無理矢理なのはいつものごとく…と言い訳は置いといて。
時代の流れ的なものはめっちゃ適当なんで気にしないでください。
そしてまた特にオチが無いっす。
最初はゴールデン(ウィークにだらける)・暁(古城くん)を書き始めたんですが、それはまた別で。
田中さん100パーセントも偶には良いかな…なんて。
第1話「殺してみろよぉぉぉ!!!?俺は不死身の暁だあああああ!!!」
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その島は、人魔が入り乱れる修羅の
永き時を生きる者、もしくは真祖を知る者達は、仮初めの平和だと口を揃えて今の世を詰る。
だが、確かにそれは否定しきれない。
例えば、歴史を学んでいる学生が、ミサイルを傍らに置きながら3つの巨大な国が条約を結んでいるのを、テレビか何かで見たところで、平和とは?と首を傾げるだろう。
しかし、力あるものがソレを目指して頑張って落ち着いた現状だろうが、戦争や天変地異で何もかも真っさらになってから、永い時を経てまた繁栄した場所だろうが、ぶっちゃけた話、今現在が落ち着いているならそれでも良かろうと思うのが、そこに生きる者達だ。
実情を知って頑張る者も何も知らぬ者もまた、そこで生きている同じクニの者に、変わりはないのだから。
さて、一昔前とは言ったものの実際に魔族特区なる島が出来る前から続いていた諍いに、一区切りがついたのは割と最近の出来事だったりする。
真祖達による争いとその余波により荒れていた世界。
そこに終止符を打ったのは、第四真祖なるものの登場であった。
その実態は霧に包まれているものの、出会ってしまった者達からすれば、とても噂話などと笑い飛ばすことはできないだろう。
それは、此処が絃神島と名付けられたほんの少しだけ前のお話。
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いくつものギガフロートと呼ばれる区画により出来ている人工島。
太平洋のど真ん中に近く、そこへ大量の資材を運ぶために拠点として占拠された列島があったという。
先住民はそこで静かに暮らして居た。自然との調和を愛し、無駄諍いもない穏やかな暮らしであった。
神秘とも呼ぶべきか、赤道に近い位置にありながらもその島は、常夏の島でありながら、冬には何故か雪が積もった。
島の外で太古から行われていた、寿命の無い人外達による戦争を隠れるようにやり過ごし、人は狩に生き、魔族とも棲み分けにより争いもなかった。
そんな、穏やかで、美しい、島だったのだ。
多少ヤンチャな、その島が好きな、後に兵隊として駆り出され、命を落としていった、心優しい青年が生まれてくる。
そんな素敵な島だった。
……………………………………
絃神島が、本国から多少離れていても争いに巻き込まれることは仕方ない。そもそもその島の成り立ちには、知られていない厄災の歴史があったし、やはりというか、ただただ、時代がそうであったから。
理由にならかい理由とはそんなものだ。
優秀な兵を遊ばせておくわけにも行かない各国のお偉いは、種族問わずこの島の者達を戦争に駆り出さんとした。
しかし、島に来たものの多くは外に縛られないために新しく出来た人工島に移り込んだきた者達であり、当然反発は起きる。
占拠された周辺の島々や戦争に嫌気がさして移り住んできた者、仕組みも出来上がっていく途中。そんな微妙なタイミングのこと。
味方同士敵同士でややこしい争いが起き、当初のまだ何も無い平穏な島は、その住人たちからさえも忌み嫌われる寸前まで行った。
度重なる争いに、その島は呪われているのだと、そこに住む者達は手遅れなのだと、不安を隠すためだけに、不満の矛先を島そのものへと向けるぐらいには、住人たちはお互い傷ついて、疲弊していた。
呪われた島の代名詞たる存在が草場の影で、否、電子の海の影で泣いていたりもしたという。
しかし、そんな争いを、そんな場所で起こしておく訳にもいかない裏事情を知る者達が頭を抱え、手をこまねいている間に、唐突に奴は目覚めた。
曰く、「よくも俺の睡眠を邪魔しやがったな◯◯供がァ!」
その者は、単騎で争う者全てを地に伏せ、後からやってきた世界中の怪物達でさえ打倒する事敵わず、この世のものならざる獣達を差し向ければたちまち呑み込まれて配下にされてしまう。
そんなやつには構ってはいられない!と、決断をする頃には、もう遅く、差しむけた者達は帰ってはこなかった。
結局、無視することでほかの勢力に自軍の疲弊を見抜かれるぐらいなら、たった1匹沈める方が楽なはず。
そう考えてしまうのは、仕方のないことだった。
打つ手の無かった怪物達、人間達は、このままではマズイと理解し、真祖の如き化け物には、同じ化け物の真祖をぶつけようと考える。
取り入ろうとする事自体が不遜な事にも気付かなかった愚物は、即座に自ら散っていく羽目になったが、ソレを作るのに関与していたであろう冷酷無比な真祖達は、珍しく気まずそうな表情で反逆者達を安らかに逝かせてあげたとかそうでないとか。
間も無く和平は結ばれたが、今日もまた一人、人を見かけで判断してしまった犯罪に手を染める者が、和平の結ばれた原因たる妙な奴を攫おうとしてしまった。
争いの最中、ソレを見た者は怯えた様に語り継ぐ。
'''豆鉄砲では歯が立たないが、目覚まし時計に怯え、
どんなに傷を負っても止まらない鬼神の如き暴れ様だが、羽毛に包まれ眠る姿は赤子と見間違う程に。
そんな見た目に惑わされるな。奴はホンモノのバケモンだ。
どんなに腕に自慢があっても関わるな。眠りを邪魔しなければ、奴は自ら目覚めたりはしないのだから。'''
路地裏の日陰に設置されたベンチに寝転がっていた攫いやすそうな少年を脇に抱えて古びた建物まで運んできた男は、ナイフを片手に笑い声をあげる。
「ひゃっひゃっひゃっひゃ!あ〜んなところで寝てたらアブナィだろぉ〜う?俺みたいな奴にこ〜んなことされちまウゼェ?お坊っちゃんヨォ!?」
「………zzz」
「こ〜えも出ないカァ?怯えなくたってイ〜んだぜ?優しいだロ〜?痛くしてやるか〜ラヨォ!」
口の端から泡を吹きながら今にもナイフを振り落とさんと目を血走らせた男はヤクを決めており、少年の様子にも気付かない。
かつては、争いの中でのし上がっていき、味方を支えた英雄だったが、もはや見る影はない。
その為であろうか、軍の中で教え込まれた、禁句ですらも大声で叫んでしまう。
「さぁ!ぶっ
「…………あぁ?…テメェも邪魔すんのかよ。俺の眠りを。」
「ひゃっひゃっ!!ぶつぶつ言ってンナぁ!?チビッちまったかなぁ〜ア?」
ナイフを目に移しながら、明らかに人相の変わった少年は、口角を上げて狂ったように嗤う。
真祖達が犯した失敗、それは血の記憶なるモノに垂らした
第四真祖が
「そろそろヨォ〜〜?死ィ〜〜ネ!!」
「……んだと?」
男が冷静であったのなら、攫ってきた少年のなんとも奇妙な様子に気づくことができたのかもしれない。
まるで、暴れたがっているかのように、少年の背後に踊る影は、月明かりの遮られたこの場所でさえ、黒くハッキリと写っていたのだから。
しかしながら、正気を手放した男にとって、ソレと目を合わせないことが、唯一の救いになったのかもしれない。
「殺してみろよぉぉ!!!?俺は不死身の暁だぁア!!!!」
「…え?」
男は、振り抜いたナイフをいつものごとく引き抜いて、血を浴びようと考えていた。
しかし、唯の裏拳によって半身が消し飛ばされ、少年の気迫に色を付けるように一拍遅れて迫った雷光や衝撃波。
その男がナイフを突き刺した感触を実感することは無く、その後も彼が何かをその手に感じることは二度と無かったという。
かつて、平和な島から無理矢理に駆り出された一人の兵隊。
歩兵一人の命など軽い戦場において、生き残る為にただ全力で抗うだけ。
不死身と言われたそんな兵士は、真祖を殺す為の軍に連れられ、他の人間なら動けない傷を負いながらも、眷獣と真祖本人達へと最後まで襲い掛かった。
気まぐれで逃がされては、何度も何度も挑まされ、島から遠く離れた場所では、人質が既に雇い主の手にはいない事も分からず。
苦しくも青年の牙は後一歩、本物の不死身の存在には届かなかったが、そのヒトらしからぬ姿を見た真祖は、青年を気に入り、その存在を喰らった。
それが、真祖達に作られた、第四真祖の血の記憶にどう混ざったのかは分からない。
だが、実際の不死身の怪物が、不死身と呼ばれた兵士の生き残る為の強さを持ったらどうなるのか。
不死身同士の泥試合を経験した化け物達でさえ、そんな奴に関わりたくは無いと言うだろう
目を覚ましてから家に帰り、埃だらけなことを注意された少年の名前は、暁古城。
子供の頃からよく眠り、静かな場所が好きだった。
記憶も名前も既に無く、その存在すら不確かで、真祖をもって、不死身の化け物と呼ばれたナニカを宿す、極々普通の第四真祖である。
本人達でさえ、きっとそんな自覚など、無いのだ。
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第2話 「先輩、眠ったら駄目です。」
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いつもフラッとどこかへ行ってしまう古城を心配して、第四真祖の監視役として遣わされた獅子王機関の剣巫たる姫柊雪菜、通称ユッキーは、任務を抜きにしてもなるべく古城の側に居ようとしていた。
そこに青春の1ページのような甘酸っぱい雰囲気はまぁ、無いと言って良いだろう。
時に妹の凪沙の様に、親しみを込めて、
時に心優しき猫好きの少女の様に、真心を込めて、
彼女自身も嫌いでは無い、心に生まれた謎の介護心と言うべきか母性と表現すべきか、自然と世話係のようになっていった。
その日も、連休に差し当たってテンションが上がったせいなのか、充分に睡眠が取れたことで活発化したせいなのかは不明だが、
『なんか行かなきゃならない気がするから、自然に囲まれた所に昼寝旅行してくる。』
とだけ、書き残して突如家を飛び出してきたのだ。そんな古城の気配を追って急いで駆け付ける影が2つ。
毎度お馴染みの苦労人コンビと化しているユッキーと矢瀬である。
普段の運動能力は皆無のくせに、そんな時だけ脚は第四真祖に恥じない動きをし、デフォルトで持っているステルス能力によって気配を消し、追跡を掻い潜りながら島の端、つまりは海に面した場所までやってきた。
そして数分遅れてそこへ、なんとか追いついてきた矢瀬とユッキーが到着。
海に飛び込もうとする古城となんとか冷静に会話をし、突然すぎることで島の外へ行く手続きと飛行機などの手段も無いため、それでも止まらない様子の古城の為に、矢瀬は泣く泣くコネを使って手配した小型のクルーザーを駆り出したのだった。
そんな経緯で、古城は現在とある島へと来ていた。
来たことは無いはずなのだが、どこか懐かしいような気がする、自然豊かなその島で、目的を果たすために。
「頼むぞ?マジで動くなよ?ほんの少しだけ連絡してくるだけだ。なんなら、ここで今寝ていても構わねえから、ほんの少しだけ大人しくしててくれよ?姫柊ちゃんもいるから問題ねえと思うが…。フリじゃねえからな!?」
そんなフラグを建てて、携帯の電波では届かないために、船に付いている衛星を利用した無線機で、現状を伝えに行った矢瀬の期待を見事に裏切るように、砂浜で昼寝を始めた古城は、木々が生い茂る森の中から突然現れた白銀の狼に連れさらわれて行った。
敵意も無く、まるでじゃれつくように古城の首根っこを咥えていった狼に、流石のユッキーも対応が遅れ、古城に式神を付ける事が精一杯だった。
彼女が霊的素質を探る能力に長けているが故に、未だに豊かな自然に溶け込むように衰えない神秘の島で育った生物達は、その気配が霞の様に見分けられない。
襲いかかられたのならば、自然体で迎撃できたであろうが、相手は嬉しそうに戯れているだけであり、古城もグデっとしたままなすがままに連れさらわれていったのだから、仕方ないと言えるだろう。
「矢瀬先p…!」
助力を求めようと後ろを振り向くと、
「うわっ!?なんだテメーら!!?おい!多すぎだろ!?」
何故か船の上の矢瀬へと飛びかかってじゃれつくイルカやら気候的にあり得ない筈のアザラシやらが纏わり付いている様子を見て、姫柊雪菜は、単身、古城を追い掛けて行った。
「待っててください!先輩!」
その島は、かつてのように、寒暖の差が激しく、そして運の無いことに、丁度今は季節の変わり目であった。
陽気な日差し、海の音と潮の香り、すぐ後ろには適度に広がる海側の森の気配。
人の生活圏内での喧騒とは違い、耳に優しい程度の生命の音。
目的でもあった静かな場所での優雅に昼寝を楽しんでいた古城は、突然変わり始めた天候と風に少しだけ嫌な予感を感じていた。
何故か友好的な狼に連れられ、運ばれてながら移り変わる景色に「おお〜〜…絶景じゃん…」などと、口にしていたが、どんどん進むに連れて、気温が下がり始める。
視界の端に白い粒が見え始めたと思うと、狼の移動速度が上がる。
そして、あっという間に本来その毛皮の色にふさわしい白銀の世界へと景色は見事に変わっていた。
薄着にはなかなか辛い気温だが、開けた場所に来ると降ろされ、周りを嬉しそうにぐるぐると廻る狼の様子に和む。
だが、寒いものは寒く、丁度座っている切り株の上には雪は無いが、床一面、目に広がる景色は真っ白である。
「……あぁ。寒い……ねむぃ…」
そして、眠気を感じてきたところでふと、思い至る。今寝たら死ぬのでは?と。
いや、自分の正体を思い出してみろと言いたいが、残念ながら必死に向かってきているユッキーがそこへ到着するまでまだ時間がかかる。
故に、古城は生存本能に従って必死に身体を震わせてながら、やはり普通に眠気に負けて、意識をカクンと落とした。
「……さみぃ…死ぬ。ぁぁ…あああ……うォああああああ!!!」
死にたくない。ただその一心に従い、彼は叫ぶ。呼応するように、狼が遠吠えを上げる姿はとてもも映えた。
「…し、死んでたまるか!!俺は不死身の暁だぁああぁああぁああ!!!!」
節々が固まり始めた身体を必死に動かし、古城は、ただひたすらに生き残るべく行動を始めた。
それから暫くして、身につけていたサバイバル知識を総動員しながら古城の元へと辿り着いた姫柊雪菜は、その光景を見て、ただただ後悔した。
一時でも、古城から離れてしまった事実に関して…?
否、手元に撮影機材を持ってきていなかったことにである。
少しだけ斜面となっている場所にある切り株の下に空いた、少しだけ大きめの穴に身を寄せ合うようにして、動物達が暖かそうに眠っていた。
古城の背もたれになるように、本来の凶暴さを全く感じさせない大きなヒグマが丸まり、その上等な毛皮のソファに身を預ける古城。
膝の上には狼が顎を乗せ、古城の腕の中にはすっぽりと収まるように子熊が鼻提灯を膨らませ、後からあつまってきたのか、大きな暖炉を囲むようにリスやネズミ、何処から顔を出したのか、半分埋まったままの土竜や飛び出た木の根に捕まるように目を閉じている梟など。
そこだけ童話から切り取られたような景色に、友人の影響で猫が好きになった少女は、ただ立ち尽くし、起こさないようにゆっくりとその暖かそうな毛玉の近くへと寄り添っていった。
「……えへへ。暖かいです。」
その後、雪が止むまでの間そこには穏やかな寝息だけが聞こえ、その柔らかな音の様子から2名の無事を船を動かしながら確認していた矢瀬は、じゃれつく海南動物達に癒されながら、偶の静寂を味わったという。
アシリパさん「おい、暁!寝るな!死ぬぞ!?………いや待て!そこはヒグマの巣だ!!!……え、冬眠!?」
古「…zzz」
アシリパさん「アイヌの教えが通じなさすぎてツライ…」