古城くんは基本けだるげ   作:トマボ

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すぐに調子に乗るアホなのです。
ほんとすんません。

気を取り直して、雨が続いておりますね。そして風も強いです。
体調管理には気をつけてください
私は雨も結構好きです。


古「新品の傘買ってきた。」
凪「飛ばされないように気をつけてね〜。」
雪「先輩?どうして傘を構えているんですか!?」
古「歩くより飛んだ方が早そうだし…」
雪「いや、流石に台風でも傘では飛べませんよ!?ちょっ、先輩!?浮いてる!?浮いてますよ?!」
古「あ、やばい。助け…あっ」
雪「ああっ!?」



雨の日

 

絃神島は季節外れの台風接近により、連日雨続きとなっていた。この島が浮かんでる場所って台風こないんじゃね?というツッコミは控えて貰いたい。

 

どこの誰とは言わないが、猛暑の中の登校ににウンザリとした学生が一人神社ではなく何故か町外れの教会(跡地)に御百度参りをするという珍行動を繰り返していた結果であろう。

 

本人もまさか叶うとはつゆにも思っていなかった。

 

神秘の潜むこの島にて、どこぞの錬金術師が毎日積み上がっていく小銭の山を見て、哀れに思ったりなどしたに過ぎないのだ。

 

少しばかり張りきり過ぎたようだが、生憎被害は乾燥機の無い家庭ぐらいである。

 

 

 

「台風が来たから休みになるとでも思ったのか?」

 

 

「……通うのが余計大変になっただけじゃないか…!」

 

 

昨晩の天気予報を見て、久々に午前は寝ていられると、wkwkしながら眠りについた古城だったが、彩海学園の判断は無情だった。

 

ある意味自業自得な現実に項垂れる古城を見て呆れ気味の矢瀬だが、友人の遅刻を見越して早めに迎えに来た辺り既に慣れているようだ。

 

 

「雨の日ってさ、傘を持っている分手が塞がるし、すれ違うときぶつからないように気を遣うし、風吹いたら引っ張られるから凄く疲れる…。」

 

 

「なら、雨合羽を着たらどうだ?」

 

 

「……凪沙が許してくれなかった。」

 

 

「思わぬ伏兵がいたな。理由は?」

 

 

「見た目的な問題らしい。」

 

 

言われて想像してみるとすぐに納得した矢瀬。

小さい古城が合羽を着ているところから身長だけ伸ばしていく。すると、とても残念な高校生が出来上がった。

 

 

「合羽の種類にもよるんじゃねーかそれ。」

 

 

「…あと、重り代わりになるから少しでも鍛えろって。」

 

 

「あー、傘持ってて腕筋肉痛になるやつもなかなかいねーだろうな。」

 

 

既に特注の軽量で丈夫な傘を持っている筈なのに肩が震えてきた古城を見つつ登校後保健室で湿布を貰うことを頭に入れた。

 

震えているのが寒さに弱いからなのでは、ということも考慮して既に自分の上着を羽織らせてあげている辺りにオカン力を感じる。

 

 

「それにさ、そんなに苦労して持ち歩いてても、コンビニとか学校とか駅とかで普通に盗まれちゃったりした時のあの徒労感は泣きたくなる。」

 

 

「使い捨てみたいな間違ったイメージついちまってるからなぁ、傘。あと、似たような柄ばっかで間違えやすいってのが大きいんじゃねーか?」

 

 

「……前に自分の名前を大文字でプリントした傘と幼児向けの柄物の傘も持っていかれたから奇抜な傘にするのは諦めた。」

 

 

「割とがんばって対策してたのか。そういう感じ嫌いじゃないぜ。」

 

 

「ピンクのペンキ塗りたくった時とかからはどこまでいけるか楽しくなってたのは否定しない。」

 

 

「それでも持ってかれたのな……」

 

 

頑張る方向が偶にトチ狂っているよなコイツと感想を抱く世話役と、

おかしい自覚はあるのでそれを理解している辺りこの友人も己のせいで毒されてきたなと少し反省する古城だった。

 

 

 

「それとさ、基本出掛けたくないと思ってる俺でもやっぱり台風はテンション上がる。」

 

 

「そうなのか?てっきり、ウンザリするかと思ったんだが。」

 

 

「冷んやりしすぎて逆に寝づらいっていうのも確かにある。けど、普段から俺たちを押し戻そうと頑張る向かい風に少しイラっとすることはあるけど、ここまで強いともう逆方向に押されてあげても良いかなって思う。」

 

 

「だから今日反対に歩こうとしてたのか…」

 

 

矢瀬は、相変わらずだなと古城の眠そうな顔を見て思っていたが、

 

 

「矢瀬は?雨、好きか?」

 

 

唐突に真剣な表情になって聞いてきた古城に、内心驚く。なかなか見れないレアな表情に、思わず身構える矢瀬。

 

(古城が目をきっちり開いてまで聞いてきたってことは、こいつにとっては大事な問題なのかもしねーな。)

 

もしかすると、重要な場面なのかもしれないと思い、こちらも誠意を持って応えんとしていた。

 

 

「俺は雨、嫌いじゃないぜ。」

 

 

すると、そっか…と言って元の眠そうな顔に戻った古城。何かしらのリアクションを想像していた矢瀬は肩透かしをくらった気分になった。

 

(恐らく間違えた選択肢ではなかったようだと信じたいが…。)

 

 

やはり、友人であり、味方でありたいと思う以前に自分の監視役という立場が何かを訴える。

 

 

 

 

…もし、その悩みが重要なものだったなら。

 

…もし、血の記憶にまつわるエピソードだったのならば。

 

 

…取り返しのつかないことに

 

 

 

 

(いや、ねーよ。)

 

 

 

と、余計な勘繰りを頭を振って振り払った矢瀬。

 

古城に限ってはそんなことは起こりえないのだ。

 

 

楽観視?否、それは経験則である。

 

 

己含めて、もしもこのぬぼ〜っとした顔に悩みがあるのなら、きっと見かけた者がそばによっていくだろう。

 

 

その日は優しく、

次の日は厳しく、

 

日を跨ぐのなら、問い詰めよう。

 

 

そんなクラスメイトの認識は、全く間違ってはいない。

 

 

寝れば治る。

 

 

 

それが彼である。

 

どこか放っておけないこの友人は、もしかせずとも出会いには恵まれているのかもしれない。

 

その巡り合わせは、仕組まれたものなのか、それとも彼自身の不思議な魅力によるものなのか。

 

それは真祖であろう分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面倒だから直接聞いてみた。

 

 

 

「雨粒目に入ってさ。」

 

 

「……そうかい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




適当なオチですんません。

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