていた心を強く持ち直した。

 

言ってはあれだが、閉鎖的な場所に居るということを自覚した時には、足(父)を使って流行を取り入れ、学び、自然と話せるようにもなった。

 

兄の背中にくっついていただけの内気な頃からたった一年ほどで立場を入れ替え、横文字など使っていれば必ず眉間にしわを寄せてきた厳格な祖母や巫女達が、理論武装した上に崩れつつある母国語をさらに進化させてネットスラングも織り交ぜた、言葉の機関銃という名の暴力に、涙目になって退散する光景が度々見られたという。

 

 

そんな光景にあれ?自分の頑張りは?と、首を傾げつつもどうでもよくなった兄と大好きな兄の世話を焼けるようになってご満悦な妹御が出来上がった。

 

 

 

話を戻すが、彼はある秘密を抱えたが、それを隠そうとはあまり思えなかった。

 

何故なら彼は、なるようになると割り切っていたし、気だるさ転じて面倒くさがりな性格のため、そんなところは冷めていた。

 

そして、彼の周囲の人々はその程度のことを伝えた所で動揺するような者達ではなかったし、もし仮にそれで離れていこうがどうなろうが彼にとっては特にどうでもよかった。

 

友人、家族、恩人、知人、etc…指を曲げながら数えていったが、自分に関わった者達は人種や種族や善悪問わず、彼のぶれない在り方に一度呆れて吹っ切れた。

 

 

 

流行に負けじと、エコな時代なのだから、省エネモードを搭載せずなんとする!by古

 

 

お前はまず電源を入れろ。by一同

 

 

 

 

要はそんなところの問題だった。

 

積極的に言うつもりなどないが、どうしてもと聞かれて隠し通すのが面倒な相手ならばバラした所で変わらない。

 

 

例え、それが、世界を揺るがす問題だったとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、獅子王機関の剣巫、姫柊雪菜は任務を受け、監視対象である吸血鬼の第四真祖を探していた。

 

 

監視対象の名は暁古城

 

 

その者は、指定魔族特区絃神島にて、人に紛れて彩海学園という学び舎に通っているらしい。

 

 

対象の写真を見せられた時は、余りにも存在感が無く、隣に移る逆立った髪の少年の方かと誤解をした程である。

 

好みかどうかも聞かれたが、そんなものは些細なことだろう。

 

任務に私情を挟んではいられない。

 

相手がどんな容姿であれ、世界最強の吸血鬼であることに変わりはなく、場合によっては神秘を切り裂くその槍をもって対象の始末をつけなくてはならないのだから。

 

 

そして、絃神島まで足を運び、気を引き締めて対象の住む場所へと赴いた。

 

 

対象は基本的に温和だとも聞いているが、隠している凶暴な本性があるのかもしれない。それを探り、見極めることもまた彼女の任務の遂行のため、必要なことである。

 

 

人魔入り乱れる己の身を置く世界では、見た目など必ずしもあてになるものではない。

 

 

だからこそ、彼女は目の前の人物を疑わざるを得ないのだ。

 

 

 

「凪沙……重い……。もう少しゆっくり……」

 

 

「もー、古城くん……。私の方が倍は買い物袋持ってるんだよ?どうして妹が平気なのに兄が子鹿みたいになってるの。」

 

 

「人には…誰しも…得手不得手がある…ん…だ。」

 

 

「軽い方の荷物持ちも出来ないのはまず高校生としてどうかと思うんだけど。」

 

 

(私の見た限りだと、食器用スポンジとポケットティッシュ、それに雑巾でしょうか?それくらいしか入っていないように見えますが…)

 

 

 

 

 

疑わざるを得なかった。

 

 

 

「あう…ボールが…」

 

「すみませーん。そこのボール投げてもらませんかー?」

 

 

「古城くん。代わりに投げてあげよっか?」

 

 

「…今日は体調が良いから大丈夫だ。問題ない。」

 

 

「それはフラグなんだけどなぁ…」

 

 

「ていっ!」 \ブンッ!ボトッ…コロコロコロ…/

 

「……古城くん。せめて3メートルくらいは飛ばそうよ。」

 

「…えっと…その、ありがとございました。頑張ってくださいね。」

 

「お兄ちゃん…!負けないでね!」

 

(あんな小さい子に気を遣われて……)

 

 

 

 

疑わざるを……

 

 

 

 

 

\プシュー/

 

「その、お兄ちゃん?あたしはすぐ次の駅だから、ね?若いうちから無理ばっかりはいけないよ。この年寄りのお願いだよ。座っておくれ。お願いだから。」

 

「大…丈夫…です…」

 

「いやいや、婆さん。こういうんは儂の役目じゃ。ほら、坊主、ここ空いてっから座れ。な?!ほら。」

 

「おい、あんた顔色悪いぞ!一回座った方がええ!」

 

(ご年配の方含めて乗客が一斉にが立ち上がって…!?)

 

 

 

疑わ……

 

 

 

(疑えないですよこれ!!シケ様や三聖様に直接受けた任務ですけど、本当にこの人真祖なんですか!?)

 

 

 

彼女は、特殊な事情を抜きにしても雪花狼と呼ばれる攻魔槍、獅子王機関秘伝の武具を預けられる程には実力を認められた人物である。

 

閉鎖的な場所で育った故に世俗には疎いが、心技体揃っての実力だ。

 

黒い面から目を背けてきたりもせず、

己よりも上を知り、

世の中が善悪だけで定まっていると信じている訳ではない。

 

 

彼女と同年代の者達と比べても冷静で、その上冷徹に割り切るための訓練も受けている。

 

目の前の何かを見過ごすことの出来ない優しさと、彼女の師をもって言わせる思考の硬さを差し引いても、任務として己の役割に徹することのできる人物だ。

 

監視に徹し、接触しないのならきっと全力でそれを全うするであろう。

 

だが、それでも、

 

思考の切り替えを無理矢理解かれるほど疑いようもなく、

 

演技などとは到底思えない様を見せられて、

 

一個人として心配になってしまう青年を前に、

 

真面目でかつ正義感の強い少女がそれを見過ごせるはずもなく。

 

 

 

「……!……!!」

 

 

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

 

 

なんでもないような段差で躓いてのたうちまわっている監視対象に駆け寄って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________

 

 

 

 

 

ーー知り合ってから数週間後

 

 

「え!?なら、凪沙ちゃんやクラスの方も先輩が第四真祖だってこと知ってるんですか!?」

 

 

「…うーん、まぁそうなるなぁ。」

 

 

「えと、その、失礼なことを聞きますが……」

 

 

「?ああ、俺らが信じなかったりとか引かなかったのかーってことだろ?」

 

 

「!ええ…矢瀬先輩の仰る通りです。その、皆さん交流もあって魔族に寛容かもしれませんが、やはり、先輩は特殊な立場ですから。一般的には第四真祖という存在自体、あまり知られ渡ってはいないようではありますが…」

 

 

「ま、そうだな。それに関しちゃ俺も何にも言えん。ただ、古城が魔族として登録されてはいないのは確かだ。」

 

 

「そう…ですか。」

 

 

 

「……zzz」すぴー(-_-)zzz

 

 

「本人気にしてねーのが一番アレだよな。」

 

「ふふっ。そうですね…けれど。」

 

 

「おいおい、そんな顔すんなよ。ああ〜、まぁ、アレだ。姫柊ちゃんも古城の知り合いの奴らを知れば納得するだろうぜ。」

 

 

「それは…矢瀬先輩も、ですか?」

 

 

「おっと、痛いとこ突くな。まあ、このアホにはこっぱずかしいから言えねーけど、そうかもな。こいつと関わっちまったら悪いのはそいつの運がねえとしか言えねーんだよ。」

 

 

「…はい。まだなんとなくですが、分かります。きっと、先輩のご友人は奇特で良い方々なんだと思います。私もこれから知っていきたいと、そう思えましたから!」

 

 

「くははは!なかなか言うな姫柊ちゃんも。」

 

「あ、すみません!失礼なことを!」

 

「いや、その通りだからいんだよ。損得とか狙い持って近づいてきたやつもそうじゃないやつも、な。」

 

 

「…うう……俺が…悪かっ…」_:(´ཀ`」 ∠)。o○

 

 

「なんの夢を見てらっしゃるんでしょうか…?」

 

 

「!そうだな。そういえば、凪沙ちゃんも実は一時期魔族恐怖症だったりしたらしいぜ?」

 

 

「そうなんですか!?とてもそうは見えませんでしたけど。」

 

 

「トラブルメーカーな兄妹だからな。いろいろあんだよ。それに、普段アレだけどなんだかんだで、シスコンお兄ちゃんだからな。いろいろケアに走ったらしいぜ?そんで、同じ時期にこうなった…んだが、そういう時普通はシリアスになるだろ?」

 

 

「ええ、先輩の教えてくださった、ハートフルなドラマ?とかではそんなケースがあるそうです。」

 

 

「何教えてんだか……。それでだが、トラウマ増長させまいと距離置こうとしたらしんだが、くくっ…w。そのせいで、ブチ切れて完全に克服した凪沙ちゃんに追っかけ回されてな。偶々居た那月ちゃんに泣きついたら、ロリコンとして通報されてやんのw」

 

 

「それは、その…なんというか。」

 

 

「……うう……ピンクの…レース…」

 

「な!?先輩!!」

 

 

「くはは。なんだよ、またラッキースケベか?」

 

 

「忘れてくださ〜い!」

 

 

 

 





時系列的におかしいのですが、ちょいと、いろいろ悪戯という形の徹底抗戦してる時にいろいろやらかしたせいで、焔光の宴をフライングスタートさせてしまった古城くん。

そして、そんな古城くんの周りに集まるのは世間からしたらおかしな、気の良い人ばかりですということで。

この古城さんならジト目眷獣'sも全員どうにかしてくれんだろみたいな感じがしなくもない。


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