古城くんは基本けだるげ   作:トマボ

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あれ?サブタイと内容逆じゃね?

……まあ、いっか。

今回も途中投げたので後で直す可能性大でする。


別枠 古城くんがやってきたら2

「おーい、起きてくれ〜〜。」

 

 

試作品の1日だけ未来コレールという銃に撃たれて時間を跳ばされた筈の暁古城は、目覚めてから直ぐに朧げな記憶を頼りに現状を把握しようとしていた。

 

見覚えのある部屋。まさに自分の部屋である。今朝も同じ光景を見ていたのだから間違えようもない。

若干家具、というか寝具が増えている程度の違いはあるが、見渡す限りは間取りも同じであった。

 

特にこれといった特徴も無い部屋だが、机の上に飾ってある写真とトロフィーだけは間違えようも無い。苦い思い出と共に、かつての記憶が頭に浮かんでくる。

 

そして、確かにその中に写っているのは紛れも無い自分の姿だ。

 

ならば、確かにここは暁古城の部屋なのだろう。

 

 

 

うむ、では次だ。霞がかった記憶は都合よく掠れ、慌てて転げ回るであろう自分を冷静にさせていた。

 

 

なぜか。

 

少しだけ…否、かなりイラっとするドヤ顔。それは古城が思い出せる一番近い記憶。

 

 

しゃくれ顔に口元の笑み、サングラスをかけた吸血鬼の少女が、「ヘイ、メーンww」とでも言いたげに中指を立て、もう片方の手でこちらに謎の機械の銃を向けていたからである。

 

 

完全にイメージでしか無いのだが、やけに鮮烈にその光景が刻まれ、古城は静かにその怒りに蓋をした。

 

( 帰ったら覚えてろよ?)

 

古城、激おこである。記憶改竄の術式バグったんじゃねーか。仕事ちゃんとしろよドク…。

 

酔っ払いに何を言っても無駄なのはいうまでも無いが。

 

 

 

 

 

 

原因が分かったところで、古城は考える。

 

また、変な実験に巻き込まれたということは、そのうち迎えがくるか、効果が切れたら戻れるのだろう。

 

両手の指より多い回数やられていれば、流石に慣れる。この少年は割りかし苦労性であった。

 

 

 

 

そうと決まればついでに現状把握を兼ねて行動あるのみなのだが、先程から視界から消していた物体の重みを感じる。

 

ベッドの上。腹に抱きつく自分よりも一回りほど小さい自分そっくりの物体。服は着ている。乱れはないので事案では無い。

 

同じ寝巻きを着ている。俗にいうペアルックだが、特にそういった関係ではない。故に事案では無い。大事なことなので(ry

 

 

ふむ、ならば。

 

きっと、この部屋の主人であろう、()()がこの時間だか、次元だか、の暁古城なのであろう。

 

タイムパラなんちゃら、バタフライなんちゃら、そんなものは知らない。他所でやれ。

 

 

 

なぜここまで冷静にそんな発想に至るのかは、前述の通りに既に慣れたからだ。

 

まあなんにせよ、二度寝をする気分でも無い。腹に抱きつかれていては動けないし、一先ずは起こそうとして、冒頭にいたる。

 

そして何よりも、恐らくここにもいるであろう妹の存在を危惧すれば、早く離れなければなるまい。

 

跳ばされてきたのが自分とは言え、ある意味完全に被害者な古城は、この家の自分の対面にまで気を遣っていた。

流石は古城さん。そういう気遣いのせいで更にこの先もモテるのだ。

 

 

 

 

 

「起きてくれよ、多分俺ー?」

 

古城が肩を揺すると、「うう〜」やら、「あ〜」と、唸る古城。面倒なので、眠っている方を、コジョーとしよう。決して調味料では無い。

 

 

古城が何度か呼びかけるがなかなかに愚図り、起きないコジョー。コジョーが自分と同じ体質であれば、起きるのが辛いのは分かる。痛いほどに分かる。

 

 

だが、今は時計の針を見るにいつ妹が起こしに来てもおかしくは無い。

古城的には朝はキツイので、妹に頼み、昼や夜は大概自分で作るので、コジョーも同じであろうと推測できる。

 

とはいえ、いくらなんでも愚図りすぎではなかろうか。

 

 

 

「おーい、いい加減に起きてくれ。でないとあらぬ誤解を生んじまう。」

 

 

かなり強めにゆすりながら、ガッチリとホールドされた腕を無理やり引き剥がそうとする。

 

今一番聞きたくない声、それは、妹からの、蔑みの視線を合わせた上で、

 

「お兄ちゃん、最ッ低」である。

 

もしくは、「不潔。古城君ってそういう趣味だったんだ、へぇ。」だ。

 

 

聞きたくない。絶対に聞きたくない。妹はノーマルなのだ。凪沙に軽蔑されたら、シスコンお兄ちゃんの古城のメンタルは死んでしまう。

 

徐々に焦り始める古城。急がねば。なんとしても。

 

 

だが、現実は無情だった。

 

 

「あれ?古城…くん?」

 

足音はしなかったのに、部屋の鍵は開いていて、今まで忘れていたかのように、ようやくキィっと鳴いたドアの音。

 

ああ…、眠るもう一人の自分を気遣うばかりに、古城とコジョー、両方の尊厳を殺してしまった。

 

続く言葉を聞きたくなくて、耳を塞ごうと手を上にもちあげたところで、

 

 

「えー、古城君また増えたの?まいったなぁ。1人分しか作ってないんだけど。私そろそろ朝練だから作る時間がぁ〜…あーもう!古城君、増えるなら増えるって言っといてよ!!」

 

 

「……うーん。ごめん。」

 

 

「はぁ、まあいいや。今日はどっちが行くのか分かんないけど、あんまり時間ないからちゃんと起きてね?」

 

 

「…あい。」

 

 

「うん。よろしい。じゃ、お先に。いってきまーす。」

 

 

「うい……。あー、起きるか。」

 

 

 

という、反応に困る会話を繰り広げる、妹と、妹が来た瞬間に条件反射で身体が起き上がったコジョー。

 

一部始終を聞いていた古城は、増えるってなんだ?とか、寝起きなのに何故か若干高いもう一人の自分の声とか、どっちが行くとか、色々とツッコミが追いつかず。

 

 

ただ呆然とし、

 

 

「…………は?」

 

 

という、間の抜けた声を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コジョーは、目の前で元気に慌てふためきながらも自分よりも幾分か理知的な暁古城を前にしながら、トーストを齧っていた。

 

妹の作ってくれたバランスの良い朝食を古城に自然に渡してスルーさせつつ、監視の目が無いのをいい事に練乳をたっぷりとかけたトーストである。

 

甘いものは得意では無いのだろうか。何かを言いたげに見ていたが、それを飲み込んだようにして質問を投げて来た。

 

「えーと、多分俺、だよな?」

 

「…そだなぁ。とりあえず、食わないのか?」

 

「いや、それどころじゃ。」

 

「凪沙の手作りの朝飯、残すのか?」

 

「…くっ。頂きます!」

 

「ふっ……甘いぜ。」

 

 

という感じに、元はお前のだろ、というツッコミを牽制しながら、素早く(古城だけ)朝食を食べ、(古城が)食器を洗い、ようやくコジョーがトーストを食べ終えたところで、唐突にジャンケンが始まった。

 

訳がわからない。

 

朝食を食べながらも、何かと質問をしようとする古城だったが、

 

「食べてからなぁ…mgmg」

 

「そういえば、食洗器を新調したんだっけか(チラッ」

 

と、はぐらかすコジョー。

 

 

洗い終え、そして、その間に制服を持ってきたコジョー。

 

何かを聞こうとする古城に対し、コジョーが「とりあえずジャンケンだ。」と言い張るために、仕方なく付き合わざるを得なくなった古城。

 

 

「なら、ジャンケンに俺が勝ったら質問に答えてもらうぞ?」

 

「…ああ。なら、こっちは代わりに今日学校に行ってもらう。」

 

 

ここまでくればもはや、コジョーの手の内であった。

 

 

過去、どうしても学校に行くのがだるかったコジョーは、妹の監視や出席日数がヤバめなことを誤魔化すために思い付いた。

 

 

もう一人自分がいればいいのでは?、と。

 

 

そして、使われる憐れな血の記憶。

 

 

痛みなど一瞬。この眠気に比べれば、なんということはない。

 

 

 

なんとも大胆に眷獣を召喚したコジョー。霧の魔力で無理矢理姿を変えさせた。憐れ、蟹。

 

 

だが、この作戦は失敗した。

 

 

 

どうしても長時間姿を保てないのである。元のサイズが違いすぎる上に、人型を模しても結局コジョーとは似ても似つかない。

いっそ、幻術で、と思ったが、英語教諭には一瞬でバレる。

 

 

そして、次に考え出されたのが、自分の再生能力を活用した方法である。

 

ナミウズムシ、もしくはプラナリアという生物がいる。

 

矢印のような姿のその生き物を縦に真っ二つにすると、どうなるかご存知だろうか?

 

正解は、分裂する。

 

 

粉微塵にされ、血の塊からも蘇生したことのある真祖ならば、もしかすれば。ワンチャン。

 

 

 

だが、もちろん痛いので、魔力やら指から出た血液を垂らし、そして若干の髪の毛で代用した。

 

 

 

その日は貧血で大変な事になったのは言うまでも無い。

 

 

が、しかし、それは成功した。

自我は無かったので、外に散歩に行きたがっていたライオンを突っ込んでみた。

 

 

 

 

 

 

 

その日学校では猫のごとく甘える男子生徒が一名。

自宅で意識不明となった男子生徒が一名。

 

 

 

 

 

頭を抱えて、現実逃避に走ったヘッドフォンを掛けた男子生徒が一名。

 

 

 

読んで字のごとく猫可愛がりした金髪の女子生徒が一名。

 

 

 

出会いがしらに頭を擦り付けられて授業を自習として悶えていた女性教諭が一名。

 

 

 

放課後に、飼っている野良猫の中に一際大きいのが混ざっていたので、ミルクをあげた優しい女子生徒が一名。とても懐かれた。

 

 

話題が伝わって来ず、特に何も知らなかった自称監視役の女子生徒が一名。別にハブられていた訳ではない。校舎が離れていただけである。

 

 

 

友人と共に小動物を愛でに来たらなんか見覚えあるのが混ざっていたのでとりあえず連れて帰った妹が一名。

 

 

 

クラスメイトは、ああ、いつもの寝ぼけか、と受け止めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、今日はなんかもう勝手にもう一人自分が増えていたので、代わりに登校してもらおうと思い付いたコジョー。

 

どこまでも強かに、ただ、眠りたいのである。

 

 

「…は?いや、でも…。おまっ…いや、俺なんだから、良いのか?」

 

「ええんやで。(にっこり)」

 

「お、おう。そうか。なら、いくぞ!」

 

 

「「じゃ〜んけ〜ん!!ぽん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は色々とあったが、無事に夕方には元の時間に、元の世界へ帰って行った古城。

特に事件のない(?)そんな絃神島もあるのだな、と少しだけ和んだそんな1日。

 

そそくさと帰ろうとしていた吸血鬼の少女を見つけて、そっと心の蓋を取り、ゲンコツを二つ構え、背後に行き、こめかみに近づけていったとさ。

 

 

 

 




コジョー、が勝っていた場合。

質問は時間がないので帰ってからということにして、伸びる素材の制服を着て古城が学校へ行くことに。

登校する

矢瀬に会って驚く。

なんかいろいろとおかしいクラスメイトやら教師やらに驚きながらも普通に授業を受け、委員長の機嫌が良くなる。

妹と共に下校。違和感がない事に逆に違和感を覚えながらも買い物をする。荷物は古城が持った。

目が綺麗な神父や白衣の爽やかなオッさんやらアロハ服の元テロリストに出会うって苦笑する。

帰宅する。




古城君が勝っていた場合。

色々と質問責めに会うが、コジョーの認識と古城の常識との差に頭を抱える古城。

顔文字みたいな顔に何故かほんわかとし、自然と頭を撫でる。うとうとし始めるコジョー。

矢瀬が迎えにきて驚く。

矢瀬といくつか言葉を交わしたところで時間がないのでとりあえず着替えを!と思ったが、話している間に完全に寝たので、結局古城が制服を着る。

後はだいたい同じ。



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